ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

コロナウイルスの 会議は踊る

2020-02-01 11:40:54 | 日記
おかしいな。WHOはいやに中国を庇っているじゃないか。ーーそう感じたのは、夕食のテーブルでNHKのニュースを聞いたときだった。アナウンサーは次のように伝えていた。

「新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、WHO=世界保健機関は専門家による緊急の委員会を開き、感染がほかの国でも拡大するおそれがあるとして『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』を宣言しました。
WHOは医療態勢のぜい弱な国への感染拡大を懸念しているとしたうえで、ワクチンや治療法の開発を促進するとともに、そうした国への支援を行うべきとしています。」

コロナウイルスの感染拡大を受けて、WHOは緊急事態宣言を出したというが、「医療態勢のぜい弱な国」への懸念を強調するだけで、火元に当たる中国への言及はなぜか避けている。「やっぱり、おかしいぞ」と思ったのは、声明を発表した黒人事務局長の数日前の態度が頭にあったからである。

数日前、コロナウイルスが中国で蔓延の兆しを見せはじめていた時にも、この事務局長は「緊急事態にはあたらない」として、中国で起こっている事態をスルーする態度を露骨に見せていた。なぜなのだろう?

この私の疑念は、私一人の思い過ごしではなかったようだ。「WHO 中国」と入力してググっただけで、いくつもの記事がヒットした。

《なぜ? WHOが中国に“忖度” 緊急事態宣言も...》(FNN PRIME)
《中国、緊急事態宣言の回避でWHOに圧力か 仏報道》(日本経済新聞)
《「並外れた措置取った」 WHOトップ、目立つ中国賛辞―新型肺炎》(JIJI.COM)
《WHO、中国に配慮か “事務的ミス”に“圧力”…緊急事態宣言で後手に》(SankeiBiz)

FNNPRIME の記事は、次のように書いていた。
「『新型コロナウイルス』の感染が世界各地に拡大している現状を受け、WHO(世界保健機関)は、『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』を宣言した。
こうした中、WHOが、新型のコロナウイルスについて、公衆衛生上の緊急事態を宣言した会見では、中国への配慮が目立った。
緊急事態を宣言したものの、中国の措置を高く評価するなど、WHOの中国に対する配慮がうかがえた。
WHO・テドロス事務局長『(緊急事態)宣言は、中国への不信任投票ではないことを明確にしたい』
WHOのテドロス事務局長は、30日の会見で、緊急事態宣言した主な理由は、医療体制の整備が遅れている国で感染拡大の懸念があるためだと説明した。
また、テドロス事務局長は、日本をはじめ、各国がチャーター機を派遣して自国民を退避させる中、中国に対する貿易や渡航制限は行わないことを表明した。
テドロス事務局長は、中国から多額の経済支援を受けているエチオピア出身で、外相などを歴任していて、こうした背景が中国への配慮につながっているという指摘もある。」

要するに、WHOの事務局長はエチオピアの出身で、中国から多額の経済支援を受けているため、中国に多大の「配慮」を示したというのである。

注意しなければならないのは、エチオピア人事務局長のこの「配慮」が、彼の一方的な「忖度」によるものではないことである。彼の「配慮」は、中国側からの激しい働きかけ=プレッシャーを受けての、きびしい折衝の結果でもあった。日本経済新聞は次のように伝えている。

「中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスについて、仏紙ルモンドは29日、世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を出さないよう中国が圧力をかけていたと報じた。WHOは宣言を見送っているが、代わりに国際的な専門チームが現地入りする合意を中国から得たとしている。
WHOは22、23日の緊急会合でウイルスによる感染拡大が『国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態』に当たるかを議論した。緊急会合には日米中などの21人が名を連ねていたが、同紙によると、この場で中国の代表者が『宣言は問題外である』との主張を繰り広げた。中国の『同盟国』からの反対もあったという。
会合では激しい議論が交わされ、結局WHOは『時期尚早』との理由で見送った。テドロス事務局長は会合後の記者会見で『緊急事態に当たるどうかで意見が割れた』と説明した。」

いやはや。日本の国会は相変わらず「桜を見る会」問題で大騒ぎだが、そんな場合ではないのではないか。チャイナ・マネーが世界を動かしている。国の面子をかけて、会議は踊る。その間にもコロナウイルスの感染は拡大の一途をたどり、なかなか終息の気配を見せない。これは決して対岸の火事ではない。やれやれ。
コメント
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