茨木のり子の詩が好きで、折々に彼女の言葉を反芻する。
「自分の感受性くらい」という詩集と出会って、その言葉の輝きに魅せられて二十余年が経つ。
疲れたとき・困ったときは、自分を見つめなおす力となり、嬉しいときには、更に喜びを昇華させてくれる。
彼女が昨年二月に亡くなり、その後、甥にあたる方の尽力で花神社より
「歳月」という詩集が出版された。
これは、医師であった夫三浦安信さんと死別するまでの二十五年間の、思い出を詩にしたもので、いままでの茨木のり子の詩とは、イメージの異なるもので、少なからず驚かされた。だが、ファンとしては彼女の思いを知ることが出来、非常に貴重なものと思える。
彼女が生前に世に出さなかったのも、彼女らしくてうなずける。甥子さんには、一種のラブレターのようなもので恥ずかしい、と言っていたというが確かにこれは亡くなった夫への思いを綴ったものである。
「歳月」のなかに収められた39篇のなかのひとつに、ごく短い「二人のコック」という1篇がある。
二人のコック
憎しみが
愛の貴重なスパイスなら
それが少々足りなかった 二人のコックの調理には
で
こくのあるポタージュにはならず
二十五年かかって澄んだコンソメスープになりました
でも 嘯きましょう
おいしいコンソメのほうが はるかに難しい
そのつくりかたに関してはと
茨木のり子さんは、幸せな方だったと推察いたします。
二十五年の夫婦生活でコンソメスープになりました と言い切れるんですものね。
夫君が亡くなられてから32年生きられたようですが、ここまで慕ってもらえる男性も幸せだと思われます。
さてさて、全然関係ないけれど自分たちにおきかえて、ウ~ン
澄んだコンソメスープではないな~ かといって、濃厚なポタージュともいえない。
せめて濃い味をかもしだせるような夫婦になりたいもの・・・と一瞬思ったことでした。
すぐ、覚えられました。
茨木のり子さんの詩は、言葉の選び方が的確で好きです。彼女の、感性あふれる作品は亡くなっても光をはなっています。、生前に出版されたものもいいですよ
よろしくお願いいたします。
茨木のり子さんの詩「歳月」是非読んでみます。
近頃いろいろと思うことがあり、長い間に忘れかけている夫婦の歳月を振り返る良いチャンスかとも思います。ありがとうございます。