現役時代、自動車生産ラインシステムの一部の開発に携わった者としてトヨタの工場が全国レベルで操業停止のニュースに接し思わず注目してしまいました。
トヨタ生産方式はジャストインタイムと呼ばれ必要な部品を必要な時に必要な分を調達し生産ラインを稼働する合理的なシステムです。
その要となるのがカンバン方式です。
仕組みについて情報は溢れているので内容は割愛します。
トヨタイムズの記事も読みましたがカンバン方式は最終組み立てラインのトヨタだけでなく一次下請け、二次下請けの各企業も導入しています。
しかし同時に今回の部品発注システムの不具合による(報道ではその可能性に言及)操業停止のリスクと共にカンバンの限界も見えてきました。
高付加価値の半導体など除き本来なら部品が小さくなればなるほど沢山作った方が製造単価は下がります。
サプライチェーンの下位階層に行けば行くほどその傾向は強くなります。
しかし仕様変更で不要な部品在庫を抱えるリスクがあるので大量には製造できません。
ジレンマでもあり国産車の価格が高い一因と言えます。
自動車メーカーの垣根を越え部品の共通化・標準化を図ればもっとコストは下がるでしょうが商品差別化、商品競争力では逆のベクトルが働きます。
私は将来、自動車もPCの主要パーツやオプションを自分で選んで組み立てもらうような形態になるような気がします。
特にモーターで動く電気自動車ならそれは可能でしょう。
それが良いか悪いかは別として商品差別化が難しい時代がやって来るかもしれません。