「やらなかった後悔より、やってしまった後悔の多い人生であれ」
果たして、自分はその言葉のように生きているのか?
果てしなく先を歩く君に、そう問い掛けて笑われた。気がした。
「それは、貴方の人生だから」と。
「貴方は、誰にも憚ることなく、『持っている』と言えるものがあるわ」
微笑む君に、憮然とした僕が並んで歩く10月最初の土曜日の昼下がり。
銀杏にはまだ早くて、でも秋風はすでに冷気を孕んでいる。
「それはね、自分の人生よ」
笑って言う君に、顔をしかめる僕。
「あ~、何言ってるんだ!?って顔、してる~」
抗議の声もどこ吹く風で、厚く雲の垂れ込めた空を見上げた。
雲の切れ間から差し込む光は僕に宗教絵画を思い起こさせた。
「はぁ~、綺麗だねぇ」
そう言う君の横顔を盗み見る。
「天使の階段だね」
得意気な笑顔に見惚れながらも聞き返す。
「天使の、階段…?」
「そう、天使の階段」
君は雲の切れ間を指差し、見ながら言う。
「あぁいう、雲の切れ間から光が差し込んでるのを天使の階段て言うんだよ♪」
楽し気に笑う君に、さして興味の無さそうな僕。
「もう、シン君だってこんな綺麗な風景を見たら撮りたくなるんじゃないのぉ?」
少し頬を膨らませた君が、僕を見上げてそう言った。
でも、その時、僕の心を占めていたのは、君の綺麗な横顔だった。
君と歩けるだけで、僕の心は満たされるんだ。
果たして、自分はその言葉のように生きているのか?
果てしなく先を歩く君に、そう問い掛けて笑われた。気がした。
「それは、貴方の人生だから」と。
「貴方は、誰にも憚ることなく、『持っている』と言えるものがあるわ」
微笑む君に、憮然とした僕が並んで歩く10月最初の土曜日の昼下がり。
銀杏にはまだ早くて、でも秋風はすでに冷気を孕んでいる。
「それはね、自分の人生よ」
笑って言う君に、顔をしかめる僕。
「あ~、何言ってるんだ!?って顔、してる~」
抗議の声もどこ吹く風で、厚く雲の垂れ込めた空を見上げた。
雲の切れ間から差し込む光は僕に宗教絵画を思い起こさせた。
「はぁ~、綺麗だねぇ」
そう言う君の横顔を盗み見る。
「天使の階段だね」
得意気な笑顔に見惚れながらも聞き返す。
「天使の、階段…?」
「そう、天使の階段」
君は雲の切れ間を指差し、見ながら言う。
「あぁいう、雲の切れ間から光が差し込んでるのを天使の階段て言うんだよ♪」
楽し気に笑う君に、さして興味の無さそうな僕。
「もう、シン君だってこんな綺麗な風景を見たら撮りたくなるんじゃないのぉ?」
少し頬を膨らませた君が、僕を見上げてそう言った。
でも、その時、僕の心を占めていたのは、君の綺麗な横顔だった。
君と歩けるだけで、僕の心は満たされるんだ。