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映画「クライマーズハイ」を観た

2024年05月13日 | 映画

テレビで放送された映画「クライマーズハイ」を観た。2008年、145分、監督:原田眞人、原作:横山秀夫の同名小説。クライマーズハイとは登山者の興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態のことであり、映画の中では日航機墜落の報道現場のカオスの状況も指すと思われる。

1985年8月12日、群馬県と長野県の県境に位置する御巣鷹山に日航機が墜落した、その事故を題材に、その時に繰り広げられていた地元地方新聞社の混乱する現場と人間模様を描いた映画

出演は、堤真一,堺雅人,小澤征悦,尾野真千子,山崎努などなどそうそうたるキャスト。作者自身も元上毛新聞記者で、その体験を元に作品を書いた、だから新聞社の社内の状況が非常にリアルに描かれている。

主人公は堤真一演ずる群馬の有力地方新聞「北関東新聞社」の記者悠木和雄。1985年8月のある日、新聞社の登山クラブの同僚安西耿一郎(高嶋政宏)と一ノ倉沢衝立岩に登頂する予定で会社を後にする直前に、東京発の日航機が乗客乗員524名を乗せたまま消息が不明との情報がもたらされる、その後まもなく墜落とわかり、場所は北関東新聞のテリトリーの群馬県内と判明したから大変だ。

新聞社は臨戦態勢になり、現場は大混乱する、悠木は日航機事故報道の全権に任命され、次々と指示を出し、現場取材、事実確認、紙面編集、締め切り、などで社内の関係部門と怒号を飛ばしながらも他社に出し抜かれないために必死の業務が続く。

映画ではその緊迫した様子を事故発生から時間を追って描いていく、臨場感がビシビシと伝わってくる。新聞社の業務の描き方もかなり具体的で、報道部門だけでなく、販売部門、輸送部門、印刷部門などあらゆる社内組織が出てきて、それらの部門や人間との軋轢、現場と局長、経営陣などとの対立をリアルに描き、真に迫っている。

一方、悠木のプライベートな面として、夫婦の不和、子供との隔絶、友人の安西との家族ぐるみの付き合いと安西の不幸などが絡む。さらに時間軸として、事故直前の1985年、初夏の渓谷での悠木と安西のお互いの息子を連れてのレジャーの場面、事件発生、その後2007年初夏に土合駅での悠木とすでに亡くなった安西の息子が落ち合い、親同士で約束した一ノ倉沢衝立岩への登山の場面が絡む。ここがいきなり見ると前後関係がわかりにくい。しかし、そこがわからなくてもこの映画の迫力は十分楽しめる。

あまり期待しないで見たのだけど、最初からどんどん映画に引き込まれた、堤真一、堺雅人、滝藤賢一、小澤征悦,尾野真千子らの真に迫った演技が非常に良かった。これは監督、俳優の良さに加え、そもそも原作がよかったのだろう。ただ、ネットやスマホが発達した現在の新聞社の業務はこの当時とはかなり違っているだろうなと思った。

この日航機墜落のあった8月12日の翌日、夏休みをとっていた私は友人と一緒に取手で炎天下の中でゴルフをやっていたのを覚えている。朝からテレビなどで大騒ぎしていたが、ゴルフをやっていたその真夏のゴルフ場の光景を今でも思い出す、暑い一日だった

この映画の最後に、「日航機墜落の原因調査の事故調は隔壁破壊と関連して事故機に急減圧があったとしている、しかし、運航関係者の間には急減圧はなかったという意見もある」とテロップが出てくる。隔壁破壊以外の墜落原因ついては、既に青山透子『日航123便 墜落の新事実』(河出書房新社、2017年7月)が出ており、最近でも森永卓郎『書いてはいけない』(三五館シンシャ、2024年3月)の中で述べられているがなぜかあまり騒がれない。

NHKも下山事件などは未解決事件として報じるが、日航事故につては解決済み扱いなのだろうか、報じない。映画の中でも事故現場にもっと早く到着してれば救える命が多くあったと述べるところがあるが意味深である、この当時から墜落原因に関するいろんな疑問が語られていたのだろう。事故当時の総理大臣は中曽根康弘、アメリカ大統領はロナルド・レーガンであった

さて、この映画では一ノ倉沢への登山に行く待合場所に上越線の土合(どあい)駅が出てくる、この土合駅は有名で、駅が地下のだいぶ下にあるのだ。駅から地上の駅舎まで出るのに462段の階段を昇らなくてはならない、その地下駅と地上への階段、地上の駅舎がこの映画で出てくる。


(土合駅の駅舎)

この土合駅に行ったことがある。つい数年前である。それは近くのゴルフ場に泊りがけでゴルフに来た時に、まっすぐ帰るのではなく、周辺の観光地に寄ってから帰ろうと思い、調べたら土合駅が有名だというので車で来たものである。したがって、私の場合は、駅舎から駅まで見下ろす感じで階段を途中まで降りた。本当は地下の駅まで行きたかったが、ゴルフの後で疲れており、嫁さんも一緒だったため、あきらめて階段の途中で引き返したのだ。確かに写真映えするすごいところであった。


(駅に降りる階段の上から撮ったもの)

良い映画でした。

 



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