『あさが来た』9週、「炭坑の光」の長文ネタバレ感想まとめ、その1。
【後半はこちら】
→『あさが来た』9週その2.ペンギンのように胸を張って光を浴びて。
近代の偉人、しかも史実的にもイケメンの五代友厚が。
悪意なくむしろ愛をもって「妖精さん」に仕立て上げられる。
いや、本当はすごい方です。近代史の本にもちょいちょい出てきてます。
関連リンク
・『あさが来た』第8週、それぞれの気持ち、旅立ち
・『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲。
・【あさが来た】亀助さんも栄達さんも忠興父ちゃんも、『スタパ来た』【こんにちは】
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■おヒゲで大股の若奥様
「そやけど2人の顔見てたら元気になるんやもん」
「おあさ様!お足が」
一度は失いかけたはつの笑顔が倍返し、惣兵衛一家を合わせたら10倍返しくらいになって返ってきて、あさも嬉しそう。
あさの歩き方を注意するうめ。前にどんどん進んでいくあさに「ちょっと待って、悩みがあるんでしょ」と声をかけているような。でもあさの大股歩きいつか見れなくなるのかなと思うと、ちょっと寂しい。
「そのうちヒゲでも生えてきそうな勢いやなあ」
お ま え が 言 う な ww
■脳内ハズバンド
セクハラ商工会も相変わらず。
なんだかんだでこの人たちも元気そうなのは、五代さんのおかげなんだろうねえ。
「そうです!私がハズバンドやったらあなたにこんな肩身の狭い思いはさせない!」
「はすばん?どない意味やろか?まあええか」
五代さんの真面目なセリフでおディーンのかっこいいお顔なのに、なぜか笑いを堪え切れない。
ほらもう五代さん、イングリッシュ混じるとこうなるんだってラブの話のときにわかんなかったの
■うめの存在感が効いてる。
炭坑事業で本業の両替事業のほうも回復の兆し。
でも雁助さんはそれをあまりよく思っていない。
うめさんはそれに気づいて複雑な表情。
うめさんの存在感いいな。
出しゃばりすぎず、ほんのり盛り立てる感じ。
■よのと正吉の本音
「新次郎のとこのやや子は諦めてますのや」
大きな事業を頑張っているあさに、家を続かせる重圧までも背負わせるのは申し訳ない、と正吉さん。
前者と後者どちらが良い悪いではなく、正吉さんの柔軟な考え方は魅力的。
「(新次郎も)人並みに幸せになってもええはずや」
よのさんの心にはどこかに正太郎がいるのかもしれないん。
若くして亡くなった長男坊のぶんまで、新次郎には『幸せ』になってほしいんだろうな。
「ほんま仲が悪かったらよかったんなぁ!」
犬のお張子さんに話しかけるよのさん。
こらまた複雑な顔で立ち聞きしてる新次郎。
でも正吉さんも新次郎も奥様の肩を抱えて、やっぱり仲の良い夫婦たち。
■だから平日祝日の朝に本当にバカなんじゃないの
「それに炭坑のみんなは、いっぺん心開いてくれたらもう誰もおなごやゆうてアホにしたりしはれへん」
九州での気楽さを話すあさ。
性別にとらわれずに自分を見てくれる場所。
女性の悩みはいつの世も変わらんなあ…
あさを支える新次郎の表情が何より幸せそうで、直前の話題だった「新次郎の幸せ」を考えてしまう。
それでも藍之助と接するときのあさや新次郎それぞれも感慨深そうだし。
なんかもう藍之助いい仕事してんなあ!!
9月の連休には、初夜と見せかけた相撲。
11月の連休には、お姫様抱っこを持ってくるBK。
もうほんとバカなんじゃないの?
ギャップで視聴者殺る気なの?
↑
(めちゃくちゃ褒めてる
■誇り高い女性たち
井戸を背に、和歌山へ。
未来へ踏み出そうとする惣兵衛とはつ。
あのとき落ちた井戸の底から這い上がれて、今地に足をつけている。
はつの「うちの誇りなんてお母様に比べたら」、のお母様。
確かに気持ちは柔らかくなっても、お着物は譲らない。
ご先祖の位牌に手を合わせる。
菊さんは、いけずでもなく意地でもなく、誇り高い人なのかもしれない。
実ははつとよく似ているのかもしれない。
■ザンネンなイケメン
「何も生えてなんか」
それぞれの旦那衆の励まし方……ですが、前述の正吉さん・新次郎・惣兵衛(多分栄達さんも)が上手すぎるので、
五代さんの「それじゃねえよ」感が際立つ結果になった15分間。
生えてる生えてないの問題ではない。
■炭坑の柔らかな光
炭坑シーン、この光の加減がいいなっていつも思う。
背中には光を浴びてるけど、顔は陰ってる。
なにか象徴的。
「夢っち言うのは将来を考える余裕のある人が持つもんですと」
カズさんの言葉、現代で低賃金で過酷な働き方してる仕事の人たちにも通じるものがあるなあ……
■『お家を守る』とは。
「いつかきっとこの山王寺屋を」
「みんなで地ぃに足つけてもいっぺん働こ。な?」
菊さんにとって守るべき「お家」は山王寺屋。
はつや惣兵衛たちが守りたい「お家」は眉山家、か。
坑夫たちの「命を賭けた労働」を描いてから、惣兵衛たちの「地に足つけて働きたい」を描く。
それもまた残酷といえば残酷だけど、週タイトルの『光』が惣兵衛たちにも届いてほしい。
(…ちょっとびっくりしたぞ、ネオ黒蛇)
「知らん土地に落ちぶれて死ぬよりは、よっぽどその方がご先祖さんに顔向けできますわ!」
菊さんにとっては親子の問題とは別にお家問題がある。
今よりずっと「家」のしがらみが強かった時代なわけだし、それも当然……
「今回ばかりはそないな訳にいかへん」
自分も悪かった、と反省する惣兵衛。
惣兵衛にとって菊さんや栄達さんも守りたい存在であるのだろうな、と思いたい。
お家ではなく、家族になろうとしてるのかな。
■新次郎も、寂しい。
「おいお前、しっかりしとくれやっしゃ」
まるで新次郎が自分自身に言っているようで、そう思うと切ない。
■あさも、寂しい。
「ほんまは人並みに旦那様のそばにいててお世話をしたり、ややこを育ててみたいて思うこともあるんだす」
「このままやったら…このままやったらうち、嫁失格やなて」
敏腕経営者・白岡あさではなく、年頃の女性としてのあさの葛藤。
辛いけど、それを亀助に打ち明けることができてよかった。
あさは加野屋を守ることはできていても、白岡家を守ることはできていない。
菊さんとはつで描かれた『お家を守る』ことの難しさを改めて突きつけてくる。
「いいや若奥さんかて人の子だすがな!そないにいつも真剣に坑夫のことばかり考えんかて!」
あさがどこにいようと、男勝りに大股で進んでいく背中に「ちょっと待って」と声をかける人が必要、と。
亀助さんの言葉でじんわり。
「こっちはそないな華やかさとは無縁の男の世界だす」
あさが自覚している嫁失格や、気にしているひげの話を、『男の世界』にまとめた亀助さん(ふゆ宛ての手紙にて)
当時にしろ現代にしろそれが良い悪いではなく、そこにいる人たちの想いなんだよなあ…。
ていうか、亀助さんが完全にあさの「女子の親友」ポジションという件。
■命を賭ける現場に
炭坑の朝は早く、ある朝あさは飯場からサトシの怒鳴り声を聞きつけて。
さすがに止めにはいるも…
「そげんなまやさしか事すりゃ山ん坑夫たちゃ、すぐにみんな甘えてスカブラすっぞ!バカタレが!」
生ぬるい根性では生きていけない、最前線の炭坑。命に関わる仕事ってーのはこういう厳しさが必要なときがある (´・ω・`)
「いつかはせんといかんのかもしれん。けんどそれが今かどうかは…わからん」
炭坑経営の改革をあさに問われて、「今かどうかはわからない」と親分。
親分は改革したくないわけじゃないしその必要性はわかってる。
でも納屋頭と坑夫のパワーバランスは崩すべきじゃないと思ってるんだろうな……そこにまだ経営者は入り込めない、と。
サトシによるパワーバランスをとること。
それに合わせて坑夫それぞれの『自覚』が育つのを待っているのかもしれない。
うーん…先が読めなくなってきたぞ。
あさはまた炭坑夫の納屋頭を説得しようとするのだけれど、
「みんな、だまされたらつまらんぞ!」
サトシの「つまらん」は、『面白いつまらない』、の「つまらん」じゃないんだろうな。
含みがありそう。
筑豊方言として「つまらない」はどういう意味なんだろう。
あるいはサトシはそこに何を込めているんだろう。
それでも説得を続けるあさ。
「この先、生きていくことに夢持ってもらいたいんだす」
「そんなん金持ちのみるもんちゃ」
地雷は『夢』って単語だなあ(視聴者的にも)。
もちろんあさは真剣に考えてるし、前向きに未来を考えることが大切ってのは分かる。
でもそんな簡単なことじゃないと。
安い賃金で働く坑夫たち。
いくら国のためになる誇りある仕事だと説かれても、そこに個人としての夢があるかはまた別の話。
ってサトシや坑夫の気持ちがわかっちゃうから、ここは観ていて本当に色々と考えてしまった。
えっなにもしかしてそういう作り?!そういう思惑?!
それにしても。
惣兵衛がはつに語った未来予想図とその夢を後押しする和歌山の土地の証文。
でも「そんな夢」と反対した菊さん。
それからサトシ。
無関係のようにみえる惣兵衛パートと炭坑パートが関わってるのな。
もしも、あさが恵まれない環境から成り上がってきたタイプだったら。
そしたらまた少しアプローチが違ったかもしれない。
でもこうやって『改革』をするということは、当事者からしてみれば「今」が壊れてくんだからそりゃ不安で仕方ない。
改革をして良くなる良くならないがわかればいいけど、それを知るには教育が重要。
もしかして、最終話に向けて描かれる教育分野(大学設立)への最初の1歩なのかもしれない。
■夢とお金
美和先生の大事なお客様たちは…
後ろ姿で分かる人たち(特に左)
「五代友厚がおらなんだら、日本の金銀は全部外国にかすめとられておった」
「大げさな」
「人を救うお金」「夢を応援するお金」をあさに説いた五代さん。
でも五代さんや大久保さんは坑夫たちの心情は知る由もないかもな。
多分ね、あさの中で五代さんの話したお金のポジティブな話がまだストンって落ちてないんだと思うの。
だから『夢』って単語がどうもフワフワしてしまう。
そんな五代さんの言葉をあさの落とし所に落とすのは新次郎の役目。
二人とも、はよあさとサトシを助けたげて。
っていう立場によって考えが変わる難しいお金や労働の話のオチを、
大久保さん、もといひげみちのひげに持ってくるBKおいこらいい加減にしろ。
(褒めてます
■ファーストペンギン
ひげみち「すっかり大阪言葉になりおって」
五代はん「そちらこそ…すっかい東京ん人間のごたい」
少年のような笑顔の五代さんいいな。
大久保さんと一緒に薩摩弁になると少年だった頃、まだ薩摩藩士だった頃を思い出すのかな。
五代はん「first penguinじゃ!」
ひげみち「ペングィン?」
美和さん「ぺんぎん?」
この字幕芸ほんと大好き。
■福太郎の絵心
「うちの言葉がみんなに届かへんのは、ここで働くみんなの気持ちを分かりきれてへんさかいだす」
かつて大阪で軽くあしらわれていた五代さんを思い出す。
カンパニーやらいってもピンと来ない。
相手の立場で相手の言葉を使わないと。
あさ「かいらしい猫さん!」
福太郎「犬っちゃ」
今日は絵心対決のようで。
あさ、本当にひげ生えてるみたいな顔の汚れ。
でも大久保さんに比べたら可愛いもんだ。
大久保利通くらいに頑張ってるってことかな。
もしかしたら大久保さん、いやひげみちはこのひげ描写のためにあのひげを?
……いやそれはない。
固く閉ざされてるのはかつてあさが押し開けた引き戸であり、それはサトシの心なんだろうな。
「俺は姉御ん事、好かん事ならん」
好きじゃないわけではない、と福太郎。
あさの説得は短時間しか尺なかったけど、福太郎の言葉で、あさが坑夫たちに丁寧に話したんだろうと察し。
福太郎が柔らかくなった分サトシの頑なな扉が際立つ。
■遠まわしすぎる優しさ
「どこにも行かんといとくなはれ」
「お願いします。ここにいといとくなはれ」
そばにいることを求めるはつ。旅立とうとする惣兵衛。新次郎とあさ夫妻とお互いに鏡写しのような、姉妹であり友人同士であり夫婦なんだな。
「すぐ帰る」
少しの言葉なんだけど、目線だけで「これは嘘じゃない。今度は必ず帰る」と聞こえる。この惣兵衛が、寺町で惣兵衛を発見したはつに見えるからかな。光を浴びた力強さ。地に足踏ん張ってるからもう大丈夫
だ、と。
「分かれへんで。あれはそういう弱い男や」
「帰ってきはります!」
もしかして菊さん、自分も惣兵衛のこと心配なのにこんな言動。
はつに「恨むんなら実の息子にまだこんなこと言ってる私を恨みなさい」って言ってるのかな。
だとしたらなんって遠回しな優しさ!
それに対して、はつらしくない強い言い方。
はつがどんなにしっかり者でも惣兵衛がいないと不安なんだなってのがわかる。
それだけあの井戸のシーンでふたりが心通わせて、寺町から走るときに笑顔だったこともわかる。
ぜんぶつながってんだな。
「お腹のややこに障るさかい。なんぼちっちゃいからゆうてもなぁ、その子にはあんたの声ぜ~んぶ聞こえてますのや」
今守るべきものを考えろ、と菊さん。
菊さんが山王寺屋を守りたいように、あんたが守りたいのは眉山家だろ?と。
■あさの仕事を評価する第三者の女性
「あのアホ息子が!」
とキュウリをかじってるけど、残されたはつの様子を見て「もう少し嫁のこと考えろ」くらいのこと思ってるのかもしれない。
そう思うと、やっぱりはつにとって菊さんは第二のお母はんなんだなあと。
出て行った惣兵衛に働かない新次郎、と「親の心子知らず」な息子を抱える悩める姑さん同士。
「そこがおんなじ」とよのさん。
似たような悩みの人がいる、と笑顔なのがよかった。
共感できる/してくれる人がいるだけで悩みは軽くなる。
「あの子にあんな力があったやなんて、加野屋さんも儲けもんだしたなぁ」
初めてあさの仕事を評価する第三者の女性は菊。これは予想外。
菊さんというキャラクターの使い方がうまいな。
それを演じる萬田さんもしゅごい。
「ええ着物も家も持ったはるのにややこまでとるなんて」
よのさんを制した菊さんの言葉はもちろん菊さん自身のことでもあるんだろうけど、
はつと惣兵衛を思いやってのことなのかもしれない、と思うとその優しさに目から汁が出そう。
「厚かましい」と言えるのは菊さんだけ。
「ケチンボさんやこと」と言えるのもよのさんだけ。
「欲張りなんだす」と返せるのも菊さんだけ。
なんてことのないセリフにこれまでのそれぞれの描写や人物性を練りこんでんのな。
■榮三郎、第3形態へ。
ところで本家の跡取り榮三郎(新次郎は分家)は。
第1形態
第2形態
第3形態
無事に大人になってました。
(巷の噂ではこれから本筋に大きく入ってくると)
で、文字数多いよっておいこらされたので2部構成です。
→【続き】『あさが来た』9週その2.ペンギンのように胸を張って光を浴びて。
おまけ.ペンギン問題
<script async src="//platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
【後半はこちら】
→『あさが来た』9週その2.ペンギンのように胸を張って光を浴びて。
近代の偉人、しかも史実的にもイケメンの五代友厚が。
悪意なくむしろ愛をもって「妖精さん」に仕立て上げられる。
いや、本当はすごい方です。近代史の本にもちょいちょい出てきてます。
関連リンク
・『あさが来た』第8週、それぞれの気持ち、旅立ち
・『あさが来た』7週、いざ炭坑へ。大福はピストルよりも強し、モジャ蛇捕獲。
・【あさが来た】亀助さんも栄達さんも忠興父ちゃんも、『スタパ来た』【こんにちは】
・『あさが来た』6週、明治のビジネスウーマン・白岡あさの決心。
『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
・朝ドラ感想記事のまとめ。
■おヒゲで大股の若奥様
「そやけど2人の顔見てたら元気になるんやもん」
「おあさ様!お足が」
一度は失いかけたはつの笑顔が倍返し、惣兵衛一家を合わせたら10倍返しくらいになって返ってきて、あさも嬉しそう。
あさの歩き方を注意するうめ。前にどんどん進んでいくあさに「ちょっと待って、悩みがあるんでしょ」と声をかけているような。でもあさの大股歩きいつか見れなくなるのかなと思うと、ちょっと寂しい。
「そのうちヒゲでも生えてきそうな勢いやなあ」
お ま え が 言 う な ww
■脳内ハズバンド
セクハラ商工会も相変わらず。
なんだかんだでこの人たちも元気そうなのは、五代さんのおかげなんだろうねえ。
「そうです!私がハズバンドやったらあなたにこんな肩身の狭い思いはさせない!」
「はすばん?どない意味やろか?まあええか」
五代さんの真面目なセリフでおディーンのかっこいいお顔なのに、なぜか笑いを堪え切れない。
ほらもう五代さん、イングリッシュ混じるとこうなるんだってラブの話のときにわかんなかったの
【五代さんの呼び方問題】
・事案
・ハイブリッド薩摩弁
・ワンダフルなドM
・ポジティブイケメンストーカー
・外堀男
・脳内ハズバンド←new!!
#あさが来た pic.twitter.com/UpWm6SzX0n
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 22
■うめの存在感が効いてる。
炭坑事業で本業の両替事業のほうも回復の兆し。
でも雁助さんはそれをあまりよく思っていない。
うめさんはそれに気づいて複雑な表情。
うめさんの存在感いいな。
出しゃばりすぎず、ほんのり盛り立てる感じ。
■よのと正吉の本音
「新次郎のとこのやや子は諦めてますのや」
大きな事業を頑張っているあさに、家を続かせる重圧までも背負わせるのは申し訳ない、と正吉さん。
前者と後者どちらが良い悪いではなく、正吉さんの柔軟な考え方は魅力的。
「(新次郎も)人並みに幸せになってもええはずや」
よのさんの心にはどこかに正太郎がいるのかもしれないん。
若くして亡くなった長男坊のぶんまで、新次郎には『幸せ』になってほしいんだろうな。
「ほんま仲が悪かったらよかったんなぁ!」
犬のお張子さんに話しかけるよのさん。
こらまた複雑な顔で立ち聞きしてる新次郎。
でも正吉さんも新次郎も奥様の肩を抱えて、やっぱり仲の良い夫婦たち。
■だから平日祝日の朝に本当にバカなんじゃないの
「それに炭坑のみんなは、いっぺん心開いてくれたらもう誰もおなごやゆうてアホにしたりしはれへん」
九州での気楽さを話すあさ。
性別にとらわれずに自分を見てくれる場所。
女性の悩みはいつの世も変わらんなあ…
あさを支える新次郎の表情が何より幸せそうで、直前の話題だった「新次郎の幸せ」を考えてしまう。
それでも藍之助と接するときのあさや新次郎それぞれも感慨深そうだし。
なんかもう藍之助いい仕事してんなあ!!
9月の連休には、初夜と見せかけた相撲。
11月の連休には、お姫様抱っこを持ってくるBK。
もうほんとバカなんじゃないの?
ギャップで視聴者殺る気なの?
↑
(めちゃくちゃ褒めてる
■誇り高い女性たち
井戸を背に、和歌山へ。
未来へ踏み出そうとする惣兵衛とはつ。
あのとき落ちた井戸の底から這い上がれて、今地に足をつけている。
はつの「うちの誇りなんてお母様に比べたら」、のお母様。
確かに気持ちは柔らかくなっても、お着物は譲らない。
ご先祖の位牌に手を合わせる。
菊さんは、いけずでもなく意地でもなく、誇り高い人なのかもしれない。
実ははつとよく似ているのかもしれない。
■ザンネンなイケメン
「何も生えてなんか」
それぞれの旦那衆の励まし方……ですが、前述の正吉さん・新次郎・惣兵衛(多分栄達さんも)が上手すぎるので、
五代さんの「それじゃねえよ」感が際立つ結果になった15分間。
生えてる生えてないの問題ではない。
■炭坑の柔らかな光
炭坑シーン、この光の加減がいいなっていつも思う。
背中には光を浴びてるけど、顔は陰ってる。
なにか象徴的。
「夢っち言うのは将来を考える余裕のある人が持つもんですと」
カズさんの言葉、現代で低賃金で過酷な働き方してる仕事の人たちにも通じるものがあるなあ……
■『お家を守る』とは。
「いつかきっとこの山王寺屋を」
「みんなで地ぃに足つけてもいっぺん働こ。な?」
菊さんにとって守るべき「お家」は山王寺屋。
はつや惣兵衛たちが守りたい「お家」は眉山家、か。
坑夫たちの「命を賭けた労働」を描いてから、惣兵衛たちの「地に足つけて働きたい」を描く。
それもまた残酷といえば残酷だけど、週タイトルの『光』が惣兵衛たちにも届いてほしい。
(…ちょっとびっくりしたぞ、ネオ黒蛇)
「知らん土地に落ちぶれて死ぬよりは、よっぽどその方がご先祖さんに顔向けできますわ!」
菊さんにとっては親子の問題とは別にお家問題がある。
今よりずっと「家」のしがらみが強かった時代なわけだし、それも当然……
「今回ばかりはそないな訳にいかへん」
自分も悪かった、と反省する惣兵衛。
惣兵衛にとって菊さんや栄達さんも守りたい存在であるのだろうな、と思いたい。
お家ではなく、家族になろうとしてるのかな。
■新次郎も、寂しい。
「おいお前、しっかりしとくれやっしゃ」
まるで新次郎が自分自身に言っているようで、そう思うと切ない。
■あさも、寂しい。
「ほんまは人並みに旦那様のそばにいててお世話をしたり、ややこを育ててみたいて思うこともあるんだす」
「このままやったら…このままやったらうち、嫁失格やなて」
敏腕経営者・白岡あさではなく、年頃の女性としてのあさの葛藤。
辛いけど、それを亀助に打ち明けることができてよかった。
あさは加野屋を守ることはできていても、白岡家を守ることはできていない。
菊さんとはつで描かれた『お家を守る』ことの難しさを改めて突きつけてくる。
「いいや若奥さんかて人の子だすがな!そないにいつも真剣に坑夫のことばかり考えんかて!」
あさがどこにいようと、男勝りに大股で進んでいく背中に「ちょっと待って」と声をかける人が必要、と。
亀助さんの言葉でじんわり。
「こっちはそないな華やかさとは無縁の男の世界だす」
あさが自覚している嫁失格や、気にしているひげの話を、『男の世界』にまとめた亀助さん(ふゆ宛ての手紙にて)
当時にしろ現代にしろそれが良い悪いではなく、そこにいる人たちの想いなんだよなあ…。
ていうか、亀助さんが完全にあさの「女子の親友」ポジションという件。
■命を賭ける現場に
炭坑の朝は早く、ある朝あさは飯場からサトシの怒鳴り声を聞きつけて。
さすがに止めにはいるも…
「そげんなまやさしか事すりゃ山ん坑夫たちゃ、すぐにみんな甘えてスカブラすっぞ!バカタレが!」
生ぬるい根性では生きていけない、最前線の炭坑。命に関わる仕事ってーのはこういう厳しさが必要なときがある (´・ω・`)
「いつかはせんといかんのかもしれん。けんどそれが今かどうかは…わからん」
炭坑経営の改革をあさに問われて、「今かどうかはわからない」と親分。
親分は改革したくないわけじゃないしその必要性はわかってる。
でも納屋頭と坑夫のパワーバランスは崩すべきじゃないと思ってるんだろうな……そこにまだ経営者は入り込めない、と。
サトシによるパワーバランスをとること。
それに合わせて坑夫それぞれの『自覚』が育つのを待っているのかもしれない。
うーん…先が読めなくなってきたぞ。
あさはまた炭坑夫の納屋頭を説得しようとするのだけれど、
「みんな、だまされたらつまらんぞ!」
サトシの「つまらん」は、『面白いつまらない』、の「つまらん」じゃないんだろうな。
含みがありそう。
筑豊方言として「つまらない」はどういう意味なんだろう。
あるいはサトシはそこに何を込めているんだろう。
それでも説得を続けるあさ。
「この先、生きていくことに夢持ってもらいたいんだす」
「そんなん金持ちのみるもんちゃ」
地雷は『夢』って単語だなあ(視聴者的にも)。
もちろんあさは真剣に考えてるし、前向きに未来を考えることが大切ってのは分かる。
でもそんな簡単なことじゃないと。
安い賃金で働く坑夫たち。
いくら国のためになる誇りある仕事だと説かれても、そこに個人としての夢があるかはまた別の話。
ってサトシや坑夫の気持ちがわかっちゃうから、ここは観ていて本当に色々と考えてしまった。
えっなにもしかしてそういう作り?!そういう思惑?!
それにしても。
惣兵衛がはつに語った未来予想図とその夢を後押しする和歌山の土地の証文。
でも「そんな夢」と反対した菊さん。
それからサトシ。
無関係のようにみえる惣兵衛パートと炭坑パートが関わってるのな。
もしも、あさが恵まれない環境から成り上がってきたタイプだったら。
そしたらまた少しアプローチが違ったかもしれない。
でもこうやって『改革』をするということは、当事者からしてみれば「今」が壊れてくんだからそりゃ不安で仕方ない。
改革をして良くなる良くならないがわかればいいけど、それを知るには教育が重要。
もしかして、最終話に向けて描かれる教育分野(大学設立)への最初の1歩なのかもしれない。
■夢とお金
美和先生の大事なお客様たちは…
後ろ姿で分かる人たち(特に左)
「五代友厚がおらなんだら、日本の金銀は全部外国にかすめとられておった」
「大げさな」
「人を救うお金」「夢を応援するお金」をあさに説いた五代さん。
でも五代さんや大久保さんは坑夫たちの心情は知る由もないかもな。
多分ね、あさの中で五代さんの話したお金のポジティブな話がまだストンって落ちてないんだと思うの。
だから『夢』って単語がどうもフワフワしてしまう。
そんな五代さんの言葉をあさの落とし所に落とすのは新次郎の役目。
二人とも、はよあさとサトシを助けたげて。
っていう立場によって考えが変わる難しいお金や労働の話のオチを、
大久保さん、もといひげみちのひげに持ってくるBKおいこらいい加減にしろ。
(褒めてます
■ファーストペンギン
ひげみち「すっかり大阪言葉になりおって」
五代はん「そちらこそ…すっかい東京ん人間のごたい」
少年のような笑顔の五代さんいいな。
大久保さんと一緒に薩摩弁になると少年だった頃、まだ薩摩藩士だった頃を思い出すのかな。
五代はん「first penguinじゃ!」
ひげみち「ペングィン?」
美和さん「ぺんぎん?」
この字幕芸ほんと大好き。
五代さん「よろしゅう、私は…」
美和さん「五代友厚様。朝ドラの有名人、ハイスペックトンチキはんだすなあ。ポジティブイケメンストーカー、脳内ハズバンーー」
大久保「あーあーあー!!」
#あさが来た pic.twitter.com/zLVStFxdp1
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 24
■福太郎の絵心
「うちの言葉がみんなに届かへんのは、ここで働くみんなの気持ちを分かりきれてへんさかいだす」
かつて大阪で軽くあしらわれていた五代さんを思い出す。
カンパニーやらいってもピンと来ない。
相手の立場で相手の言葉を使わないと。
あさ「かいらしい猫さん!」
福太郎「犬っちゃ」
今日は絵心対決のようで。
あさ、本当にひげ生えてるみたいな顔の汚れ。
でも大久保さんに比べたら可愛いもんだ。
大久保利通くらいに頑張ってるってことかな。
もしかしたら大久保さん、いやひげみちはこのひげ描写のためにあのひげを?
……いやそれはない。
固く閉ざされてるのはかつてあさが押し開けた引き戸であり、それはサトシの心なんだろうな。
「俺は姉御ん事、好かん事ならん」
好きじゃないわけではない、と福太郎。
あさの説得は短時間しか尺なかったけど、福太郎の言葉で、あさが坑夫たちに丁寧に話したんだろうと察し。
福太郎が柔らかくなった分サトシの頑なな扉が際立つ。
■遠まわしすぎる優しさ
「どこにも行かんといとくなはれ」
「お願いします。ここにいといとくなはれ」
そばにいることを求めるはつ。旅立とうとする惣兵衛。新次郎とあさ夫妻とお互いに鏡写しのような、姉妹であり友人同士であり夫婦なんだな。
「すぐ帰る」
少しの言葉なんだけど、目線だけで「これは嘘じゃない。今度は必ず帰る」と聞こえる。この惣兵衛が、寺町で惣兵衛を発見したはつに見えるからかな。光を浴びた力強さ。地に足踏ん張ってるからもう大丈夫
だ、と。
「分かれへんで。あれはそういう弱い男や」
「帰ってきはります!」
もしかして菊さん、自分も惣兵衛のこと心配なのにこんな言動。
はつに「恨むんなら実の息子にまだこんなこと言ってる私を恨みなさい」って言ってるのかな。
だとしたらなんって遠回しな優しさ!
それに対して、はつらしくない強い言い方。
はつがどんなにしっかり者でも惣兵衛がいないと不安なんだなってのがわかる。
それだけあの井戸のシーンでふたりが心通わせて、寺町から走るときに笑顔だったこともわかる。
ぜんぶつながってんだな。
「お腹のややこに障るさかい。なんぼちっちゃいからゆうてもなぁ、その子にはあんたの声ぜ~んぶ聞こえてますのや」
今守るべきものを考えろ、と菊さん。
菊さんが山王寺屋を守りたいように、あんたが守りたいのは眉山家だろ?と。
■あさの仕事を評価する第三者の女性
「あのアホ息子が!」
とキュウリをかじってるけど、残されたはつの様子を見て「もう少し嫁のこと考えろ」くらいのこと思ってるのかもしれない。
そう思うと、やっぱりはつにとって菊さんは第二のお母はんなんだなあと。
出て行った惣兵衛に働かない新次郎、と「親の心子知らず」な息子を抱える悩める姑さん同士。
「そこがおんなじ」とよのさん。
似たような悩みの人がいる、と笑顔なのがよかった。
共感できる/してくれる人がいるだけで悩みは軽くなる。
「あの子にあんな力があったやなんて、加野屋さんも儲けもんだしたなぁ」
初めてあさの仕事を評価する第三者の女性は菊。これは予想外。
菊さんというキャラクターの使い方がうまいな。
それを演じる萬田さんもしゅごい。
「ええ着物も家も持ったはるのにややこまでとるなんて」
よのさんを制した菊さんの言葉はもちろん菊さん自身のことでもあるんだろうけど、
はつと惣兵衛を思いやってのことなのかもしれない、と思うとその優しさに目から汁が出そう。
「厚かましい」と言えるのは菊さんだけ。
「ケチンボさんやこと」と言えるのもよのさんだけ。
「欲張りなんだす」と返せるのも菊さんだけ。
なんてことのないセリフにこれまでのそれぞれの描写や人物性を練りこんでんのな。
■榮三郎、第3形態へ。
ところで本家の跡取り榮三郎(新次郎は分家)は。
第1形態
第2形態
第3形態
無事に大人になってました。
(巷の噂ではこれから本筋に大きく入ってくると)
で、文字数多いよっておいこらされたので2部構成です。
→【続き】『あさが来た』9週その2.ペンギンのように胸を張って光を浴びて。
おまけ.ペンギン問題
つまるところ、あさがファーストペンギンってことはこれでいいんでしょうか
(東日本のJRユーザーにだけ伝わればいい)
#あさが来た #あさ絵 pic.twitter.com/4RyQTWgNHb
— ゆずず (@yuzu0905) 2015,
11月 25
五代さん「東京でよう見たんですよ。こう、お金の入ったカードをピッとして、煙の出ない陸蒸気に乗りはるペングィン」
JR東のネタだから展示タグはつけられんな
#あさ絵 #あさが来た pic.twitter.com/VzDy0VHbj4
— ゆずず (@yuzu0905) 2015, 11月 26
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今の九州編ですが、福岡の人間は方言を理解できますが違う地方の方ではニュアンスがわかりにくいですよね~。
サトシの「つまらん」ですが「だめ」だとか「いけない」という意味です。普段から使いますが、口調で強度がかわるのであの場面では強い意味での制止ですね。
福岡でも博多弁以外の北九州、筑豊は語尾がキツく喧嘩腰なので、普通に話していても喧嘩しているのかと思われるほどです。あさも京都育ちだから最初はこわかったんでしょうね。
突然の長文、大変失礼しました。