Home Sweet Home

うそをついて後悔して　わたしはいつか大人になった
恥をかいて　汗をかいて　それでも踊り続ける理由
魂焦がして　焦がして　叫んでるよ
開いていけば　いけば　救われるの

家へ帰ろう白いうさぎ　月の裏で逢いましょう
帰ろう　明日になれば　はだしで笑っているから

YUKI『Home Sweet Home』



堅い殻に守られていた卵は不意に割れた。
中身はあふれ出して、薄い膜さえも破ってしまった。
今や纏っていたものは何もない。
枯れた卵に秋雨が沁みこむ。
水分はあふれて涙になった。
悲しいこと、悔しいこと、不条理なこと。
卵は泣いている。
全てを溶かして流している。

卵がようやく泣き止んだとき。
流した涙の結晶はやがて薄い膜になっている。


今が振り返る節目なんだろう。
歩いてきた道。
20年間。
私の道。

平凡だけどやっぱり楽しかった。
生きてきた道を否定はしない。
それは死んでいった者への冒涜。

心臓の鼓動。
呼吸。
流れてる血。

ご飯食べて。
電車に駆け込んで。
おじさんに足踏まれたり。
友達と一緒にはしゃいで。
お腹空いて。
教室抜けて。
雨が降ってるから傘刺して。
お風呂入って。
眠りに落ちて。

今日もその一日を繰り返す。
そうやって20年間生きてきたんだ。

私の心は思っていたより脆い。
私の心臓は思っていたよりにタフで。
私の世界は思っていたより広い。
周りの人はずっとずっと温かい。
私の限界は今この瞬間に高まっていっている。
もっと世界を見たい。

生きるって思ったより簡単だ。

強い人じゃない。
暖かい人になれたらいい。
暖かい世界の住人になれたらいい。