前回紹介した「キム」もそうした少年で、イギリス人の血を濃く宿した孤児はラホール(大英インド帝国北西部の中心都市)で逞しく成長し、冒険の旅へ出ます。
因みにラホールは、古代に世界貿易の中心として栄えたぺシャワールと並ぶ都市で、スーフィー教の中心地としても知られています。
この辺は「Sayの物語」の舞台であるシャングリラ地方と近く、トゥルクも成人してから訪れる予定です。
ここで話が戻りますが、物語のコンセプト(概要)を述べさせて貰います。
これはなにぶん遠い国の大昔の話なので、物語の目的をハッキリさせないと読者を煙に巻いてしまう気がしたからです。
それは一口で言えば、チベット高原に初めて人類が根を張る物語です。
ヒマラヤ南麓の故郷は平原の勢力に征服されてしまい、奴隷になって生かされるよりも新天地を切り拓いて自活する道を選びます。
トゥルクはその先頭に立って民を導き、100歳の長寿をまっとうして「転生」という新たな道も拓きます。
これは現在でも受け継がれている伝統で、「女神転生」シリーズの元始を飾る物語を描こうと思います。
そこでまず、トゥルクの少女時代の修行から描いて行きます。
因みに今やっている朝ドラもこうした「少女の修行」を描いており、如何に自分の道を切り拓くかがテーマとなっています。
一万年前のヒマラヤ地方と、50年前の沖縄とではちょっとかけ離れていますが、人種的にはとても近いのでメンタリティーにも共通する部分はあるかと思います。
職業的にも共通点はあり、女性トゥルクは伝統的に「教育の神サラスワティー」の転生とされるので、朝ドラ三姉妹のネエネエと通じます。
しかし残念ながら朝ドラでは「教育への情熱」を描けておらず、それが日本の限界なのかなと感じます。
一方、アメリカでは教育に動物を活用するのが流行っており、子供達が学校と勉強を好きになるように工夫しています。
そろそろ日本も、教育はサービス業だという意識を前面に出すべきかと思え、勉強が嫌いになるような教育しか出来ない学校は、淘汰されて然るべきと思います。
テストで競争するコトに情熱を燃やせる時代は過ぎ去り、もっと地球の未来の為に価値のある教育が求められます。
トゥルクにはそうした教育が出来る様に修行を積ませる必要があり、それには常に自分達の暮らしを見守っている感のある「青い山脈」へと、彼女を導こうと思います。