介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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権利と公正

2008-02-29 20:45:45 | 成年後見
【法の世界における権利と公正】
第4章 現代社会と知的障害者の最後の節
「6 権利と公正」(p190-p204)に入ります。

(1)正義
(2)権利
(3)衡平
(4)消費者契約

の4つの項に分けて考察が進められます。(以下では、この区分をしません)

この節で用いられる概念は、法律学しかも「法哲学」とか「法理学」とか言われる用語で説明されていて難しいのですが、できるだけ易しい表現に置き換えながら、筆者の意図を簡単に紹介してみます。(該当ページを逐一示しません。)

【正義】
自分とは(自分がしたいことをするのではなく)自分とは違う他人の尊厳を認めることによって初めて得られますが、その時にはその基本に正義がないと成り立ちません。

【権利の尊重】
知的障害者の周りに生きている多数者である私たち自身が、「彼らの尊厳を認めないのは問題だ」という感受性をもてるかどうか、彼ら自身の問題というより、多数者である私たちの問題になってくるのです。

【手続きのルール】
成年後見人とは、権限のある法的代理人であるために、知的障害者の行為を代理するに当たっても、守るべき手続き上のルールがある。

【衡平】
個別的な事例に即して、一般原理としての正義を補正するのが「衡平」という法概念です。

【消費者契約】
「福祉契約」といいますが、交渉の余地は乏しく「買うか買わないかの自由」を持つ消費契約の代表になってしまう。

【自己決定とは違う原理】
専門家責任や職業的役割に基づく責任原理といった新しい理論体系が必要です。
・・民法の意思表示・法律行為論の再構築が求められます。

【社会を維持発展させるためのコスト】
社会福祉のための支出は削減されてきたが、社会に暮らす人々が自己の利益を獲得するためにも社会福祉が必要なはずです。それは、社会を維持発展させるために必要なコスト負担だからです。

【規制緩和というが・・】
規制緩和の名の下に、社会福祉サービスの商品化をすすめ、公的責任を縮減しようとする動きが進んでいます。福祉の権利性があいまいになって、商品を買う権利へと転化されていて、新保守主義的な戦略に近くなっています。

*この節で、筆者が引用・参照している思想家。
ロールズ、プラトン、アリストテレス、ドゥオーキン、カント、セン、ノージック
ノーマン、ガルブレイス、ボードリアール、ベラー
(私もこのうちで半分程度の名前を知っているだけです・・)
*これまでの基礎的な作業を終えて、次回から、いよいよ成年後見制度の具体的な内容に入ります。
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