雲上楼閣 砂造宮殿

気ままに自分勝手なブログ。徒然に書いたり、暇潰してみたり、創作してみたり・・・

暇潰し090823_ あとがき

2011-05-01 22:50:28 | 夏空(完)
約2年かけた「暇潰し」がようやく終わりました。
本当は4月中に終わらせたかった!

本当にお台場でガンダム待ちしてた時に作り始めたから「暇潰し」…
タイトル付けるのは苦手だからなぁ…。

ラストは決まっていたけど、アヤの気持ちが分からず、停滞して放置…みたいな?

それにしても、箱で指輪を持ってるなよ、哲。
本当に、スマートじゃないなぁ…。

正直、アヤが哲に惚れた理由が分からない…
(ヲイ)


終わったからには次を書きたいと思っています。誰も読みたくなくとも書くよ

プリントしたら、余りの駄文に落ち込んだけど。
それでも書きます。


次は何が良いかなぁ♪

暇潰し090823_12

2011-05-01 22:21:28 | 夏空(完)
哲は無言でアヤを見つめた。
「うん!」
アヤは今度はしっかりと、体全体で頷いた。
「私も哲と一緒にいたい!」
その言葉に哲は、アヤを思い切り抱き締めたのだった。アヤも哲の背に手を回すと、その胸に顔を埋めた。
二人は互いの体温を確めたのだった。

哲が優しくアヤの髪を撫でる。
アヤは不意に顔を上げると、哲に軽いキスをした。
二人は微笑み合うと、またアヤは哲の胸に顔を埋めるのだった。
「あ!」
哲が小さく叫んだ。
「なぁに?」
アヤが腕の中で小さく叫んだ。
「…うん」
哲が自分のパンツのポケットをごそごそと探り出す。
「ちょっと待って…」
そう言うと哲はアヤの両肩を優しく自分から離したのだった。
「手を貸して」
アヤは期待に満ちた瞳で哲を見る。
哲はワインレッドのビロードの箱を見せると、ゆっくりその蓋を開ける。
アヤが差し出した左手を、哲の左手が下から掬い上げた。
哲はアヤの左薬指に指輪をゆっくりとはめたのだった。
「ありがとう、哲」
そう言うとアヤは、哲に力強く抱きついたのだった。

暇潰し090823_11

2011-05-01 19:57:56 | 夏空(完)
哲のジーンズのポケットには、ビロードの箱が収まっている。
空は、橙から紫、群青、闇色へと鮮やかなグラデーションを描いている。
哲は空を見上げながら、一つ深呼吸をすると、気合いを入れるように、小さく頷いたのだった。
「あの…さ…」
哲の声は硬く、つぶやくように言った。
アヤはいつもと少しだけ違う哲に身構えて、無言で哲を見上げた。
「?」
「あの…あのね、アヤ…」
哲はアヤから視線を逸らすと、無意識にさ迷っている。
哲が何を言うのか全く予想の出来ないアヤは、怪訝な顔をして哲を見つめた。
「なぁ…に…?」
哲はゴクリと唾を飲み込んだ。
「アヤ…僕と、結婚してくれないか?」
哲の言葉に、アヤは目を見開いた。
「今日だって、ガンダムの力を借りなきゃプロポーズ出来ないくらいだし…その、アヤを困らせたり、戸惑わせたりしてるのも知ってる。でも、アヤが居ないとダメなんだ。アヤなら分かってくれるって甘えてる。アヤと一緒なら頑張れると思うんだ」
哲はそこまで一気に言うと、大きく息を吸い込んだ。
「アヤと、ずっと一緒にいたいんだ」
アヤはずっと哲を見上げたままだった。
「…え…だって…」
アヤには信じられなかった。今日はアヤにとって最後のデートのはずだった。
それが、思いがけず楽しくて、付き合い始めた頃を思い出した。
そして、プロポーズされてしまった。
「だって…」
アヤの目からは知らず、涙が溢れた。
「ア、アヤ…!」
途端に、哲が慌てだした。
オロオロとする哲に、思わずアヤは笑い出した。
「…フフ…うん…」
泣きながら満面の笑みで、アヤは頷いた。

暇潰し090823_10

2011-04-09 14:36:03 | 夏空(完)
二人はそれからデックスに行き、アヤのお気に入りのカフェでランチプレートを注文した。待っている間、今日のこれからの予定を話し合った。食べながらも話が弾んだ。
「アヤ、オムライス美味しい?」
哲がそうたずねた。
「うん。一口食べる?」
アヤはそう言って、半熟オムライスとデミグラスソースを上手く掬うと、哲の目の前に差し出した。
哲は躊躇う事なく、スプーンに食い付いた。
「…うん、美味しい!アヤも食べる?」
そう言うと、哲がアヤの口元にクリームパスタを届けたのだった。
それから二人は、雑貨屋やアヤが好きな衣料品店を見て回った。
それからは二人の笑顔が絶える事なく、夕暮れを迎えたのだった。


「少し、砂浜でも歩く?」
哲は少し首を傾げてアヤに問い掛けた。
アヤはニッコリ微笑むと頷いたのだった。
そして、橙色の光の中で、長く伸びた二人の影が寄り添った。

暇潰し090823_9

2011-03-26 14:13:25 | 夏空(完)
その後、30分並んで見たガンダムの大きさに、二人は感嘆の声をあげた。
並んでいる間ずっと見ていたが、その大きさは思った以上で、足下で見上げると頭部は全く見えず、その胸に反射する光に目が眩んだ。

二人は見終わると、会場に並んだ模擬店を眺めた。
哲はガンダムをバックに記念写真を撮影してくれるブースを見つけると、そちらを指差した。
「アヤ、二人で写真を撮ろう。記念にさ」
アヤはブースに軽く目を向けると、哲を見上げて頷いた。
その顔は子供みたいに目元まで真っ赤に染まっていて、哲は汗でアヤの頬に張り付いた髪をそっと耳に掛けた。
「!」
アヤは一緒だけ驚くと、すぐにはにかんだ笑顔を頬に浮かべた。
「行こう」
そう言って哲が差し出した手に、アヤは柔らかい笑みで答えたのだった。


15分も並ぶと二人の番が来た。
哲がアヤの肩を抱き寄せると、アヤも哲に肩を寄せた。
「はい、チーズ」
係員の声に二人は満面の笑みを浮かべた。
係員からカメラを受け取り、歩きながら二人で画面を覗き込んだ。
「やだ、思ったよりヒドイ顔…」
「そんなこと無いと思うけど?」
「え~!」
ブースから少し離れると、哲は歩みを止めてアヤを見た。
「暑いから、どこかに入ろう?」
アヤは周囲を見渡すと、また哲を見て言った。
「久しぶりにデックスに行きたいな」
そう言って、歩き出したアヤの手を、哲は何気無く掴んだ。
振り返ったアヤの目に映ったのは、優しい目をした哲の姿だった。
「あぁ、行こう」
そう言って哲はアヤと手を繋いで歩き出した。

暇潰し090823_8

2011-03-26 11:45:39 | 夏空(完)
「…ねぇ、哲」
アヤが哲を見上げながら呟くように声を掛けた。
「ん?」
哲の顔はアヤを見て優しく笑っている。
思わずアヤは、その先を忘れて、哲の顔を見つめてしまった。
「クスッ…顔が真っ赤だ。大丈夫?日傘、貸して」
そう言って哲は手を伸ばた。アヤは久しぶりに見る哲の優しさに動けずにいた。哲はなかなか動かないアヤの前に少し身を屈めると、その手から日傘を取り上げた。勢いよく日傘を開くと、無言のまま、アヤの全身が影に入るように差したのだった。
「ありが…とう…」
思わずはにかんでお礼をつぶやくと、哲をまた見上げた。
哲もそんなアヤを見て、頬を緩めた。
「いや」
呟きが耳に届いた。
二人の間に、付き合い始めの頃のような空気が流れていた。

暇潰し090823_7

2011-02-26 00:34:34 | 夏空(完)
哲は力無い笑いを浮かべると、またガンダムを見上げた。
その空は抜けるような青さに輝いている。
哲は思わず目を細めた。

「青いなぁ…」
哲はポツリとつぶやいた。
アヤはその言葉に、今日初めて空を見上げた。
「本当だ」
その日、二人は初めて同じ物を見ていることに、気付かなかった。


暇潰し090823_6

2011-01-30 21:53:46 | 夏空(完)
定刻になると、等身大ガンダムは、胸から白い煙を出し、目を光らせると、顔を左右にゆっくりとふる。
「スゴい!ねぇ、アヤ」
哲が横に顔を向けると、興味がないはずのアヤもその光景を食い入るように眺めている。
「…これ、歩くの…?」
アヤは見上げたまま呟いた。哲は思わず笑みがこぼれる。
「さすがに歩きはしないけど、歩いたら凄いよね」
「うん」
アヤが視線を少しずらすと、哲の笑った顔が目に映った。
自分を見つめる優しい瞳を、アヤは久しぶりに見た気がした。
「あ…」
「?」
「ううん、何でもない…」
アヤはあわてて俯くと、胸に手を当てた。
その頬は紅く染まっていた。

暇潰し090823_5

2011-01-23 21:55:12 | 夏空(完)
哲はガンダムを見上げながらチラリとアヤを盗み見る。
少し前から、アヤが自分といても余り笑わない事に気付いていた。
だから、哲は今日に賭けていた。
バッグの中には、ワイン色のビロードの箱がある。
中はもちろん、ペアリングだ。
それも、アヤが欲しがったブランドを、思いきって買った。
たった一言「結婚してください」と言うために。
だから、哲は敢えて、猛暑に込み合う等身大ガンダムの展示会場を選んだのだ。

自分を奮い立たせるために。
「ねぇ…」
「…何?」
哲がアヤを見ても、アヤは携帯電話のディスプレイから目を離さずに答えた。
「暑いね…」
アヤは訳が分からず、思わず哲を見上げた。
「…うん…」
アヤは、静かに携帯電話を閉じると、哲を見たまま、バッグに仕舞った。
「並び終えたら、アヤはどこに行きたい?」
アヤは目を瞬かせると、少し考える素振りを見せた。
「…ご飯…かな…」
哲は満面の笑みを浮かべた。
「うん。何が食べたい?」
普通の会話に普通のデートをして、プロポーズをするのが、哲の計画だった。

暇潰し090823_4

2011-01-21 21:24:12 | 夏空(完)
(暑いし、疲れた…)
アヤはワクワクと子どもの眼をした哲の横顔を見ながらそう思っていた。

今年の夏は記録的猛暑だという。それでも、等身大ガンダム見たさに、数え切れない人々が並んでいる。
「アヤ、楽しみだね!」
ガンダムに目を奪われる哲は、アヤがさっきから無言なことに気付かない。

太陽はジリジリとアヤの肌を焼く。
アヤはゴソゴソとバックから携帯電話を取り出すと、友達にメールを送った。
そのタイトルは『ヒマだよ~(泣)』だった。

「ねぇ、アヤ?」

「…なぁに?」

メールに気を取られていたアヤは反応が遅れた。
「ううん…」
だから、哲がメールに夢中なアヤを見ていた事にも気付かなかった。