すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 18/19 第8節】睨み合いの90分 〜リバプール0-0マンチェスター・シティ

2018-10-08 14:08:41 | イングランド・プレミアリーグ
守備に重心を置き慎重だったマンC

 剣の達人ふたりが間合いを詰め、見合ったまま息を殺しているかのようなゲームだった。すごい緊張感だ。リバプールはボールを奪ってからのショートカウンターが速いが、それ以上にシティの守備対応が早い。アウェイのシティは慎重に引き分けを睨みながらの90分間だったのだろう。

 リバプールとシティのフォーメーションはともに4-3-3。リバプールのスタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からゴメス、ロヴレン、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにヘンダーソン、インサイドハーフはミルナーとワイナルドゥム。3トップはサラー、フィルミーノ、マネだ。

 シティのスタメンはGKがエデルソン。4バックは右からウォーカー、ストーンズ、ラポルト、メンディ。中盤はフェルナンジーニョ、ベルナルド・シウバ、ダビド・シルバ。3トップはマレズ、アグエロ、スターリングである。

マレズがPK失敗、シティ先制ならず

 試合は基本的にホームのリバプールがボールを保持し、シティが守りながらボールロストを狙う、という展開になった。シティは、どちらかといえばポゼッションが苦手なリバプールにあえてボールを持たせる作戦だったのだろう。

 マイボールの時間が長いリバプールは、多少アバウトでも早めにライン裏にロングボールを入れて行く。意識的に縦に速く攻めようという狙いだ。相手DFの背後に入れたボールを、スピードのある3トップが競ってナンボ、というサッカーである。

 そしてリバプールはボールを失うと、4-3-3のままミドルブロックで守備対応する。ときには相手ボックス内まで3トップが入り込んでプレッシングしている。ただシティはボールを持つとわずかなスペースを見つけて入り込み、きわどい局面を作り出す。

 おもしろかったのは試合終了間際になり、やっとシティがアタッキングサードで鋭いフィニッシュを見せ始めたところだ。攻めれば、明らかにシティの攻撃のほうが緻密だった。

 そして最大のヤマ場は、後半40分にリバプールのファン・ダイクが与えたPKである。これをシティはマレズが蹴って失敗した。ファン・ダイクは焦って無理にタックルすることはない場面だったが、プレッシャーがそうさせたのだろうか。マレズにPKを決められていたら万事休すだった。

 いずれにしろ首位攻防戦にふさわしいねじり合いだった。攻め合いにはならなかったが、あのヒリヒリするような異常な緊張感を味わえただけでもお客さんは本望だろう。

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【CL 18/19 C組第2節】ナポリ流、ゴールの作り方 〜ナポリ1-0リバプール

2018-10-06 09:21:16 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
流れるような華麗なパスワーク

 チャンピオンズリーグのグループC・第2節は、アンチェロッティのナポリとクロップのリバプールとの対戦になった。ナポリがポゼッションし、リバプールがボールを奪ってショートカウンターをかける展開だ。

 ナポリのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがオスピナ。最終ラインは右からマクシモビッチ、アルビオル、クリバリ、マリオ・ルイ。中盤はアンカーがハムシク、右インサイドMFはアラン、左インサイドMFはファビアン・ルイス。3トップはカジェホン、ミリク、インシーニエだ。

 試合冒頭からリバプールはありえないようなパスミスが目立ち、「変調」を感じさせる。しかも前半19分にはMFのナビ・ケイタが負傷を訴え、ジョーダン・ヘンダーソンと交代するというアクシデントまで起こった。この日のリバプールを象徴するような出来事だ。

 一方、昨季までサッリ監督が手腕を振るったナポリのスタイルは、(当然だが)やはりチェルシーに似ている。少ないタッチ数で流麗にリズミカルなパスワークを見せ、全員が足を止めずに絶えずパスコースを作るオートマチズムが完成されている。パス成功率、チャンスの数とも、明らかにナポリのほうが多い。

 ナポリはワイドに幅を取ってサイドに圧力をかけ、サイドのスペースを消している。そのためリバプールは高い位置でボールを奪ったときにはカウンターが利くが、低い位置からビルドアップする場合はサイドにフタをされてSBの上がりを封じられ、ビルドアップ不全症候群に陥っている。ナポリが取ったサイドを殺すやり方は、プレミアリーグでも見られるリバプール対策の典型だ。

2タッチ以内で5本のパスをつないだ劇的なゴールショー

 決定機は後半に入っても明らかにナポリのほうが多い。特に後半20分台には何度もチャンスを作った。だが試合は0-0のまま。そして大団円はどん詰まりの後半45分に訪れた。

 ナポリはピッチ中央でボールをキープした右インサイドハーフのアランが、まず右SBのマクシモビッチに展開した。マクシモビッチはこれをダイレクトで、右サイドの前縦にめいっぱい開いた右WGのカジェホンに縦パス。ボールを受けたカジェホンは、2タッチで即座に右に開いた途中出場のメルテンスに縦パスを入れる。

 このときカジェホンは、パスを出すと同時に足を止めずに前方へ全力でスプリント。それによりメルテンスからダイレクトでリターンパスをもらい、ワントラップしてから2タッチ目でゴール前へ折り返しを入れる。最後は3人目の動きをしてゴール前へ走り込んだ左WGのインシーニエが、倒れ込みながらダイレクトでゴールにボールを流し込んだ。

 最初に中央で起点になったアランから発生した5つのアクションが、すべて3本のダイレクトプレイと2本の2タッチ・パスで構成された流れるようなゴール劇。リバプールの選手はだれひとりプレスをかけるヒマすらなかった。これがナポリ流「ゴールの作り方」だ。

 これで死の組と呼ばれたグループCは、勝ち点4のナポリ、勝ち点3のリバプールとパリ・サンジェルマンがひしめき合い、しのぎを削る展開になった。さて、最後に笑うのはいったいどのクラブだろうか。

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【CL 18/19 F組第2節】狸とキツネの化かし合い 〜ホッフェンハイム1-2マンチェスター・シティ

2018-10-05 07:49:48 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
プランB、Cを出し合う采配の応酬

 チャンピオンリーグのグループF・第2節は、現代フットボールの変革者であるペップと、新進気鋭の天才監督ナーゲルスマンの対決になった。あらかじめ決められたシナリオをなぞるのでなく、敵の出方を見ながら対抗策を出し合う両監督の化かし合いは非常に見応えがあった。

 シティのフォーメーション(電話番号)は4-1-2-3。スタメンはまずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、コンパニ、オタメンディ、ラポルト。中盤はアンカーにフェルナンジーニョ、インサイドMFはダビド・シルバとギュンドアン。3トップはスターリング、アグエロ、サネである。

 試合はいきなり開始1分にゴールが決まる波乱の幕開けとなった。ホッフェンハイムのMFデミルバイが縦へのスルーパスを出し、反応したFWベルフォディルが鮮やかに抜け出し先制点を叩き出す。この予想外の早い得点に、両監督のプランニングは刻々と変化して行った。

 むろんシティがやられっ放しで終わるわけがない。さっそく前半8分に追撃弾を叩き込む。まずダビド・シルバが縦に長いスルーパスを出し、これに裏抜けしたサネがゴール前で右にいたアグエロにパス。アグエロはワントラップして確実に決めた。1-1の同点だ。

光るペップの「修正力」

 前半8分で早くも2点が入る展開に一体どうなるかと思われたが、以後は戦術と戦術がぶつかり合う一進一退のねじり合いになる。

 ホッフェンハイムは4バック。ミドルプレスとロープレスを使い分ける。最終ラインを高く保ち、コンパクトな陣形を組んでいる。押し込まれると局面によっては6バックになり防戦するが、とはいえ引きっ放しではまったくなく、ボールを奪うと素早いトランジションからカウンターを繰り出す。

 押し込まれ、低い位置でボールを奪回した場合もロングボールに頼らず、彼らは狭いスペースのなかショートパスをていねいにつないでビルドアップする。

 かたやシティはいつものようにボールを握ってポゼッションしているが、ややミスが目立ちギクシャクしている。プレミアリーグのときのようにスムーズなパスワークではない。

 そこを改善しようとしたのか、ペップは後半19分にオタメンディを下げてストーンズを投入する。これで3バックにし、ストーンズをセントラルMFとしてフェルナンジーニョと組ませた。どちらかといえばフェルナンジーニョが攻撃的に前へ、ストーンズは後ろでアンカー的にバランスを取る作戦だ。

 これを見たホッフェンハイムのナーゲルスマン監督は、すかさずシステムを1トップ2シャドーの4-3-2-1に変えた。クリスマスツリーである。

 それに対しシティは後半30分、スターリングを下げてマレズを投入する。スタメンをいじり選手交代するたびに選手間の連携が崩壊していくパターンはよく見るが、この日のシティは選手交代のたび見違えるように連携がスムーズになって行く。監督采配の妙である。

 そして迎えた後半42分。シティが入れた左サイドからのクロスを、ホッフェンハイムの守備者が胸トラップでカットした。だがそのときボールが地面に弾んだ瞬間をダビド・シルバが見逃さずボールをかっさらい、2タッチ目でゴール右隅へ突き刺した。ついに均衡が破れ、シティが1点リードする。

 もうゲームは終盤だ。最後、追い詰められたホッフェンハイムは2バックにしてロングボールを入れ、8人で攻めたが力及ばず。試合はシティに軍配が上がった。とはいえホッフェンハイムはプレミアリーグ上位相当の力がありそうだ。選手交代とシステム変更で試合を修正して行くペップの手腕が光った一戦だった。

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【CL 18/19 E組第2節】アヤックス、敵地で勝ちに等しい引き分け 〜バイエルン1-1アヤックス

2018-10-04 07:20:25 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
バイエルンから流れを奪う

 チャンピオンリーグのグループE・第2節は、ロッベン、リベリ、レバンドフスキなどベテランが目立つバイエルンと、多くが25歳以下と若いチームのアヤックスの対戦になった。バイエルンのフォーメーションは4-1-2-3。立ち上がり、ペースをつかんだのはそのバイエルンだ。

 前半4分。バイエルンは右からのクロスをフンメルスがフリーでゴール左に叩き込む。これで勢いに乗ったバイエルンは以後、正確無比な組み立てでアヤックスを圧倒した。ところがこの日の2ゴール目を機にすっかり流れが変わる。

 前半22分。アヤックスはGKがロングボールを入れ、そのこぼれ球を拾ったマズラウイがタディッチにパス。タディッチは軽くワントラップし、すぐマズラウイにリターンパスを返す。

 これをマズラウイが冷静に決めてアヤックスは1-1の同点とする。この一連の速い流れにバイエルンの守備陣はついて行けず、ほとんどプレスをかけられなかった。

 アヤックスはハイプレスで入った立ち上がりからバタバタしていたが、1点を取ってすっかり落ち着きを取り戻し、積極的に前からプレスをかけている。彼らはていねいにショートパスをつないでビルドアップする。一方のバイエルンはリベリが左サイドに開いてフリーになり、そこにサイドチェンジを入れてポイントを作っている。

ラインが深くなり中盤のスペースを狙われるバイエルン

 続いて迎えた後半は、勢いに乗った若いアヤックスが立ち上がりから激しく攻め、10分以内に立て続けに2度の決定機を作った。

 受けに回ったバイエルンは次第に最終ラインが深くなり、中盤にスペースができてそこをアヤックスに使われる悪循環に陥った。バイエルンはすっかり硬直的になり、至る所でマークがズレて穴を作っている。3 : 7でアヤックスがいい。

 同じチームがこれだけ崩れるものか? また同じチームがこれほど立ち直るものか? という感じだ。バイエルンは「ここ」という守備の局面で足を止めてサボる選手が目立つ。

 ところが後半の後半にはまたバイエルンがやや盛り返し、ゲームはバランスの取れた状態になる。最後はどちらに点が入ってもおかしくなかった。

 結果、アウェイで勝ちに等しい引き分けを勝ち取ったアヤックスと、ホームで勝ちゲームを落としたバイエルン。試合終了後、両者の面々の表情は対照的だった。

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【ラ・リーガ 18/19】乾は「一発屋」で終わるのか?

2018-10-03 10:00:14 | その他の欧州サッカー
ロシアW杯での「あのシュート」を再び

 例えば日本人に「乾というサッカー選手を知っているか?」と聞けば、だれもが「ああ、ロシアW杯で『あのシュート』を決めた選手だね」と言うだろう。

 これは何も日本人だけではなく、レアル・ベティスのチームメイトやキケ・セティエン監督にしても同じはずだ。

 いや、正確に言えば「同じだった」と過去形でいうべきだろうか。あれから4ヶ月がたち、「あのシュートは実はフロックだったんじゃないか?」という疑心暗鬼が広がりつつあることも事実だろうからだ。

 その意味でも乾は第4節バレンシア戦で、裏抜けして完璧なタイミングでパスを受けたが決められなかったあのシュートを絶対に決めておきたかった。

はっきりインパクトのあるプレーがほしい

 ひょっとしたら乾は、いまサッカーが楽しくないんじゃないだろうか。

 裏抜けを狙って何度、ダイアゴナルランしてもパスがこない。ライン間で間受けできるポジショニングをしてもボールが出てこないーー。

 そのせいか第6節ジローナ戦での乾はダイアゴナルランもほとんどなかったし、間受けを狙う位置取りもしなかった。たまにボールをもらっても、単に味方へ預けるだけのパスしか出さない。明らかに消極的になっている。ひとことでいえばプレーにインパクトが乏しいのだ。

 同じパスを出すにしても、もっとハッキリ局面を打開するようなパスがほしい。また多少強引でもドリブルで1人かわしてシュートを打つようなプレーも求められる。

 仮に仲間からパスがもらえなくても、何度でもボールを受けるためのプレーを繰り返すべきだ。

 そして実はこれは何も乾だけの問題ではなく、いまのベティスはチーム全体に連携がうまく行っていない。カナーレスのかわりに柴崎岳が入ればおもしろいのにな、などとも思うがそれはともかく。ぶっちゃけ、ベティスの試合は見ていておもしろくない。

重い期待を背負った乾

 話を戻して、乾個人についていえば……ひょっとしたらロシアW杯という大舞台で決めてしまったあのゴールは、乾が一生かけて背負って行くべき宿痾ともいえるのかもしれない。

 だれもが乾に「あのときのシュート」級の活躍を求める。

 だれもが乾にあのレベルのプレーを要求する。

 本人にとってはキツイ話だが、その要求に答えてこそプロなのだ。

 いや乾は近いうちにきっと、「あのときのシュート」を吹き飛ばす活躍をするはずだ。そう信じて、私は今日もベティスの試合を応援している。

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【プレミアリーグ 18/19 第7節】マンC、ついに首位に立つ 〜マンチェスター・シティ2-0ブライトン

2018-10-02 09:08:19 | イングランド・プレミアリーグ
ブライトンのロングカウンターならず

 この試合、マンチェスター・シティはひたすらパスをつないでポゼッション率80%を記録した。かたやブライトンは自陣深く引いてブロックを作り敵の攻めに耐える。で、ボールを奪えばロングカウンターを狙う、という展開になった。

 ほぼブライトンは引きっ放しなので、必然的にボールを奪うのは自陣の低い位置になる。

 せっかくボールを保持しても、そこからシティのゴールははるか遠くで攻めが難しい……ように思えるが、彼らはやり慣れた戦い方なのか、ボールを奪えばスルスルとポジションを上げ複数のパスをつないでコレクティブ・カウンターに打って出る。

 これで試合のバランスは取れていたが、いかんせんブライトンはアタッキングサードでシュートに行く形を作れず、結局シティに2点を取られて敗戦になった。

 これでシティは6勝1分けの勝ち点19。前節まで開幕6連勝して首位を走っていたリバプールが第7節は引き分けたため、得失点差でついにシティが首位に立った。

偽SBが予防的カバーリングを行う

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはまずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、ラポルト、オタメンディ、ジンチェンコ。中盤3センターはアンカーにフェルナンジーニョ、右にベルナルド・シウバ、左にダビド・シルバ。3トップはスターリング、アグエロ、サネである。

 立ち上がりからシティは、今季初出場の左SBジンチェンコがしきりに縦に攻め上がるが、そうでないときは右SBのウォーカーとともに偽SB化してアンカー脇のスペースを埋め、2-3-2-3の形を作る。

 なぜペップが偽SBなるものを考案したのか、それはシティの試合を見ればよくわかる。圧倒的なポゼッション率を誇る彼らの対戦相手は、自陣深く引いて守備的に専守防衛でくることが多い。

 ならばシティのSBは縦に上がって攻撃の幅を取るか、そうでなければ自陣CBの横にいる必要などない。かたや4-1-2-3のようにアンカーを置く中盤3センターはアンカーの脇のスペースを狙われやすい。それならシティのSBは敵のカウンターにあらかじめ備えて(予防的カバーリング)一列上がって絞り、2-3-2-3としてアンカー脇を固めておくのがかしこい。そういうことなのだろう。

 一方、シティの攻撃時、ブライトンはディフェンディング・サードに4-5-1のブロックを作り、なるべくゾーンのギャップができないよう、4-5の2ライン間のスペースを圧縮している。で、もしサイドを破られた場合はSBが行くのでなく、「5」のサイドの選手がスライドして対応していた。つまり中央を締めて厚くしようという意図だ。

首位に立ったシティはこのまま走り始めるのか?

 さて試合が動いたのは前半29分だ。ブライトンが攻撃時にミドルサードでボールを失った瞬間、シティは素早いポジティブ・トランジションからショートカウンターをかける。

 まずベルナルド・シウバがアグエロに縦パスを出し、そのアグエロが右に開いたサネにパス。最後はサネがクロスを入れ、スターリングが倒れながら右足インサイドでシュートを決めた。文字通り、あっという間だった。

 シティの2点目は後半20分だ。アグエロがドリブルで中盤を抜け出し、ボックス手前で左にいたスターリングにパス。スターリングはこれをダイレクトで折り返し、アグエロがゴールに沈めた。

 全体にシティにしては攻めあぐねた印象はあったが、ここで勝ち点3を得たのは大きい。ついにシティが首位に立ち、さて、そのまま走り始めるのか? 固唾を飲んで見守るしかない。

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【プレミアリーグ 18/19 第7節】納得の引き分けに両軍監督、破顔一笑 〜チェルシー1-1リバプール

2018-10-01 10:04:33 | イングランド・プレミアリーグ
終了間際にスターリッジが同点弾

 やはりパスのつなぎ合いになると(支配率は別にして)チェルシーのほうがスムーズだった。それを象徴するかのように前半25分、チェルシーは中盤で7本のパスをつなぎ、最後はエデン・アザールが鮮やかに仕上げた。先制弾だ。

 その後はリバプールも盛り返し、ボールを回すがなかなか得点に至らない。

 チェルシーの勝利で終わるかと思われた後半44分、途中出場したリバプールのスターリッジが大きな仕事をやってのけた。ボックス外から左足で糸を引くような強烈な一発をゴール右スミに突き刺した。6連勝してきたチームの無敗を守る同点弾だ。

 スターリッジはケガがちで昨季はWBAにローンで出された。だが今季はサブながら公式戦7試合で目下、チーム得点王のマネと並ぶ4ゴールを挙げている。この日も3枚目の選手交代で出場した「第3の男」だったが、意地の一撃で男を上げた。

 これでリバプールは首位マンチェスター・シティと勝ち点19で並ぶ得失点差の2位。3位のチェルシーが勝ち点17でそれを追う。また開幕2連敗後に5連勝して追い上げてきたアーセナルも、勝ち点15で4位トッテナムと並び得失点差で5位につける。勝負の行くえはまだまだわからない。

チェルシーの先制弾はサラーのサボりが原因

 この試合、両チームのフォーメーションは同じ4-1-2-3だった。チェルシーのスタメンはまずGKにケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーにジョルジーニョ、右がカンテ、左がコバチッチ。3トップはウィリアン、ジルー、エデン・アザールだ。

 一方、リバプールのスタメンはGKにアリソン。4バックは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにヘンダーソン、右がワイナルドゥム、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 序盤、チェルシーが押し込むと、リバプールはミドルプレス時にマネが左の中盤に下りて4-4-2の守備ブロックを作って対応した。

 両チームともボールを失うと、基本的にはその場でプレスをかけて即時奪回を狙う。だが一の矢がかわされると、ミドルサードまでリトリートしブロック守備に移る。ただしリバプールはチェルシーのビルドアップに対しては、3トップによるハイプレスとミドルプレスを使い分けていた。

 両チームはフォーメーションは同じだが、相手からボールを奪った瞬間の挙動がちがう。リバプールはボールを奪うと素早いポジティブ・トランジションから一気にショートカウンターへ行くが、チェルシーはボールを奪回するといったんパスをつないでポゼッションを確立しようとする。ここは両軍のチームカラーのちがいだ。

 試合が動いたのは前半25分。チェルシーはパスをつなぎにつなぎ、最後はコバチッチがライン裏に抜けたアザールにきれいなスルーパスを出す。受けたアザールがそれをゴール右スミに叩き込んだ。

 美しい得点だったが、ただしきっかけはリバプールの守備のミスだった。チェルシーの中盤でのクサビのボールに対し、リバプールは右SBのアレクサンダー=アーノルドが前へ出てプレスをかけたため右サイドにポッカリ無人のスペースができ、そのスペースへアザールに走り込まれたのだ。

 前へ出た右SBのアレクサンダー=アーノルドと入れ替わりで中盤に下りたサラーが、そのスペースをカバーリングしていればなんてことはなかった。だがサラーはサボって足を止め、自分の目の前を走り抜けるアザールをただ見送った。

 確かにリバプールの3トップは強力だ。だが諸刃の剣でもある。マネとフィルミーノは守備に回っても働くが、サラーの守備意識は目に見えて低い。もしリバプールが首位戦線を脱落するようなことがあれば、そこがネックかもしれない。

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