介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

新しいブログにリンクしています。7つのテーマにわけました。引き続きお読みください。

第4007号 鹿児島の介護問題:取材記者が教室で語る

2010-10-16 13:24:52 | 介護福祉
今日、10月16日、学部の授業が公開されているので聞きました。

鹿児島の地元紙である南日本新聞が、昨年、介護保険10年ということで3部にわたって特集を組んでいます。今日は、社会学のM先生の「現代社会論Ⅱ」というオムニバス授業の第4回の講義として、この特集を担当した記者のお話を聞くことができました。

講師:南日本新聞社社会部のY記者
時間:2時間目(10:50~12:20)
教室:7号館、712号教室。
*ブログへ記事にすること、写真を掲載することをY記者及びM教授からご了解いただきました。


【新聞記事から】

2009年3月の鹿児島でおきた2つの事例の記事から:
・ 80歳の夫が74歳の妻を殺そうとした事件
・ 79歳の夫と78歳の妻が死んでいることを数日後発見された記事

学生には、一般論よりは、こういった年齢・地名・日付が入った具体的な情報がわかりやすい。この導入部分で、教室はぐっと静まりますね。

殺人未遂事件では、裁判を傍聴したY記者。80歳の夫はごく普通のおじいさんだった。
懲役3年、執行猶予4年。

【連載企画から】

介護保険法のねらいや高齢化の現実を法律の文章や統計から紹介。
現在の制度の問題点があげられる。
・ サービスが足りない
・ 介護スタッフが足りない。厳しい労働条件
・ 待機者の統計
・ 老老介護の実態

「家族の負担は軽減されず、『介護の社会化』とは程遠い・・」と。

取材された記事:
・ 介護職を辞めて運輸業をしている事例
・ 自宅を開放して「介護カフェ」を開いている介護職
・「老老介護」(Mさん73歳が妻67歳とともに99歳の父を介護)

Y記者は、個別の介護事例の紹介のあとには「もっと深刻な世帯がたくさんあると思う」と加えています。


【最後も取材記事から】

夫95歳、妻89歳。
夫は要支援1
妻は要介護5(10年寝たきり)

この夫婦の御宅で1日すごして取材した。
煮しめをレンジに入れて焦がしてしまった。
こげた部分を自分が、焦げない分を奥さんに。

そばで見ていてY記者はなんどもこれは「あやうい」と思ったそうです。

しかし、夫は、この状態が幸せだと記者に語っている。
「妻より1日でも長く生きたい」との夫のことばで講義を結んだ。
教室は「もらい泣き」状態に。


【生きた情報の迫力】

このあと、質疑があり、学生からは、
・ 介護職を公務員にすれば?
・ 介護家族が実名を出すこと写真を了承したのか?掲載後の反響は?
・ 連載企画のあと、(新聞社では)どのような取り組みがされているのか?

など
踏み込んだ疑問と意見が述べられていました。
コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第4006号 ビッグイシュー:若... | トップ | 第4008号 介護支援専門員直... »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
学びの場 (どりーむ)
2010-10-16 13:41:37
どんな授業だったのか、
とってもよく、思い浮かべることができました。

常々、思っているのですが、
やっぱり、教育は大事です。
今の私がこうしてあるのも、
やっぱり、教育のおかげで、
ただの偶然で選んだ看護学校ですが、
そこで教えていただいたことは、
本当に、大切なことばかりで、
そこで学べたことを、誇りに思っています。

そう思い、非難を恐れずにいうと、
やっぱり、今のヘルパー2級過程は、
「教育」というレベルにはほど遠く、
その方々が、
改めて「教育」を受けることなく、
「介護福祉士」という国家資格を得られるという
今のシステムにも、
大きな課題があると言わざるをえないと思います。

それはさておき、
この授業を受けられた学生さん達は、
きっと、これから様々なことを
見たり、聞いたりされる事でしょうね。
その時、
今日の授業のことを思い出し、
また新たな見知を得られることと思います。
羨ましく、そして、頼もしい限りです・
私たちも研鑽を (ひろりん)
2010-10-16 14:31:59
南日本新聞社が「介護保険10年」をテーマに3部構成で連載したこの記事はずっと読んでいました。

そして、専門学校の講義でも記事を使わさせていただきました。
介護福祉士を目指す学生に現状を知ってもらいたいと思ったからでした。

偶然にも私もこのシリーズで取材を受ける側となり、Y記者は高校の後輩でもありました。
 
私も教える立場にいますが、現場にいる私たちが学生に伝えていかなければならないといつも思います。

教科書だけでは学生には伝わらない。
こういった授業が少しでも多くなることを望みます。

そして私たちもその努力を惜しんではいけませんね。
教育と現場 (Maa-chan)
2010-10-16 15:07:58
 聴講された学生さんにとって,とても心に残る話であったと思います。

 大学におけるソーシャルワーク教育が,「受験資格」のためだけの教育になってはいないか,と感じることがあります。
 もちろん試験に合格しなければならない以上,ある程度は仕方ないのかもしれませんが,「今現場で起きていること」を伝えどう考えるのか,はソーシャルワーク教育の中に取り込む必要がある,と感じます。

 ソーシャルワーク研究の「永遠の課題」かもしれませんが,研究・教育と現場実践をどう結びつけるのか,の一つの考え方を,講義された先生は示したのかもしれません。
本物を見た迫力 (bonn1979)
2010-10-16 17:20:23
どりーむさん

コメント有難うございました。

教室から帰って
急いで書いてから
帰ってきましたら
コメントが3件も入っていて
嬉しい限りです。

Y記者は
入社6年目といっておられた。
批判精神も優しさもそなえた方で
学生達のまなざしは真剣でしたね。

終わってから
この記者に挨拶させていただき
ちょっとですが
先日の読売記事(10月5日)の背景のような話をしました。
驚きました (bonn1979)
2010-10-16 17:25:37
ひろりんさん

成年後見のときのお知り合いの記者さんとは
Y記者だったとは!

若いということ
通念にとらわれずに自分の目でみていること
取材対象への愛情
基礎的な勉強
自分の見聞への謙遜

こんな優れた記者が見てきた去年の特集は
鹿児島の介護問題を考える際に
まず読むべき記事だ

講義を聞いて思ったことです。

ひろりんさんの講義こそ
ご自分の体験を基礎としての
講義で
学生達の蒙を開くものになっていると思います。
教壇にたった経験 (bonn1979)
2010-10-16 17:28:43
Maa-chanさん

コメント有難うございます。

このオムニバス講義の企画者であるM先生とは
講義終了後少しお話しましたが
実に入念に準備されています。

教育・研究・現場そして社会
それぞれが
垣根を低くして立ち向かうべき時代ですね。
もらい泣き (JUNKO)
2010-10-17 16:01:17
>学生には、一般論よりは、こういった年齢・地名・日付が入った具体的な情報がわかりやすい。この導入部分で、教室はぐっと静まりますね。

私も講義で聴く話のうち「当事者」や「当事者から直接聴いた話」というものが一番心に残りました。
大学のスクーリングで、授業中だというのにワンワン声を出して泣いてしまったこともあります。(交通事故被害者のお話でした)

素晴らしい授業ですね。
きっと学生さん達にも忘れられない授業になったことでしょう。
聞いていたのは3年生か (bonn1979)
2010-10-17 16:13:27
JUNKOさん

この記者の方は入社6年とか。
先週は、同じ新聞社の政治部長さんが
町村合併の取材のことを話されたとか。

だから緊張されたと思います。

思い込みのない
素直な感想を
記事にして
それを話されたのですね。

私は
市民のおじさんが聞いてるかんじで・・
あとで挨拶して驚かれましたが
こういう記者が育っていけば
と願いますね。

土曜の昼過ぎ
教室の前で売っている
400円の弁当を食べてから
このブログを書きました。
時間がたつと「腐る」と思いましたから。

書いてから
最寄駅まで25分
桜島を見ながら帰った。

神戸の街をみる時間はあるだろうか?
横浜のときの要領でやろう。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

介護福祉」カテゴリの最新記事