『あさが来た』8週、「京都、最期の贈り物」の長文ネタバレ感想まとめ。
丁寧に描かれたそれぞれの『旅立ち』に涙が出ました。

『あまちゃん』とは違う形の面白さ。
関連リンク
・『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲。
・【あさが来た】亀助さんも栄達さんも忠興父ちゃんも、『スタパ来た』【こんにちは】
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■京都へ
京都のおじいちゃん・今井忠正が危篤との一報が、九州場所中のあさに届きました。

「達者でええ顔してるやないか」
はつと忠政おじいちゃん。
はつが苦労していることも知ってるんだろうけど、どんな状況にいても否定しないで認めて?くれるのが、おじいちゃんなんだろうね。

「100まで生きる思てたけど、もういつ死んでもおかしないねん」
「そんな事言いはったらあきまへん」
なんてことないやりとりだけど、平成でもよく見られる純粋な孫と祖父母のやりとりで、すでに涙目。
今井家のことをちょっとずつ描きつつ、先週に新次郎の言葉でおじいちゃんの言葉や京での出来事を思い出させて、そこからの「京都編」。
それがわざとらしくないから、気持ちいい。
■身に足りた暮らし

「畑で育つ青物には、何か不思議な力があるような気ぃしますねん」
「親子5人身に足りた暮らしさしてもろとりますので、どうか心配せんといとくなはれ」
生きているもの接すること、陽の光を浴びることが、疲れた心の回復には必要。
きっとそれって近世も近代も現代も変わらないことなんだろうな。
今の家族に身に足りた暮らし。
素敵な表現だなあって思う。
いろんな家庭いろんな個人があるけれど、それぞれの「身に足りている」人生。
■京都までの道のり

日に焼けたはつと、顔に炭つけたあさ。
顔にあらわれる変化が、ふたりが嫁いでからの出来事を象徴しとるのね。

九州から旅の格好でそのまま来たあさ、久しぶりに綺麗なお着物を着ているはつ。
衣装ひとつでふたりがどんな思いで京都に向かって京都に着いたか、行間を読ませる演出なにこれ大好物。
家族の気持ちを察すれば「ここにいる間は着物を」と、はつが今井家に着いたときに頼んだんだろう。
先週に惣兵衛が帰ってきたことや田舎暮らしで眉山家が再生していることを考えると、着物を頼むはつもまた切ない。
けど、今は実家の今井の家族のため、と頼むはつの潔さが美しい。
■めんどくせえ……

「な?そう思てるな?(めんどくせえ)」
「へえ(めんどくせえ)」
「へえ(めんどくせえ)」
菊さんは「クソいけず→やだなにこれ可愛い」
よのさん「かわいい姑さん→くっそめんどくせえ!」
そんなそれぞれ予想外の変貌。
■今井屋

「今井家は古くから両替屋だけでなく呉服屋としても名を成していました」
三井をスポンサーにして今井屋のスピンオフ希望(おいこら

「こらお母はんのお力も大きいのやてなあ」
母となり親となったはつの言葉。
子供時代から昨日の縁側のシーンまで、はつがしっかり梨江母ちゃんの背中をみていたのだなあと。
しかしはつが梨江母ちゃんについて言及すればするほど、梨江母ちゃんは悩むのかもしれない。
援助をできなかったこと。
それからブラック菊さんのスイッチを入れたのは梨江母ちゃんとあさだったこと。
そのあとはつが大変なことになったこと。
(後者は知らないほうがいいだろうな……)
なお、あさが
「久太郎のくせに一人前のこと言うて」
と言っていますが。
その久太郎はあんたやお父ちゃんとともに、後に日本経済史に大きな名を残すとんでもない男です。
■不穏その1.ふゆちゃん

ふゆちゃんは中の人的にもミスリードだとは思うけれども。
けれども、けれども、けれども……
新次郎は第1週でロリコン高等遊民だったしなあ……
そんな視聴者のモヤモヤを露知らず、手前の亀助さん超ニッコニコ。
ふゆにフラグが立った事を即座に見抜くうめさん。
「ほっほ~」と大喜びのよのさん。
ナチュラル色男の新次郎。
ふゆに一目惚れした亀助。
世間知らずのふゆ。
これまた「少女漫画か!」と言いたくなるいいバランスで立ち位置が決まりました。
ところがどっこい。
フラグはふゆちゃんだけではなく。

「うちか番頭はんにいいなはれ」
先週うめが新次郎の秘密を立ち聞きしたときから始まった『うめと雁助の社内恋愛フラグ』。
うめが信頼するのは雁助、というフラグがしっかり立っている。
■おじいちゃんの旅立ち

あの頃と変わらない碁盤と碁石。
時間だけが流れた。

「これからもなぁ、会う人会う人に『何でや?何でや?』て聞いてなぁ。
あさが誰ぞに『何でどす?』て聞かれたらちゃんと教えてあげるんやで」
あさの生き方を暗示しているような忠政じいちゃんの言葉。
その顔の優しいことよ。

「お前のおかげでなぁあの世行ってご先祖様に大手振って威張って会うことができる。おおきにな」
お家を守ることをあさとはつに教えた忠興父ちゃん。その忠興に教えたのは忠政じいちゃんか。お家を守ることの意味が改めて問われる。
ほとんど表情を変えなかった忠興は「ほどほどにせぇよ…」と目を伏せる。
忠政じいちゃんを亡くして一番辛いのはこの人なのかもしれない。
それにしても一連のシーンを目元と鼻元で見せる升さんの表情の演技、改めて凄い。

「梨江さん。あんたはようこんなアホな真面目な息子を支えてくれておおきに」
忠政にとって、忠興はアホな真面目な息子。
強い今井家、今井忠興を支えたのは奥さんの力。
アホの2文字で今井夫妻と白岡夫妻が繋げる言葉運びがな。

「久太郎、お前寝小便するなよ」
夢でもいいから孫たちに会いたかった忠政じいちゃん。
みんなが幼かった頃の夢を見ているのかもしれない。
久太郎の裏で堪えている忠興父ちゃんの表情が、10年間の今井家を物語ってるのかな。

「はつ。お前は優しいお子や。人に優しいできるのはなぁ、強い者にしかできひん。
お前やったら大丈夫や。きっと大丈夫や」
『眉山はつ』をどこかから見ていたような言葉。
忠政じいちゃん、ずっと会いたかったんだろうな。
山王寺屋が潰れる直前、今井家にはつと惣兵衛がやってきたとき。
はつの言葉を、忠政おじいちゃんはどこかで聞いていたのかもしれない。
凛々しい孫の姿に、どこかで「大丈夫、応援しとるぞ」なんて頷いていたのかもしれない。

「あさ、泣きなあ!わいはお前の笑た顔が好きなんやで。ほい、笑え。ん?笑え」
目を瞑りながらあさの頬をつまむ忠政じいちゃん。
それは先週、新次郎が大福と称したあさの『武器』。
あさの武器は大福、柔軟な考えと、それから笑顔。

まだ江戸時代だった第1週、
「おまえらの行く先にはどんなえらいことが待ち構えてるかわからへん。笑うて切り抜けるんや。ええな」
と孫たちに語りかけてたじいちゃん。
言われたとおり、あさもはつも笑顔で切り抜けている時代の境目。

「おじいちゃん、おおきに。今までいっぱいいっぱい…おおきにな」
穏やかに眠る忠政じいちゃん。
涙を堪えこれないあさと梨江母ちゃん。
奥歯を噛みしめるように涙を堪えてるようなはつ。
3人ともワンワン泣くことはなくても、悲しみと喪失感が伝わってくる。
一緒に木登りして空を見上げたこと。
碁を打ちながら女性の強さを教わったこと。
ごもっともはかりではいけないと話してくれたこと。
ぜんぶ、繋がってたんだな…

思い出の樹に触れながら空を見上げて「さよなら」と。
あさとはつの幼少期、京のあさとはつが終わるのか。
改めてここからスタートを切る明治のあさとはつ。
それは楽しみなようで、でも少し寂しいようで。
幸せに包まれた忠政の最期。
林与一さん、お見事でした。
■演出の心意気に涙が出そう

感動からの突然のルー忠興( ゜д゜)

さらに上をいくルー久太郎( ゜д゜)

や は り お ま え か !!

忠政おじいちゃんを看取る感動回の〆が、五代さんの「きちゃった」とは。
……あれ?先週確か惣兵衛帰還の感動回の〆が新次郎の「きちゃった」だったはず。
おいこらおまえらぁ!
タイミング!!タイミング!!(褒めてます。
好いたおなごを外堀から固めていき、ついには実家の父ちゃんを攻め入るという荒業を成し遂げる。
ポジティブイケメンストーカー。
ていうか
升さん林さん寺島さん、それからおディーン様も。
役者さんの演技もすごいといつも思うのだが、一番拍手したいのは
「涙で終わらせるものか。絶対に笑わせてやる」
という制作スタッフの心意気。
■お金

「今井は政府の信用が厚い」
「長州藩か役人になった井上馨さんも顧問になっててつながりも深い」
井上馨は今井もとい三井組の『番頭さん』と言われていたそうだけど、ドラマのほうには出ないかな、出ないかな(・∀・ )

「お金は使う人や使い方でなんぼでも価値が変わる」
「金にもなればゴミにも毒薬にかてなる」
幕末から明治の過渡期に、貨幣に関してこれだけ言えるってのはすごい。
やっぱり五代友厚って人は海の向こうを見てきた人なんだなと。
いつもは「五代このやろうww」と笑って見てる五代さん。
でもこのときばかりは言うことにハッとしてたり。
ドラマの中でもこのギャップがいい。
五代さんの言ってることは『ごもっとも』なこと。
ごもっともな話をしかめっ面で言わないから、大阪経済に受け入れられたんだろうな。
ごもっともの話をした忠政が亡くなった週に五代さんのお金の話というのは、それなりにわけがあるのかも。

エクセレント!
エクセレント!!
エクセレント!!!
■新次郎と五代さんのパチパチはん

新次郎「ピストルありがとう、でもうちの嫁に危ないもん持たせやがってふざけんな。
つかなにお前実家にあがってんの?きちんと線香あげたわけ?
喪中なのにバンクバンクって?ああもうなんなの?」
……とまでは言っていませんが、あさに会いたくずーっと待っていたのに、まあ家の事情だから仕方ないと、お線香も上げに行かなきゃと実家に急いだら、そこには嫁を狙う男がいて、日頃の余裕がすっかり消えてしまった新次郎。
可愛い顔して「運命です」と爆弾発言かまして、「おまえがあてになんねえからろうが」と去っていく五代さん。
そんな新次郎と五代さんの一部始終を観ていた方々がこちら。

藍之助「母ちゃん、あのおじちゃんたち怖いよぅ」
■しっかりし過ぎる長女・はつ

「たまには弱みみせなさい!」
日本全国の「姉」や「長女」 「第一子」を泣かしにかかってきてる梨江さんとはつの母娘、それからお父さん。
お母さんに心のうちを明かすことができてよかった、と自分が重なる。
「持って帰っておくれやす。うちがやりくりして貯めたお金や」
と梨江母ちゃんがはつにお金を手渡す。
五代さんに「お金は人を救う」と言わせてからの、このシーン。
はああ、なんなん?もうホントなんなん?(褒めてる
「でも受け取れない」と返したはつに、梨江さん、珍しく感情を露わにして
「何でどす?親子の仲でそないに遠慮することないやないの!」と。
はつの答えは「うちはお家守られへんかった。うちのせえだす」。

だから今回は守ろうとするのかもしれない。
それなりの額が入ってるであろうお金を持って帰ったら、眉山家はまた混乱してしまうかもしれない。
菊も栄達も、惣兵衛も辛い思いをしてしまうかもしれない。
「家族5人、身に足りた暮らし」を守ろうとするはつの生き方、美しいなあ。
不安を打ち明けるはつ。
はつの胸の内を知った忠興父ちゃんと梨江母ちゃんの目線がまた愛情に溢れてることよ。
強くどんなときでも誇りを持っていたはつの抱く不安。
支えてあげたいのが親心だべなあ。

お金に殺された山王寺屋、お金がないことで息を吹き返した眉山家。
はつを守って支えていくのはお金ではない。
「お金『なんか』要りまへん」と言い切るはつを、これから最前線でお金を取り扱う忠興が見てるってのは深い絵だな。
■がんばる女性たち

「やり手やなんて…誰も言うてくれまへん。けったいな若奥さん言われてますわ」
「何を偉そうに言うてますのやろ、うちは…。お姉ちゃんぶって偉そうに。子を産むことしかでけへんくせに」
仕事でも家事でも、頑張れば頑張るほど、なぜか評価はされないんだよなあ。
まあ評価されるために頑張るわけじゃないけど。なんでだろうな。
はつの言葉もなんだか刺さる。
子どもを産むことしかできない、とな。
でも、きっとあさもはつも『頑張る女性』のはず。
■不穏その2、3.雁助さん、サトやん

雁助さん、「加野炭坑」の看板に渋い顔。
「両替屋にお仕えするのが誇り」と既に伏線は張られているし、ここまできたら回収も想像がつく。
でもまあ気持ちの準備が出来るからいいのかな。
もうひとり。
7週最後からなんだか不穏なサトシ。
まだ真相明らかにならず。
■夫婦の形

すっかり片付いたお部屋に、距離を持たせて座るふたり。
あさの背景に映る加野屋のお店。
新次郎はあさの背中に店の暖簾を見てるんだろうか。
「行きまへん」とニッコリ笑顔で言ったあとのこの寂しそうな表情よ。
奥行きがいい仕事してる。
一方、新次郎をお父ちゃんと呼ぶ藍之助とそれにすねる惣兵衛。
藍之助を抱える惣兵衛が妻子への優しさに溢れてる。

「あないかわいいお子がいてたら、どないな事があっても頑張れるいうもんだすわな」
惣兵衛の『本当の姿』を眺めながら新次郎。きっと子がいれば
ひとりで寂しくても辛くない、仕事でも頑張れるかもしれない。
そんなあさと新次郎、はつと惣兵衛だけはありません。

治郎作親分とカズさん、よのさんと正吉さん。
今日はいないけど菊さんと栄達さん、梨江さんと忠興さん。
各々夫婦に各々の良さがあるんたなと。
「これが絶対いい夫婦!」と描かない脚本がいい。
【サイレント惣兵衛】
①藍之助のお父ちゃん発言にスネる惣兵衛。
②2人目、ご懐妊。

白蛇やら黒蛇やらモジャモジャやらが、こんな癒し枠になるとは。
■未来予想図

惣兵衛の未来予想図。
子どもたちに囲まれて自分たちで畑を耕していく。
名家に生まれるも没落、自分自身も人生の底に落ちても、周りの優しさを素直に浴びて立ち上がった惣兵衛だから、叶えてほしい。
頑張る女性のあさを応援したくなると同時に、人間臭い惣兵衛を応援したくなる不思議。

店頭でそろばんはじいてるあさを受付嬢と勘違いしたのかな、お客さん。
口座開設の窓口はあちら、ローンご相談の窓口はこちら。
加野屋はいずれ銀行になるんだろうけど、その未来予想図を思わせるワンシーンが楽しみ。
■恋と思慕と。

「新次郎様…お気の毒に」
「若旦那様…」ではなく「新次郎様…」というところに、ふゆの思慕がにじみ出る。
どうしてもモヤモヤしてしまう。
頑張るキャリアウーマンの婚約者を、若い新入社員がかっさらっていくようなそんな月9がはじまりそうな見応えのある演技。
(ふゆの中の人、清原果耶さんはまだ15歳ってんだから驚きだよ)
新次郎への恋とはまた別に、ふゆは山王寺屋でおそらく店頭に立ち怒鳴り散らしてたかもしれない菊を見てきてるからなあ……
恋心の底にはお店に立つ女性への嫌悪感、つまるところ菊とあさが重なってるのかもしれないし。
もっといえば「お父ちゃんと呼んでええんやで」と言ってれた優しい旦那様・栄達と新次郎が重なってるのかもしれない。
「ふゆも幸せになって!」と続いていた7週までだったけれど、ここにきて一気に急展開。
ふゆが純粋であるゆえに、「うわああマジかよやめてよ」と。
あさと新次郎はずっとラブラブでいてほしい、約束通り妾はとらないでほしい。
ましてやふゆであってほしくない、たとえ史実がそうだとしても。
そういう視聴している側の気持ちをざわざわつついてくるの上手だなって、素直に感じます。
■梨江さんの交渉術
忠政の死から数カ月。
あさの元に、母・梨江がやってきました。


・詫びる
・共感する
・物で釣る(相手の好みを考えて)
・最後に一押し。
梨江さんの交渉術!!
よのさんはお着物で買収でされたようで

お着物には置物を返すスタンス。
このよのさんの様子を見ている限り、梨江さんの買収大作戦は成功したように見え……
これでこのまま妾問題ももしかしたら解決するのかもしれないと思われ……
引っ越し前の方へ大量の置物をお土産を、なんて今で考えたらはた迷惑な話だけど、よのさんだから許せるのかもしれない。
■お父はんは、そこにいる

「これはうちとお父はんからの最後の贈り物なんや」
「うちもお父はんもな、あんたにそれ貸して、あんたら親子がどう生きるのか見届けたいんや。母の最後のお願いどす」
お母はんの台詞。
さりげなく『贈り主』にお父さんの名前をねじりこませてるのがうまい。
あのときの縁側の母娘の話を、お父ちゃんも聞いていたことも心情も伝えるんだもの。
■新次郎があさを信じているということ

「何やあさの顔見てたら『ま、ええか』と思いますのや」
あさが相撲取ってることも「まぁいいか」、と亀助。
新次郎がふがいないことからあさが働くのも「まぁいいか」、と新次郎。
あさがいい顔してるから「まぁいいか」。
いいなあこの空気感。

「今の方がよっぽどええ顔してる」
かつて新次郎があさを見ていたときの言葉。
同じ言葉を母から聞いて、新次郎はあのときの自分の見たものが間違ってないと確信できたのかもなあ…

うまい!
バンク!
エクセレント!!
五代さんやQ太郎でセンセーショナルに登場した「バンク!」がまさかこんな風に使われるなんて。

見守る新次郎の目が柔らかくて、あさを温かく見守っていて。
妾問題とか色々あるし、あさの不安もあるけども。
少なくとも新次郎はあさを信頼してるんだなって。
■最後の贈り物

お母はんから届いた『最後の贈り物』。
あさの不安を解消し、はつの人生を後押しし、新次郎に自信を持たせ、あさの背中を押す。
「お父さん」を台詞にさりげなく混ぜることも、言葉を多義的に捉えるのも、上手い。

「母の最後のお願い」を受け取ったはつ。
それを見つめていたうめとふゆ。
あさたちより先に女中2人が映ったとき、はつがかつて梨江に頼んだ「最後にできること」が浮かんだ。

へそくりを渡そうとしていたお母さんを立ち聞きしていた忠興パパ。
きっと「現生ではなく土地を譲るのはどうか」と言い出したのはお父さんかもしれない。
お金は受け取らない、と言っていたはつだから。
ならばお金に変えられるかもしれないし、そこで畑ができるかもしれない、そんな土地を。
しかも「誰も使っていないし、もう使う予定もない」、そんな土地を選ぶ。
はつや眉山家の人々の心情に徹底的に配慮した『贈り物』だったんだろうなあ。
■夭逝した長男

「正太郎が亡うなって8年だすよって、榮三郎はじき16だす」
長男坊の正太郎の死がまだ加野屋に影を落としている。
かつて新次郎が「死ぬべきは自分だった」と言ったように。時代が変わってもそれは変わらない。
よのさんの心にはいつも跡取り・正太郎さんが亡くなった悲しみがある。
その上に妾問題がのってるんだから厄介?だわ。
■加野屋新喜劇とプロフェッショナル・雁助さん

加野屋新喜劇www
親分があさに叱ったのが色々と台無しになってる炭坑コントwww

「雁助はんはこのお店に誇り持ってはんのだすなあ」
「当然だす。この店の大番頭任されて誇り持たへんはずがあれへんがな」
雁助さんの不穏を回収。
不穏というよりも両替屋のプロフェッショナル精神なんだよね。
きっと雁助さんは加野屋、あさの元を離れてしまうんだろうけど、それはいつになるんだろう。
■やきもちさんたち
珍しく五代さんの寄合所には巾着ブンブンの姿が。

「それに今日は旦那様まも来てくれはりましたさかい」
「かいらしい事いってくれるがな」
五代さんと新次郎の火花パチパチ。
商売事は絶対やりたくなかった新次郎が寄合所にやってくるとは、相当やきもちさん。
しかし「雁助→大旦那様→あさ」のやきもちと「新次郎→あさ←五代さん」のやきもちをつなげるとは。
またうまいこと15分使いよって。
新喜劇もただの新喜劇で終わらせない、もうなんなの?なんなの?(誉めてる
■今井家の旅立ち

今井家の京都編はここまで、と刻まれた大黒柱。
ここから新しい時代が始まるよって。
梨江さんにとっても思い出の詰まった京都。
あさとはつの2人が大阪に旅立ったころの身長かな。
こんな大黒柱の残っている家、もう珍しくなっちゃったね。

早速、洋装の忠興お父さんと忠嗣(元の久太郎)が登場。

???「そやけど新次郎さん、この頭、思てたより五代感ありまっせ。新次郎さんも早やってみはったらよろし」
うーん、なかなかどうして漂う五代感。
中の人も否めないってこないだスタパでいってたが、本当に漂う五代感。
誉めてるのかけなしてるのかよくわからない五代感。

「今井はみんな新しい旅立ちだすな」
忠政は空の上へ、忠興と梨江さんは東京へ、忠嗣はアメリカへ、はつは和歌山へ、あさは新事業立ち上げへ。
うーん、気持ちいい!!実に気持ちいい!!

「ドントウォーリーアイムファインや」
Q太郎のアメリカ編もスピンオフ希望。

「はつに漬物うまかったゆうて伝えておいてくれ」
昨日梨江さんの言葉から忠興パパの心情があらわされて。
今日あらためて「漬物うまかった」の一言で忠興パパが背中を押す。
しっかりし過ぎな長女・はつと忠興お父さんの距離感がしみるなあ。
そんな余韻を残しつつ今井家は東京へ。
■眉山家の旅立ち

藍之助に「卑しいことしたらあかん」と叱る菊さん。
平和な眉山家。

そこに先日母から借りた土地の証文。
一度失った時期があったからこそ、はつはもう失いたくなくて、だから悩むんだろうな。
それを察知する惣兵衛の優しそうな目線よ。
■サトシの眼光
きました、九州のサトシ。

「俺は根っから大阪者が好かんで、どうも新しか持ち主んために働く気がせんとやが」
あさや宮部にガンつけるときとは違う、目が笑っていない笑顔の殺気にゾクっとする。
顔の半分に光が当たって、もう半分は影なのが何かを象徴しているようで。
来週の週タイトルが『炭坑の光』だから、サトシも回収なんだろうか。
■あさの旅立ち

「これがビールです!」
ビールのコルクを抜いたら泡が噴き出て「あさの冒険もはじまったばかりでした」と第9週おわり。
1週間かけて描かれた旅立ち、それぞれの冒険のはじまり。
その中でいろんなものが噴き出していくのかな。
うーん来週も楽しみだぞい。
……これ、あれだろ。
年末の「マッサン」一挙放送にひっかけたろ。
いいぞBK、いいぞもっとやれ。
終盤で誰かが太陽ワイン飲んでてもいいし、どこかに住吉酒造のポスター貼っててもいいぞ。
■おまけ1、亀助さんの女子力について

いのっちばりにすかさずハンカチを手渡す芸。

クオリティ高い丸文字フォント

ああ恋する亀助さん
■おまけ2、本当の五代さん
先日購入したのがこちら。

高橋直樹『五代友厚――蒼海を越えた異端児』
これが面白くて一気読みしてしまいました。
その感想ツイート。
そんな感じでまた来週でごわす。
丁寧に描かれたそれぞれの『旅立ち』に涙が出ました。

『あまちゃん』とは違う形の面白さ。
関連リンク
・『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲。
・【あさが来た】亀助さんも栄達さんも忠興父ちゃんも、『スタパ来た』【こんにちは】
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■京都へ
京都のおじいちゃん・今井忠正が危篤との一報が、九州場所中のあさに届きました。


「達者でええ顔してるやないか」
はつと忠政おじいちゃん。
はつが苦労していることも知ってるんだろうけど、どんな状況にいても否定しないで認めて?くれるのが、おじいちゃんなんだろうね。

「100まで生きる思てたけど、もういつ死んでもおかしないねん」
「そんな事言いはったらあきまへん」
なんてことないやりとりだけど、平成でもよく見られる純粋な孫と祖父母のやりとりで、すでに涙目。
今井家のことをちょっとずつ描きつつ、先週に新次郎の言葉でおじいちゃんの言葉や京での出来事を思い出させて、そこからの「京都編」。
それがわざとらしくないから、気持ちいい。
■身に足りた暮らし


「畑で育つ青物には、何か不思議な力があるような気ぃしますねん」
「親子5人身に足りた暮らしさしてもろとりますので、どうか心配せんといとくなはれ」
生きているもの接すること、陽の光を浴びることが、疲れた心の回復には必要。
きっとそれって近世も近代も現代も変わらないことなんだろうな。
今の家族に身に足りた暮らし。
素敵な表現だなあって思う。
いろんな家庭いろんな個人があるけれど、それぞれの「身に足りている」人生。
■京都までの道のり


日に焼けたはつと、顔に炭つけたあさ。
顔にあらわれる変化が、ふたりが嫁いでからの出来事を象徴しとるのね。


九州から旅の格好でそのまま来たあさ、久しぶりに綺麗なお着物を着ているはつ。
衣装ひとつでふたりがどんな思いで京都に向かって京都に着いたか、行間を読ませる演出なにこれ大好物。
家族の気持ちを察すれば「ここにいる間は着物を」と、はつが今井家に着いたときに頼んだんだろう。
先週に惣兵衛が帰ってきたことや田舎暮らしで眉山家が再生していることを考えると、着物を頼むはつもまた切ない。
けど、今は実家の今井の家族のため、と頼むはつの潔さが美しい。
■めんどくせえ……

「な?そう思てるな?(めんどくせえ)」
「へえ(めんどくせえ)」
「へえ(めんどくせえ)」
菊さんは「クソいけず→やだなにこれ可愛い」
よのさん「かわいい姑さん→くっそめんどくせえ!」
そんなそれぞれ予想外の変貌。
■今井屋


「今井家は古くから両替屋だけでなく呉服屋としても名を成していました」
三井をスポンサーにして今井屋のスピンオフ希望(おいこら

「こらお母はんのお力も大きいのやてなあ」
母となり親となったはつの言葉。
子供時代から昨日の縁側のシーンまで、はつがしっかり梨江母ちゃんの背中をみていたのだなあと。
しかしはつが梨江母ちゃんについて言及すればするほど、梨江母ちゃんは悩むのかもしれない。
援助をできなかったこと。
それからブラック菊さんのスイッチを入れたのは梨江母ちゃんとあさだったこと。
そのあとはつが大変なことになったこと。
(後者は知らないほうがいいだろうな……)
なお、あさが
「久太郎のくせに一人前のこと言うて」
と言っていますが。
その久太郎はあんたやお父ちゃんとともに、後に日本経済史に大きな名を残すとんでもない男です。
■不穏その1.ふゆちゃん


ふゆちゃんは中の人的にもミスリードだとは思うけれども。
けれども、けれども、けれども……
新次郎は第1週でロリコン高等遊民だったしなあ……
そんな視聴者のモヤモヤを露知らず、手前の亀助さん超ニッコニコ。
ふゆにフラグが立った事を即座に見抜くうめさん。
「ほっほ~」と大喜びのよのさん。
ナチュラル色男の新次郎。
ふゆに一目惚れした亀助。
世間知らずのふゆ。
これまた「少女漫画か!」と言いたくなるいいバランスで立ち位置が決まりました。
ところがどっこい。
フラグはふゆちゃんだけではなく。

「うちか番頭はんにいいなはれ」
先週うめが新次郎の秘密を立ち聞きしたときから始まった『うめと雁助の社内恋愛フラグ』。
うめが信頼するのは雁助、というフラグがしっかり立っている。
■おじいちゃんの旅立ち


あの頃と変わらない碁盤と碁石。
時間だけが流れた。

「これからもなぁ、会う人会う人に『何でや?何でや?』て聞いてなぁ。
あさが誰ぞに『何でどす?』て聞かれたらちゃんと教えてあげるんやで」
あさの生き方を暗示しているような忠政じいちゃんの言葉。
その顔の優しいことよ。

「お前のおかげでなぁあの世行ってご先祖様に大手振って威張って会うことができる。おおきにな」
お家を守ることをあさとはつに教えた忠興父ちゃん。その忠興に教えたのは忠政じいちゃんか。お家を守ることの意味が改めて問われる。
ほとんど表情を変えなかった忠興は「ほどほどにせぇよ…」と目を伏せる。
忠政じいちゃんを亡くして一番辛いのはこの人なのかもしれない。
それにしても一連のシーンを目元と鼻元で見せる升さんの表情の演技、改めて凄い。

「梨江さん。あんたはようこんなアホな真面目な息子を支えてくれておおきに」
忠政にとって、忠興はアホな真面目な息子。
強い今井家、今井忠興を支えたのは奥さんの力。
アホの2文字で今井夫妻と白岡夫妻が繋げる言葉運びがな。

「久太郎、お前寝小便するなよ」
夢でもいいから孫たちに会いたかった忠政じいちゃん。
みんなが幼かった頃の夢を見ているのかもしれない。
久太郎の裏で堪えている忠興父ちゃんの表情が、10年間の今井家を物語ってるのかな。


「はつ。お前は優しいお子や。人に優しいできるのはなぁ、強い者にしかできひん。
お前やったら大丈夫や。きっと大丈夫や」
『眉山はつ』をどこかから見ていたような言葉。
忠政じいちゃん、ずっと会いたかったんだろうな。
山王寺屋が潰れる直前、今井家にはつと惣兵衛がやってきたとき。
はつの言葉を、忠政おじいちゃんはどこかで聞いていたのかもしれない。
凛々しい孫の姿に、どこかで「大丈夫、応援しとるぞ」なんて頷いていたのかもしれない。


「あさ、泣きなあ!わいはお前の笑た顔が好きなんやで。ほい、笑え。ん?笑え」
目を瞑りながらあさの頬をつまむ忠政じいちゃん。
それは先週、新次郎が大福と称したあさの『武器』。
あさの武器は大福、柔軟な考えと、それから笑顔。

まだ江戸時代だった第1週、
「おまえらの行く先にはどんなえらいことが待ち構えてるかわからへん。笑うて切り抜けるんや。ええな」
と孫たちに語りかけてたじいちゃん。
言われたとおり、あさもはつも笑顔で切り抜けている時代の境目。

「おじいちゃん、おおきに。今までいっぱいいっぱい…おおきにな」
穏やかに眠る忠政じいちゃん。
涙を堪えこれないあさと梨江母ちゃん。
奥歯を噛みしめるように涙を堪えてるようなはつ。
3人ともワンワン泣くことはなくても、悲しみと喪失感が伝わってくる。
一緒に木登りして空を見上げたこと。
碁を打ちながら女性の強さを教わったこと。
ごもっともはかりではいけないと話してくれたこと。
ぜんぶ、繋がってたんだな…


思い出の樹に触れながら空を見上げて「さよなら」と。
あさとはつの幼少期、京のあさとはつが終わるのか。
改めてここからスタートを切る明治のあさとはつ。
それは楽しみなようで、でも少し寂しいようで。
幸せに包まれた忠政の最期。
林与一さん、お見事でした。
■演出の心意気に涙が出そう

感動からの突然のルー忠興( ゜д゜)

さらに上をいくルー久太郎( ゜д゜)

や は り お ま え か !!

忠政おじいちゃんを看取る感動回の〆が、五代さんの「きちゃった」とは。
……あれ?先週確か惣兵衛帰還の感動回の〆が新次郎の「きちゃった」だったはず。
おいこらおまえらぁ!
タイミング!!タイミング!!(褒めてます。
好いたおなごを外堀から固めていき、ついには実家の父ちゃんを攻め入るという荒業を成し遂げる。
ポジティブイケメンストーカー。
ていうか
升さん林さん寺島さん、それからおディーン様も。
役者さんの演技もすごいといつも思うのだが、一番拍手したいのは
「涙で終わらせるものか。絶対に笑わせてやる」
という制作スタッフの心意気。
■お金


「今井は政府の信用が厚い」
「長州藩か役人になった井上馨さんも顧問になっててつながりも深い」
井上馨は今井もとい三井組の『番頭さん』と言われていたそうだけど、ドラマのほうには出ないかな、出ないかな(・∀・ )


「お金は使う人や使い方でなんぼでも価値が変わる」
「金にもなればゴミにも毒薬にかてなる」
幕末から明治の過渡期に、貨幣に関してこれだけ言えるってのはすごい。
やっぱり五代友厚って人は海の向こうを見てきた人なんだなと。
いつもは「五代このやろうww」と笑って見てる五代さん。
でもこのときばかりは言うことにハッとしてたり。
ドラマの中でもこのギャップがいい。
五代さんの言ってることは『ごもっとも』なこと。
ごもっともな話をしかめっ面で言わないから、大阪経済に受け入れられたんだろうな。
ごもっともの話をした忠政が亡くなった週に五代さんのお金の話というのは、それなりにわけがあるのかも。

エクセレント!
エクセレント!!
エクセレント!!!
■新次郎と五代さんのパチパチはん


新次郎「ピストルありがとう、でもうちの嫁に危ないもん持たせやがってふざけんな。
つかなにお前実家にあがってんの?きちんと線香あげたわけ?
喪中なのにバンクバンクって?ああもうなんなの?」
……とまでは言っていませんが、あさに会いたくずーっと待っていたのに、まあ家の事情だから仕方ないと、お線香も上げに行かなきゃと実家に急いだら、そこには嫁を狙う男がいて、日頃の余裕がすっかり消えてしまった新次郎。
可愛い顔して「運命です」と爆弾発言かまして、「おまえがあてになんねえからろうが」と去っていく五代さん。
そんな新次郎と五代さんの一部始終を観ていた方々がこちら。

藍之助「母ちゃん、あのおじちゃんたち怖いよぅ」
■しっかりし過ぎる長女・はつ


「たまには弱みみせなさい!」
日本全国の「姉」や「長女」 「第一子」を泣かしにかかってきてる梨江さんとはつの母娘、それからお父さん。
お母さんに心のうちを明かすことができてよかった、と自分が重なる。
「持って帰っておくれやす。うちがやりくりして貯めたお金や」
と梨江母ちゃんがはつにお金を手渡す。
五代さんに「お金は人を救う」と言わせてからの、このシーン。
はああ、なんなん?もうホントなんなん?(褒めてる
「でも受け取れない」と返したはつに、梨江さん、珍しく感情を露わにして
「何でどす?親子の仲でそないに遠慮することないやないの!」と。
はつの答えは「うちはお家守られへんかった。うちのせえだす」。

だから今回は守ろうとするのかもしれない。
それなりの額が入ってるであろうお金を持って帰ったら、眉山家はまた混乱してしまうかもしれない。
菊も栄達も、惣兵衛も辛い思いをしてしまうかもしれない。
「家族5人、身に足りた暮らし」を守ろうとするはつの生き方、美しいなあ。
不安を打ち明けるはつ。
はつの胸の内を知った忠興父ちゃんと梨江母ちゃんの目線がまた愛情に溢れてることよ。
強くどんなときでも誇りを持っていたはつの抱く不安。
支えてあげたいのが親心だべなあ。


お金に殺された山王寺屋、お金がないことで息を吹き返した眉山家。
はつを守って支えていくのはお金ではない。
「お金『なんか』要りまへん」と言い切るはつを、これから最前線でお金を取り扱う忠興が見てるってのは深い絵だな。
■がんばる女性たち


「やり手やなんて…誰も言うてくれまへん。けったいな若奥さん言われてますわ」
「何を偉そうに言うてますのやろ、うちは…。お姉ちゃんぶって偉そうに。子を産むことしかでけへんくせに」
仕事でも家事でも、頑張れば頑張るほど、なぜか評価はされないんだよなあ。
まあ評価されるために頑張るわけじゃないけど。なんでだろうな。
はつの言葉もなんだか刺さる。
子どもを産むことしかできない、とな。
でも、きっとあさもはつも『頑張る女性』のはず。
■不穏その2、3.雁助さん、サトやん


雁助さん、「加野炭坑」の看板に渋い顔。
「両替屋にお仕えするのが誇り」と既に伏線は張られているし、ここまできたら回収も想像がつく。
でもまあ気持ちの準備が出来るからいいのかな。
もうひとり。
7週最後からなんだか不穏なサトシ。
まだ真相明らかにならず。
■夫婦の形


すっかり片付いたお部屋に、距離を持たせて座るふたり。
あさの背景に映る加野屋のお店。
新次郎はあさの背中に店の暖簾を見てるんだろうか。
「行きまへん」とニッコリ笑顔で言ったあとのこの寂しそうな表情よ。
奥行きがいい仕事してる。
一方、新次郎をお父ちゃんと呼ぶ藍之助とそれにすねる惣兵衛。
藍之助を抱える惣兵衛が妻子への優しさに溢れてる。

「あないかわいいお子がいてたら、どないな事があっても頑張れるいうもんだすわな」
惣兵衛の『本当の姿』を眺めながら新次郎。きっと子がいれば
ひとりで寂しくても辛くない、仕事でも頑張れるかもしれない。
そんなあさと新次郎、はつと惣兵衛だけはありません。


治郎作親分とカズさん、よのさんと正吉さん。
今日はいないけど菊さんと栄達さん、梨江さんと忠興さん。
各々夫婦に各々の良さがあるんたなと。
「これが絶対いい夫婦!」と描かない脚本がいい。
【サイレント惣兵衛】
①藍之助のお父ちゃん発言にスネる惣兵衛。
②2人目、ご懐妊。


白蛇やら黒蛇やらモジャモジャやらが、こんな癒し枠になるとは。
■未来予想図


惣兵衛の未来予想図。
子どもたちに囲まれて自分たちで畑を耕していく。
名家に生まれるも没落、自分自身も人生の底に落ちても、周りの優しさを素直に浴びて立ち上がった惣兵衛だから、叶えてほしい。
頑張る女性のあさを応援したくなると同時に、人間臭い惣兵衛を応援したくなる不思議。

店頭でそろばんはじいてるあさを受付嬢と勘違いしたのかな、お客さん。
口座開設の窓口はあちら、ローンご相談の窓口はこちら。
加野屋はいずれ銀行になるんだろうけど、その未来予想図を思わせるワンシーンが楽しみ。
■恋と思慕と。


「新次郎様…お気の毒に」
「若旦那様…」ではなく「新次郎様…」というところに、ふゆの思慕がにじみ出る。
どうしてもモヤモヤしてしまう。
頑張るキャリアウーマンの婚約者を、若い新入社員がかっさらっていくようなそんな月9がはじまりそうな見応えのある演技。
(ふゆの中の人、清原果耶さんはまだ15歳ってんだから驚きだよ)
新次郎への恋とはまた別に、ふゆは山王寺屋でおそらく店頭に立ち怒鳴り散らしてたかもしれない菊を見てきてるからなあ……
恋心の底にはお店に立つ女性への嫌悪感、つまるところ菊とあさが重なってるのかもしれないし。
もっといえば「お父ちゃんと呼んでええんやで」と言ってれた優しい旦那様・栄達と新次郎が重なってるのかもしれない。
「ふゆも幸せになって!」と続いていた7週までだったけれど、ここにきて一気に急展開。
ふゆが純粋であるゆえに、「うわああマジかよやめてよ」と。
あさと新次郎はずっとラブラブでいてほしい、約束通り妾はとらないでほしい。
ましてやふゆであってほしくない、たとえ史実がそうだとしても。
そういう視聴している側の気持ちをざわざわつついてくるの上手だなって、素直に感じます。
■梨江さんの交渉術
忠政の死から数カ月。
あさの元に、母・梨江がやってきました。




・詫びる
・共感する
・物で釣る(相手の好みを考えて)
・最後に一押し。
梨江さんの交渉術!!
よのさんはお着物で買収でされたようで

お着物には置物を返すスタンス。
このよのさんの様子を見ている限り、梨江さんの買収大作戦は成功したように見え……
これでこのまま妾問題ももしかしたら解決するのかもしれないと思われ……
引っ越し前の方へ大量の置物をお土産を、なんて今で考えたらはた迷惑な話だけど、よのさんだから許せるのかもしれない。
■お父はんは、そこにいる


「これはうちとお父はんからの最後の贈り物なんや」
「うちもお父はんもな、あんたにそれ貸して、あんたら親子がどう生きるのか見届けたいんや。母の最後のお願いどす」
お母はんの台詞。
さりげなく『贈り主』にお父さんの名前をねじりこませてるのがうまい。
あのときの縁側の母娘の話を、お父ちゃんも聞いていたことも心情も伝えるんだもの。
■新次郎があさを信じているということ


「何やあさの顔見てたら『ま、ええか』と思いますのや」
あさが相撲取ってることも「まぁいいか」、と亀助。
新次郎がふがいないことからあさが働くのも「まぁいいか」、と新次郎。
あさがいい顔してるから「まぁいいか」。
いいなあこの空気感。

「今の方がよっぽどええ顔してる」
かつて新次郎があさを見ていたときの言葉。
同じ言葉を母から聞いて、新次郎はあのときの自分の見たものが間違ってないと確信できたのかもなあ…

うまい!
バンク!
エクセレント!!
五代さんやQ太郎でセンセーショナルに登場した「バンク!」がまさかこんな風に使われるなんて。

見守る新次郎の目が柔らかくて、あさを温かく見守っていて。
妾問題とか色々あるし、あさの不安もあるけども。
少なくとも新次郎はあさを信頼してるんだなって。
■最後の贈り物


お母はんから届いた『最後の贈り物』。
あさの不安を解消し、はつの人生を後押しし、新次郎に自信を持たせ、あさの背中を押す。
「お父さん」を台詞にさりげなく混ぜることも、言葉を多義的に捉えるのも、上手い。


「母の最後のお願い」を受け取ったはつ。
それを見つめていたうめとふゆ。
あさたちより先に女中2人が映ったとき、はつがかつて梨江に頼んだ「最後にできること」が浮かんだ。

へそくりを渡そうとしていたお母さんを立ち聞きしていた忠興パパ。
きっと「現生ではなく土地を譲るのはどうか」と言い出したのはお父さんかもしれない。
お金は受け取らない、と言っていたはつだから。
ならばお金に変えられるかもしれないし、そこで畑ができるかもしれない、そんな土地を。
しかも「誰も使っていないし、もう使う予定もない」、そんな土地を選ぶ。
はつや眉山家の人々の心情に徹底的に配慮した『贈り物』だったんだろうなあ。
■夭逝した長男

「正太郎が亡うなって8年だすよって、榮三郎はじき16だす」
長男坊の正太郎の死がまだ加野屋に影を落としている。
かつて新次郎が「死ぬべきは自分だった」と言ったように。時代が変わってもそれは変わらない。
よのさんの心にはいつも跡取り・正太郎さんが亡くなった悲しみがある。
その上に妾問題がのってるんだから厄介?だわ。
■加野屋新喜劇とプロフェッショナル・雁助さん

加野屋新喜劇www
親分があさに叱ったのが色々と台無しになってる炭坑コントwww


「雁助はんはこのお店に誇り持ってはんのだすなあ」
「当然だす。この店の大番頭任されて誇り持たへんはずがあれへんがな」
雁助さんの不穏を回収。
不穏というよりも両替屋のプロフェッショナル精神なんだよね。
きっと雁助さんは加野屋、あさの元を離れてしまうんだろうけど、それはいつになるんだろう。
■やきもちさんたち
珍しく五代さんの寄合所には巾着ブンブンの姿が。

「それに今日は旦那様まも来てくれはりましたさかい」
「かいらしい事いってくれるがな」
五代さんと新次郎の火花パチパチ。
商売事は絶対やりたくなかった新次郎が寄合所にやってくるとは、相当やきもちさん。
しかし「雁助→大旦那様→あさ」のやきもちと「新次郎→あさ←五代さん」のやきもちをつなげるとは。
またうまいこと15分使いよって。
新喜劇もただの新喜劇で終わらせない、もうなんなの?なんなの?(誉めてる
■今井家の旅立ち

今井家の京都編はここまで、と刻まれた大黒柱。
ここから新しい時代が始まるよって。
梨江さんにとっても思い出の詰まった京都。
あさとはつの2人が大阪に旅立ったころの身長かな。
こんな大黒柱の残っている家、もう珍しくなっちゃったね。


早速、洋装の忠興お父さんと忠嗣(元の久太郎)が登場。

???「そやけど新次郎さん、この頭、思てたより五代感ありまっせ。新次郎さんも早やってみはったらよろし」
うーん、なかなかどうして漂う五代感。
中の人も否めないってこないだスタパでいってたが、本当に漂う五代感。
誉めてるのかけなしてるのかよくわからない五代感。

「今井はみんな新しい旅立ちだすな」
忠政は空の上へ、忠興と梨江さんは東京へ、忠嗣はアメリカへ、はつは和歌山へ、あさは新事業立ち上げへ。
うーん、気持ちいい!!実に気持ちいい!!

「ドントウォーリーアイムファインや」
Q太郎のアメリカ編もスピンオフ希望。

「はつに漬物うまかったゆうて伝えておいてくれ」
昨日梨江さんの言葉から忠興パパの心情があらわされて。
今日あらためて「漬物うまかった」の一言で忠興パパが背中を押す。
しっかりし過ぎな長女・はつと忠興お父さんの距離感がしみるなあ。
そんな余韻を残しつつ今井家は東京へ。
■眉山家の旅立ち

藍之助に「卑しいことしたらあかん」と叱る菊さん。
平和な眉山家。


そこに先日母から借りた土地の証文。
一度失った時期があったからこそ、はつはもう失いたくなくて、だから悩むんだろうな。
それを察知する惣兵衛の優しそうな目線よ。
■サトシの眼光
きました、九州のサトシ。

「俺は根っから大阪者が好かんで、どうも新しか持ち主んために働く気がせんとやが」
あさや宮部にガンつけるときとは違う、目が笑っていない笑顔の殺気にゾクっとする。
顔の半分に光が当たって、もう半分は影なのが何かを象徴しているようで。
来週の週タイトルが『炭坑の光』だから、サトシも回収なんだろうか。
■あさの旅立ち


「これがビールです!」
ビールのコルクを抜いたら泡が噴き出て「あさの冒険もはじまったばかりでした」と第9週おわり。
1週間かけて描かれた旅立ち、それぞれの冒険のはじまり。
その中でいろんなものが噴き出していくのかな。
うーん来週も楽しみだぞい。
……これ、あれだろ。
年末の「マッサン」一挙放送にひっかけたろ。
いいぞBK、いいぞもっとやれ。
終盤で誰かが太陽ワイン飲んでてもいいし、どこかに住吉酒造のポスター貼っててもいいぞ。
■おまけ1、亀助さんの女子力について

いのっちばりにすかさずハンカチを手渡す芸。

クオリティ高い丸文字フォント

ああ恋する亀助さん
■おまけ2、本当の五代さん
先日購入したのがこちら。

高橋直樹『五代友厚――蒼海を越えた異端児』
これが面白くて一気読みしてしまいました。
その感想ツイート。
高橋直樹『五代友厚』を読んでいるのだが、薩英戦争あたりから銃剣を刀で切ったり、刺客に「フーアーユー?」って言ったり、水洗トイレを「顔洗うんだよ」って教えたり、もしかして本当の五代さんもポジティブストーカーではないにしてもハイレベルな妖精だったんじゃないかって。
#あさが来た
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 17
『五代友厚』、続き。長崎だろうが上海だろうがロンドンだろうが、相手は美人局だろうがパッチリ二重なら「心のど真ん中を射抜く女」「おいは決めたんだ、あの女を口説くと」。やっぱ本当の五代さんもポジティブイケメンストーカーなのか。振り回されてる通詞の堀さん不憫で笑える。
#あさが来た
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 17
『五代友厚』読了、広岡浅子もがっつり登場。リボルバーや炭坑のくだりとか若旦那とのあれやこれやとか。なにこれ面白い。歴史小説としても経済小説としても、 #あさが来た のリアルスピンオフ?としても面白い。
ドラマでもうちょっと描いてやれよって思ったけどまあいいか(。☉౪ ⊙。)
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 17
そんな感じでまた来週でごわす。
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