私のパパはリアルハンター。
冬季限定日曜ハンター。
日曜の朝はウッキウキ。ライフル片手に小躍りしながら山へゆく。
と、いうことで。
私の父は狩人なのです。
毎年、11月~翌2月までの狩猟解禁期間の日曜はほとんど家にはおりません。
そこで、これ幸いとばかりに、母と2人で外食三昧の週末を送るのです。
本日は、ちょっと遠征してお隣の静岡県は富士宮市まで、やきそばを食べに行ってまいりました。
「富士宮のやきそば」と言えば、全国区でもちょっと名の通ったやきそば。
そのルーツには身延線(山梨と静岡を繋ぐ鉄道・基本的に2両編成の田舎丸出し路線)が深く関わっている…そうですので、山梨県内にも「富士宮のやきそば」を扱うお店がチラホラと存在します。
普通のやきそばに比べて、コシの強い麺が特徴です。その噛み応えに魅せられた私は、いつか本場の「やきそば」を食べたいと願っていたのでありました。
っつーか。ぶっちゃけここ最近はその願いもすっかり忘れていたのですが、ひょんな事からブーム再熱!!
「日本全国ローカルフード紀行―新名物にうまいもんあります。」
「富士宮のやきそば」や「佐世保のバーガー」と言った、どこにでもある食べ物が土地独特の進化を遂げた、いわゆる
新名物が満載されたご本でございます。
これを読んでしまった故、富士宮まで車を走らせる程にヒートアップしてしまったのでした。
本日選んだお店は、創業昭和23年、本場富士宮で最も老舗の『すぎ本』さんです。
富士宮商店街のメインストリートから、一本入った通りに佇んでおります。車のドアを開けた瞬間、ソースの香ばしい匂いが鼻をくすぐります。もうたまらん。
店内はカウンターが15席ほどに、鉄板つきテーブルを備えたお座敷席が10席ほど。(適当ですが。)結構広い。
お店のおばちゃんは結構スルドイ。一目で観光客を見破りますよ。
そして、マシンガンのように放たれる営業トーク!!
合いの手を挟む間もないスピードで、『すぎ本』の歴史を語り、実は「やきそば」よりも「お好み焼き」のが歴史が長いのよ!だからお好み焼きも食え!!とオススメされます。
とにかく早口なので圧倒されます。そして一見さんは90%の確立で「五目やきそば」と「五目お好み焼き」を一枚ずつ注文するのです。
よほどの通が地元の方でない限り、調理はお店の方がしてくれるようです。
10分ほどでアツアツの出来たて~、が運ばれて参りました。
そして、再び鉄板にON!加熱しながら食べるのが富士宮流なのです。
皿になど取らずに、鉄板から直接食え!
お好みなんざ、ヘラで食え!!
そういう食べ方指南が、テーブル脇に置いてありました。
実践したら、熱くてたまらないので私はお皿に取り分けましたよ。
「富士宮のやきそば」といえば太麺、と思い込んでいたのですが、こちらの麺は細麺でした。
でも、強いコシは健在。この噛み応えが大好きなんです。
ついでに、削り粉の風味も大好き。ソースと削り粉はかけ放題なので、むせるほどの削り粉をまぶしましたとも。
テーブル脇の食べ方指南に書いてあった事によると、コシの強い麺の秘密は「身延線にあり。」との事。
身延線の開通当時、富士宮は山梨から買出しに来る人々で大いに賑わい、こぞって当時珍しかった「やきそば」をお土産にしたのだそうです。お土産としての需要が増えた事で問題となったのが“日持ち”。
少しでも長く日持ちする麺を…!として考案されたのが、水分の少ない硬い麺。
硬い麺を、いかに柔らかく調理するか…という工夫を繰り返す内に、水を加えたり、キャベツの水分を利用するスタイルが生み出されていったそうな。
ローカルフードに歴史あり。
テーブル脇のちょっとした情報って楽しい。ヒマつぶしにしかならないけど。
「お好み焼き」の方にも歴史がありまして。かつて、この辺りではお好み焼き屋の事を「洋食屋」と呼んでおりました。
古いお店など、今でも「洋食屋」の看板を掲げております。なぜか?と疑問に思ってみると、答えはちゃっかりテーブル脇にありました。
「ソース味=洋風」という昔の人の連想により、お好み焼きは洋食と呼ばれるようになったのでございます。
日本生まれのフードのクセに、昔の人の強引さはスゴイなぁと思ったり。
ってか。ぶっちゃけ「お好み焼き」の方が美味しかったのです。歴史が長いだけあって。
広島・大阪に比べて、やけに平べったい。生地もちょっとユルめ。もんじゃが少し混じったような。
ユルめの生地が、ソースを吸ってこってりと美味しいのです。
『すぎ本』を訪ねるのなら、おばちゃんのオススメに従いお好み焼きも注文するのが正解です。
さて、富士宮市は「
「富士宮やきそば学会」なるモノを発足しております。
「富士宮のやきそば」の保存と、さらなる発展を推進する団体らしい。HPの手作り感が、いかにもローカルで微笑ましゅうございます。
ついでに、富士浅間神社の正面には
「お宮横丁」という、ちょっとした出店の集合体がございます。
横丁に入ると、まず目に飛び込むのが「やきそば学会」のアンテナショップ。ここでやきそばマップが手に入ります。もちろん、やきそばも食べられちゃう。
そして、アンテナショップの脇に鎮座するのが…。
やきそば大明神
すっごい判り難い写真ですが、ご神体は
やきそばフィギュアでございます。
浅間神社の目の前に、こんなソースくさいご神体を祀ってしまう度胸に乾杯!
昔はビールジョッキのフィギュアも並んでいたらしいのに、今ではやきそば一人ぼっち。一人ぼっちで頑張るやきそば様にエールを贈りたい。
チープリィ&アットホームな街でした。
次は
「おでん横丁」ですね。