人は色眼鏡でしか世界を見ることができない。この色眼鏡は、人によってまちまちな偏向サングラスのようなもの。ニーチェのいうパースペクティヴィズムである。
よい例が、ホテル三日月のケースだろう。このホテルで起こった事態をサイト「zakzak」の記者が見ると、こんな具合である。
「滞在者で症状のなかった男女2人からウイルスが見つかったことも判明。いずれも武漢滞在中の感染とみられているが、2人とも相部屋を割り当てられており、部屋で一緒に過ごした帰国者たちの容体チェックも重要となる。まだまだ『ゆったり、たっぷり、のんびり』とはいえない状況が続く。」
(zakzak 2月3日配信《武漢からの帰国者受け入れた「勝浦ホテル三日月」の“英断” ネット上では相次ぐ「神対応」に賞賛の声》)
何の変哲もない記述だが、この同じ事態をサイト「リテラ」の記者が見ると、様相は一変する。これは問題大ありの事例なのだ。こんな具合である。
「新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が懸念されるなか、唖然とするような政府の杜撰な対応が問題になっている。今月29日に第一便のチャーター機で中国・武漢から帰国した人のうち3人が新型コロナウイルスに感染していたことが昨日30日わかったが、そのうち2人は国が用意したホテルで『相部屋』を強要され、それぞれがほかの帰国した人と同じ部屋に宿泊していたというのだ。
第一便のチャーター機で帰国した人は206人いたが、そのうち経過観察のためホテルへの一時滞在を選んだ人は191人いた。だが、政府はそもそも帰国者のための部屋を140部屋しか用意していなかったのである。」
(リテラ1月31日配信《安倍政権の新型肺炎対応が杜撰すぎる! 帰国者を隔離用ホテルでまさかの「相部屋」強要、経過観察のための体温計も用意せず…》)
ホテル三日月の帰国者受け入れは、ホテル側が「困っているときに役に立たなければならない」という思いから買って出たことなのに、これが「リテラ」の記者の手にかかると、「国が用意したホテル」の「杜撰な対応」とされて、すべてが政府攻撃の材料になってしまう。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。「坊主憎し」の色眼鏡で見ると、袈裟までがーー勝浦の地方ホテルの対応までがーー「憎い」ものに見えてしまうのである。
「zakzak」と「リテラ」と、ーーこれら二つの記事を読んでどちらに共感するかは、これもまた読者が掛けた色眼鏡次第である。「絶対の正義がある」と信じる人には、耳の痛い話かもしれない。
よい例が、ホテル三日月のケースだろう。このホテルで起こった事態をサイト「zakzak」の記者が見ると、こんな具合である。
「滞在者で症状のなかった男女2人からウイルスが見つかったことも判明。いずれも武漢滞在中の感染とみられているが、2人とも相部屋を割り当てられており、部屋で一緒に過ごした帰国者たちの容体チェックも重要となる。まだまだ『ゆったり、たっぷり、のんびり』とはいえない状況が続く。」
(zakzak 2月3日配信《武漢からの帰国者受け入れた「勝浦ホテル三日月」の“英断” ネット上では相次ぐ「神対応」に賞賛の声》)
何の変哲もない記述だが、この同じ事態をサイト「リテラ」の記者が見ると、様相は一変する。これは問題大ありの事例なのだ。こんな具合である。
「新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が懸念されるなか、唖然とするような政府の杜撰な対応が問題になっている。今月29日に第一便のチャーター機で中国・武漢から帰国した人のうち3人が新型コロナウイルスに感染していたことが昨日30日わかったが、そのうち2人は国が用意したホテルで『相部屋』を強要され、それぞれがほかの帰国した人と同じ部屋に宿泊していたというのだ。
第一便のチャーター機で帰国した人は206人いたが、そのうち経過観察のためホテルへの一時滞在を選んだ人は191人いた。だが、政府はそもそも帰国者のための部屋を140部屋しか用意していなかったのである。」
(リテラ1月31日配信《安倍政権の新型肺炎対応が杜撰すぎる! 帰国者を隔離用ホテルでまさかの「相部屋」強要、経過観察のための体温計も用意せず…》)
ホテル三日月の帰国者受け入れは、ホテル側が「困っているときに役に立たなければならない」という思いから買って出たことなのに、これが「リテラ」の記者の手にかかると、「国が用意したホテル」の「杜撰な対応」とされて、すべてが政府攻撃の材料になってしまう。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。「坊主憎し」の色眼鏡で見ると、袈裟までがーー勝浦の地方ホテルの対応までがーー「憎い」ものに見えてしまうのである。
「zakzak」と「リテラ」と、ーーこれら二つの記事を読んでどちらに共感するかは、これもまた読者が掛けた色眼鏡次第である。「絶対の正義がある」と信じる人には、耳の痛い話かもしれない。