ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

クルーズ船と自由のゆくえ

2020-02-08 11:31:13 | 日記
新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。感染の拡大を防ぐため、14日間の船内待機を強いられることになったこの船の乗客たちは、実質的に「狭い部屋での監禁」と変わらない検疫機関のこの措置に、パニックに陥りはじめているという。

私事で恐縮だが、脳出血の後遺症で自由に出歩く機能を失った私は、一日の大半を自室に引きこもって過ごさざるを得ず、そういう「監禁」の状態に馴れてしまっているから、14日間の監禁生活など、べつにどうということはない。屁のようなものだ。しかし、これまで世界各地を遊覧する生活に慣れた自由人たちには、この14日間の船内待機は、地獄のようにも感じられるのだろう。私も脳出血に倒れるまでは自由に出歩くことができたから、その感覚が解らないではない。

この生き地獄から逃れる手はないものか。私だったら、「権利」の理念に訴えるだろう。「私は自由だ。この自由は、国民のだれにも認められた『権利』であり、政府といえども『権利』の侵害は許されない。私が下船して自宅に帰る自由を、政府が妨げることはできないはずだ。私は断固として下船する!」
私はこう主張するだろう。こう主張すれば、政府も、その出先機関も、手も足も出ないはずだ。

ただし、こういう主張が有効なのも、今年の4月1日までのことである。政府は私のようなへそ曲がりが出ることを予想して、今年の4月1日付で新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」に定める予定だからである。

これによって、では何がどう変わるのか。
指定感染症に罹患した恐れがある者には、感染の拡大を防ぐため、入院などの措置をとることができるようになる。クルーズ船の船内待機の措置は、これに準じる措置と考えられるから、私はこの措置に従わなければならなくなるのである。

でも、どうなのだろう。もし私が中国人だったり、韓国人だったりしたら、どうなのだろう。日本の「感染症法」(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」)は、日本人だけに適用可能な法律なのか、それとも、外国人であっても、日本への入国を希望する者には自動的に適用される法律なのだろうか。検疫業務に携わる担当官なら、そのあたりの事情はよくわきまえていると思うのだが。
コメント
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