雲上楼閣 砂造宮殿

気ままに自分勝手なブログ。徒然に書いたり、暇潰してみたり、創作してみたり・・・

2013年ありがとうございました

2013-12-31 17:26:34 | Weblog
今年もいっぱいありがとうございました!!

昨年よりは更新できた気がしてます。


人見知りで出不精な自分がライブに行って、人様にお会いして、初見の方々と食事までして。
自分としては楽しい一年でした。
ありがとうございました!!


来年も、よろしくお願いします(^-^)

宮~永遠とか幻想の、また違う話~6

2013-12-21 22:22:11 | Weblog
シンが校内を歩けば、途端に黄色い歓声が飛ぶ。
日常茶飯事の光景に、シンはどこ吹く風で、カメラ片手に颯爽と校内を闊歩する。
撮影授業の時の変わらぬ情景に、今さらシンは反応しない。
一年生の頃は全校生徒が騒ぎ、二年生になったらクラスメイト以外が騒いだ。三年生になった今は、映像課以外が騒ぐのだから、正直なところ、反応すら返したくなかった。

また、その騒がしい中に、実はチェギョンたちもいるのだった。
課題の仕上げに陣取った校庭が見下ろせる場所に、遠くから歓声が響いた。
階下を見れば、皇太子の一団がこちらに歩いてくるところだ。
途端に、女生徒は髪型やら化粧を気にし出すした。ガンヒョンはその光景を横目に筆を走らせた。
差し向かいに座ったチェギョンに目をやれば、髪を撫でて目をパチパチさせている。
お前もか、と思ったところで、一際大きな歓声が響いた。
「殿下よ~」と、ハートマーク付きで叫んだのはスニョンだ。
一目散に窓辺に駆け寄ると、懸命に手を振っている。
チェギョンは気になるのか、ウズウズしながらキャンバスに向かっている。
「行けば?」
「え?」
チェギョンが笑顔のまま顔をあげた。その腰は、半分浮いているようなものだ。
「彼が気になるんでしょ?見に行けば?」
「なに言ってるの、ガンヒョン。皇太子なんか気にしてないよぉ!!」
「…そう?」
ガンヒョンは懸命に手を振るスニョンたちに視線を向けると、またチェギョンに目を向けた。
「やせ我慢は体に毒だと思うよ」
その時、一際大きな声が女生徒から起こった。
どうやら、シンがこちらを向いたらしい。
スニョンやヒスンをはじめ、女生徒が叫んでその名を呼んでいる。
「え?なんか言った?」
チェギョンがきょとんとした顔でこちらを見た。
「…何でもない」
ガンヒョンはその顔を見た途端、なぜか何も言えなくなってしまった。

宮~永遠とか幻想の、また違う話~5

2013-12-17 00:11:29 | Weblog
静かな室内に、微かなため息が響く。
吐息さえも響く室内にいるのは3人だけだった。
目を伏せた初老の男に、心配げに隣に座った老婆を見つめる女性、そして件のため息をついた老婆だった。
女性2人の姿は、今から結婚式でも行われるのかという、伝統的できらびやかな韓服姿だった。
その部屋の調度品も色彩豊かに彩られ、黒檀や紫壇が使われた、今では博物館位でしか目にすることができないような品ばかりだった。
「それで、いつ頃?」
手元の書類に目を通した老婆は、無作法と知りながら、男のほうに身を乗り出した。
「はい、直ぐにではございませんが、決して良好とは申し上げられない状態です」
男は伏し目がちなまま答えた。
「長期の療養か…」
「はい」
背凭れにもたれた老婆の腕に、隣の女性がそっと手を添えた。
「大丈夫だ」
老婆は女性に顔を向けてそう言うと、再び男性に顔を向けたのだった。
「健康診断の準備を」
「はぁ」
男性は老婆の真意を掴みきれず、あやふやな返答をした。
そして、次に老婆が発した一言は、その場に居る者を驚かせた。
「太子に、妻を。妃を迎えます。その準備をするのです」
「はい」
「…」
神妙に頭を下げた男性医師に対し、女性は二の句が継げなかった。
彼女にとって皇太子に、まだ高校生の自分の息子に嫁を迎えるなど、晴天の霹靂以外の何物でもなかった。

宮~永遠とか幻想の、また違う話~4

2013-12-08 02:25:45 | Weblog
「そういえば、皇子の噂の恋人、留学選考受けるらしいよ」
「え?」
ガンヒョンの言葉に、お菓子を頬張り、奪い合いながら3人が振り向いた。
「なに?選考受けるの?」
「え、だって、もし受かったら…4年?は帰ってこられないんじゃ…」
「そうそう」
こくこくと頷きつつ、またもお菓子に手を伸ばすチェギョンの手を、ガンヒョンがすかさず叩いた。
「いった!!」
チェギョンが手をさすりながら、恨めしそうにガンヒョンを睨んだ。
「そうね、数年は帰れないし、もしかしたらずっと海外かもよ。みんな、向こうのバレエ団に入るために受けるんだし」
ガンヒョンはそう言いながら、机上に広がるお菓子の山を自分のほうに引き寄せた。
それでもチェギョンは手を伸ばす、ガンヒョンはその手を払いのけた。
「ガンヒョン…噂の恋人さんて、超優秀なんでしょ?留学決定なんじゃないの?」
チェギョンは実に恨めしそうにお菓子を見つめながらそう言った。
「これはチャンスよ!!」
ガタリと派手な音をたてて、握りこぶしのスニョンが、やにわに立ち上がった。
「な、何が!?」
「皇太子よ、皇太子!!」
鼻息の荒いスニョンに、3人、いや、クラス中が引き気味だ。
「皇子がどうしたの?」
ガンヒョンは腕組みをしながら、スニョンを見上げてそう言った。
「だ~か~ら~」
スニョンはビシリと中空を指差した。
3人も思わずその方向に顔を向けた。
「目指せ、皇太子妃!!」
「「「は?」」」
3人はスニョンの指先から、ゆっくりとその顔に視線を移した。とても本気と思えない事をいい放ったその顔は、真面目以外の何物でもなかった。
ヒスンは目を瞬かせ、ガンヒョンは呆れて頭を振りながらも、再度お菓子に手を伸ばすチェギョンの手を叩いた。
「私のお菓子ぃ~」
その時、始業ベルがちょうど鳴ったのだった。

宮~永遠とか幻想の、また違う話~3

2013-12-02 00:32:51 | Weblog
同じ頃、同じ高校の隣の校舎で、美術課に通うシン・チェギョンは満面の笑みを浮かべていた。彼女の目の前には、休み時間にも関わらずお菓子が並び、ともに囲む3人の少女は半分呆れ顔だった。
「あんた、今が休み時間だって分かってる?」
丁寧に手入れされたロングヘアーをかきあげながらそう言ったのは、眼鏡のクールビューティー、イ・ガンヒョン。
「チェギョン、私にも一口」
これは、皇太子殿下フリークのユン・ヒスン。
「ちょっと、殿下の眼に留まるには我慢よ!!」
待ったをかけたキム・スニョンも皇太子殿下フリークだった。
チェギョンとて、皇太子殿下が気にならないわけではないが、雲の上の人と、どこ吹く風だ。
「お菓子が私に食べて食べて♪って、言ってるの」
なんて、勝手な理屈をつけて口に放り込む。
スナック菓子の軽い食感音が響く。
途端、チェギョンの顔は一層緩んだ。
「本当に、食べているときが一番幸せそうよね、あんたって」
「ふふっ」
ガンヒョンの言葉も何のその。
チェギョンは笑顔でお菓子を頬張り続けるのだった。