メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

J07E…オーバーヒート

2015-11-29 10:28:43 | 日野
先日、ブローバイから戻るオイル量が多くインテークパイプ周辺からオイルが外部に漏れちゃっててエンジンオーバーホールの見積りを出してたレンジャーJ07E…

吸引車なんですが、繁忙期を過ぎるまでは長期間車両を止める事は出来ないのでオーバーホールは来年の4月以降にする事に…ただ今現在漏れてる状況をなんとか止めて欲しい…との事。

とりあえず応急?でも無いですがパイプ内やらインタークーラーなどに溜まってるであろうオイルをキレイに洗浄する事に…


このJ07Eはインタークーラーも簡単に外せるので良かったです…


内部洗浄はラジエーター屋さんにお願いします…

専用の洗浄液じゃないとキレイになりませんし、
インタークーラーの場合内部の水洗いは効果があまり無いうえにリスクが高いです…
それに専用の洗浄液を使用しても完全に乾かす事が出来ないのであれば自分で作業する事はやめた方がいいですね…

完全に乾かさずにエンジンをかけると、中に残った可燃性ガスがエンジンに吸い込まれて異常燃焼してオーバーランする事もあります。


そして当工場がお願いしてるラジエーター屋さんは仕事が早い‼︎
昼前に出して15時半には戻ってきます。
値段も良心的で非常にありがたいです。



そしてインタークーラーが戻って来る間に冷却水が減る…というこちらもレンジャーJ07E…
外部に漏れはありません…


エンジンかけて1500回転ほどでレーシングすると…


みるみる水面が上がってきます…
残念ですが…ダメでしょう…


見積りを出してお客様に説明します…

問題はこのJ07Eは基本…平研禁止と整備要領書には書いてあります…
が、実は0.1mmまでなら研磨可能です。
ただ、歪みが0.1mm以上だと残念ながらヘッド交換となります…
そのあたりもお客様に説明しておきます。


にしてもこの吸引車などの特装車は上物をメインで使われてるので正直エンジンには過酷みたいですね…
停車した状態で長時間エンジンに負荷がかかるのでファンだけでは冷却不足のようです…
過去にこの会社の車両でヘッド作業をしたのはもう4台…それに今見積もってる1台…
実は先に書いたインタークーラーを掃除した車両も同じお客様なんです…
オーバーヒートではありませんが、この距離であのブローバイのオイル量は他の車両じゃ考えられない位に多いですから…



チューニングカーならラジエーターを高効率な物に替えようってなるんでしょうが、トラックですからね…笑


何かいい対策はありませんかね…










コメント

nepros…

2015-11-28 16:58:11 | 工具
KTCが展開するneprosブランド…

通常のKTCブランドとは違い、材質や品質、見た目や人間工学に基づいた設計など、全てにおいて最上級に仕上げられた工具です…と

以前、部品商がKTCの移動販売車を引き連れて当工場に来た時 セールスマンの方がneprosの良さを熱弁されてました…


自分の工具は基本、snap-onをメインにKTCやTONEなどなど…を使ってるんですが、偶然にも新しい1/2サイズのラチェットを探してたんです…
今使ってるのがKTCのラチェットだったんですがサイズがちょうど良く気に入ってたんです…なので同じサイズが欲しいな~なんて思ってたんですがsnap-onには同じサイズでしかもクイックリリースはラインナップに無かったんです…
個人的にラチェットはクイックリリースがイイんです…

そこでKTCのセールスの方にneprosの1/2ラチェットを注文してたんです。

で、本日届きました…

左が今まで使ってたKTCで右がnepros…


サイズはバッチリで、全長245mm。
このサイズが使いやすいんです…
10mmでも長いのはダメです。


そして恒例⁉︎の品質チェック…笑

neprosのギヤ部分…



比較…



ギヤは見た目は同じ…材質が違うのかな?
歯数も36で同じ…
持った感じの重さはneprosの方が重い様な…計った訳ではありませんが…



ただ、ギヤ部分が全く同じなのはちょっと残念ですね…
ギヤの材質が同じかは分からないので断言は出来ませんが。
メッキの質だけ上がっても意味が無いですからね…
neprosはどうしてもsnap-onと比べられてしまうのでメイドインジャパンとして頑張って欲しいですね…


これから使ってみて判断したいと思います…


















コメント

レンジャー…エンジンかからない⁉︎

2015-11-27 00:33:20 | 日野
BKG-FC7Jレンジャー…エンジンJ07E


中古車業者さんから突然エンジンがかからなくなったので見てほしい…との依頼で現地まで向かい車両を確認すると…

セルは元気よく回るがエンジンがかかりません…
燃料にエアーが噛んだのかな⁉︎…と思い、エア抜きしてみるもかかりません…


話を聞くとさっきまで普通にかかってた…との事。バッテリーは新品です。
次に診断機を繋ぎ故障コードを確認するも異常無し…
データを見ながらクランキングしてみるも燃圧はちゃんと上がってます…
SCVも最近変えたみたいでピカピカでした…

念のためもう一度しっかり燃料系統のエア抜きをしてエンジンをかけてみると普通にかかったんです…
正直エアが噛んでる様子はありませんでしたが、
各データを確認すると問題なく、吹け上がりも良好だったのでエア噛みが原因だったのか…って事でエンジン止めてキャビンを下ろして片付けをしてからもう一回セル回してみると…かかりません…

…。


マジか…


その後もエンジンがかかる時とかからない時、それにかかってもすぐ止まっちゃう時の3パターンある事を確認…


これ以上は現地で見るのも困難なので業者さんには説明して1度引き取って会社で調べる事に…
調子良くエンジンがかかった時に乗って帰ってきました…
エンジンも1度かかっちゃえば走行には何も支障はありません…


会社に戻ってきてトラブルシュートの続き…



エンジンがかかってる時は絶好調なのでこの時点で燃料系では無いだろう…と判断。
そうなると電気系統が怪しいかと…

ただ、エンジンがかかる時とかからない時のパターンが全く読めずバラバラで…

ここで配線図やらリレー位置の図面などを用意して調べていきます…





で、アレコレ調べていくと…エンジンがかかる時とかからない時にある一定の条件がある事を発見…
それはキーをONにした時にエンジンメインECUっていうリレーに作動音がする時はエンジンがかかるんです…
そのリレーの作動音がしない時はエンジンがかからないか、かかってもすぐエンストしちゃいます

正直、詳しい方なんかはこの症状でもしかして⁉︎…と思う方もいるかもしれませんが…この症状を始めて経験した自分にとっては非常に難解でこの後どツボにハマる事になります…笑

まず苦労したのが、エンジンがかかる時とかからない時の違い…パターンは発見したものの、その発生状況はまるで分からず…
とりあえず問題のリレーを同型のリレーと入れ替えたりしてみますが症状変わらず…
リレーを分解してみますが異常はありません…

その時点でリレーが原因では無いかも…と判断。

次にリレーからECU間の配線や関係ありそうなリレー回路、始動回路などを徹底的に調べました…




が断線やショートも無さそうです…
ここまでハーネスを調べるのに2時間ほど費やしてます…
いよいよECUが原因か?なんて思いながらも

ここで1つ気になることがあり、エンジンECUのメインリレーの配線がECUに入る前に3ピンのちょっとしたボックスに接続されてたんです…

これは何だろう…と思い位置関係から図面で調べてみると…



DC/DCコンバーター(イモビライザー)⁉︎

??

てかこの車両イモビ付いてんの⁇…とここで始めてイモビ付き車両だと知りました…
それに日野純正のイモビは始めて見ました…というか他の車両でも付いてたのに気付かなかっただけかもしれませんが…


で、イモビライザーの回路を用意して調べてみます…



どうやらイモビのECU…というのがあるみたいで、その配線やリレーやらをいろいろ調べてるとエンジンがかからない時はそのイモビECUからエンジンECUに入る配線うちの1本だけ信号が出て無かったんです…
この時はメインECUのリレーに作動音はありません…
逆に信号が入力される時はリレーの作動音もしてエンジンは普通にかかったので…犯人はイモビライザーと判断。


ID認証かなにかが上手くいってないのかな…って思いながら何気なくキーを確認してみると…



あー、2つのうち1つはキーが新しいな…なんて…思い…な…がら…

あ…

新しい…⁉︎




ここでようやく気付きました…


中古業者さんにこの新しいキーは最初からありました?と聞くと
業『スペアが無かったから1本はうちで新しく作ったキーだよ…』と…

やっぱり…


古いキーだと問題無くエンジンかかります。

新しいキーではかかりません。


という事は…新しいキーはID登録してないみたいです…

新しいキーでもエンジンがかかる時があったのは一緒に付けてあった古いキーのIDをたまたま認証出来たからみたいで…
そのせいでかなり苦労しましたが…
試しに古いキーを外して新しいキーだけでクランキングしてみると絶対かかりません…


ここまで時間かけて調べて最後の最後にようやくその事に気づくとは…

中古車業者さんが普通にエンジンかかってた時はたまたま古いキーを使ってたので調子良かったんですね…

新しいキーはディーラーでID登録して貰わないと使い物にならない事を説明して納車しました…


ただ、イモビライザーの回路図を見てるとメーターやらルームランプやらにも繋がってるのは何故なんでしょう…
ひょっとして何かキーのIDが合わない事を知らせるサインでもあったのかな?


どちらにしても原因は単純な事でしたが、かなりの時間を費やしました…



はぁ…疲れた…。



























コメント (2)

尿素SCRシステム…

2015-11-22 00:46:58 | 整備
乗用車なんかでも最近ではディーゼルエンジンが注目されてますが…
大排気量の大型トラックなどではポスト新長期と呼ばれる排ガス規制がとにかく厳しいんです…

排ガスに含まれるNOxとPMはいわばシーソーみたいな関係で、NOxを減らそうとすればPMが増えて…逆にPMを減らそうとするとNOxが増える…という相反する関係性なんです…ポスト新長期以降の排ガス規制は、その両方を減らしなさい…っていう話…
そんな訳で各メーカー共々その規制をクリアする為、あの手この手で頑張っておられます…

各メーカー最近の環境技術は…超高圧燃料噴射とEGRに、DPFとSCRの組み合わせで落ち着いてるかと…

横文字ばっかでなんのこっちゃ…という方の為に簡単に説明すると…

燃料を超高圧で噴射して完全燃焼に近づける事でPMを減らし、さらに排気ガスを利用(EGR)して燃焼室の温度を下げNOxを減らしておき…排気ガスに含まれるPMが溜まったら燃料を使って燃やした後(DPF)…それでも出てくるNOxを尿素水を使って還元してやろう(SCR)…というシステムなんですが…

このシステムを早い段階で採用したのがUDトラックスと三菱ふそうで、日野といすゞはEGRとDPFだけでNOx低減を試みるも大容量EGRがアダとなり、不完全燃焼からPM過多によるDPFトラブルが続出…
事実、当社に限らずDPFの掃除やメンテナンスは日野といすゞの車ばっかりだと思います…笑


今では大型4社とも尿素SCRシステムを採用してます。


で、DPFやSCRなどに限った事ではありませんが…メカニックがするべき事は日々進歩していく自動車の技術に対して正しい知識とメンテナンス方法を勉強する事が必要だと思います。
もちろん何から何まで完璧に…とは無理ですが…

どんなに勉強しても技術は次から次へと進歩していくので終わりはありません…死ぬまで勉強ですね…笑




やっと本題です…

今回車検で入庫した車両QKG-FU54VZスーパーグレート…エンジン6R10。


内容はいつも通りのフルコース。
車検自体は特に記事にするほどの事はありませんが…
この車両にも尿素SCRシステムは搭載してあります。

で、やっぱり三菱ふそうでもUDトラックスでもSCRに関係するトラブルはいろいろと発生しておりますが…今回はトラブル事例では無く、定期メンテナンスの話。

4社共、尿素SCRシステム採用と言っても全部同じな訳じゃなく各メーカー独自の技術や考え方が反映されており、三菱ふそうではBlueTecシステムという名称。

そのBlueTecシステムのサプライユニットには圧力リザーバーがあり、そのリザーバーは定期点検項目となっており規定のエア圧が充填されている必要があります…
この圧力リザーバーにエアーが充填されてないと尿素水の凍結によるカバー破損やポンプ不良の原因となるようです。

実際、当工場ではポンプやカバーが破損した事はありませんが、尿素水識別センサーの不良やドージングホースやアトマイザー、さらにはサプライユニット~ドージングモジュール間のホース内で尿素水が凍結?結晶化?して詰まる事例は頻繁に発生してます。

しかも現在では環境対策には非常に厳しく、SCRシステムに異常が発生した場合そのまま運行する事が出来ないようなプログラムもECUなどにあったりします…

こうした不具合を減らす為にも定期的なメンテナンスは重要です。


尿素水圧力リザーバーへのエア充填方法を簡単に…


10ミリのキャップを外してバルブを押して中のエアーを抜いた後、400kPaに調圧したタイヤ用のエアゲージを接続します


基準値は370kPaなんですが、充填した後ゲージを抜く時に若干圧が逃げちゃうので400kPaなんですが…かなり素早く抜かないと基準値に入らないので…自分は430kPaぐらいで入れて急いで抜くと基準値に合う感じです…

で、確認してみます…

結果的に…

コレぐらいでオッケーにしときます…

この確認作業は本来指定されておりません…
自分が試しに確認しただけです…


整備要領書ではこの作業を2年又は20万キロ毎…となってますが当工場は車検毎に行ってます…

ちなみに去年の車検時に規定圧力に合わせて今回入庫時に計ってみたら、150kPa程に減ってました…
が、減るのが正常なのかどうかは分かりません…
今後何台か比較してみます…。


にしても環境対策の為に自動車も段々と複雑になってます…
この手の環境技術は地球には優しいかも知れませんが車には過酷な機構でしかありませんからね…

それに、これだけ厳しい排ガス規制も都市部だけですから…

この矛盾に疑問を感じます…










コメント (8)

リフトアクスルトレーラー

2015-11-19 23:51:37 | トレーラー
最近トレーラーネタが続いておりますが…

本日もトレーラーネタです…笑



車を運転してると1度は見た事ありませんか?
タイヤが浮いて走行してるトレーラー…



この機構はリフトアクスル…と言って、荷物を積んでいない時や比較的軽い荷物の時に自動で車軸を昇降する装置なんです…


この機構を搭載する1番のメリットは高速道路の通行料金が安くなる事…でしょうか…
高速道路ではトラクターヘッド単体で走行した場合は中型料金なんですが…トレーラーを牽引して走行すると特大車扱いになります。

ただ、連結されたトラクターとトレーラーの軸数が合計で3軸だと大型料金で通行が出来ます…

特大と比べると通行料金は4割安くなりますから
経費が大幅に削減出来ます…

他にもタイヤやブレーキの摩耗を軽減できるメリットなどもあります。


そんな理由で最近ではリフトアクスル機構の搭載率も上がってきています…


が、しかし…


メリットだけではありません…
残念ながら、デメリットもあります…

まず1つは…リフトアクスルはエアサスありきの機構なんですが、このエアサスは荷物には優しいんですが…バネ下には非常に過酷で…
点検を怠るとすぐにガタが出たりします…
そのまま使い続けると最悪の場合スプリングピボットが折れて走行不能になる事も…

最近ではメーカーからバネ下各部を定期的にトルク締めをするように指定されてます。

そしてもう1つは…このエアサスはECASという電子制御システムを採用してるんですが、正直…トラブルが多いんです…
そのうえ専用のPCソフトが無いと一切手が出せませんし、ECASのECUが壊れると高額修理になります…

ただ、正しい知識と点検、予防整備である程度のリスクは防げますが……

後はデメリット…とは言えない程ですが、通常時とリフトアクスル時ではホイールベースが変わったり、リヤオーバーハングが変わってしまうタイプもあるので運転には注意が必要です…






コレが車軸を浮かす為のチャンバーです。







また機会があれば…正しい点検、整備方法を載せたいと思います…








コメント (2)

BPW…Sカムシャフト折れ…

2015-11-18 23:51:27 | トレーラー
BPW軸のトレーラーでよくある故障で…

オートスラックアジャスターの不良。
内部のギヤが割れて、自動調整されなくなります…
自動調整されないと当然チャンバーロッドのストロークも基準からズレて、制動力にも悪影響が出ます…


そんなオートスラックアジャスターの不良から更にヒドくなると、Sカムシャフトが割れます…
とは言ってもシャフト自体が折れる訳ではなく…
スラックアジャスターとカムシャフトの接続部分のスプラインが割れるんです…

今回車検で入庫した車両もオートスラックアジャスター不良でカムシャフトを点検すると…


スプラインが割れてます。

よく壊れるので…在庫持ってます…笑
カムシャフト交換KIT…

カムシャフトも軸のタイプによって種類があるので注意が必要ですが…


で、スプラインが割れて食い付いている為スラックアジャスターはなかなか外れてくれません…

なので酸素で切断するのが手っ取り早いです…

切断されたSカムシャフト…


ブッシュやベアリングはKITに含まれてるので全部交換します。


BPW軸専用のSST…

古いブッシュを交換していきます…

これは新品


交換後…

抜くときはSSTじゃなくても出来ますが入れると時はSSTじゃないとブッシュが変形しちゃいます…
Oリングやらカラーやらを組み付け…
この作業は慣れないと組み付ける順番や種類に苦労すると思います…

カムシャフトを組んでいきます…



で、BPW軸は専用のグリスがあるんですが…
コレが正規品です…


コレは…

BPWのマークが付いてますが…模造品です…
BPW社から注意喚起がありました…
なので気を付けましょう…


後は色を塗るだけなので、
新聞紙でマスキングしようと広げると…


今となっては逆に新鮮なこのエンブレム…
もう見る事も無いので、貴重ですね…笑













コメント

トレーラーABS…チェックランプ点灯

2015-11-17 23:27:46 | トレーラー
10年程前からだと思うんですが、トレーラーにもABSの装着が義務化されました…

現在では新たに製作するトレーラーにはABSと併せてEBSの装着も義務化が検討されてます。


国産トレーラーが採用してるABSメーカーは2種類…
1つはWABCO製で…

もう1つはBOSCH製…こちらは日本ではNABCO(現NabtescoJAPAN)が代理店となり取り扱ってましたが…現在はトレーラーABSからは撤退しております…


このトレーラーABSですが、メーカーは2社ですがその種類は年代別にバージョンが変わってきているので結構な種類があります…
そんなトレーラーABSにも結構トラブルとか不具合が多いんです…

最近ではトラクター側に必ずトレーラーに接続するABS用のジャンパーケーブルが付いてますが、トラクター側はあくまでも電源とウォーニング回路のみで実際の制御はトレーラー側に付いてるECUで行います。

自己診断機能があり、連結状態で走行してトレーラーABSに異常があればトラクターのメーター内にウォーニングランプを点灯させます…


で、今回車検で入庫したトレーラーが引取り時にトレーラーABSのチェックランプが点灯しており自己診断をすると左PCVの異常…と出ます…

ただこの自己診断はかなりざっくりなもので、PCV異常…といっても配線なのかECUなのかPCV本体の異常なのかを調べる必要があります。

ここでお客様である運送会社の担当者には修理しないと車検には受かりません…という事を説明するとその担当者は『他の整備会社はそのまま車検に通してくれますけど…』と
この運送会社様は当社の他に2つの整備会社と取引があるんですが、その2社共チェックランプが点灯した状態で車検に通すみたい…

その担当者の方には『それは整備不良であり違法行為でもあります…チェックランプが点灯してる場合ABSは作動しないので非常に危険です…』という事を説明をしてご理解頂きました。



その問題のABS…
BOSCHのミニカッパーというタイプのABS。
故障コードは2-8で左PCV異常…


実はこのタイプのABSでこのPCVの故障コードはよくある症状なんです…
配線を調べても断線やショートも無し…PCVの単体点検でも異常無し…結果ECUと判断して治らなかった…という話もチラホラ聞きます…


自分の今までの経験から言えば原因は…単なる接触不良がほとんどです…
ECU側のPCVのコネクター…この平端子が接触不良を起こします…

このコネクターを外して…


コネクターから端子を外すと…

メス端子の口が広がってます…
ここの接触不良が多いです。



その端子をペンチなどで締め直し、再度組み付けて故障コードの消去を行います。
試運転してチェックランプが消えた事を確認します。



実際、コレで直るパターンがほとんどです…

まあ稀に電源不良の場合もあります…
トレーラーABSはECUとPCVの電源が別なのでトラブルシュートには注意が必要ですが…




にしても…チェックランプが点灯したまま車検に通す整備会社…事故が起きてからでは遅いです…
ちゃんと責任を持って整備して下さい…



コメント (3)

Mercedes-Benz

2015-11-16 22:16:53 | 製作
言わずと知れたドイツの高級車ブランド…Mercedes-Benz…


の、トラック。
アクトロス…

不思議なもので、ベンツのシンボルであるスリーポインテッドスターが付くだけでトラックでも高級感を感じてしまいます…


NOxPM法が施行された当時排ガス規制を逃れられる…との事でボルボトラックと共に一時期バカ売れしたベンツトラック…

その後段々とその姿を見なくなり、今ではほとんど見かける事も無くなりました…

まあボルボは日産ディーゼルを…ベンツの親会社であるダイムラーは三菱ふそうを買収してますから決して撤退した訳ではありません…

それに今でも超重量級の特殊トレーラーなんかはベンツのトラクタじゃないと引っ張れない事もあるくらいですし…そのトレーラーのキングピンの太さといったら国産トレーラーの倍ぐらいはあるんです…


話がズレましたが…


そんなベンツアクトロスで先日エア漏れの見積りを出してたんですが…
1つはプロテクションバルブ
そしてもう1つはエアサスシートのホースからの漏れ…

プロテクションバルブの値段はそれ相応な値段だったんですが、問題はエアサスシートの方で…いろいろ調べた結果ホースだけは部品として出ないみたいでシートASSYになっちゃうんです…
コレがその問題のシート…


で、そのシートASSYの値段が聞いてビックリ…


なんと…

運転席側だけで定価56万円…


誰が買うんだよ…そんな値段…




て事で、とりあえず現物修理をする事になりました。

が、ホースの差込みなどが特殊でそのままでは国産のナイロンホースも使えないのでいろいろと加工と製作が必要です…





そしてこちらは本日高速道路のサービスエリアで見た車…

思わず笑っちゃいました…笑



宣伝効果抜群ですね…笑













コメント

コンドル…バックランプ点かない。

2015-11-14 21:19:34 | UD
UDトラックスのMK37Eコンドルの増トン車…

3か月点検時にバックランプが点かない事に気付き、バックランプスイッチを交換したが改善されず…
当然バックブザーも鳴りません。

シフトレバーを手で押さえてるとブザーもランプも点きますが、手を離すと消えちゃいます…
ギヤが抜ける事はありません。
シフトワイヤーのリンク部分を調整しても変わりません…
となると内部に原因がありそうです…
このままでは次回の車検には受かりませんね…

お客様に説明すると…この車両はとにかく運行が止まらない車両で1日だけ止めるからその日に治して…との事で原因として考えられる部品を見積りにて出してたんです…

で、本日入庫。

早速作業を進めていくんですが…原因として考えられるのはM/T内部のシフトコントロールの各レバー、リンク、リバースギヤシャフト、シフトコントロールカバーの摩耗、そしてシフトフォークの変形や曲がり…

1日しか無いので開けてからコレが足りない…っていう事を避けたかったので、原因として可能性がある部品は全部注文したかったんですが…

リバースギヤのシフトフォークがメーカー欠品でしかも納期未定との回答…

いつ入るか分からない部品なんて待てません…
というかお客様が待ってくれません…
なのでお客様にはそのあたりのリスクも説明した上での作業になります。

というのも…症状は違うけど、型式違いで同年式のコンドルがシフトフォークの強度不足によるギヤ抜けなどのリコールが出てたんです…
フォーク以外の原因であって欲しいな…と願いながら作業を進めていきます…


早速ミッションを下ろしていきます



下ろしたミッションを原因を調べながらバラしていきます。
バックスイッチにサーキットテスターを接続してギヤをバックに入れてみるも…

オーバーレンジ…

手でロッドを押し込むと…

導通します…
微妙に押しきれてないみたいです…

で、トップカバーを外して、フォークを直接押し込みバックギヤに入れてみるも…

オーバーレンジ…

という事は残る原因はフォークシャフトかフォークしかありません…
なんか嫌な予感がしてきた…

コントロールカバーを外します。

外したコントロールカバーをバラしていきます…



フォークシャフトとフォークを外すんですが…
このミッション…フォークとシャフトを固定する為のヘックスボルトがカシめてあるので…
出来るだけキレイに外さないとフォーク側のネジ山を潰してしまいます…
交換する場合は全然いいんですが今回はフォークだけは再使用するので慎重に外します…


で、外すと…原因発見‼︎


なんとまあキレイに削れたもんです…笑

おそらく…交換する前のバックスイッチのスプリングが固着したまま使い続けて、ボールとシャフトが擦れてシャフトが削れたんでしょうか…


…⁇

でも交換したバックスイッチのスチールボールは減ってるような感じは無かったけど…

シャフトの方が弱いの⁇

それはそれで強度不足な気がしますが…
まあそれはいいとして、とにかく原因がフォークじゃなくて良かったです…


新品との比較。



後はフォークのネジ山を修正して組み付けていきます…



コントロールカバーとトップカバーを組み付けてテストしてみます…

バックに入った状態で手を離してもちゃんと導通があります…
よかったよかった…笑

車両に乗せる準備をします。


どうせミッション下ろすなら…と今後の事も考えてクラッチの見積りも入れておいたので交換します…





車両にドッキングさせてミッションオイルを入れて…


完成…無事納車も終わり…
定時前ですが、本日の業務は終了。
当工場…土曜日はその日のノルマを達成すれば定時前でも店じまいです…笑
早い時は3時位に終わる事も…

で、休み前は必ず自分の工具をキレイにします…

基本的に毎日掃除はしますが、休み前は特にキレイにします。
最近お気に入りなのがコレ…


ツールボックス専用のクリーナーなんですが、あらかじめ油汚れを落としておいてから、キレイなウエスに染み込ませ塗り広げた後柔らかい布なんかで拭き取ると艶が出ます。


バンセールスの方に試しに使ってみて下さい…とタダで貰ったんですが、とても気に入りました。

オススメです…









コメント

ハイエース…リヤハブベアリング交換

2015-11-13 00:00:36 | トヨタ
最近、車検や一般修理、板金やらとバタバタしてます…
年末っぽくなってきたというか…

とにかく忙しいです…


ありがたい事ですが…


ただ、忙しい時に限って内容の濃い車検や修理が増えるのは何故なんでしょうか?…笑


こちらもその1台…

KDH201Kのハイエース。
走行距離は206000キロ
車検で入庫して2日間お預かりの予定なんですが…

まず、試運転すると…40キロ位で後ろの方からゴーと物凄い音がします…
ハブベアリング交換決定…。

お客様は何も言って無かったけど、よくこのごう音で気にならなかったな…と思うくらいの音ですが…

次にリフトアップして下廻りを点検していくと…

ラックピニオンからオイル漏れ…
ウォーターポンプから水漏れ…
更に20万キロオーバーでタイベル交換はしてない


2日間しかないのでとりあえず部品を手配します…

ラックピニオンはリビルトにて注文…
リヤのハブベアリングは左右交換。
タイベル&ウォーターポンプ関係一式も…

この時点で本日の残業と明日の早出が決定…
まあ残業は毎日ですが…

早出は言われた訳じゃないけど逆算すればそうなりますよね…


とにかく効率良く作業していかないと間に合いません…


ハブベアリング関係は昼イチで部品が来たので早速作業開始。


で、この200系ハイエースのハブベアリング交換時にアクスルシャフトを抜くのにSSTが無いと交換出来ません…

純正SSTは高額だし、年に何回も使わないから…という事で以前自作で作ったんです。

どこに置いたっけ⁇と思いながら倉庫を探しても見つからず…

どこを探しても見つからない…


ちょうど通りかかったY氏に聞くと『この間、倉庫の中を掃除した時にずっと使われて無かったんで捨てちゃいました…』と



オマエフザケンナヨ…ナンデステルマエ二キカネェンダ…とキレそうなのを必死にこらえ…

捨てられた物は戻ってきませんし、借りれるアテも無い…


考えても始まらないのでまた作る事に…
寸法を測る必要があるのでバラしていきます…





ABSのセンサーリングとカラーは再使用不可なので切断。

コレ、整備要領書にも書いてあるんですが、サンダーでギリギリまで削ってタガネで割るんですが…以前別の工場で酸素で切った方が圧倒的に早いじゃん…て事でセンサーリングとカラーを酸素で切ったらしいんです…で組み付け後走行中にアクスルシャフトが折れた事例がありました…
その人の切り方が悪かったのかもしれませんが、とにかくそれ以来乗用車クラスの細いアクスルシャフトは酸素での切断は止めよう…となり…

なので、サンダーにて地道に削り…割ります。

センサーリングは特殊なアタッチメントを付けたスライドハンマーにて引き抜き。




ここで、寸法を測り廃材にてプレス用の治具を制作…これが無いと進みませんので…

とりあえず使えればいいので見た目は気にしません…笑


セットして

プレスにてアクスルシャフトを抜いて…

コレが硬い…

で、ベアリング抜いてシール換えてシャフトを圧入…


このセンサーリングとカラーは圧入する寸法が指定されております…
ベアリング面からセンサーリング上端までで32±1㎜…
入れ過ぎちゃうとまた切断するハメになります…


インナーシールも打ち換えてシャフトを挿入。


本日は用事がある為ここで退散…
明日早出して頑張ります…
明日納車なので…



小ネタ…


外したホイルシリンダーに付けてあるA10ってキャップ…
よくいろんな部品の新品やリビルトに付いてるヤツなんですが…
役に立つので色々とってあります。


重宝します…笑


















コメント (2)