メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

続・トレーラーABS修理…2

2017-11-28 19:36:53 | トレーラー
前回の記事の続編を…

車両は前回の記事とは別ですが型式や年式は全く同じ車両…

今月だけで6台のABS修理があり、そのうち4台は全て同じ原因です…


その為、デスクには修理が必要なコンピュータが溜まってきてます…





前回のコンピュータはクラックが分かりにくかったですが今回は拡大鏡でもハッキリと分かりました。


これは非常に分かりやすい画です。
隣のはんだ部にはクラックの初期段階と思われる線が入ってました…



同じくはんだを盛り直し導通の点検…
同じ事が続きすぎてそろそろ嫌になってきた。笑





ただ、すぐ隣のホイールセンサー側の回路には同じ振動を受けてるのにクラックが入るような兆しすら無いんですよねぇ…



となるとやっぱり基板製作当時のはんだの盛り方や量に問題があったんでしょうね…

という事で原因ははんだ不良に加え長年の振動の蓄積でクラックが入る…という結論に。



以上…追記でした。

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トレーラーABS修理…2

2017-11-25 18:56:09 | トレーラー
最近はトレーラーのABS修理が立て続けに入庫…

ディーラーさんや同業他社さんからABSの修理依頼が急増してます。

去年まではABSチェックランプが点灯していても車検の継続検査には特に問題無かったんですが、今年から検査基準が変わりエンジンやABS、SRSなどのチェックランプが点灯している場合、修理しないと車検に受からなくなりました。
球が抜かれたりシステムが殺されていないかの点灯後の消灯確認もあるのでインチキは基本的には出来ません。

まあウチは検査基準が変わる前からお客様には安全上の理由から修理しないと車検は通せませんよ…という方針だったので特に苦労する事も無かったんですが、他の業者さん達はABSチェックランプが点灯していても見て見ぬ振りをする事が多かったようで…
ここにきてトレーラーのABSトラブルに苦労しているようです…(^_^;)


車両は東邦車両のコンテナトレーラー。




ABSシステムはBOSCH(クノール)のミニカッパーというタイプ。


このミニカッパーのトラブルは以前書いた記事にもある通り接触不良が大半を占めていたんです…


ところが最近になって今までの接触不良にも繋がる新たな原因が判明したんです…


今回の車両も自己診断をかけると2-8左PCV系統異常のコードが出てたので…
また端子部の接触不良だろうな…なんて思いながらPCVハーネスのオスメス端子共にカシメて磨いて故障コード消去して再接続。



これで消えるでしょう…と思い試運転すると少し走ると再度点灯…


おっと…マジか。

その後何度磨いて接続し直してもちょっとでも振動を与えると再度点灯…



どうやらコンピュータ側に原因がありそうです。

これは参った…

実は過去にもこのコンピュータ不良を何度か経験してたんですが、深く原因を探究せず中古コンピュータへの載せ換えで対応してました。
新品のコンピュータは約40万もするので換えちゃってイイよ〜‼︎なんてお客様はほぼ居ませんから…

なのでウチではコンピュータ不良の場合廃車になったトレーラーから取り外しておいた中古コンピュータのストックで対応してました…

が、6個ほどあったストック品もとうとう残り1個と枯渇状態…
おまけにこのミニカッパーは古いタイプなのでたとえ新品でもいつまで供給されるかも不透明。

このままいくとマズイな…という事で、なんとか修理出来ないか原因を詳しく調べてみる事に。

現車からコンピュータASSYを取り外し…


コンピュータ単体にして分解。


いじり止めトルクスを取り外し…


カラーペイントもしてあるし、基本的にいじり止めトルクスが使われているという事は分解禁止を意味します。
分解した時点でメーカー保証の対象外となりますが、そんなものはとうの昔に切れてるので気にしません…笑

シリコンとボルトで固定された基板を上手く取り外し…









問題のPCV端子から繋がる基板回路を目視で確認するも特に目立った損傷は無し。




別回路で1箇所ダイオードが黒く焼けてる所がありましたが…


サーキットテスターで点検するとダイオードとしての機能は生きてたのでとりあえず問題無いでしょう。

PCV回路の導通を重点的に点検…




基板側には回路の遮断は無かったんですが、端子側と基板側を繋ぐスルーホールのはんだ部で導通をテストすると見事にオーバーレンジ。




端子の足に直接プローブを当てると導通。





という事はこれはもしかして…⁉︎

端子を繋ぐスルーホールのはんだ部をルーペでよく見てみると…




画像だと見にくいと思いますが…
端子の足とはんだが盛ってある部分にクラックが…

なるほど…

これで原因が判明。

端子を繋ぐスルーホール部の基板側のはんだにクラックが入った事による接触不良と判明しました。
正直、私はまだまだ老眼ではありませんが肉眼で見るのに苦労する程小さいクラックでした…笑

早速、はんだを盛り直してテストしてみる事に…
ルーペを介しながらのコテ作業。




周りのマイクロチップに過度な熱を与えないよう気を遣いながらなんとか盛りつけ…
今回クラックが入っていたのは左PCV回路の接続部だけでしたが、予防も含めて左右の接続部合計12カ所を盛り直し…


再度サーキットテスターで導通点検。


無事に導通しました…




基板クリーナーで表面の誇りや汚れをキレイにしてから再度組み付け。






車両に取り付けて…


全ての配線を接続して故障コードの消去。

自己診断動画

無事に2-1(システム正常)のコードを表示…

試運転の結果、チェックランプも点灯しなくなり修理完了です。



実はこれ以降、同じ症状のトレーラーが3台立て続けに入って来ており…
同じミニカッパーを搭載している車両で全てコンテナトレーラーだったんです…

で、何故こんなに同じコンテナトレーラーに頻発するのか考えたんですが…
コンテナ積み込み時の衝撃ではんだにクラックが入ったのか?とも考えたんですが今までクラックが入ったケース全車がPCVの端子部だけなんですよね…

衝撃によるクラックならPCVだけじゃなく他の箇所にも入るでしょうから…

なのでもともとPCV端子部のはんだ量が少なく強度が足らなかった可能性もあり、その上でコンテナ積み込み時の衝撃によってクラックが入ったんじゃないかと…

コンテナの積み込みってかなりの衝撃がありますからねぇ…
防振しておかないと衝撃でマーカーレンズとかも割れちゃうくらい…

それに別タイプのコンピュータにはあまり見ない症状ですから…


どちらにせよこの症状に対しては修理方法が確立出来たので今後の高額修理は避けられそうでひとまず安心。

ちなみに今まで交換したコンピュータは捨てずにとってあり、同じ原因の可能性もあるので時間がある時に1度調べてみる事にします…




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トレーラー…いろいろ。

2017-11-03 20:34:16 | トレーラー
まずは東邦の3軸コンテナトレーラー。

車検整備にてハブをバラして…


ベアリングを洗浄機に入れて取り出すと…
1箇所だけアウターベアリングに焼け跡が…


レース側も…


ローラーが全体的に焼けているので、これはプレロードの調整不良かグリス不足でしょうか…
正常な状態はこんな感じ。


幸いにも前回車検はウチでは無く他社での作業でしたが…

アクスルナットを締め過ぎるとベアリングに過度な負担がかかり異常に熱をもちます…
結果ベアリングがオーバーヒートして最悪、車両火災に繋がる可能性も。

こんな状態のベアリングは再使用はしません。

焼けてるのはアウターベアリングだけですが、インナーベアリングとセットで交換します。

いつも頼む部品商さんに在庫もあるとの事なので、早速インナーベアリングの取り外し…


届いた新品のベアリングは防錆油が塗ってあるので1度洗浄機で洗います…






レースを圧入します…


この調整式のインサーターは便利です…


インナーアウターのレースを圧入したらキチンと入っているか確認…



スピンドル側もキレイにしてインナーベアリングを圧入していきます…








更にグリスを…


正直、この手のトレーラーは普段ハブのプレロードは感覚調整でしたが…
今回は1箇所ベアリングが焼けていた事もあり念の為、整備書通りのトルクレンチを使ったプレロード調整を行う事にしました。
自分の感覚を校正する為にもたまには必要かもしれませんね…笑
499N mで締め付けた後、1/8回転戻しで調整します…
(写真撮れてなかった…笑)

なんだかんだで車検整備も完成です。



お次もトレーラー…
自社整備をお持ちの運送会社さんからの依頼でトレーラーABSのチェックランプが点灯しっ放しで消えない…との事。

お客様の整備工場まで出張して対応する事に…

現地に着いてトラクターのメーターを確認すると確かにABSのチェックランプが点灯してます。


早速WABCOの診断機が使えるかな⁉︎と思ったけど現車はクノールブレムゼのABSシステムだったので使えませんでした。
モジュレーターはKB4TAというタイプ。


基本的にはトレーラーABSではWABCOもクノールも診断機が無くても現在故障であれば自己診断で故障コードの確認が可能です。

このKB4TAはトラクターとトレーラーが連結状態でキーON後15秒以内にフットブレーキを3回ペダリングするとABSランプが点滅を始めます…
ペダリングの間隔は1秒以内です。
ちなみにこのKB4TAの場合、4回ペダリングすると過去故障コードも確認出来て5回は故障コードの消去…6回だとシステム表示、更に7回ペダリングすると走行距離も確認出来ます。

で、調べると3-2 右ホイールセンサー信号無し…というコードが…
通常ホイールセンサーはハブに取り付けられたパルスホイールと対向するように磁気コイルセンサが取り付けられており回転するパルスホイールとの磁束の変化で交流パルスを発生させ、その発生したパルス信号から車輪速度を検出してます。

今回のコードはそんな右のホイールセンサーからのパルス信号がありませんよ…というコード。

という事で問題の右ホイールセンサーを点検。
まずはセンサーのコネクタを外し、抵抗を測定…






センサーの抵抗値は1.22kΩと基準値内なのでセンサー自体は問題無さそうです。

次に車輪を浮かせて本当に信号が出ていないかを確認。
オシロスコープでパルス波形を点検します…
このALCA15はオシロスコープ機能とマルチメーター機能が一体になってるので点検も効率的です。


接続した状態でタイヤを回転させても無反応…


ちなみに左のホイールセンサの信号はちゃんと出てます…


となると原因はドラム内にありそうです。


バックプレートを取り外すも、センサとパルスホイールがよく見えない…




こんな事もあろうかと…
ちゃんと持ってきましたよ、ファイバースコープ。


やっぱこの仕事…持つべきものは道具です。笑
で、中をよく調べると…


センサーが異常に抜けてきてます…


これで原因が判明。
センサーが抜けすぎてギャップオーバー…パルスを発生出来ず、結果信号なしのコードを検出したようです。
恐らく今回のチェックランプはいきなり点いたんじゃ無く、しばらく前から点灯していたと思います…
センサの保持もしっかりしてるのでいきなりすっぽ抜けた訳では無く振動で徐々に抜けてきたんだろうと…
それにギャップ過大のコードもあるので本来ならそちらが先に検出されるはずですからね…


配線が通してある穴からなんとかセンサーを押し戻して…




再度パルスチェック。




無事にパルス信号も出ました。
試運転は出来ませんでしたがこれで恐らく大丈夫でしょう…
通常このシステムのチェックランプはキーON後数秒で消えますが、今回のように異常があって点灯した場合は修理した後でもそのままでは消えません。
実際に走行してコンピュータが正常と判断してからチェックランプは消灯します。


という事で試運転はお客様に任せて、これにて終了。
チェックランプが消えなかったらまた電話がかかってくるでしょ…笑


もう夜も遅いし腹も減ったので帰ります…



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ダイヤフラム交換。

2017-09-28 20:54:44 | トレーラー
東急の3軸トレーラー…


運行終了後にトレーラーを停めるとどこからともなく『シュ〜』と音がする…と言う事で入庫。

現車を確認すると2軸目の左側のマキシチャンバーからエアが漏れてました…
ただ、漏れはサービス側のダイヤフラムからの漏れなのでお客様と相談の結果今回はASSYではなくダイヤフラムのみの交換で対応する事に…

マキシチャンバーASSYだと高いですから…笑

今回はサービス側からの漏れですが、ピギーバック側のダイヤフラムから漏れた場合は基本的にASSY交換しか選択肢は無くなります…(^_^;)

漏れてるのは1箇所だけですが交換履歴も無いことから今後の事を考えてサービス側のダイヤフラムは全数交換する事になりました。

1軸目は普通のサービスチャンバー、2、3軸はマキシチャンバー。

まずは1軸目から作業する事に…


取り外したダイヤフラムはかなり危険な状態でした…
こんな亀裂が…


普通のサービスチャンバーのダイヤフラムは在庫として何種類か常備してます。


当たり面をペーパーでキレイに磨きダイヤフラムのセット…




フタを被せ、更にクランプで挟みこみ…


このクランプもバネ鋼で出来ており外側に開こうとするので…
バイスプライヤーやシャコ万で圧縮します…


こうしないとボルトが短い為にナットがかからないんです…
ま、これもロングボルトに換えちゃえば特に問題無いんでしょうけど…笑

馴染ませながら締め付けてOK…


ちなみにこのクランプにもタイプによって前後の向きがあるんですが…
逆に取り付けられているケースを見かけます。



マキシチャンバーもサービス側の分解…




マキシチャンバーのダイヤフラムは純正品にて交換します…
サイズは同じでも社外品は使わないで‼︎とトレーラーメーカーの方に言われた事があります…
材質や強度に関係するみたいですけど。
クランプボルトも新品に交換…






全て交換し終わったら…
ブレーキ調整。





エア漏れの確認をして作業も完了です…







それから最近あった大事件。

走ってたらいきなり冷却水量の警告灯が点いたので見て欲しい…という事で持ち込まれたギガ。

現車が入庫して早速確認するとエンジン下部はベタベタ…
どうやら本当に漏れてるようで確認する為にキャビンを上げると…





コレですよ。


ラジエーターのアッパーホースがすっぽ抜け。

ホースにボンド塗って組み付けた為に圧に耐えられず抜けたんでしょう。

いるんですよ…ホースにボンド塗る人が。



まさかウチじゃないよな…と、履歴を調べてみると…








まさかのウチでした…
半年前にラジエーター交換の履歴が…

メカニック I 氏の作業でした。




もう本当いい加減にして欲しいです…

彼、2回目ですよこのパターン…

学習能力無いの?


何でホースにボンドを塗るのかまるで理解出来ません…


しかも新品に塗るなんて何考えてるんでしょう…


もう情けないというか…
恥ずかしいというか
腹立たしいというか…


これはミスとかっていうレベルの話じゃないですよ。
1度それでエンジン壊しかけてる訳で、その事を本人も分かってるのにまた塗るんですから…


改善する気は無いんでしょう…



困ったもんです…




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またエアサス交換…

2017-08-23 19:55:31 | トレーラー
またまたエアサス修理でトレーラーが入庫。


BPW2軸のリフトアクスル車です…

ただ、今回はエア漏れやパンクではなく、運転手さんが下廻りをスチーム洗車してる時にベローズに傷が入っているのを見つけて破れる前に交換して欲しいとの事で入庫しました。

左前のベローズに傷があるとの事で確認すると…




破れる前で良かったですね…
運行中にパンクしたら走行不能になっちゃいますから…

余談ですがエアサスが破裂すると強烈な音と衝撃がします…
以前、ボルボトラックを整備中、自分の目の前でベローズがパンクした事があったんですが、その衝撃の凄まじさにマジで死んだ…と思いましたから…笑




とりあえず今回は1箇所のみの交換です…

が…

下廻りに入り込んで確認すると塩カルのせいで腐食が酷く取り付けのナットなんてとても緩みそうにありません…




本当は酸素で切断したいんだけど、周りにエアホースや配線などが入り組んでいてトーチが入らないし…
それにこのトレーラーは燃料運搬用のタンクトレーラーで、フレーム内側に燃料配管が通ってるので極力火は使いたくないんですよね…笑

という事でベローズを切って内部からカットする事に。

ベローズをカット…


裏から取り付け用のボルトが溶接されてるので、コレをサンダーでカットします。



で、外れました。




ナット側はこんな状態です…




こうなると切断以外に取り外す方法はありません…

新品のベローズにコネクターなどを取り付けて…





車両に取り付けます。



ベローズ交換は完成。





その他にもエアが漏れる…というQPG-SHプロフィア…


現地にて確認すると…


確かにエアは空っぽ…


すぐに答えは判明。
ABSのモジュレータからでした…


こちらは見積りを出します…


こんな感じで週明けから細かい仕事でバタついてます…



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スプリングピボット修理。

2017-08-17 23:00:55 | トレーラー
休み明け早々に走行中後ろの方から聞き慣れない金属音がする…という事で入庫したタンクトレーラー。


BPW2軸のリフトアクスル車両。


運転手さんは異音は比較的空荷の時が多い…という事で…


試運転をしてみると…

段差や路面の凹凸でサスペンションが上下する時に金属が擦れるような音が確かに発生してました。


車両をリフトアップして点検するんですが、もうリフトアップする時点で後軸のスプリングピボット部が目視で分かるほどガタがあるのを確認…

恐らく異音の原因はスプリングピボットのガタで間違いないだろう…という事でそのまま預かり作業をする事に。
この辺りの部品は在庫してます。

この車両は2バッグ式エアサスペンションでスプリングピボットを軸にトレーリングアームを介してリヤ側のベローズで衝撃を吸収する構造で、スプリングピボット部に使用しているブッシュはゴムブッシュなので経年劣化でガタが発生します…


ブッシュ自体は外部からは見えないのでそのままでは非常に分かりづらいですが…
リフトアップする時にピボット部の動きを見ればガタがあるかどうかはすぐに判断できます。

で、このブッシュ自体はプレスじゃないと抜けないのでトレーリングアームごと取り外して作業する必要があります…
まずは右から…




写真だと小さく見えますが、このトレーリングアームめっちゃ重いです…笑
ウチでは天井クレーンで吊りながらプレス作業します。

ピボット部は見事にガタガタ。


ここのブッシュも結構放ったらかしにされてる事が多いです…
定期的な点検と交換は必須ですね…

プレスで打ち替えて…


右側は完了。

反対側を取り外すと…





コレは酷い…


ブッシュのゴム部は見事に無くなり金属同士が擦れてます…


更にブッシュ外側の金属部分まで摩耗してトレーリングアーム側のベースサークルにまで若干の摩耗が…



左が取り外したブッシュで右が新品のブッシュ…




もはや原形を留めておりません。
この状態を更に放置しておくとピボットボルト本体が摩耗→折損→走行不能という最悪の状況になります。



摩耗したブッシュを抜いて当たり面をキレイに磨き…
新品のブッシュをプレスで圧入。


圧入されたブッシュ。


ピボットボルトとスペーサプレートは無条件で新品に交換…
ピボットボルトの締め付けトルクは900Nmです。



左右共に交換完了…




タイヤも取り付けて作業完了…



試運転では無事に異音も無くなりました。



このピボット部のブッシュはゴムなので経年劣化や走行距離によって必ずガタが出てきます。

BPWのエアサス車はピボットボルトの定期的なトルク締めが指定されてますが、ボルトが適正トルクで締まっていてもブッシュの減りには全く関係ありませんので車検時などの車軸を浮かして行う整備の時には必ず確認しておいた方がいい項目ですね…



ただ、ここもメタルブッシュでグリスアップ出来る構造にしておくとゴムよりは長持ちすると思うんですけどねぇ…


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エアサス交換…2台。

2017-08-09 07:09:38 | トレーラー
タンクトレーラーがエア漏れで入庫…

BPW1軸エアサストレーラーです…


右側のベローズからエアが漏れる…という事で交換依頼なんですが…


どこから漏れてるのかな⁉︎…と覗き込むと思いっきりキズがありました。


ていうかコレ…

ベローズ噛み込ませたでしょ…


どこかで車軸を浮かすような整備をした後、ベローズのエアが抜けた状態でジャッキダウンして噛み込む事はよくありますが…
コレ結構気にしない人も多いんですよね…

他にも空荷で走行中にバンピングしてベローズの可動領域を超えてしまう事も…


比較的新しい内は弾力性もありすぐに破れたりする事はまずありませんが、基本的にはゴムなのでエアサスのピストンに噛み込んで更に荷重がかかる事を考えればベローズにとって良いはずはありません。
ベローズが劣化してくるとその挟み込んだ部分が破れたりします。

今回のキズを見る限りそんなトコでしょうか。


ベローズを取り外し…




新品のベローズ


車両に取り付け…


上の取り付けボルトは66Nmで下の取り付けボルトは230Nm…






取り外したベローズには噛み込んだ跡がくっきりと…笑


劣化してからの噛み込みなのか、以前の噛み込みが劣化したのかは定かではありませんが…


今回の車両は車高の制御を機械式のレベリングバルブで行なっており、レベリングバルブは車軸とフレームの間に取り付けられています。


通常、車検などの車軸を浮かせて行なう整備はフレームにジャッキやリフトをかけるんですが…
フレームでリフトアップしていくと車軸との距離が広がる為、レベリングバルブのロッドは車高を下げる(ベローズ内のエアを排出する)動きをします…
そうなると当然ベローズ内の空気は排出された状態で伸びきってしまいます。
そんな状態がベローズにとってはそもそも良くないんですが、その後車両をリフトダウンする時にそのまま下げてもベローズにエアは供給されません…
その為ベローズが噛み込んでしまうんです…

無理矢理降ろした後にエアサスのコントロールバルブでベローズに強制的にエアを供給して噛み込みを解消する手段を取る人もいますが…(その方が楽…)
そもそも噛み込み自体がベローズにとっては良くない事なので本来ならリフトダウン時にひと手間かけてベローズを噛み込ませないようにエアを供給しながら降ろすのがベストです。

手間は多少かかりますがその方がベローズに負担をかけずに済みます。


なんだかんだでエアサスの交換も終わり…



次の車両。

FP54スーパーグレート…

エアサスといってもこの車両はキャブサスのベローズ交換です…


右側がパンクした為交換です。

取り外したベローズ…


新品のベローズを取り付けて…


接続部のエア漏れを確認して完了です。





2017年もあっという間に8月に入り、もうすぐお盆休みですね〜…


溜まってる仕事を少しでも片付けないと…
さすがにヤバいなぁ…(;´д`)










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イコライザー修理。

2017-03-29 23:49:00 | トレーラー
車検で入庫したトレーラー…
今回がウチには初入庫の車両で以前は別の整備会社で整備されていた様です。



BPW3軸車…



車両をリフトアップし足廻りをバラす段階でイコライザーやトルクロッドにガタが無いかを点検するんですが…

2-3軸間のイコライザーがガタガタ…



なので、車検整備と合わせてイコライザーも修理する事に…


まずは足廻りをバラし…







イコライザーを取り外す為にナットを緩めようとすると…




溶接してある…(-_-;)

通常ならこのタイプにはナットの緩み防止にロックワッシャーを使用してるんですが…
そのワッシャーが割れたからかどうかは分かりませんがナットとボスが溶接されてます…
(溶接がヘタクソだからくっ付いてないけど…)


お客様が知らないか、分からないかをいい事にとんでもない手抜き整備がされてますね…
ロックワッシャーなんかたかだか数百円ですよ⁉︎
それを換えずに溶接するなんてどんな思考してんだよ…って思います。

呆れながらも…
イコライザーを取り外す為にピンを抜くと…

ガタガタに減ってますが、そんな事よりも…

何か気になりません⁇


気付く方はもう既にお気付きの事かと思いますが…










グリスが全く付着してないんです。


3ヶ月点検も記録上はやってありますが…
本来ならグリスでベタベタの筈のイコライザーピンにはグリスどころか油分は一切ありません…
コレは…かなり長い事グリスアップされてない証拠です…

いい加減な整備ですね…

これは経年劣化というより、グリス不足が原因の摩耗でしょう…
当然、このまま放置され摩耗が進むとイコライザー破損にも繋がります。



イコライザーを取り外し…






古いグリスをスチームで洗浄…



プレスでブッシュを抜き取ります。
これがめちゃくちゃ固いんです…
今回はメーター読みで32トンの圧力で抜けてきましたが…


たまにプレス機のMAX圧力をかけても抜けないケースがありますが、そんな時は酸素でブッシュを切断した方が早いです。

抜き取ったブッシュ…


カジりが酷いです…
イコライザー側も…


ボス内径をキレイに磨きます。


バリなどは完全に取っておかないと圧入時に新品ブッシュが変形しちゃいます…


新品のピンとブッシュ…




もともと付いてるブッシュは1本物ですが供給されるブッシュは分割タイプです。

で、コレも圧入する向きが決まってるんです…
こちらはグリス溝が切り抜いてありますが…

反対は切り抜いてありません。



グリスニップルからグリスを注入すると矢印の穴から出てきますが…


当然グリスは真ん中から両サイドに向けて進んでいくので、ブッシュのグリス溝の切り抜いてある方を内側にしておかないと細部までグリスが行き渡りません。

当然⁉︎…ですが以前ウチのA氏は逆向きに圧入してました…

何も考えないメカニックの仕事はどんなミスをするのかだいたい予想がつきます…笑
そのほとんどが単純なミス。
結果的にその時は何事も無く済んでもいずれ必ず大きなミスをします。
そうなると必然的にリスクの低い仕事しかさせられませんよね…


身内の愚痴はこのあたりにしておいて作業の続きを…

ブッシュを圧入していきます。


圧入圧力に注意しながら…




ボス内面のバリ取りが不十分だと目では分からない程ですが、ブッシュが変形しちゃいます。
圧入する段階でプレス圧が上がっちゃうと、もう既に変形してる可能性が高いですね…笑

シャックルブッシュなんかもそうですが、この手のブッシュは意外とデリケートです…


で、ピンが手で簡単に入るかを確認…


もともとブッシュの抜け止めのポンチがされてるので、新品のブッシュを入れたらやるようにはしてるんですが…
あんまり意味ない様な気もします…笑


ハンガー側も無理なく入るように磨きと確認など…



ブッシュにモリブデングリスを薄く塗りイコライザーの取り付け。
イコライザーの指定グリスはモリブデンです…








旧タイプはロックワッシャータイプですが、現行はキャッスルナットに変更されてます。


締め付けトルクは250Nm…




グリスニップルも新品に交換してモリブデングリスを注入…




補修塗装をしてイコライザーの作業は完了。
あとは車検整備を…
ハブを組み付けてホイールナットの締め直しなど…




完成です…


あとは完成検査をして終了です。

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SMB…整備。

2017-02-14 01:13:39 | トレーラー
またまたトレーラーです…


前にも記事にした事があるんですが…

フルハーフが採用したフランス⁉︎メーカーの車軸であるSMB…


以前の記事でも書いた通り、この軸はタイヤを外せばハブを残してドラムだけの取り外しが可能なんですが…

最近ウチでは車検時にはハブをバラして点検する様にしてます…

理由は、ハブベアリングのインナーレースが割れる⁉︎というか欠ける事例がチラホラ出てきたんです…

当工場でも数台確認しており…今回の車両も車検整備で点検の結果、インナーベアリングが欠けてました。



コレがSMB軸のハブキャップ…


専用レンチを使用してキャップを緩めるんですが、これが固くて緩まない事があるんです…
正確に言うと、キャップに付いてるOリングの固着が酷く緩まないんです。

そんな時は酸素で炙ります…
ハブとハブキャップの隙間をめがけて、Oリングを焼き切るようなイメージで炙ります…


キャップを外すとOリングがこんな感じ…笑



ロックボルトを外してアクスルナットを取り外します…
ちなみにアクスルナットは車両右側は正ネジですが左側は逆ネジになってます。

で、プーラーで抜き取り…


ベアリング類を洗浄して点検すると…


ベアリングのインナーレースが欠けてます。
通常の使用過程でこんな割れ方は少々疑問が残りますが…
ローラーが焼けてる様な感じは見受けられないので、熱が原因でも無さそうですし…

それからこの車両は前回は某ディーラーにて車検を受けていますが…
洗浄したアクスルナットを見てると…
赤い丸の部分…


分かる方には分かると思いますが…
コレはアクスルナットを緩める時にちゃんとした道具を使わずタガネで緩めた跡なんです。

まあ1000歩譲って緩める側だけならまだしも…
締める側のキズも入ってる…という事はプレロード調整を行ってない証拠…

ベアリングが割れたのと関係があるのかどうかは分かりませんが、少なくとも前回の整備は正しく行われていない可能性が高いですね…

割れた破片がベアリングに噛み込むと回転不良から焼き付きを起こし、最悪の場合…車両火災の危険性もありますから…

割れた箇所のベアリングはインナーアウターをセットで交換します…


アウターベアリングのアウターレースにはローラーの回転痕にムラがあります…



ベアリングのアウターレースを叩いて取り外し…


ハブ内部をキレイに洗浄…



新品のハブベアリング。





シールの再使用は不可の為新品に交換します。

パルスリング一体式のハブシール…
お値段は1個で13000円…(^_^;)


ハブに新品のアウターレースを圧入…


このSMBはインナーベアリングとアウターベアリングは同一サイズを使用しています。
通常はインナーベアリングの方が大きいサイズを使用してる事が多いです。


ベアリングにグリスを注入…


ハブに組み込みシールを打ち込み。




アウターベアリングも入れてスナップリングで固定…




更にグリスを入れて…


組み付けていきます。

スピンドルをキレイに掃除して…



ハブを軸に組んでいきます…

SMBはアクスルナットに切り込みが入っていて、ボルトで締めるとアクスルナットが潰れる⁉︎というかしなる事でナットをロックする構造です…


色んな考え方がありますね…笑


アクスルナットの締め付けトルクは120Nm…


緩み防止の為のボルト…


アクスルナットをロックします…


ただ、このボルトの締め付けトルクは25〜28Nmとなってるんですが、実際にそのトルクで締め込んでいくと正直…ボルトが延びる嫌な感覚がするんですよ…
これ以上いったら折れそう…っていう。笑
なので自分は少し緩めの22〜23Nmで締めるようにしてます。


ハブキャップに新品のOリングを取り付けグリスを薄く塗って締め付け。
締め付けトルクは100Nm…


後はタイヤを規定トルクで締め直して補修塗装を行い軸整備は完了。







更に別のトレーラーのエア漏れ…

最近エア漏れがホント多い…

連結状態で駐車場に停めておくと後ろの方からシューっと音がするとの事。

現地まで出張して確認するとトレーラーのサービス側のホースから漏れており…


矢印の辺りからシューと漏れてます…


これはもうホースの劣化なので車を引取る事に…
またその時点で先端のネジサイズと全てのホースの長さを測り、いつも頼むホース屋さんに至急作ってちょ…と無理なお願い。

車両を工場に引き取ってホース類を取り外してる最中に『お待たせしました〜』とホース屋さんが…

いや、全然待ってないし…むしろまだ外し終わってないんですけど…なんて思いながらも、このホース屋さんは本当に仕事が早い…笑

いつも無理言ってるのに素早い対応にホント助かっております。

漏れてるのは1本だけですが、原因は劣化なので全数交換します…
同じホースですからね…

取り外したブレーキホース…

問題のホース…


全てのホースを交換後、漏れを確認して完了…







で、納車…
駐車場に停めて車を降りると後ろの方からシューって音が…

…え⁉︎

そんなアホな…作業後にはちゃんと確認したし…なんて考えながら漏れを確認すると、今度はダイヤフラムから結構な勢いで漏れており…

マジか〜

また会社に引き返すか⁉︎とも考えましたが戻ったら今日はもう部品も間に合わないし…

とりあえずダイヤフラムがパンクしてる訳では無いのでクランプの増し締めで対応する事に…

で、当然工具なんて持ってきてないのでどうやって締めようか…と車を物色してあったのがコレだけ…


…⁉︎

これなら何とかなるかな⁉︎


とりあえずやるしか無い…という事で…




こんな短いスパナだと手が痛くなる程力を入れないと締まりません…笑


何とか全てのチャンバーのクランプを増し締めしてエア漏れも止まりひと段落…


はぁ…なんか疲れた。



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リレーバルブO/H…

2017-02-10 01:15:57 | トレーラー
最近エア漏れ修理が続いています…


またまたトレーラーのエア漏れ。
まあ毎年寒い季節はエア漏れは多くなる傾向にあります…

劣化に加え凍結から起きる不具合などなど…


今回は一晩停めておくと朝イチにはレッドゾーンまでエア圧が下がる…というトレーラー。

確認すると…


確かにエア圧が下がってます。


で、どこから漏れてるのか点検するとリレーバルブからシューっと音がします。



トレーラーのエアー経路はエマージェンシーラインとサービスラインの2経路があり(最近ではサプライラインとコントロールラインとも言いますが…)トラクターとトレーラーを連結した時にトラクター側の2本のエアホースをカップリングで接続してトレーラーにエアーを供給します…
コレは別のトレーラーの画像ですが…



サービスライン…(コントロール)


エマージェンシーライン…(サプライ)


この2本がリレーバルブに繋がっており…トラクターのフットブレーキを踏むとサービスラインにエア圧がかかり、リレーバルブ内のピストンを押す事でトレーラー側のエアタンク内の圧力をブレーキチャンバーに送り、ブレーキを作動させます。

エマージェンシーラインはトレーラー側エアタンクにエアを供給する役目の他に、何らかの原因でホースが損傷した時などに自動でブレーキを効かせる為にあります。


で、トレーラーには必ずこのリレーバルブが付いてるんですが…劣化や水分が混入すると漏れます…

基本的にこのリレーバルブは現在では2種類しか無く、ヒーター無しのRE-6Eというタイプとヒーター付きのRE-6Hというタイプ。
そのうちリレーバルブ自体の取り付け方法がタンク直結タイプとフランジタイプの2種類あります…

今回のトレーラーに付いていたのはRE-6Hのフランジタイプ。
実際にはRE-6Eにも後付けのヒーターが付いてる物もありますが、RE-6Hはヒーターがカバーと一体型なんです。




早速リレーバルブの取り外し。


車両の下に潜り込んでの作業なので必要な工具を選定して作業開始。


いかに効率良く外せるか…

段取りが悪いと車の下に出たり入ったりする羽目になりますから…
パッと現物を見てどんな工具が必要か?…を考え
必要最小限の工具を揃えて潜り込みます。

もちろん足りない事もありますけど…笑

それはそれで次からはこうしよう…とか考える事が出来ます。
小さい事ですが、こういう事がメカニックとしてのレベルアップに繋がると思います。

話が逸れましたが…

ホース類を切り離して取り外し。


取り外したRE-6Hリレーバルブ。




ちなみにこちらがRE-6E…


今回はリレーバルブをO/Hしていきます。
出張作業時なんかは基本ASSY交換ですが、工場で作業する時はO/Hします…

リペアキット


分解して各部を点検していきます。
中のグリスも劣化してます…




トップカバーも取り外し…




かなり汚れが溜まってますね…
分解した部品…


ピストンを取り外すと中に水分が…


コレはトラクター側やカップリングから混入した水分でしょう…
結露だけではここまで溜まりませんから…


各部品を綺麗に洗浄。


Oリングや摺動部に専用グリスをたっぷり塗って組み付けを…




トップカバー取り付け。
ボルトの締め付けは約14Nm


反対側のスプリングは結構強めなのでプレスで押さえながら取り付け




完成…




交換した部品…



車両に取り付けて…


ホース類を接続。


あとはリークテスターで漏れがないかを確認して完了です…



ちなみにメーカーからはRE-6Eを6Hに変換するキットもあります…
こちらが変換キット。


リレーバルブもやっぱり定期的なメンテナンスは必要ですね…

特に寒冷地に行く車両なんかはシーズン前にO/Hしておくとトラブルを未然に防ぐには有効です…


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