すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【マンC攻略法を考える】どうすれば強豪マンチェスター・シティに勝てるのか?

2018-10-24 06:43:46 | サッカー戦術論
引いて守る人海戦術では意味がない

 2018-19年シーズン、勝ち点20で首位を行くマンチェスター・シティが第9節で当たったのは、古き良きイングランド・スタイルを残すバーンリーだった。まさに往年のフットボールと、未来志向のフットボールとの対戦である。

 このゲーム、ポジショナルプレイの花を咲かせて圧倒的な攻撃力を誇るシティに対し、バーンリーは相手ボールになればディフェンディングサードまでリトリートし、「ゴール前にバスを停めて」ボックス内を選手で埋める人海戦術に出た。

 だが精密な技術力をもつシティによって、この古びた戦い方はあっさり無効化された。彼らは猫が歩くほんの一歩分のスペースさえあればすべてを可能にする。ボックス内を仮に11人で埋めても、わずかに残ったスペースを使いシティは余裕でゴールを生み出す。

 実際、この試合では後半9分の2点目のゴールが分水嶺になった。

 シティのサネがペナルティエリア内でバーンリーの選手と交錯し、「PKだ」とアピールしながら倒れた。このときバーンリーの選手たちはプレイを止めてしまったが、審判はファウルを宣してない。すかさずシティにセンタリングを入れられ、ベルナルド・シウバにシュートを決められた。

 前半のバーンリーは失点を1点に抑え、緊張感のある戦い方をしていただけに悔やまれる1点だった。これで緊張の糸が切れ、あとはシティが5点を奪うド派手なゴールショーが演じられた。

ハイプレスでシティのビルドアップを破壊する

 このゲームで実証されたように、シティに対し引いて守る戦い方は意味がない。彼らはほんのわずかなスペースさえあればすべてを可能にするからだ。

 とすれば考えられるのは、ハイプレスでシティの綿密なビルドアップを破壊する方法だ。最前線からマンツーマンでハメてシティにクリーンなビルドアップを許さず、できるだけ前でボールを刈り取ってしまう。で、あとはショートカウンターをかけて素早くゴールを仕留める。

 ただしこの方法とて、もしハイプレスを外されると非常に危険だ。重心が前に偏っているぶんピッチの後ろ半分にはたっぷりスペースがある。ハイプレスの網の目を抜け出したシティの選手に、この後ろのスペースを自由に使われたらひとたまりもない。

 しかもシティはビルドアップ時にアンカーのフェルナンジーニョが最終ラインに落ちたり、左SBを高く上げて残りのDFが中央にスライドして3バックを形成し、3-1-3-3で攻撃を組み立てるなど精密なビルドアップの構築に余念がない。

 おまけにSBが前に出て絞る偽SBのポジショニングをし、シティの4-1-2-3の構造的な弱点であるワンアンカーの両脇のスペースをSBが埋め、敵のカウンターにあらかじめ備える予防的カバーリングを行うなどカウンター対策にもぬかりがない。

 結論をいえば、ぶっちゃけ下位や中位のチームではシティにはとても勝てないだろう。彼らに土をつける可能性があるのはリバプールとチェルシーだけだ。あとはあえて挙げれば、好調時のマンチェスター・ユナイテッドかアーセナルくらいだろう。

 かくして、今季もマンチェスター・シティを中心にリーグが回って行く。いったい彼らを倒すのはどのチームなのか? そんな目でプレミアリーグを観るのもおもしろいかもしれない。

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