ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

「三月大歌舞伎、天川屋義平内の場、身替座禅」を観る

2023年03月24日 | 歌舞伎

歌舞伎座で三月大歌舞伎昼の部を観た。座席は3階A席、夫婦で11,000円、中央前から3列目で、だいたいこの位置が好きで一番コスパが良いと考えている。舞台は全部見えるし、花道も半分見える。直前に予約したけど今日は3階席はずいぶん空いていた。最近では一番悪い入りかもしれない。今日の昼の部は1幕もの2つだ。

仮名手本忠臣蔵
十段目 天川屋義平内の場

この演目は通し狂言では省略されるし、単独では今まで4回しか演じられていない、これはこの場が仇討ちの本筋から少し外れること、由良之助が商人を脅して試すことに釈然としないと感ずる人がいたためなどと言われている。

天野屋利兵衛という人物は実在の商人だが赤穂藩とは関係がなかった。歌舞伎では天川屋義平と名前を変えて大阪の商人とし、武器の調達をして赤穂藩の討入りを支援していたことにした、そしてそれがお役人に気づかれ、義平の運んでいた荷物を差し押さて「この中身は何か」と厳しく問い、答えねば子どもを殺すとまで脅かされたが、義平は「天川屋義平は男でござる」と啖呵を切り、白状しなかった。一番の見せ場だ、そして、その後がまたサプライズで、実はお役人だと思っていた人たちが赤穂藩の大星由良之助とその配下の浪士たちだった、由良之助は義平が信頼できるかどうか試していたのだ。義平の商人魂に感心した由良之助は、商人は討入りに参加できないが討入りの時の合図に「天」と「川」を使うことにして、義平も事実上参加していることと同等だとして義平の忠誠に報いることにした。

日本人だったら感動するだろう。義平は商人なのにたいしたものだと。

さて、由良之助はもともと義平を信頼していたが、四十七士の中には義平が商人であるため信頼できないのではと言う者がいたため、あえてその不満分子を使って一芝居打ったと言う説明もなされている。

天川屋義平    
大星由良之助   幸四郎
竹森喜多八※   坂東亀蔵(44)
千崎弥五郎※   中村福之助(芝翫次男)
矢間重太郎※   歌之助(芝翫三男)
医者太田了    竹橘太郎
丁稚伊吾     
大鷲文吾     
義平女房おその  
孝太郎
※ 塩冶家家臣(赤穂藩)

新古演劇十種の内 身替座禅

例の音羽屋の演目だ、すべて明治になってからの歌舞伎作品で、身替座禅は狂言の大曲「花子」をもとにした松羽目物の舞踏劇。大名の右京は奥方の玉の井からベタ惚れされているが、頭が上がらない、愛人が都に来たので奥方の目を盗み会いたいと思案した結果、邸内の持仏堂で座禅をすると奥方に言って、実は太郎冠者に身替りで座禅をさせ、その間に浮気する、奥方はこれを見破る、それとは知らずに愛人との逢瀬の後、持仏堂に戻って太郎冠者と思って逢瀬の話をするが・・・・

松緑の右京は先日の土蜘蛛のイメージが残っているのでなんとなく役柄に合わないような気がしたが鴈治郎の玉の井はぴったりはまっていた。こういう役が鴈治郎には合っているような気がする。結構ひょうきんなところがある、普段玉の井に全然頭が上がらない右京だが、玉の井は本当に右京に惚れている、だから怒ってもなんとなく憎めないキャラで、最後は右京を許す。

この演目で役者の演技以外で注目したのは常磐津と長唄連中が両方で代わるがわる演奏や唄を歌うことだ。長唄の立三味線は杵屋巳太郎、立唄は杵屋勝四郎で、先日紀尾井ホールで観たメンバーだ。今日は長唄の太鼓や笛は若手も出演されており、後継者育成は問題ないのかな、のと印象を持った。

山蔭右京     緑(菊五郎から交替)
太郎冠者     権十郎
侍女千枝     悟(彌十郎息子、32)
同 小枝     玉太郎
奥方玉の井    
鴈治郎

 


新国立劇場で歌劇「ホフマン物語」を観る

2023年03月23日 | オペラ・バレエ

新国立劇場で歌劇「ホフマン物語」を観た。今日の席はC席7,315円、4階中央3列目だ。舞台は全部欠けずに見えた。祭日でもあるので客層は幅広い年代にわたっていたが90%くらの埋まり具合だった(2階、3階は結構空席が目立った、但し、4階は全部埋まっていた)。

新国立劇場のホームページのホフマン物語のところに芸術監督の大野和士による50分近い動画解説があり、予習でそれを見た。オッフェンバックがどういう人物なのか説明し、そして村上敏明、安井陽子、木下美穂子、小林由佳の4人の歌手と一緒に大野のピアノ伴奏でいくつかの歌を歌い解説をしてくれる。これはよかった、このようなサービスは是非今後もやってほしい。

大野の解説によれば、オフェンバックはドイツで1819年で1880年に61才で死亡、同じ時期に生まれたのがベルディーとワーグナー、この時期はドイツはドイツの、フランスはフランスの国民の気質に合った音楽を書く時代だった。この作品はドイツの非常に幻想的でイマジネーションの豊富な作品だが、彼の第2の故郷のフランスの表現方法を使った洒落たはかない音楽に仕上げた。

そして彼には胸に秘めた思いがあった、彼はブッフ・パリジャン座(滑稽劇をやる小劇場)で作品を発表していたが、やがて1ランク上のオペラ・コミック座でも演奏され名声を博した。彼の願いはオペラ座で大編成のオーケストラで立派なオペラ作品を演奏されることだったが叶わなかった。ホフマン物語は彼の残した遺稿である。仕上げ段階で彼はなくなった、よって、いろんなバージョンがある。

オペラのあらすじだが、新国立劇場のサイトにでているものと大野の解説を適宜組み合わせて書いてみると

【第1幕(プロローグ)】歌劇場の隣の酒場で、歌姫ステッラを待つホフマンは友人のニクラウス達に、三つの失恋物語を語り始める。ここでホフマンは「クラインザックの歌」を歌う。

【第2幕】オランピアは科学者スパランツァーニが人形師コッペリウスに作らせた娘(動く人形)、ホフマンはすっかり夢中になり愛を告白、ワルツを踊ったあげくコッペリウスに壊されてしまう。ホフマンはこの時初めて、彼女が人形だったことを知る。ここでオランピアは「クマシデ並木の鳥たちから」を歌う。

【第3幕】楽器職人クレスペルの娘アントニア。母譲りの歌の才能があるが胸を病み父親から歌うことを禁じられていた。しかし、医者ミラクルが亡き母親の亡霊を呼び寄せ、アントニアが歌うよう誘惑し、歌い続けるアントニアはついに死んでしまった。ここでアントニアは「雉鳩は逃げた」を歌い、ホフマンとの二重唱「ああ、信じてました」を歌う

【第4幕】ヴェネツィアの娼婦ジュリエッタ。彼女は魔術師ダペルトゥットからホフマンを誘惑して影を盗めと命じられていた。賭けですべてを失ったホフマンは魂と命と影をジュリエッタに渡してしまう。恋敵シュレーミルと決闘して勝利するが、当のジュリエッタは下僕と駆け落ちする。

【第5幕(エピローグ)】酒場。数奇な愛の遍歴を語り終えたホフマンの元に歌姫ステッラが現れるが、彼女の崇拝者である上院議員リンドルフと腕を組んで立ち去る。酔いつぶれたホフマンは詩の女神ミューズの幻影を見る。

観劇した感想などを記してみよう

  • フィリップ・アルローの演出は非常によかった、色彩がカラフルで特に1幕、2幕がよかった、3幕目は先日観たハンブルグ国立歌劇場の演出の方が派手でカラフルだったが、アルローの演出も悪くはないと思う
  • 未完成の作品なのでいろんな完成版があるとの解説であるが、ハンブルグ国立歌劇場の時はケイ&ケック版であったが今日の版は少なくともそれではなかった、どの版かはホームページには書いてないように思う
  • ケイ&ケック版でないと思ったのは5幕目の終わり方が著しく異なるからだ(ネタバレ注意)、今日の終幕ではホフマンが最後にピストルで自死して終わるのだ、あまりの違いに驚いた
  • ハンブルグの時はホフマンの3人の恋人とステッラが同一女優が兼ねていたが今日は全部別の歌手だった、そして終幕ではこの4人含め全員が勢揃いして「人は愛で大きくなり、涙でいっそう成長する」と歌い上げるところはハンブルグ版よりもいっそう見応えがあり盛り上がった(モーツアルトのフィガロやドンジョバンニのフィナーレと同じようなイメージの終わり方で、楽しめた)
  • 歌手で一番よかったのはオランピアの安井陽子だ、機械人形をうまく表現していたし、何よりも歌唱力があり声量が豊かであった、彼女の「クマシデ並木の鳥たちから」への拍手が一番大きく、一番長く続いた、また、第3幕で召使いのフランツが主人のクレスペルから「誰もこの家に入れるな」と命じられた後に歌うアリア「朝から晩まで四つん這いになって」が好きだ、青地英幸がうまく歌って大きな拍手を受けていた

今日は5月のオペラのリゴレットのチケットを買って帰った。私はいつも劇場に行ったときに次月以降のチケットを買って帰るようにしている(ネットで買うこともするが、システム利用料等で500円くらいとられるので劇場に来たとき買えればそれが一番いいと思っている)。

【指 揮】マルコ・レトーニャ(スロヴェニア)
【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー(仏)
【衣 裳】アンドレア・ウーマン
【振 付】上田 遙
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】須藤清香
【管弦楽】東京交響楽団

【詩人、ホフマン】レオナルド・カパルボ
【友人、ニクラウス/音楽の神・芸術の神、ミューズ】小林由佳(メゾ・ソプラノ)
【オランピア】安井陽子(ソプラノ)
【アントニア】木下美穂子(ソプラノ)
【ジュリエッタ】大隅智佳子(ソプラノ)
【リンドルフ/人形師コッペリウス/医者ミラクル博士/魔術師ダペルトゥット】エギルス・シリンス
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】青地英幸
【ルーテル/楽器職人クレスペル】伊藤貴之
【ヘルマン】安東玄人
【ナタナエル】村上敏明
【科学者、スパランツァー二、第2幕】晴 雅彦
【恋敵シュレーミル、第4幕】須藤慎吾
【アントニアの母の声/ステッラ】谷口睦美


「アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル」を聴く

2023年03月23日 | クラシック音楽

BS放送で「アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル」を録画して聴いた。場所は王子ホール、2022年6月。

アンヌ・ケフェレックはパリ生まれのピアニスト、父は有名な作家アンリ・ケフェレック、弟ヤン・ケフェレックは作家、その妻のブリジット・ゲンゲラーはピアニストだ。5才でピアノを始め、1968年にミュンヘン国際音楽コンクールで優勝、それ以来国際舞台で活躍している。今年75才だ。ピアノソロ、室内楽の演奏で有名。

テレビで見た姿は痩せ型で白髪、上品なご婦人という感じて、やさしような人だな、と言う印象を持った。

演目は

ピアノ・ソナタ 変ロ長調D960から第1楽章、第4楽章(シューベルト)
ピアノ・ソナタ 第32番ハ短調(ベートーベン)

アンヌ・ケフェレックは、この2曲とも作曲家が死ぬ前に書いた最後のピアノ・ソナタであり、2人の作曲家がたどり着いた「音楽の旅路」を自分も共に歩いて行きたいと強く思ったと、インタビューで語っている。

シューベルトは好きな作曲家で、D960も好きな曲だ、全部の楽章が聴けなくて残段だ、ベートーベンももちろん好きな作曲家だが、彼の最後の3つのピアノ・ソナタはどうも好きになれない、と言うかよく理解できない。この3つのピアノ・ソナタをたたえる人は多いし、その理由を読んで理解できるが、曲として純粋に聴いたとき、自分の身にしみこむように入ってい来ないのだ。こればかりは仕方ないが突然その良さがわかることもあるので聞き続けたい。

 


「南摩城カントリークラブ」でゴルフ

2023年03月22日 | ゴルフ

栃木県鹿沼市の南摩城CCでゴルフをしてきた。何回も来ているコースだが何度ラウンドしても飽きないレイアウトの面白さがある。リモコンカートというのも好きだ。運動のため歩いてラウンドしたいからだ。今日は12,000歩あるいた。

今日は天気もよく、日光連山が行く途中の車やコースの中でよく見えた。冠雪している姿が美しい。桜はまだ咲いていなかったが、違う種類の花が咲いていたので真冬の景色とは少し違う。

予約をいれたときは結構混んでいると思ったが、来てみるとそんなに混んでいる感じがしない。前半も後半もハーフ2時間程度でラウンドできたのは有難い。混んで進行が遅く各ホール毎に待たされるコースには行きたくない。

今日はセルフデーで食堂はお弁当1種類のみ(味噌汁付き)だが結構立派な内容でおいしかった。また、缶ビールが一つついているのがうれしい。さらに、ラウンド途中の茶店の自販機で使えるコインが1人2つもついているのも有難い。前は自販機にビールがあったが今はなくなった、これは残念だ。

費用は2人合計で14,900円、コストパフォーマンスはよいと思う。また来たい。


「團菊祭 五月大歌舞伎 三人吉三巴白波」を観る

2023年03月21日 | 歌舞伎

河竹黙阿弥の作品「三人吉三巴白波 大川端庚申塚の場」のテレビ録画を見直した

出演は若手中心だ

お嬢吉三:尾上右近
お坊吉三:中村隼人
和尚吉三:坂東巳之助
夜鷹おとせ:中村莟玉

この作品は1860年初演、吉三(きちさ)という同じ名前を持つ3人の盗賊が出会って義兄弟の契りを結ぶと言う話、世の中が激変していた時代(明治維新は1868年)、黙阿弥調(七五調)の名台詞がふんだんに使われている、これは西洋劇の独白は自分はこう思っている、感情を吐露するせりふが多いが、黙阿弥の独白は景色、おぼろ月やかがり火など、叙景だ、言葉による絵画美で客に心地よく響く、言葉を聞いて絵を思い浮かぶせりふだと解説されていた。また、黙阿弥は、普通に見えた人が悪の本性を出すと言うのを好んで描いた、お嬢さんが実は盗賊だったなど本作でも見られる。先に見た土蜘蛛でも比叡山の僧が実は土蜘蛛だった。

あらすじは、両国橋近くの大川端、客が忘れた100両の金を持った美しい娘(夜鷹)が着物姿の娘、実はお嬢吉三、に道を尋ねられ、親切に案内していると突然その娘が盗賊の本性を現し、夜鷹の娘を川に突き落として金を奪う。その一部始終を見ていたもう1人の盗賊のお坊吉三、金をよこせとお嬢吉三とけんか沙汰に、その喧嘩を止めに入った和尚吉三、一番格上の和尚吉三の取りなしで喧嘩は収まり、3人が兄弟のちぎりを交わす、と言った結構単純なあらすじ。この作品はここから何幕も続く長編だが現在ではこの大川端の場が人気があるのでこの部分だけが上演されることが多い。

1幕で40分程度の長さで、あらすじも複雑ではないのでわかりやすい。あまり絵になるような様式美はないが、若手俳優中心の舞台で十分楽しめた。お嬢吉三の右近は歌舞伎座で主役級の役をやるのは初めてだそうだが、有名な七五調のせりふ、「月もおぼろに 白魚の 篝(かがり)もかすむ 春の空・・・こいつは春から 縁起がいいわえ」はハラハラ聞いていたが、うまく言えていた。


「團菊祭 五月大歌舞伎 土蜘蛛」を観る

2023年03月21日 | 歌舞伎

先日、紀尾井ホールで「河竹黙阿弥の世界」の公演を観たのを機に、過去の歌舞伎座公演のテレビ録画の中で黙阿弥作品を探したところ、2021年5月の團菊祭での土蜘蛛があったので見直した。河竹黙阿弥は江戸から明治にかけて活躍した歌舞伎作者で生涯360もの作品を残した、江戸と明治という全く違った時代を生きた。

土蜘蛛は音羽屋の新古演劇十種の第1番目の作品、五代目菊五郎が1881年(明治14年)に初演した、六代目菊五郎、二代目松緑、当代菊五郎に受け継がれ、今は、当代松緑が演じている。

「新古典劇十種」とは明治以降に書かれた作品の中から主に能狂言をモチーフにし、古典的味わいのある格調高いものを10個選んだもの。江戸末期から明治にかけての名優だった五代目尾上菊五郎が「尾上家の家の芸」として制定したもので格調高い「松羽目もの」だ。そのほかには先日紀尾井ホールで見た「茨木」や「身代わり座禅」などがある。

あらすじは、平安時代が舞台、源頼光(らいこう)は病で療養中、そこに比叡山の僧「智疇(ちちゅう)」が祈祷をすると言って訪ねてくる、そのしぐさの怪しいのを太刀持ちの音和が気づき、頼光が常にそばに持っている「膝丸(ひざまる)」という名刀で斬り付けたため、蜘蛛は逃げていく。頼光の命令で家臣の平井保昌と四天王が土蜘蛛退治に行き、大立ち回りの末、撃退し、めでたしめでたしとなり幕となる。

土蜘蛛の松緑は実に役柄に合っていた、ぎょろっとした眼、大きな口など土蜘蛛のイメージそのもの、寺嶋眞秀の太刀持ちもよく間違えずにせりふが言えて立派だった。後半の大立ち回りは衣装が華やかで見ていて楽しかった。前半でもあったが土蜘蛛が次々と繰り出す「千筋(ちすじ)の糸」が印象的だ、これは能楽でも秘伝だそうだが一回の失敗もなくやってのけたのは立派だった。もう菊五郎は土蜘蛛はやらないのかな。

1時間半くらいの劇だがさすが黙阿弥、退屈せずに楽しめた。

出演
叡山の僧智籌じつは土蜘の精 尾上松緑
平井保昌          坂東亀蔵(楽善の息子)
渡辺綱(四天王)      中村福之助(芝翫の息子)
坂田公時(同上)      中村鷹之資(富十郎の息子)
碓井貞光(同上)      尾上左近
卜部季武(同上)      市川弘太郎
太刀持音和         寺嶋眞秀
侍女胡蝶          坂東新悟(彌十郎の息子)
源頼光           市川猿之助

 

演劇「ハムレット」を鑑賞する

2023年03月20日 | 演劇

世田谷パブリックシアターの公演「ハムレット」を観てきた。3階のA席、5,500円。中央やや右だが舞台は全部欠けずに見え問題ない。今日は2階、3階席の脇の席に空きが目立った。当日券も販売していた。客層は圧倒的に40才くらいまでの若い女性であった。人気俳優が出ているためかシェークスピアが好きなためか。

私はシェークスピアの戯曲は好きだが、ハムレットは必ずしも好きではない、なぜかあまり面白みを感じないのだ。先王の弟グローディアスに対する怒り、先王の死後その弟とすぐに再婚した母への怒り、というのはわかるが、そこから先の彼の行動がどうも今ひとつ理解できない。ハムレットになった気持ちで思わず劇を観てしまう、という感じにならない。福田恆存氏の言うように優柔不断に見えて一つ芯が通っているのだろうが、まだ読み込みがまだ足りないのだろう、よくわからない。

さて、今回の中心となった役者について観た感想を述べてみよう。

  • 野村裕基(ハムレット)・・・・まあまあ頑張っていた、役柄と役者のイメージは一致していた
  • 藤間爽子(オフェーリア)・・・・同上
  • 野村萬斎(亡き父王の亡霊と、叔父王クローディアス)・・・・彼は役柄とイメージが一致していないと思った。萬斎はスリムでギラギラしたところがない。権力欲が強く、女好きなクローディアスのイメージに一致しない、この役はやはりちょっと太っていて精力絶倫のイメージが出せる役者がいい、以前、国村隼のクローディアスを観たが最高にはまっていた、ただ、萬斎は好きな俳優だ、映画「のぼうの城」や「七つの会議」の萬斎はよかった
  • 若村麻由美(ガートルード)・・・・これはぴったりはまっていた、やはりガードルードは美人の中年女でないとイメージと一致しない、若村はぴったりだ

舞台の演出は可も無く不可も無く、役者のせりふも大声で叫んでいるようなしゃべり方ではなく、まあまあだった。この劇場がおそらくイギリスのシェークスピア劇場(グローブ座)をイメージしてできた演劇専用の劇場だから声の通りが良いのかもしれない。

さて、この劇の翻訳だが、河合祥一郎氏だ。ウィキペディアをみると、シェークスピアの専門家で翻訳を多く手がけている方だ。祖母の大叔父がシェイクスピア戯曲を初めて全訳した坪内逍遙である。ハムレット訳では、有名だが実は誰も翻訳で使ったことのない「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」を用いたと。ちなみに福田恆存氏の訳は「生か、死か、それが問題だ」と訳されている。福田氏の「ハムレット(新潮文庫)」の解説を読むと、専門家間でどう翻訳すべきかの相互批判があるようである。福田氏は舞台の上演を前提に意訳しているが、批判者は書いてあるとおり翻訳すべきで福田氏は意訳に過ぎると指摘しているようだ。どちらの言い分に納得できるかまで勉強していないが、この世界も興味深いものだ。

14時開演、休憩を挟んで、17時30分終演、3時間半はちょっとキツく感じたが座席(シート)は座りやすかった。

【作】W.シェイクスピア
【翻訳】河合祥一郎(63)
【構成・演出】野村萬斎(56)

【出演】
野村裕基(ハムレット)
岡本圭人(オフィーリアの兄・レアーティーズと、廷臣ローゼンクランツの二役)
藤間爽子(さわこ、28、オフェーリア) ※三代目藤間 紫、祖母は初代藤間 紫
釆澤靖起(うねざわ やすゆき、39、ホレイシオ)
村田雄浩(ポローニアス)
河原崎國太郎(旅芸人一座の座長)
若村麻由美(56、ガートルード)
野村萬斎(亡き父王の亡霊と、叔父王クローディアス)

 


「Bagel & Bagel」でベーグルを買う

2023年03月19日 | グルメ

出かけたときにパン屋でベーグルを買った。今回はベーグル&ベーグルという店。通りかかった時、おいしそうだと感じたから。調べてみると結構多店舗展開している店だ。

ベーグル専門店でいろんな種類のベーグルがおいてあったので何を買うのか迷ったが、桜の味付けをしたピンク色のものとチーズ味のものともう一種類買った。店で見た感じでは、前に買ったKINOKUNIYAのベーグルよりボリュームが少し小さい感じだ。687円だった。

翌朝、食べてみるとおいしかった。特に桜の味付けをしたベーグルがおいしかった。ただ、ベーグルは本当は何かハムとかサラダとか挟んで食べるんだろうな、味がついていたからそのまま食べたけど。


「関西から世界へ! 葵トリオ」を聴く

2023年03月19日 | クラシック音楽

BS放送で葵トリオの演奏を録画して聴いた。

葵トリオは、小川響子(ヴァイオリン)、伊東裕(チェロ)、秋元孝介(ピアノ)の3人で、東京藝術大学出身、サントリーホールの室内楽アカデミーで共に学び、2016年に結成された。

2018年9月に開催された「第67回ミュンヘン国際音楽コンクール」のピアノ三重奏部門で日本人団体史上初、第1位の快挙を成し遂げた。このコンクールは難関として世界から注目され、受賞者は国際的なキャリアへの切符を手に入れることができると言われている。室内楽分野における優勝は東京クヮルテット以来48年ぶりで、このとき第2位はなく第3位が2団体だったことから、葵トリオが圧倒的に支持されたことがわかる。

テレビの放映のインタビューでは、自分たちは全員関西出身で、定期的にコンサートをやっている楽団は日本ではめずらしい存在である、地元でもっと活動したい、と言っていた。出身高校に行って演奏会などもしている。将来は地元で葵音楽祭をやりたいと思っている、コンクールの準備をしているとき、三重奏曲というのは結構あるとわかったと述べていた。私もピアノ三重奏曲はベートーベンの7番「大公」しか知らなかった。

今回の演目は

ピアノ三重奏ハ長調から第3楽章(ハイドン)
ピアノ三重奏曲D898から第2楽章(シューベルト)
ピアノ三重奏曲第1番(アレンスキー)

ハイドンやシューベルトは好きな作曲家だがアレンスキーという人は知らなかった。1861年生まれのロシアの作曲家で、ラフマニノフやスクリャービンの師でもある、この三重奏曲はロシアの名チェリストであるダヴィドフを追悼するために1894年に作曲された、葵トリオが地元の高校で演奏した曲もこれだが、高校生にはちょっと難しい曲だったのではないか。

海外で結果を出している日本の若手演奏家は本当に頼もしいものだ。今度、彼らのコンサートに行ってみよう。

 


「茂木本家美術館」に行く

2023年03月19日 | 美術

千葉県野田市に茂木本家美術館がある。新聞の美術欄で知った。この美術館はホームページによれば

「キッコーマンの創業家のひとつである茂木本家が2006年に開館した地域貢献型美術館です。創立者である十二代当主茂木七左衞門(1907-2012)は若い頃から美術品を蒐集してきましたが、これらの作品を多くの方々に鑑賞していただきたいという思いから美術館を設立しました。」

できてからまだ17年と新しいためビルの内外はきれいで、ビルの外観、内部のデザインも周辺とマッチして洒落て、かつ、上品な感じがある。この建物の設計などについてはホームページで

「美術館は茂木本家が「くしがた」というブランドで独自の醤油を醸造していた工場の跡地にあり、茂木本家の私邸、稲荷神社、キッコーマンの本社に囲まれています。この歴史ある場所に、彦坂裕氏、上山良子氏にそれぞれ建築設計、ランドスケープデザインをお願いし、周辺地域と融合しながらも洗練されたデザインにこだわった美術館建築と景観を実現いたしました。」

展示室は常設展示室と浮世絵ギャラリーとがあり、後者は年4回、テーマを決めてそれにふさわしい浮世絵を展示する部屋で、今日は「浮世絵で見る滝と橋、北斎から巴水まで」がテーマとなった展示がなされていた。美術館の展示室はガラス窓で外の庭園が大胆に見えたり、縦長に見えたり、天井から光を取り入れたり、いろんな工夫がなされており、建物自体も一つの美術作品のように思える。

展示室への入口と反対側にはカフェがあり、カフェの中からは庭園に出れるようになっている。庭園の奥には稲荷神社があり、また、庭園は隣接する茂木本家の板塀と屋敷林などが借景となっている。

美術鑑賞、庭園散策あとはカフェMOMOAで予約しておいた昼食を食べた。蕎麦とお寿司または天むすのセットで、事前予約注文だが、二人で一つずつ注文し、合計3,100円。地元の料理店の人が来て調理してくれるそうだ。また、カフェの壁の専用ショーケースには茂木瓊子初代館長が蒐集した塩こしょうセットのコレクションを展示されていたが洒落たものばかりだった。

贅沢で上品な時間を過ごせました。