曾て「愛の国」と呼ばれたガンダーラには、美しい自然に恵まれた長寿村があり、信仰心の厚い誠実な人々が暮らしています。
辺境の山間地なので経済は発展しておらず、ちょっと中心地から離れると宿が無くなりますが、旅人は村のモスクに泊まれ、異教徒でも歓待してくれました。
イスラム教徒には「聖地巡礼の旅」をする義務があり、旅人をもてなす習慣もあります。
わたしはパキスタン北部(フンザ)に3ヶ月滞在しましたが、この周辺は昔アフガニスタンまで広がるガンダーラと呼ばれた国で、今でも現地人は国境など無視して行き来しています。
しかしこの「愛の国」は、ソ連の侵攻以来ずっと戦乱が続き、そのタメ世界一貧しい国となっていて、物価も世界一安いです。(1日100円で贅沢に暮せる)
特産は果物とケシと大麻で、1番儲かるケシ(モルヒネの原料)の栽培は問題視されていますが、ケシの実も精製しないで食べる分には健康的な野菜と言えます。
しかしこんな牧歌的な辺境の地で、何故に敬虔なイスラム教徒どうしが争わなければならなかったのかと疑問に思います。
これは中村哲さんも追求している問題で、結局のところやはり「憎しみ」が原因であり、それをこの地にもたらしたのはイギリスやロシアやアメリカだと哲さんは断じています。
これは河島英五も「モサクどんの運動会」で歌っていますが、人の庭で勝手に運動会(戦争)をして国境線などを引くから、水源争いも絶えなくなっています。
ガンダーラ地方はインダス河の水源なので、パキスタンとインドが領有権を主張し争っていますが、この問題はイギリスの分割統治によって発生したと言えます。
一方で「~スタン」の国々が分裂したのはロシアのせいと言え、共産革命は辺境の地にも「憎しみの種」を蒔いてジハードを呼びました。
しかしこうした暗い過去は、再びガンダーラ地方が平和な観光地となり、多くの長期滞在者が暮らす様になれば忘れられるでしょう。
「ガンダーラの未来」はそんな明るいモノとして描きたく、曾て「ヒッピーの聖地」と謳われた「愛の国」は、「~スタン」の国々が統合された後にはその首府となれるでしょう。