特定非営利活動法人 被災者応援 愛知ボランティアセンター 公式ブログ

2011年3月17日設立。孤児遺児応援活動、被災地ボランティア活動等、現在進行形で被災者応援活動を行っています。

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十八成消滅の危機から脱するために~低平地の砂浜公園計画 概要~

2013年04月21日 02時30分34秒 | [東日本大震災]宮城県牡鹿半島十八成ボランティア

一般社団法人十八成ビーチ・海の見える丘協議会(会長:沼倉憲一)は、2013年4月13日に十八成浜で配布をした「くぐなり食堂ニュース」に、以下の概要を掲載しましたた。

復興交付金の運用に「砂浜の再生」も。復興庁も砂浜公園計画を後押し 
 低平地の砂浜公園計画は十八成消滅の危機を脱するものとして立案したものです。カタールフレンド基金は選外となってしまいましたが、それは実現のための手段の一つにしかすぎませんでした。一般社団法人 十八成ビーチ・海の見える丘協議会(以下、十八成協議会)は、本来の国の復興計画での砂浜公園の実現を考えています。
 平成25年3月8日に、復興庁が記者発表した資料によると、「復興交付金の運用の柔軟化について」、「Ⅱ.効果促進事業等の対象拡大」で、「観光・なりわいの再生に向けた事業」として、「砂浜の再生調査、整備」をあげています。同日、根本復興大臣は、「効果促進事業等についても、砂浜の再生、(中略)を含め、専ら個人・法人の資産を形成するための事業等のネガティブリストに該当しないものには基本的に対応します」と記者会見で語り、十八成の砂浜公園計画を復興庁も後押ししています。

限界集落の十八成。このままでは20数年後には、消滅の危機に
 限界集落という言葉があります。限界集落とは、65歳以上の高齢者が人口比率で住民の50%を超えた集落のことを指しています。限界集落は過疎化・高齢化の進行で日本中に急速に増えてきています。限界集落となった地域はやがて消滅に向かうと考えられています。
 過疎地を襲った東日本大震災は、過疎地の過疎化をいっそう促進させています。下の表は1960年(人口1,000人)から2012年(人口120人)までの十八成の人口の推移を示しています。

 

 この50年で人口は90%も減少しています。そして、東日本大震災があきらかに拍車をかけています。十八成が大きな変化がなくこのままのような状況なら…、20数年後に消滅の危機を迎える可能性は極めて高いと思われます。

消滅の危機から脱するために
 十八成協議会は高台移転に際して、被災者が住みやすい住宅をつくることが最も重要な課題です。ですが、いくらすばらしい防災集合住宅を作ったとしても、20数年後には住む人がいなくなるとしたら…、それは本当に残念なことです。ですから、十八成協議会は明日の十八成をどうつくるのかも真剣に検討しなければならないと考えています。そのためには…。そうです、流されてしまった低平地です。被災者の思い出のつまった場所です。津波でできてしまった何もない広い土地。ここを有効に活用し、意味あるものにしなければ、いけないのではないでしょうか。

高台造成の土砂で低平地をかさ上げ
 低平地のかさ上げは行政の行う決定事項です。行政による買い取りを希望されない方の土地もかさ上げすることも決定事項です。現段階で行政レベルでの決定事項はここまでです。この後の方向性として、行政は買い取った低平地を公園にする案があります。今は案でしかありません。そして、どのような公園にするのかという具体案はもちろんありません。

行政が買い取る低平地を、かつての十八成のイメージに
 十八成協議会は、十八成の消滅危機を脱する方途として、公園化に目をつけました。芝生や草木の緑地公園ではなく、鳴き砂の十八成らしい公園、かつては野球もできた広々とした砂浜だった十八成。広大な低平地に砂を入れて、砂浜公園にすれば、かつての十八成のイメージを再現することができるのではないかと考えました。公園造成経費も、公園にした後の維持管理経費も、砂浜公園の方が、緑地公園よりはるかに安くつきます。従って砂浜公園化は行政にとっても合理的な案です。なお、この時点では現在の県道2号線はまだ残っている状態です。砂浜公園建設後は、十八成協議会が指定管理者として、公園の運営をさせて頂きたいと考えています。

砂浜公園は、どのように十八成を消滅から救うのか
①平日は砂浜公園での介護予防事業に、1万人
 砂浜を歩くだけで足腰を鍛えることができます。砂浜を利用したビーチスポーツは幅広い世代の人たちが楽しむことができます。石巻市亀山紘市長は「私もスポーツを通じて健康のことは考えていました。それも難しいスポーツじゃなく、子供や高齢者が気軽のできるようなものをと考えていました。市民が健康になれば、引いては、市の財政負担も軽減できると言うことなんですよ」と、ビーチスポーツが介護予防事業として、市民の健康増進に役割を果たし、それが医療費や介護保険料などの軽減につながっていくことを期待されています。砂浜を活用した高齢者の健康増進、健康維持プログラムを開発します。そして、介護予防事業として、石巻市市内および周辺地域に送迎バスを出し、高齢者を招きます。雨天対策用には簡易な体育館施設も用意します。平日の午前、午後のプログラムに、30人ずつの利用者とすると、30人×2×150日で年間約1万人の利用者を見込むことができます。 

②休日は砂浜公園でのビーチスポーツに、3万人 
 ビーチでの代表的なスポーツは、オリンピック種目にもなっているビーチバレー。そして最近関心が高くなっているビーチサッカー。他にもビーチテニス、ビーチバスケットボール、ビーチフットボール、ビーチハンドボール、ビーチアルティメット(フライングディスクを用いた競技)、ビーチレスリング、ビーチ相撲、監視員の技術を競うライフセービングやトライアスロンなどもビーチスポーツです。ビーチでのたこ揚げ大会も考えられます。仮に1チーム5人のビーチスポーツ大会を主催すると、応援や家族も含めると1チーム10数人の参加を見込むことができます。20チーム参加の大会を主催すれば、15人×20チーム×100日=3万人のビジターを見込むことができます。

③春秋の遠足に1万人、冬は砂の芸術祭に、1万人
 春や秋の遠足シーズンには、獲りたてで新鮮な牡鹿半島の魚を、砂浜公園付帯施設のバーベキューコーナーで楽しみ、食後はビーチでスポーツを楽しむことができます。仙台市周辺からほどよい距離の遠足地です。遠足として、1日200人×50日=1万人を見込むことができます。冬には札幌雪祭りのような砂を利用した立体造形物をつくり、砂の芸術祭のようなイベントを2週間程度開催し、1万人の観光客を見込みます。

④年間ビジター目標、当面は6万人
 上記の計画を達成することができれば、年間6万人のビジターを見込むことができます。一人当たり2,000円消費すると想定すると、2,000円×6万人=1.2億円の経済効果を見込め、3,000~4,000万円の収益が生まれると想定されます。そして、十八成浜を中心とした高齢者の雇用を創出することができます。健全な労働が高齢者の生き甲斐につながっていきます。ビジターは、将来的にはさらなる増加を目標とします。

⑤過剰な設備投資はせず、ランニングコストも格安
 当面必要な施設は、管理施設(飲食・物販コーナー含む)、風雨がしのげる程度の簡易体育館的施設程度です。管理運営経費は砂の管理が中心ですから、それほどかかりません。ビーチサッカーでは競技の前に選手全員でビーチの清掃活動をします。自分たちが楽しむ場所は自分たちできれいにするのがビーチスポーツの神髄です。利用者とともに、環境を守ることは、環境保全の啓発とともに、ランニングコストの削減にもつながります。

⑥年間降水量の少ない石巻市!~夏暑くなく、冬はそれほど寒くない!~
 気象庁は全国1,022地点の過去30年間の降水量を公表しています。そのデータによれば、石巻市は雨が降らないランク1,022地点中、96位(上位10%以内)。さらに十八成は夏でもそれほど暑くはなりません。冬も雪は少なく、風も比較的穏やかです。「十八成ビーチ」は自然の恵みという貴重な資産を最大限に活かせます。雨が少ないことを利用して、太陽光発電・蓄電をできるだけ大規模に導入します。災害が発生した時にはこの装置が十八成を助けます。

将来的には天然ビーチの再生で、海水浴客3万人
 神戸大学大学院内山雄介准教授(海洋工学)は、十八成浜の砂浜再生について「もともと砂浜ができる地形だったので、その地形に沿って砂を投入すると砂浜は再生できるのではないか。ただし、震災後の海底地形の測定が必要」といわれています。最終的には、現在の県道2号線を撤去し、海岸線を少しさげる形で、かつての美しい景観を取り戻したいと考えています。海水浴客は3万人を見越しています。

高齢者が移住したくなる十八成に
 砂浜公園事業の第一期の目標はビーチスポーツなどの振興で十八成が活気を取り戻し、利益をあげ、地域住民の雇用を確保し、以て健康の増進に寄与することです。
 第二期の目標は、このビーチ事業の利益を糧として、十八成の皆さんが安心して暮らせる街をつくることです。高齢者が多い十八成。元気な方はそれぞれの希望や特技を活かしてビーチの諸施設で働いて頂くことができます。そして、利益によって高齢者に必要な諸施設を建設、運営し、十八成の皆さんが安心して住める街を作っていきます。
 第三期の目標として、他地域の高齢者が住みたくなる街づくりを展望しています。十八成の高齢者の皆さんが安心して住める街は誰にとっても老後を安心して暮らすことができる街です。高台では高齢者の方々が安心して老後をおくることができ、低平地ではビーチスポーツで活気あふれる街をめざします。
 最終的な目標は、人が住みたくなる、人に優しい街づくりです。雇用が保障され、高齢者や弱者に優しい街。それこそが被災地にふさわしい街づくりではないかと考えています。

 十八成協議会では砂浜公園による“浜おこし”(十八成再生)案は有力な方法であると考え、実現化にむけて動いています。しかし、この案が唯一無二のものであるとは考えてはいません。他にもすばらしい“浜おこし”プランがあれば、虚心坦懐に検討します。そして、よりよい十八成再生のために、地域の皆様とともに歩んでいきます。
 なお、「牡鹿半島は今 被災の浜、復興へ」(鈴木孝也著 河北新報出版センター 2013年3月10日発行)で、「にぎわいへ砂浜の再生構想(十八成浜)」として、及川区長(十八成協議会副代表)のインタビューを中心にこの計画が紹介されています。ご一読ください。(文責:久田光政)

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