今回は物語でサルをどう活躍させるかを考えますが、そうした物語としてまず挙がるのは「桃太郎」かと思います。
この子供向けの鬼退治話には色々な因縁があり、それらは以下のコラムで「まとめ」られています。
ここでは鬼退治の理由として「朝鮮人から製鉄技術を奪う為」という説が挙げられていますが、これはちょっと自虐的すぎる気がします。
ここでいったん、グローバルな視野に立って「世界の鬼退治物語」の因縁を探ってみます。
しかしこれらは結局、人と人が戦うコトに「正義」を与える為の逸話でしかない気もします。
上の「まとめ」の中から代表的な「吸血鬼」を取り上げますと、これは日本でも最近「鬼滅の刃」で有名になりましたが、欧米では昔からずっとメジャーな存在でした。
それは人類の不老不死を求める欲求が生み出した怪物と言え、欧米ではその欲求が日本よりも強かったようです。
しかし、それは必然的に神と対立する生き方とされ、神の掟を超えようとする不遜な輩は退治されて当然というストーリーになりました。
ここで1つ吸血鬼映画を挙げますと、「アブラハム-リンカーン=ヴァンパイア-ハンター」が面白かったです。
これは南北戦争を起こしてアメリカを統一したリンカーンの物語ですが、南部の黒人奴隷を搾取する貴族達はヴァンパイアに支配されていたと描かれます。
これはアクション-ホラーとして人気を博しましたが、リンカーン青年の成長物語としても優れており、リアルなヴァンパイア像を描き出した作品として高く評価されています。
因みに南北戦争モノでは南部貴族はいつも悪者として描かれ、前に紹介した「グローリー」(デンゼル-ワシントン)と「ニュートン-ナイト」(マシュー-マコノヒー)もそうです。
一方、リチャード-ギアの「ジャック-サマーズビー」はより人間的な南部貴族を描いており、ギアの反逆精神が良く出ている作品と言えます。
話を「桃太郎」に戻しますと、結局鬼が退治されなければならない理由は「鬼だから」というコトに尽きるみたいです。
そこでサルがどう活躍したかも良く解らず、せいぜい食べ物をくすねるか、毒を入れる位しか出来なさそうです。(童話でそんな非道なコトは描けないでしょう…)
結局、「鬼退治物語」からは何も良いアイデアは得られなかったので、次回は「猿回し」を参考にしてみます。