■ 東北地方太平洋沖地震に伴い発生した原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3
<<平成23年3月14日 13時50分更新>>
(※ これが一番古くてね、順番揃えるのをサボりやした)
1.原子力発電所の事故により、周辺地域の住民が気をつけることは何ですか。
・まずは、ラジオやテレビ、あるいは市町村からの情報
(広報車や防災行政無線、有線放送など)から情報を入手します。
正しい情報に基づいていないものもありますので、
うわさには惑わされないようにします。
・地方自治体から、屋内待避あるいは避難の指示があった場合は、
速やかに対応して下さい。
・屋内待避の場合、窓やドアを全て閉め、換気扇を止めるなどして、
外からの空気が入らないようにします。
・次の指示が出ることもありますので、情報には十分気をつけてください。
・避難する場合は十分時間の余裕があるので落ち着いて行動します。
・避難区域内の作物については、安全が確認されるまでは、
摂取を控えてください。
2.住居から避難するときには、何に気を付けたらよいですか。
・放射性物質を体内に吸い込まないために、
屋外ではタオルや木綿のハンカチを折って、水でぬらして固くしぼり、
口や鼻を保護してくだい。
ほとんどの放射性物質の吸い込みを防護することができます。
帽子をかぶるなど、できるだけ肌を出さないようにしてください。
3.大気中の放射性物質は、人にどのような影響がありますか。
被ばくした量との関係についても、教えてください。
・大気中の放射性物質は、地表面や建物などに沈着して、
環境中にとどまることがあります。
この場合、放射性物質の沈着した飲料水や農作物を摂取することにより、
放射性物質を体内に取り込む場合があります。
また、大気中の放射性物質は、直接吸入することもありますので、
外出するときには、直接吸入しないように口や鼻を保護してください。
放射線に被ばくすると健康に影響を及ぼすことがありますが、
その影響の有無と種類は被ばくした量で違います。
被ばくした放射線量が、例えば100mSv(ミリシーベルト)以下では、
ただちに健康に影響を及ぼすことはありません。
また、被ばくした放射線量が高いほど数年後から数十年後に
がんになる危険性が高まると考えられますが、
その危険性は、例えば100mSv(ミリシーベルト)の放射線量で
0.5%程度です。
これは喫煙や食事などの生活習慣を原因とするがんの危険性よりも
数十分の一程度の低い値で、過度に心配する必要はありません。
4.安定ヨウ素剤の服用について
・放射性ヨウ素を体の中に取り込んでしまった場合(内部被ばく)には、
避難所等で配布される安定ヨウ素剤を指示通りに服用することが
重要です。
これは体の中にはいると甲状腺に集積するので放射性ヨウ素が
入る前や直後に安定ヨウ素剤を服用し、
放射性ヨウ素の取り込みを阻害したり、希釈して
甲状腺への影響を低減させようとするものです。
しかし、ヨウ素剤の服用によってはアレルギーなどの副作用を
おこす場合もあります。
また、安定ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が体の中に入った場合のみに
有効で、外部被ばくや他の放射性核種には効果がありません。
従って、服用の必要があるかないかは、
環境中への放射性ヨウ素の放出量から受ける被ばく量を推定し、
医学的観点から決定すべきものです。
5.報道で伝えられる数値の意味を教えて下さい。
・100,000cpm(双葉避難所で避難住民の靴から測定された値)
報道で伝えられている100,000cpmについて、
一般的に放射線測定に使われているGMサーベイメータで
測定したと想定した場合、
表面汚染レベルは、400Bq/cm2となります。
ただし、測定する機器が異なった場合には、
有感面積・機器効率が違うため、計算結果は同じにはなりません。
核種をヨウ素-131と想定し皮膚に付着した場合には、
皮膚の吸収線量率の試算は次のとおりです。
皮膚表面汚染密度1Bq/cm2あたりの皮膚吸収線量率(nGy/h)は、
ヨウ素-131の皮膚の深さ70μmのとき、
係数は1319(nGy/h)/(Bq/ cm2)となり、
皮膚(深さ70μm)の吸収線量率は0.53(mGy/h)となります。
皮膚の除染を行うことにより、吸収線量率はさらに小さくなります。
1015マイクロシーベルト/毎時
(3月12日午後 福島原子力発電所正門付近で測定された空間線量率の値)
です。
1時間この場所に居つづけると、
1015マイクロシーベルト(1.015ミリシーベルト)の被ばくとなります。
原子力発電所に関して定められた一般の方の一年間の線量限度は
1ミリシーベルト/年です。
しかしこの限度量を超えたからといって、
健康影響があらわれるというものではありません。
一般に生活しているだけで、自然界から被ばくしている線量は、
1年間で2.4ミリシーベルトです。
世界の高線量地域では10ミリシーベルトという場所もあります。
6.福島県に住んでいます。福島県を通りました。影響はありませんか?
・放射性物質が放出されたことが報告されていますが、
すでに国や県が万が一に備えて、必要な住民の方には
屋内退避や避難を実施しています。
これは、放射性物質からの被ばくや放射性物質が体表面や体内
に入らないようにするためです。
どのようなルートで福島県を通過されたかによりますが、
1015μSv/hが測定された3月12日に
正門近くで1時間立ちつづけたとしても1ミリシーベルトですから、
健康影響を心配する必要はありません。
・何をしたらよいでしょうか?
避難や退避勧告の対象となった地域の住民以外の方や、
旅行などで短期的に福島県を訪れた方は、
基本的には何もする必要はありません。
<参考> 放射線の単位
シーベルト(Sv)
人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測る物差しとして使われる
単位。
ベクレル(Bq)
放射能を表す単位。1ベクレル(Bq)は、1秒間に1個の放射性核種が
崩壊することである。
グレイ(Gy)
放射線が当たった物質が吸収した放射線のエネルギーで表される放射線量。
1Gyは物質1kg当たりに1ジュール(J)のエネルギーが吸収されることを
意味する。
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i6
■ 放射線被ばくに関する基礎知識 第3報
平成23年3月20日(日)14:00更新
1.放射性物質で汚染された食べ物のことが報道されていますが、
野菜などを食べる際に気をつける事はありますか?
・野菜で検出された放射性物質は、
ほとんどすべて、表面に付いていると考えられます。
従って、野菜を洗う、煮る(煮汁は捨てる)、
皮や外葉をむく、などによって、汚染の低減が期待できます。
2.避難地域、屋内退避地域の住民ですが、避難する時に着た服や、
汚染検査で放射能が検出された服はどうすれば良いですか?
・現時点では避難地域、屋内退避地域の住民の方々の服には
健康に影響がでるような量の放射線が検出されたことはありません。
通常通り洗濯して今後も着てくださって構いません。
3.服の除染や洗濯に使った水はどうすれば良いですか?
・通常の排水に捨ててくださって構いません。
4.被災地から避難してきた人をそのまま受け入れて大丈夫ですか?
・被災地等から避難してきた方を受け入れる時には、
コートやジャンパーなどを脱ぎ、
まずはシャワーを浴びさせてあげてください。
シャワーは、シャンプーで洗髪し、洗顔をし、体を洗います。
体を洗うときは、爪の間もしっかり洗うようにしてください。
シャワーのお湯はそのまま流して結構です。
また、被災地からの移動に使用した自動車にも放射性物質が
付いているかもしれませんが、普通に洗車をすれば良いです。
水もそのまま流して結構です。
平成23年3月20日(日) 14:00更新
あくまでこの日付時点での情報であり
状況の変化には気を付けましょう!(自己責任!)
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i4
http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i7
■ 放射線被ばくに関する基礎知識 第4報
平成23年3月21日(月) 21:00更新
1.首都圏(東京、千葉、神奈川)に住んでいますが、
外出を避けたほうがいいですか?
・事故から現在まで首都圏で観測された放射線の量は微量で、
今後事故が大きく拡大しない限りは、
普段通りの生活をおくっても大丈夫です。
2.福島原発から50km離れたところに住んでいますが、
家で窓を開けたり、エアコンを使ったりしても大丈夫ですか?
・窓を開けたり、エアコンを使って換気をしても、
今後事故が大きく拡大しない限りは、
健康への影響は全く心配する必要がありません。
3.首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。
健康に影響はないでしょうか?
・雨の中にも事故によって放出された放射性物質が
含まれていると考えられますが、その量はわずかです。
これまで報告されている空気中の濃度から計算すると、
雨に濡れて放射性物質が皮膚についたとしても、
健康に影響を与えるような量ではありませんので、
心配する必要はありません。
4.水道水から放射性物質が検出されたと聞きましたが、
知らずに飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?
また水道水は飲み水以外にも使ってはいけないのでしょうか?
・短期間の飲用では、健康上に問題はありません。
福島原発事故の影響で、水道水の摂取制限が指示された場合に関して、現在、厚生労働省は以下の見解を発表しています。
・飲用は控える
・生活用水(お風呂や手洗いなど)の利用には問題がない
・代わりとなる飲用水がない場合は、飲用しても差し支えない
●今後は、地方自治体からの情報に気をつけるようにしましょう。
平成23年3月21日(月) 21:00更新
---------状況は悪くも良くも変化します。慌てず騒がず冷静に------
注、40歳以上のひとは諦めも肝心?(笑)-----------
14:31 2011/03/24
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/2-3.html
■ Q.03 安定ヨウ素剤の予防服用について、
その服用のタイミングと有効性を知りたい?
・甲状腺に放射性ヨウ素が取り込まれる前に安定ヨウ素剤を服用すれば、
そのタイミングと服用量に従って甲状腺の被ばく線量が
阻止あるいは低減される。
・その服用のタイミングとしては、吸入前に服用するとほぼ完全に
甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み率を阻止できるが、
・余りにも早くから過剰の安定ヨウ素剤を服用しても効果はない。
・また、吸入後8時間程度までならば、
安定ヨウ素剤単回服用により40%近く
甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みを軽減させることができる。
・しかし、すでに吸入後24時間以上を経過している場合には、
安定ヨウ素剤を服用しても甲状腺への放射性ヨウ素の
取り込み阻害効果はほとんどない。(悲しい)
■ Q.12 40歳以上の者であるが、安定ヨウ素剤を飲んでもよいか?
・40歳以上の者では放射性ヨウ素による発がんのリスクは
増大しないので、服用する必要はない。
■ Q.13 40歳以上の者で妊娠中であるが、どのようにすればよいか?
・胎児の甲状腺内部被ばくを防止するために、
優先的に安定ヨウ素剤を服用する。
■ Q.14 授乳婦に対しては、どのような措置が必要となるか?
・安定ヨウ素剤服用の指示が出された場合、
授乳婦は授乳を一時中止し、代用ミルクに切り替え、
また40歳未満の者は安定ヨウ素剤2丸(100mg)を服用する。
http://www.remnet.jp/index.html
14:21 2011/03/24
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/4-5.html
5-5 安定ヨウ素剤 服用回数、服用量及び服用方法
■ 40歳以上については服用する必要はない。
服用方法
● 安定ヨウ素剤予防服用の方法について、そのまとめを以下の表に示す。
対象者 ヨウ素量 ヨウ化カリウム量
新生児(注1) 12.5 mg 16.3 mg
生後1ヶ月以上3歳未満(注1) 25 mg 32.5 mg
3歳以上13歳未満(注2) 38 mg 50 mg
13歳以上40歳未満(注3) 76 mg 100 mg
■ 5-6 ヨウ素含有食品等による効果について
ヨウ素は種々の食品に微量ではあるが含まれており、
特に海産物に多く含まれている。
この中でコンブは特異的に多く、
コンブ乾燥重量100g当たり、100~300mgのヨウ素を含んでいる。
その他、ワカメ7~24mg/100g乾燥重量、
ヒジキ20~60mg/100g乾燥重量、
海産魚類0.1~0.3mg/100g生重量である。
日本人が通常の食生活で摂取するヨウ素量は、
海産物の有無やその過少で大きく変動するが、
海産物の摂取による日本人の1日ヨウ素摂取量の平均は、1~2mgとされている。
コンブはそのまま食する以外に、だしコンブとして使われることが多く、
15分間の煮沸により出汁中には、コンブに含有されるヨウ素の99%以上が
溶出される。
一杯の吸物に普通加えるだしコンブを2gとしても、
5mg程度のヨウ素摂取となる。
このようなヨウ素摂取量でも、日本人の甲状腺のホルモン分泌機能は
正常である。
また、コンブ等を摂取しない場合、
一日当たりヨウ素摂取量は、0.1mg程度となる。
コンブにより10~30mgのヨウ素を一度に摂取することは可能ではあるが、
ヨウ素含有量が多いコンブ等の食品を摂取することにより、
放射性ヨウ素の甲状腺への集積を抑えることについては、
コンブでは、大量に経口摂取した上で、
咀嚼・消化過程が必要でヨウ素の吸収までに時間がかかり、
かつ、その吸収も不均一である
コンブの種類、産地など、それぞれのコンブに含まれるヨウ素量は
一定ではなく、その必要量を推測することは極めて困難である
対象者が、集団的に、迅速にコンブからヨウ素を摂取することは
現実的に困難である
等の理由により、原子力災害時における放射性ヨウ素の甲状腺への集積を
抑制する措置として講じることは適切ではないと考えられる。
------------------------------------
----私見------
あわててスーパーに買い漁りに走ってひたすら昆布料理に浸っても
それまでに傾向摂取したものは来てるってことかな?
でもさあ、昆布で摂取した安定ヨウ素が(被ばくしてないことを祈ろうw)
その後にやってくる放射性ヨウ素が甲状腺に取り込まれるのを
邪魔しちゃくれないんだろうか?
期待したいよね。
---------------------注!40歳以上は買うな!喰うな!---------
子供と妊婦さんと授乳時期のママさん達に食べてもらおうよ!!!
-------------------------------------------------------------
● なお、各家庭にあるヨウ素を含むうがい薬や外用薬は、
経口服用目的には安全性が確認されておらず、
また、ヨウ素含有量が少なく、原子力災害時における放射性ヨウ素の
甲状腺への集積を速やかに抑制する効果は乏しいため、
これらのうがい薬や外用薬を、安定ヨウ素剤として、
使用してはならない!!!!!!んだよ
14:13 2011/03/24
■ 4.ヨウ素を含む製剤の服用による副作用
4-1 ヨウ素に対する過敏症
ヨウ素過敏症は、ヨウ素に対する特異体質を有する者に起こる
アレルギー反応である。
服用直後から数時間後に発症する急性反応で、
発熱、関節痛、浮腫、蕁麻疹様皮疹が生じ、重篤になると
ショックに陥ることがある。
また、ヨウ素を含む造影剤によるアレルギー反応は、
造影剤過敏症として知られている。
さらに、低補体性血管炎(Hypocomplementemic Vasculitis)は
ヨウ素に過敏である場合があり、
ジューリング疱疹状皮膚炎(Dermatitis Herpetiformis Duhring)は、
ヨウ素に過敏であると考えられている。
ヨウ素に対する過敏症を有する者が、ヨウ素を含む製剤を服用すると、
アレルギー反応を引き起こす。
4-2 甲状腺機能異常症
血中甲状腺ホルモンの濃度の上昇による甲状腺機能亢進症や、
その低下による甲状腺機能低下症では、
ヨウ素を含む製剤を長期連用すると、それぞれの病状が悪化する
おそれがある。
慢性甲状腺炎を有する者等で、甲状腺機能異常が認められない者が、
ヨウ素を含む製剤を長期連用することにより、
甲状腺機能亢進症や低下症という甲状腺機能異常症を生じることがある。
甲状腺の過形成、多発結節性の腺腫様甲状腺腫を有する者が、
ヨウ素を含む製剤を長期連用すると甲状腺機能亢進症を
呈することがある。
しかし、この病態は、日常的にヨウ素を過剰摂取している者には稀である。
また、慢性甲状腺炎の経過中に一過性に甲状腺機能亢進症を
呈する例があるが、これはヨウ素の過剰な摂取の継続によるものとの
見解もある。
甲状腺機能が正常な慢性甲状腺炎に対して、
ヨウ素を含む製剤を長期連用すると、
甲状腺機能低下症に陥ることがある。
● 新生児にヨウ素を含む製剤を大量服用又は長期連用させると、
甲状腺機能低下症を発症させることがある。
● 妊婦にヨウ素を含む製剤を大量服用又は長期連用させると、
胎盤を通して胎児の甲状腺にヨウ素が移行することにより、
・胎児の甲状腺機能低下症を発症させることがある。
● 特に新生児及び妊娠後期の胎児における甲状腺機能低下症は
一過性であっても、その後、知能の発達に影響を及ぼすことがある。
● 無機ヨウ素の有機化に先天的に異常がある者は、
ヨウ素を長期にわたって摂取すると、甲状腺が肥大することがある
(海岸性甲状腺腫)。
● 一方、健康な者が、ヨウ素を含む製剤を大量服用又は長期連用すると、
一過性の甲状腺過形成や機能低下を生じることがある。
4-3 その他の副作用
肺結核を有する者がヨウ素を含む製剤を服用すると、
ヨウ素は結核組織に集まりやすく、再燃させるおそれがある
薬疹(ヨウ素にきび)、耳下腺炎(ヨウ素おたふく)、
鼻炎等があるが、いずれも極めて稀である
嘔吐、下痢等の胃腸症状が認められることがある
カリウムを含む製剤を用いる時は、腎不全症、先天性筋強直症、
高カリウム血症を有する者で血清カリウム濃度の上昇による
病状の悪化をきたすことがある
4-4 事例に基づく副作用のリスク評価
IAEA SS-109(14)においては、米国での経験をもとに、
一日当りヨウ素量300mgの服用に対する皮膚掻痒、紅斑などの
軽症も含めた副作用の発生確率は10-6~10-7と推定している。
この中には、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症などの
副作用が含まれている。
ヨウ素予防服用に伴う死亡リスクは 3×10-9であると推定されている。
また、チェルノブイリ事故後、甲状腺への放射性ヨウ素の集積を
低減するため、ヨウ化カリウムを安定ヨウ素剤として服用した
ポーランドにおいて得られた経験に基づけば、
成人に重篤な副作用が発生する確率は4×10-7、
軽度または中程度の副作用が発生する確率は6×10-4である。
・安定ヨウ素剤を服用した若年者については、
重篤な副作用は報告されていない。
同時に、嘔吐・下痢等の胃腸症状等が観察されたが、
服用による副作用なのか、または、不安とパニック等の影響なのか、
その原因については、明らかにされていない。
4-5 原子力災害時における安定ヨウ素剤服用による副作用についての考え方
我が国では、従来より、甲状腺機能亢進症治療の手術前に、
ヨウ素を含む製剤が使用されてきたが、
生命に危険を及ぼす重篤な副作用の報告は殆どない。
また、チェルノブイリ事故時に安定ヨウ素剤の服用を実施した
ポーランドでは、成人での生命に危険を及ぼす重篤な副作用は
極めて低頻度であり、
若年者での重篤な副作用は報告されていない。
同時に、服用後、頭痛、胃痛、下痢、嘔吐、息切れ、皮膚掻痒などが
報告されているが、これらの症状の原因は、
安定ヨウ素剤の副作用によるものかは不明である。
安定ヨウ素剤の服用に当たっては、放射性ヨウ素の甲状腺への集積を
抑制する効果を最大に導き出すとともに、
生命に危険を及ぼす重篤な副作用は稀にしか発生しないと
推測されているものの、副作用を可能な限り低減する努力が必要である。
このため、
・安定ヨウ素剤の服用に係る決定を行う場合には、
服用による利益と不利益を十分に考慮すること
・安定ヨウ素剤の大量服用又は長期連用では副作用の
発生のおそれがあることに配慮すること
・安定ヨウ素剤の服用により、生命に危険を及ぼす重篤な副作用の
おそれがある者に対しては、安定ヨウ素剤を服用させないよう
配慮すること
・新生児並びに妊娠後期の胎児については将来的に知能の発達に
悪影響を及ぼす可能性があるので、
安定ヨウ素剤の大量服用又は長期連用を避けるよう十分に注意すること等
が必要である。
また、安定ヨウ素剤の服用に当たっては、
副作用の発生頻度を低減させる方法の一つとして、
周辺住民等を対象に副作用についての情報を
普段から提供しておくことも重要である。
14:08 2011/03/24
<<5-4 服用対象>>
■ 年齢を考慮した服用対象者の制限
18歳未満では、放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんの発生確率は
成人に比べて有意な増加が認められていること、
・・・40歳以上では、放射線被ばくにより誘発される
甲状腺発がんのリスクがないことから、安定ヨウ素剤の服用は、
40歳未満の者を対象とする。
● 特に乳幼児は、甲状腺濾胞細胞の分裂が成人に比べて活発であり、
放射線によるDNA損傷の影響が危惧され、
安定ヨウ素剤予防服用の効果もより大きいことを十分に認識する
必要がある。
■ 副作用を考慮した服用対象者の制限
ヨウ素過敏症の既往歴のある者は、安定ヨウ素剤を服用しない。
造影剤過敏症には、種々の要因による過敏症が含まれていて、
その一部がヨウ素過敏症であると考えられている。
しかしながら、造影剤過敏症に含まれるヨウ素過敏症の
割合について推測することは可能ではない。
したがって、全ての造影剤過敏症の者が、安定ヨウ素剤の服用により、
ヨウ素過敏症症状を発症するとは限らないが、
造影剤過敏症の既往歴のある者は、安定ヨウ素剤を服用しない。
低補体性血管炎を有する者はヨウ素に過敏である場合があるため、
その既往歴のある者又は治療中の者は安定ヨウ素剤を服用しない。
また、ジューリング疱疹状皮膚炎を有する者はヨウ素に
過敏であると考えられるので、その既往歴のある者又は治療中の者は
安定ヨウ素剤を服用しない。
ただし、これらの疾患は、我が国では、稀であるとされている。
ヨウ素過敏症の既往歴のある者、造影剤過敏症の既往歴のある者、
低補体性血管炎の既往歴のある者又は治療中の者、
ジューリング疱疹状皮膚炎の既往歴のある者又は治療中の者の
安定ヨウ素剤の服用を防ぐため、安定ヨウ素剤の配布時にも、
上述の疾患に関する情報を明確に伝えることが必要である。
また、これらの者に対しては、避難を優先させることが必要である。
■ 服用に当たって注意すべき事項
・甲状腺機能異常症について
甲状腺機能異常症には、甲状腺機能亢進症及び低下症がある。
・甲状腺機能亢進症の大部分はバセドウ氏病によるものであり、
ヨウ素を含む製剤はこの治療薬の一つである。
・また、甲状腺機能亢進症を有する者は、
ヨウ素の甲状腺摂取率が上昇していることから、
原子力災害時には、甲状腺機能亢進症を有する者は、
安定ヨウ素剤を服用する。
・甲状腺機能低下症のほとんどは慢性甲状腺炎によるものである。
甲状腺機能低下症を有する者は、ヨウ素を含む製剤の服用により、
機能低下が悪化するおそれがあるが、
この場合は、ヨウ素を長期にわたり摂取した場合である。
・慢性甲状腺炎を有する者が、ヨウ素を含む製剤の服用により、
一過性の甲状腺機能亢進症を呈する無痛性甲状腺炎を
発症することがあるが、これは、ヨウ素を長期にわたり摂取した
場合である。
・また、甲状腺機能に異常を認めない慢性甲状腺炎を有する者が、
ヨウ素を含む製剤の服用により甲状腺機能低下症を発症することがあるが、
この場合も、ヨウ素を長期にわたり摂取した場合である。
● したがって、原子力災害時には、甲状腺機能異常症を有する者も、
安定ヨウ素剤を服用する。
● 結核を有する者が安定ヨウ素剤を服用すると「ヨウ素は結核組織に
集まりやすく、再燃させるおそれがある。」とされているが、
再燃を懸念するよりも、安定ヨウ素剤服用により
放射性ヨウ素の吸入による甲状腺発がんリスクを軽減させる方が
有益と考えられる。
したがって、原子力災害時には、肺結核を有する者も、
安定ヨウ素剤を服用する。
● 新生児について
安定ヨウ素剤を服用した新生児については、
甲状腺機能低下症を発症することがあるので、
その早期発見・治療のために、甲状腺機能をモニターする必要がある。
● 妊婦について
妊婦については、妊娠第1期では、
妊婦自身の甲状腺が胎盤由来の絨毛由来性腺刺激ホルモンにより
交叉刺激されている。
このため、放射性ヨウ素の集積が高くなることが予測され、
安定ヨウ素剤の服用による放射性ヨウ素の甲状腺への集積を
抑制することが必要である。
妊娠第2期、3期では、放射性ヨウ素が胎盤を通過し、
胎児が被ばくするのでやはり安定ヨウ素剤の服用が必要となる。
安定ヨウ素剤を服用した妊娠後期の妊婦より生まれた新生児については、
その甲状腺機能をモニターする必要がある。
● 授乳婦等について
授乳婦についても、安定ヨウ素剤を服用する。
授乳婦が摂取したヨウ素の約四分の一は、
母乳へ移行するといわれているが、
授乳児については、母乳からの放射性ヨウ素の移行や
安定ヨウ素の摂取を正確に見積もれないため、
授乳を中止して人工栄養に替え、安定ヨウ素剤を服用させる。
なお、ヨウ素を含む製剤の副作用情報等の動向にも配慮する。
14:01 2011/03/24
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/4-3.html
■ 3.安定ヨウ素剤による効果
放射性ヨウ素は、呼吸により吸入され気道に沈着し、
気管支及び肺から迅速に体循環に移行し、
また、吸入された放射性ヨウ素の一部は、
咽頭部にも沈着し、食道を経て消化管から吸収され、
体循環に移行する。
取り込まれた放射性ヨウ素の約10~30%は、
・24時間以内に甲状腺に選択的に集積し、
・残りの大部分は主に腎臓より尿中に排泄される(21)(参考資料-図I)。
■ なお、我が国においては、医療現場などでの放射性医薬品である
ヨウ素の服用による知見等から、
・日常の食生活において、コンブ等からヨウ素を摂取する頻度が高いため、
放射性ヨウ素の甲状腺への取込みは少なくなることが知られている(22)。
甲状腺に集積した放射性ヨウ素は有機化され、
一定期間、甲状腺内に留まる。
一般に、成人の甲状腺でのヨウ素の生物学的半減期は約80日で、
19歳以下の若年者では成人のそれと比べて短い。
健康な成人が安定ヨウ素剤を服用すると、
服用後1ないし2時間以内に、その尿中排泄濃度は最大となる。
その後、時間とともに尿中ヨウ素排泄量は漸減し、
72時間後には、服用した安定ヨウ素剤のほとんどが体内から排出される。
安定ヨウ素剤予防服用による、
放射性ヨウ素の甲状腺濾胞細胞への取込みを低減させる効果は、
高濃度の安定ヨウ素との共存により、
血中の放射性ヨウ素の甲状腺濾胞細胞への取込みと競合することや
細胞内へのヨウ素の取込み抑制効果により、
放射性ヨウ素の甲状腺濾胞細胞への選択的な集積を減少させる。
成人では、安定ヨウ素剤として広く用いられるヨウ化カリウムの製剤は、
少なくとも30mgの服用量で、
放射性ヨウ素の甲状腺への集積の95%を抑制することができる。
放射性ヨウ素が吸入あるいは体内摂取される前24時間以内又は直後に、
安定ヨウ素剤を服用することにより、
放射性ヨウ素の甲状腺への集積の90%以上を抑制することができる。
また、すでに放射性ヨウ素が摂取された後であっても、
8時間以内の服用であれば、約40%の抑制効果が期待できる。
しかし、24時間以降であればその効果は約7%となることが
報告されている。
また、この効果は、安定ヨウ素剤服用後、
少なくとも1日は持続することが認められている(25)。
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私見
日常的に要素を含む食物を摂取している場合
その影響は僅かであったとしても良い方向に働かないだろうか?
■ 2-2 甲状腺機能低下症
一定量以上の放射線に被ばくした後、数ヶ月の期間をおいて、
甲状腺の細胞死の結果として甲状腺ホルモンの分泌が減少することにより、
甲状腺機能低下症が発症する場合がある。
甲状腺機能低下症の発症は、放射線の確定的影響であって、
しきい線量が存在する。
そのしきい線量を超えた場合には、被ばく線量が増加するに従って
発生率が増加し、重篤度も高くなる。
現在、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)
並びに世界保健機関(以下「WHO」という。)では、
内部被ばくによる甲状腺機能低下症が発症すると予測される
しきい線量として甲状腺等価線量で、5Gyが提案されている(14,15)。
このしきい線量については、下方に、見直しが行われているところである(15,16)。
■ 2-3 その他の甲状腺疾患
マーシャル諸島における核爆発実験で生じた放射性降下物による
甲状腺被ばくの影響調 査(4,17)及び
チェルノブイリ原子力発電所事故調査(9)では、
小児の甲状腺良性結節の発症が報告されている。
一方、長崎の原爆被災者の最近の調査では、
甲状腺被ばくの影響として自己免疫性と考えられる
甲状腺機能低下症の発症も示されている(18)。
これら甲状腺疾患の発症に係る放射線被ばくとの関連については、
さらに検討が積み重ねられているところである。
13:51 2011/03/24
http://www.remnet.jp/lecture/b03_03/4-2.html
■ 2.放射線被ばくによる甲状腺への影響
甲状腺への放射線の影響は、外部被ばくによる場合と
甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素の内部被ばくによる場合がある。
安定ヨウ素剤の予防服用は、放射性ヨウ素の内部被ばくに対してのみ
有効である。
放射線の甲状腺への外部被ばくは、
放射性ヨウ素の甲状腺への内部被ばくに比べて、
放射線の影響が厳しくなることを踏まえ、
ここでは、甲状腺への放射線の外部被ばく及び内部被ばくの知見を
考え合わせることとする。
■ 2-1 甲状腺がん
広島、長崎の原爆被災者の長期にわたる疫学調査(1)によると、
甲状腺外部被ばく後、長期間にわたり甲状腺がんの発生確率の
増加が認められている。
すなわち、被ばく者の生涯にわたる甲状腺がんの発生確率(生涯リスク)
については、甲状腺がんの発生確率は、被ばく時の年齢が20歳までは、
線量に依存して有意な増加が認められる(2)
被ばく時年齢が、40歳以上では、甲状腺がんの生涯リスクは消失し
放射線による影響とは考えられなくなる(2)
という結果が得られており、被ばく時の年齢により
甲状腺がんの発生確率が異なることが判明している。
(注)本報告では、放射線の単位である「Gy」と「Sv」については、
概念の混乱を避けるため、準拠した文献の記載どおりとした。
また、β線やγ線の放射線荷重係数を1として、1Gy=1Svとする。
広島、長崎の原爆被災者のデータに加え、
放射線治療後の患者のデータをまとめ甲状腺外部被ばくによる
甲状腺がんの発生確率を解析した結果(3)では、
以下の知見が得られている。
■・5歳未満での被ばくに比較して、10~14歳での被ばくでは、
その発生確率は5分の1に低下する。
・また、20歳以上では、1Gy以下の甲状腺被ばく後の甲状腺がんの
発生確率は極めて低い
■・若年時に被ばくした者の甲状腺がんの発生確率は、
100mGyの甲状腺被ばくでもその増加が観察される
・若年時に被ばくした者の甲状腺がんの発生確率は、
被ばく後5~9年で増加し、15~19年で最大となり、
・40年後でも発生確率は残存する
■・マーシャル諸島における核爆発実験で生じた放射性降下物による
甲状腺被ばくの影響調査(4)では、
・小児の甲状腺がんの発生確率の増加が認められている。なお、
甲状腺に集積した放射性物質としてヨウ素以外にテルルの存在が
報告されている。
・チェルノブイリ事故後の国際的調査に関して、
被調査集団の事故時の年齢が15歳未満で、
その60%は5歳未満の小児を対象とした調査では、
甲状腺内部被ばくによる甲状腺がんの発生確率は
痔有意?な増加が認められている(5,6,7,8)。
・また、チェルノブイリ原発事故当時の乳幼児に関する調査では、
事故直後の短半減期の放射性降下物による甲状腺内部被ばくによる
甲状腺がんの増加が示唆されている(8,9,10)。
■ さらに、ロシアで甲状腺内部被ばく者の
甲状腺がんの発生確率に関する調査では、
被ばく時の年齢が18歳未満の者では成人の3倍である(11)。
なお、チェルノブイリ事故では、
ヨウ素-131と甲状腺発がんリスクとの関連が報告されてきたが、
最近の別の研究では、甲状腺がんの発生にヨウ素-131以外の
放射性ヨウ素が寄与している可能性が示唆されている(12,13)。
● 上記のi)~iv)の調査より、以下の知見が得られている。
・ 放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんの発生確率は、
特に乳幼児について高くなる
■ 放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんの大部分は、
甲状腺濾胞細胞に由来する乳頭腺癌であり、
一般的には、悪性度が高くないため、適切な治療が行われれば、
通常の余命を全うできる
■ なお、放射線被ばくにより誘発される甲状腺がんに関する
上記のいずれの調査も、
死亡に基づくものではなく罹患率に基づいて得られた解析である。