近鉄特急に揺られ伊勢路を往く。
西日が青山を挿し、オレンジ色に染め上げている。
雪景色をみたのは昨日のことだったろうか。
四日市のコンビナートは夕暮れがよく似合っていた。
機械的とも無機質とも違う、ここは人類の知恵の結晶なのだ。
連休中日の名古屋駅は人でごった返していた。
人混みをくぐりぬけて外に出ると――やっぱり見事なイルミネーション。
不況だ不況だと言われても、何だか明るい気持ちになる。
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石舞台古墳のあとは亀石へ向かう。
途中、公民館で成人式に参加している若者たちに出会った。
あたしは3年前に迎えた成人式。
自立なんてものにはほど遠く、振袖にはしゃいでいたのをよく覚えている。
卒業式も袴にはしゃいでいたけど、あの頃よりは少し自立に近付いているんだろうか。
亀石は不意に現れた。
いつ誰が何のために作ったかは謎だが、亀が動くと大和盆地は水没してしまうという。
「カワイイ顔してなかな . . . 本文を読む
石舞台古墳へやってきた。
史跡散策の前に、まずは腹ごしらえ。
飛鳥に来た目的のひとつ、飛鳥鍋を頂く。
朝食が粥だったせいか、飛鳥寺を出たあたりから空腹はピークに達していた。
赤飯の元祖だという赤米と、牛乳仕立ての飛鳥鍋が冷えきった体にしみていく。
豆乳鍋ともトンコツスープとも違う、和風の深い味わいだ。
デザートの赤米クッキーをかじりながら坂を登っていると、石舞台古墳が見えてきた。
巨大な石はイ . . . 本文を読む
いざ飛鳥へ。
東に向かってペダルを漕ぎだした途端、足元を北風がすくう。
久しぶりに自転車乗ったのにこの仕打はないだろう、と悪態をついた。
「チャリ乗るとさ、風が気持ちよくってストレス発散になるんだよね」
いつだったかそう言っていたのは先輩だったろうか、確かに澄みきった風が気持ち良い。
実家では手放せないチャリは、今や通勤時間が10分から5分になる程度の違いだけれど、あれば少し違うかなとも思う。
そ . . . 本文を読む
ホテルに泊まってよかったと思うのは、いつも朝食のときだ。
本格中華レストランが階下にあることは判っていたが、まさか朝食から健康的な中華粥にありつけるとは思っていなかった。
念願の奈良漬けと一緒に頂くと、旅先の朝を実感する。
橿原神宮前に着いた。
うとうとしていたが、冷気に晒された瞬間に目が醒める。
飛鳥周遊はやはりバスにしようか――とバス停に向かったが地元ばりの少ない本数に驚き、背中を丸めながら . . . 本文を読む