【今日で11回目】
細川瑞子『知的障害者の成年後見の原理』(信山社、2007)
を少しずつ読んでいます。
「知的障害者」とあるので「障害者福祉論」のようでもあり
「成年後見」とあるので民法の本のようでもありますが
私は、この本は、これからの日本の「市民社会政策」の理念を考える意味でも重要なテキストになるのではと思うようになりました。
*「市民社会政策」については、このブログの最初のカテゴリをご覧ください。
*Google で、”細川瑞子”と検索すると、1270ヒットします。
なんと、その検索リストの1番目と2番目と7番目はこのブログでの「細川瑞子」でした。
【自由という言葉の独り歩き】
今日読むのは
「第4章 現代社会と知的障害者」の
5 自由に代わる理念 です。(p177-p190)
海外の思想家などの基礎文献が引用されます。
「自由」という言葉を言うだけでは実体はないとして、それに代わる理念を探しています。
「社会のあり方に関する価値判断的な議論を研究対象とする規範理論は日本では未発達である」と、坂口緑の論文(2004、ナカニシヤ出版『現代規範理論入門』収載)を引用しています。
*最近読んだ、京極高宣(2008、社会保険研究所)
山脇直司(2008、東京大学出版会)
なども共通の認識があるようです。
【共生社会】
この節では、
(1)平等・差異
(2)ニーズ
に分けて考察を進めていますが、幾つか印象深い箇所をあげてみます。
・人間の尊厳の視点は、知的障害者を社会で見る視点として、大きな意味をもつ。p179
・就労活動の領域に生活の主要な場を持たない高齢者や障害者の問題は、これまでの資本主義の考え方では通用しないことになる。p183
・判断能力の不十分な人の福祉にも契約制度を持ち込んだことによって・・戦前の家族制度に戻ったような心地がする。p184
・ニーズ論も、本人の自主性や欲求を元にして成り立つとすれば、判断能力の不十分な知的障害者には、ニーズがないことになってしまうおそれがある。
【公共善】
「社会における個々人の公共道徳の涵養が、安定した社会の建設や維持には不可欠である。このような共通善や公共善が社会にないかぎり、判断能力があっても安心して暮らせる社会とはいえないだろう」とこの節をまとめている。p189
信山社
をクリックして
→最新刊→民法
と進むと、本書の詳細な目次がでます。
細川瑞子『知的障害者の成年後見の原理』(信山社、2007)
を少しずつ読んでいます。
「知的障害者」とあるので「障害者福祉論」のようでもあり
「成年後見」とあるので民法の本のようでもありますが
私は、この本は、これからの日本の「市民社会政策」の理念を考える意味でも重要なテキストになるのではと思うようになりました。
*「市民社会政策」については、このブログの最初のカテゴリをご覧ください。
*Google で、”細川瑞子”と検索すると、1270ヒットします。
なんと、その検索リストの1番目と2番目と7番目はこのブログでの「細川瑞子」でした。
【自由という言葉の独り歩き】
今日読むのは
「第4章 現代社会と知的障害者」の
5 自由に代わる理念 です。(p177-p190)
海外の思想家などの基礎文献が引用されます。
「自由」という言葉を言うだけでは実体はないとして、それに代わる理念を探しています。
「社会のあり方に関する価値判断的な議論を研究対象とする規範理論は日本では未発達である」と、坂口緑の論文(2004、ナカニシヤ出版『現代規範理論入門』収載)を引用しています。
*最近読んだ、京極高宣(2008、社会保険研究所)
山脇直司(2008、東京大学出版会)
なども共通の認識があるようです。
【共生社会】
この節では、
(1)平等・差異
(2)ニーズ
に分けて考察を進めていますが、幾つか印象深い箇所をあげてみます。
・人間の尊厳の視点は、知的障害者を社会で見る視点として、大きな意味をもつ。p179
・就労活動の領域に生活の主要な場を持たない高齢者や障害者の問題は、これまでの資本主義の考え方では通用しないことになる。p183
・判断能力の不十分な人の福祉にも契約制度を持ち込んだことによって・・戦前の家族制度に戻ったような心地がする。p184
・ニーズ論も、本人の自主性や欲求を元にして成り立つとすれば、判断能力の不十分な知的障害者には、ニーズがないことになってしまうおそれがある。
【公共善】
「社会における個々人の公共道徳の涵養が、安定した社会の建設や維持には不可欠である。このような共通善や公共善が社会にないかぎり、判断能力があっても安心して暮らせる社会とはいえないだろう」とこの節をまとめている。p189
信山社
をクリックして
→最新刊→民法
と進むと、本書の詳細な目次がでます。
知的興奮さえ味合うこつができます。例えば、148pの<法規制と規制緩和>の中の、成年後見制度の成立の意味、そして、「社会参加の法」という見方などなんと深い思考かと思いました。とにかく各章の論理展開に右往左往しています。
Googleによれば
私以外の多くの方が
この本と
格闘しておられるようです。
スローガン的にしか使われない言葉を
理念まで翻って考察しているので
熟読に値しますね。