新型コロナの感染拡大を防ぐには、何をすれば良いのか。ーーこの手の問題を検討する議論世界は、結果が伴ってナンボの世界、結果オーライの世界である。きのう本ブログで見たように、サイト「リテラ」は政府の対処法ーー「ダイヤモンド・プリンセス」乗客の船内留め置きや入国拒否といった、水際作戦ーーを「意味がない」と批判するが、これも(感染拡大に歯止めがかからないという)結果を踏まえた、結果主義的観点からの批判である。
アメリカ政府も、結果を出せないこうした日本政府の対処法に業を煮やし、ダイヤモンド・プリンセスに留め置かれているアメリカ人乗客380人を救出するため、チャーター機を準備していると表明した。
アメリカ政府に限らず、アメリカのメディアが日本の対処法にむける目はきびしい。HUFFPOSTの記事(2月15日配信《「第2の震源地を作った」新型コロナ、日本政府の対応に米メディアから批判相次ぐ》)によれば、アメリカのTIMEは「乗員乗客の約6%が感染しているこのクルーズ船は、世界中のどこよりもコロナウイルスの感染率が高い」と指摘し、「現在の検疫手順が船内での感染拡大を防げていないばかりか、感染していない健康な乗客の感染リスクが高まる可能性もある」という感染症の専門家の言葉を紹介している。その上で、新たな感染を防ぐためには、「検査結果が陰性である人を下船させ、潜伏期間中は感染リスクの低い代替措置の下で経過を観察することが理想的」としている。
またABCニュースは、専門家のコメントを引用し、「このように閉鎖された環境で感染拡大を防ぐための対策を続けるには、現在の検疫手順では不十分だ」として、「(感染者の)数が劇的に増加していることは、船内でウイルスが拡散し続けていることを意味している可能性がある。日本の港で感染の第2の震源地が作り出されている懸念がある」と伝えた。
また、ニューヨークタイムズは、危機管理の専門家の言葉を引用し、日本政府の対応を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と評した。
以上のような米メディアの批判的見解がアメリカの政治家にも共有され、その声が米政府を動かした可能性がある。朝日新聞のネット記事によれば、米議員からも米政府が自国民を救出に動くべきだとの声が上がっており、政治専門サイト「ポリティコ」は、「中国・武漢に次ぐ、世界で2番目に大きいコロナウイルスの集中場所だ」という議員の言葉を紹介したという。
ここで留意しなければならないのは、以上の批判的見解が(新型コロナの感染拡大を阻止できないという)結果を踏まえた上での見解だという点である。結果だけに着目すれば、逆に、米メディアの見解を疑わせる事例もないわけではない。
たとえば、「ホテル三日月勝浦」に収容された中国からの帰国邦人が全員「陰性」とされて帰宅したケースもある。この事例は、政府の水際作戦が功を奏したケースと見ることができるのではないか。
クルーズ船「ウエステルダム」の事例も無視することはできない。このクルーズ船は、なかなか寄港先が見つからず、やっとこさカンボジアのシアヌークビル港への入港が許可されたが、カンボジア政府は感染者がいないことを前提に乗客に下船許可を与えたため、乗客らを自由に下船させ、観光も許可したという。ところが、この「ウエステルダム」を下船し、クアラルンプールに移動したアメリカ人女性1人が、新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになったというのである。
このアメリカ人女性がスプレッダーになり、カンボジアでの新コロナ感染の発生源になることもあり得るが、もしそういう「結果」が出たとすれば、「ああ、やっぱり、水際作戦は必要だった」ということになるのではないか。
まあ、すべては結果次第である。考えてみれば、医学も疫学も結果オーライの世界だからね。
アメリカ政府も、結果を出せないこうした日本政府の対処法に業を煮やし、ダイヤモンド・プリンセスに留め置かれているアメリカ人乗客380人を救出するため、チャーター機を準備していると表明した。
アメリカ政府に限らず、アメリカのメディアが日本の対処法にむける目はきびしい。HUFFPOSTの記事(2月15日配信《「第2の震源地を作った」新型コロナ、日本政府の対応に米メディアから批判相次ぐ》)によれば、アメリカのTIMEは「乗員乗客の約6%が感染しているこのクルーズ船は、世界中のどこよりもコロナウイルスの感染率が高い」と指摘し、「現在の検疫手順が船内での感染拡大を防げていないばかりか、感染していない健康な乗客の感染リスクが高まる可能性もある」という感染症の専門家の言葉を紹介している。その上で、新たな感染を防ぐためには、「検査結果が陰性である人を下船させ、潜伏期間中は感染リスクの低い代替措置の下で経過を観察することが理想的」としている。
またABCニュースは、専門家のコメントを引用し、「このように閉鎖された環境で感染拡大を防ぐための対策を続けるには、現在の検疫手順では不十分だ」として、「(感染者の)数が劇的に増加していることは、船内でウイルスが拡散し続けていることを意味している可能性がある。日本の港で感染の第2の震源地が作り出されている懸念がある」と伝えた。
また、ニューヨークタイムズは、危機管理の専門家の言葉を引用し、日本政府の対応を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と評した。
以上のような米メディアの批判的見解がアメリカの政治家にも共有され、その声が米政府を動かした可能性がある。朝日新聞のネット記事によれば、米議員からも米政府が自国民を救出に動くべきだとの声が上がっており、政治専門サイト「ポリティコ」は、「中国・武漢に次ぐ、世界で2番目に大きいコロナウイルスの集中場所だ」という議員の言葉を紹介したという。
ここで留意しなければならないのは、以上の批判的見解が(新型コロナの感染拡大を阻止できないという)結果を踏まえた上での見解だという点である。結果だけに着目すれば、逆に、米メディアの見解を疑わせる事例もないわけではない。
たとえば、「ホテル三日月勝浦」に収容された中国からの帰国邦人が全員「陰性」とされて帰宅したケースもある。この事例は、政府の水際作戦が功を奏したケースと見ることができるのではないか。
クルーズ船「ウエステルダム」の事例も無視することはできない。このクルーズ船は、なかなか寄港先が見つからず、やっとこさカンボジアのシアヌークビル港への入港が許可されたが、カンボジア政府は感染者がいないことを前提に乗客に下船許可を与えたため、乗客らを自由に下船させ、観光も許可したという。ところが、この「ウエステルダム」を下船し、クアラルンプールに移動したアメリカ人女性1人が、新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになったというのである。
このアメリカ人女性がスプレッダーになり、カンボジアでの新コロナ感染の発生源になることもあり得るが、もしそういう「結果」が出たとすれば、「ああ、やっぱり、水際作戦は必要だった」ということになるのではないか。
まあ、すべては結果次第である。考えてみれば、医学も疫学も結果オーライの世界だからね。