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気ままに生活してるシニアの残日録

「カーザ・ヴェルディ」(藤田彩歌)を読む

2023年02月18日 | 読書

新聞の書評に載っていた「カーザ・ヴェルディ、世界一ユニークな音楽家のための高齢者施設」(藤田彩歌著)をKindleで読んだ。

このカーザ・ヴェルディというのはイタリアのミラノにある老人ホームであるが、これを作ったのはオペラ作曲家のヴェルディである。入居を許されるのは一流音楽家とその配偶者だけ、高齢者以外にミラノで音楽を学ぶ若者16人(国籍問わず)が入居できる。著者の藤田さんはその一人で、その貴重な体験談ををまとめたのが本書である。藤田さんは2015年からミラノの音楽院に留学していた。カーザCasaとはイタリア語で「家」という意味だ、従って、カーザ・ベルディとは「ヴェルディの家」という意味だが正式な名前は「音楽家のための高齢者施設」というものだ。イタリアでは高齢者施設のことを「憩いの家」と言うようで、日本のイメージとはかなり違う。これはヴェルティが一流の音楽家として活躍したのに老後に困っている音楽家を救いたい、という思いで作った施設だ。現在70名程度の入居者がいる。

カーザ・ヴェルディの魅力は年寄りの自主性や自由を尊重するところにあるが、これは全てが自己責任で成り立っているということ、酒を飲み過ぎて何かあっても、一人で夜道を歩いて帰れなくなっても全て自己責任だ、日本のように何かあると施設の責任が問われると言うのでは入居者の自由や自主性は保てない

カーザ・ベルディの素晴らしいことは年寄りと若者が同居していることだ、お互い必要とされる存在になり家族の絆を感じるようになる、また、車椅子でゆっくり歩いている入居者について誰も助けない、それは本人が望まないから、何歳になっても自分のことは自分でやる、それができなくなったときはおしまいだとの意識がある。日本の場合は何かあったときは施設側が責任を問われるので手助けしすぎてしまう。

著者は、日本では老人に対して「大丈夫~」とか「聞こえてる~」などと話しかける人がいるがこれは大変失礼なことだ、決して子どものように扱うべきではない、と言う。その通りだと思う。また、カーザ・ヴェルディが日本の老人ホームと比べて良いか悪いかではなく、良いところを取り入れるにはどうしたら良いか考えてほしいからこの本をまとめたと言っている。自身の老後の過ごし方の参考にしてほしい、ということだ。 

 

 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ヴェルディの家 (tora)
2023-08-24 00:30:46
いつも拝読しています。
ヴェルディの家は若者も入居しているのですね。映画「トスカの接吻」ではそうした様子は見られませんでした。私が見落としたのかもしれません。
何があっても手助けしてはいけないというのは、まさにイタリアらしい自立の精神だと思います。それにしても、ヴェルディという作曲家は人間として素晴らしかったのだと思います
映画「トスカの接吻」 (4lastsongs)
2023-08-24 07:53:47
tora様、コメント有り難うございます。31日の「トスカの接吻」はtora様が紹介されたので混むのではないかと心配しています。早稲田松竹は時間ギリギリに行って満員で入れなかったことが何回かありましたので、31日は早めに訪問したいと思います。

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