私はつい最近まで「女性漫画」の良さが解らず、そのあまりに美化された絵が気に食わず読んで来ませんでした。
しかし40歳になってから、たまたま図書館で読んだ「女性漫画」に感動し、考え方が一変しました。
それは「合葬」という一冊読み切りの漫画で、とても繊細な感情描写とリアルな登場人物に魅了されました。
ストーリー展開も味わい深く、徳川幕府の為に命を捨てようとする親友を救おうとする主人公は、長崎で外国人医師に師事する将来有望な青年です。
みんな最後は死んでしまうのですが、作者の彼等への愛が伝わってくる美しい絵は、芸術の域に達していると思います。
もっとメジャーな「女性漫画」としては、「働きマン」も読みごたえがあります。
バリバリ働く女性主人公の葛藤を描いた作品で、女性ならではの感情描写が売りの華やかな「会社漫画」です。
現実の会社はこんなに華やかではありませんが、そうあって欲しいという気持ちは解り、男性は身につまされる作品です。
次に、テレビの「ヒューマニエンス」によく出演されるヤマザキマリさんの漫画で、「スティーブ・ジョブズ」を挙げます。
彼女の漫画はまだこれしか読んでいませんが、男性漫画とは一線を画したリアリティーの追求は実に見事です。
それは実際のところ、女性の方がリアルな人物を描く才能を持っていると思わせる程で、物語に強く引き込まれます。
続いて話題になった人気作「はたらく細胞」を挙げますが、これで「女性漫画」を初めて読んだ男性も多いコトでしょう。
ここでは一転してリアリティーに欠けるほど美化された人物ばかり登場しますが、それはみんな細胞を擬人化したモノで、ファンタジーなので気になりません。
人体の仕組みについてはかなり深く、リアルに描かれているので勉強になり、物語はどんどん発展して「スピンオフ漫画」を多く生み出しました。
最後に「少女漫画」で唯一、ずっと昔に読んだコトのある「蒼のマハラジャ」を挙げます。
それは二十歳でインドの聖地バラナシに3ヶ月沈没した時で、「久美子ハウス」に全巻そろっていました。
久美子さんはインド人と結婚して移り住まれた方で、「蒼のマハラジャ」の主人公も同じ境遇です。
ただ時代が100年前なのでイギリス人少女となり、ラジャスタンの王子に見初められるという「少女漫画」的な話ですが、そうした結婚は実際にあった様です。 ストーリーもやはり「少女漫画」的で苦難の歴史は描けていませんが、ファンタジーで夢があり少女の久美子さんを夢中にさせたコトでしょう。
王女になったイギリス人少女は独立後のインドで特に活躍し、両国の架け橋として美しい人生をまっとうします。