メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

カンカンファイター…。

2017-04-21 12:33:54 | ふそう
エンジンから異音がする…という事で入庫したFK71ファイター。


若干くどいですが、この車両も3月に依頼があった車…

お客様曰くエンジンからカンカンと音がする…との事。


実際に現車を確認…
エンジンは4M50。


入庫時のエンジンの異音


ん〜嫌な音がしますね…笑

サウンドスコープで音の発生源を探っていくとエンジン下部…クランクケース内の2番と3番辺りから発生してるようで…
この時はコンロッドメタルでもいっちまったかな⁉︎…という感じ。


で、お客様にはここから先詳しい原因を調べる為にはオイルパンを外さないと…という事を伝えた結果、3月は忙しいから4月に入ってから予定を空ける…との事でした。





で、本日入庫です。

相変わらず嫌な音がしてます…


早速オイルパンを取り外して異音の原因を調べていきます。
抜いたオイル自体には金属粉は見られず…




まずは疑ってたコンロッドメタルを点検…
が、4気筒ともガタは無さそう…

アレ⁉︎違うのか…

じゃあコンロッドのエンドプレーを…(まだコンロッドを疑ってる…)

ダイヤルゲージで測定…


コンロッドのエンドプレー基準値は0.15mm〜0.45mmで測定の結果、全気筒共に0.20mmから0.25mmに収まっているので問題無し…

コンロッドじゃないのか…⁉︎
その後も諦めの悪い自分はコンロッド周辺を念入りに調べるもイマイチ原因は判明せず…

ただ、気になったのはクランクシャフトのカウンターウェイトに何か擦った様なキズがあり…


実際にクランクシャフトを回転させてみても擦る様なモノは無いし…


ノーマークだったオイルパン底を調べてみると…


何か発見…


何だコレ…⁇

磁石に付くか確認するも付かないので…
そう考えるとアルミ片…⁉︎

その後もオイルパンから出るわ出るわアルミ片が…


エンジン内部のアルミ部品と言えば…

ココでようやくピストンを疑い始める事に。←遅い…



で、ファイバースコープで各ピストンを念入りに調べてみると…




2番のピストンが…



マジっすか。

正直エンジンは普通に回ってたのでピストンは頭にありませんでしたが…

いやいや…ところで破片は⁇
こんなに大きく欠けててあんな少量の破片な訳ないよな…

という事でクランクケース内をくまなく探してみると…














ありました。笑


ピストンのスカート部が見事に欠けてます…

ランド部分は無事だったので圧縮が抜ける事も無く普通にエンジンかかってたんでしょう…


というより、よくこんな状態で1ヶ月近く使ってたな…笑

カンカンという音はピストンが踊ってたんでしょう…

エンジンブローしなくて良かったなぁ…
割れたピストン片の当たりどころが悪かったらクランクやブロックに致命的なダメージがいってたでしょう…


運が良いのか悪いのか分かりませんが…(^_^;)




とにかく、ピストンやライナーは交換必須ですね…


とりあえず直すかどうかも含めて見積りを作成してお客様と相談です。

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ダイナ…インジェクター交換&DPF修理。

2017-04-20 13:00:55 | トヨタ
XZU304ダイナ…

この車両も2月にエンジンの調子がオカシイ…との事で見積りを出していた車両…


その時はエンジンの振動が酷く明らかに1気筒お亡くなりになられている様子でした。

チェックランプも点灯しており…


故障コードを確認してみると…


3番のインジェクター異常とDPR異常のコードが…
このインジェクター異常のコードは補正量が15mm3/sを超えると検出します。

その時のデータは…


当然振り切ってます。

恐らくDPRの故障コードもインジェクターに起因するものでしょう…
おまけに画像はありませんが、データ上では差圧パイプが詰まってるようで正確な差圧は確認出来ませんでした…


なのでインジェクターの交換と合わせDPFも清掃する事に…

エンジンはS05D…



インジェクターは全数交換。
この日は写真少ないのでサラッといきます…笑





取り付け…


IDコードも書き換えてエンジンを始動…
補正値も良好です…



翌日からが本題のDPF修理…
当初はフィルター確認も含め洗浄してサッと組み付けるつもりだったんですが…
フィルターを切り離す段階でスタッドボルトが折れる折れる…

こちらは出口側…


スタッドボルトがほぼ全滅です…
入口側も数本を除き折れました…笑

ススの堆積は結構あったものの洗浄でフィルターや触媒の再使用は十分可能でした…
が、折れたスタッドは交換する必要があります…
このスタッドも熱が入る部分なので酸化が酷くなるとナットを緩める時点で折れちゃいます。

前日に浸透剤を吹き付けておきましたがまるで効果が無かったようですね…(^_^;)

またこのタイプはナットが炙れないので錆が酷くなるとスタッドボルトだけをキレイに抜くのはほぼ不可能でしょう…
この時点で諦めて新品に交換する業者さんも多いと思います…

とは言え何十マンもするフィルターを簡単に交換しましょう…なんて言われてもお客様は困ってしまいますよね…

なので今回は少し手間はかかりますが再生する事に。

カバーの溶接をキレイに剥がします…


断熱材の巻かれたフィルター…


更に断熱材を取るとフィルターケース単体となります…


折れこんだボルト達…
フランジは鉄の為、錆の進行が進んでますが…

ナットはステンレスなので…
これじゃあ折れるよなぁ…


この状態なら酸素で炙れますが、今回のはかなり頑固で酸素で炙るもボルトは多少回りますが途中でカジる為に折れるかネジ山がイカれます…

そんな時は裏の固定ナットも切断した方が早いんですが…
コレまた厄介なのはステンレスなので、酸素での溶断は不可能なんです…

そこでプラズマで溶接ビードをチマチマ切り落としナットを全て取り外し。


更に表面を慣らした後、新しいステンレスナットを溶接します…



断熱材は再利用…


カバーを巻いて溶接。






スタッドボルトを取り付けてフィルターケースの再生は完成…



今度は差圧パイプの詰まりを…
コレまた頑固なヤツはエアーで吹こうが洗浄剤を流し込もうが解消されないケースがたまにあります…
ウチではそんな場合は差圧パイプを根元で切っちゃいます。


スパッと…



更に元の穴を少し広げて少しでも詰まりにくくしておきます。
ココがよく詰まります…




で、パイプを合わせ再度溶接。







ガスケットを新品に交換してフィルターを組み付け…


後は車両にドッキングして完成です…



最後に強制再生を…
フィルター温度も問題無く昇温。


問題無く終了する事を確認して…
差圧も良好になりました。


車検も近い事から事前に排ガスも確認…


これにて全ての作業が完了です。

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ギガ…オイル漏れ修理。

2017-04-17 12:34:11 | いすゞ
EXZ52ギガトラクタ…

オイル漏れ修理での入庫です。




これまた3月には見積りと部品注文は終わってた車両で…4月に入り再入庫です…


エンジンは6WG1…

正直、6WG1でオイル漏れ…と聞くと、あぁ…多分あの辺でしょ⁉︎…なんて思うほどよく漏れる箇所があります…

エンジンのフロントケース廻り…


この車両も入庫時点で確認すると、やっぱり…という感じでした。

個人的な経験から言うと、エンジンのフロントケースカバーからの漏れが圧倒的に多いです…


作業的にはフロントケースなのでラジエーターやインタークーラーは邪魔になってくるので外します…
一部でラジエーターやインタークーラーは外さなくてもなんとか出来るよ…なんて事を聞きますが私は外します。
作業性の悪さはくだらないミスに繋がりますから…
もちろん過剰な作業性確保はよくないですけどね…笑

見積りの段階でラジエーターのアッパータンクの劣化も酷かったので同時に修理する提案をしてたんですが、この車はまだまだ使うからキッチリ治して…という事だったので水廻りの予防整備も同時に行う事になりました。


インタークーラーやラジエーターを取り外し…




コテコテです…


見積り段階で当然スチーム洗浄してるんですが、フロント周りには各部品が入り組んでいる為スチームのノズルが入らないので完全には汚れは除去出来ません…

クランクプーリーも取り外し…


クランクシールは滲み程度です。


で、漏れている箇所はやはりフロントギヤケースとカバーの合わせ面からでした…


矢印の部分が周りよりも汚れが付いてないのは現在も漏れが進行してる証拠です…

更にケースカバーを止めるボルト穴からも…
こちらは漏れてないボルト穴から…


これが漏れのあるアイドルプーリー取り付けと兼用のボルト穴です






ケースカバーも取り外し…



オイルパンの取り付けにボンドがベッタリと…


6WG1は本来固形ガスケットでシールしてるんです。

で、お客様には見積り段階でオイルパンを最近外されるような整備をしたか聞くと…

1年前に別の整備工場でオイル漏れ修理でオイルパン外してる…との事でした。

という事は…

おそらく以前作業したメカニックはフロントケースからの漏れをオイルパンからの漏れと誤診して修理してる可能性が高いですね…
フロントケースやクランクシールからの漏れでもオイルパンの合わせ面にオイルが伝っていきますから…

その判断も含め、こんな仕事をするメカニックはロクでも無いのは確かです…

見積り段階で間違った方法で整備されてる事は分かっていたので、お客様には正規の状態に戻す意味も含めてオイルパンの脱着作業もする事を伝え、了承を得てました。

問題のオイルパンを取り外すと…




とんでもないやり方です…
オイルパン全周にボンドをベッタリ塗ってその上に固形ガスケットを乗せ、更にその上から全周ボンドを塗ってあります…

いや、ガスケット要るコレ⁇…笑

コレならガスケット無い方がまだマシですよ…

こんな整備を放置しておくと今回フロントケースからの漏れをキッチリ治しても安心して納車出来ませんよね…

誰に見られても恥ずかしくない仕事を心掛けましょう…

塗りたくられたボンドの掃除に無駄に時間を取られながらもキレイになりました。


これが正規のガスケット…


オイルパンを取り付け…
ブロックとフロントケースやフライホイールハウジングなどの繋ぎ目はボンドが必要ですよ…笑








ボルトも規定トルクで締め付け。


フロントケースカバーも洗浄…


クランクシールも当然交換します。
いすゞエンジンに多いスリンガー付きオイルシール…

残ったスリンガーを抜き取り…


本来はスリンガー付きオイルシール専用の圧入SSTがあるんですが、頻度からもとても買えませんよねー笑
なので本来はイレギュラーな方法ですが…

スリンガーを単体で先に入れておき…


新品のガスケットを付けたケースカバーを取り付けた後、オイルシールを圧入します…


圧入位置だけは守ります…笑
クランクシャフト端面から7.0mm±0.3mm


コレでケースカバーは完了…
クランクプーリーを取り付け。
締め付けトルクは267Nm



ファンやベルト類も…




ラジエーターは初めはオーバーホールする予定でしたが、ラジエーター屋さんでカシメを解いたらコアに亀裂が入ってしまった為、社外新品に交換です…
これもラジエーター屋さんが悪い訳では無く、古くなってくるとコアも脆くなるのでオーバーホール出来ない事もあります。




インタークーラーも取り付け。



後はサーモスタットやウォーターポンプの交換。


ウォーターポンプは仕様変更されてるのでメクラプラグも追加で注文する必要があります。




ホースジョイントも新品のウォーターポンプには付属されてないので注文する必要があります。
古いウォーターポンプから取り外せなくはないですが、ポンプ新品なのにホースジョイント再使用ってのもねぇ…

にしてもこの辺がいすゞは不親切だよなぁ…

ウォーターポンプASSYで注文してるのにコレです…
どうせ必要になるんだからキットにすればイイのに。



サーモスタットも交換して…






ホース類を接続して完成。



最後にエンジン廻りをスチームで念入りに洗浄して漏れの確認です…




漏れがない事を確認してカバー類の取り付け。




無事に納期に間に合い完成です。

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コンドル…エンジン不調。

2017-04-15 22:53:56 | UD
26年式のQPG-PK39コンドル…



もともと2月の初め頃にエンジンの調子がたまにおかしくなる…との事で入庫があったコンドル。

実際その時はエンジンの調子も良く不具合は確認出来ず…
診断機で過去履歴を確認するもナシ。

更に荷下ろしの為エンジン切ると再始動出来ない事があるらしく、プライミングポンプをポンピングするとかかる⁉︎…との事でしたがこちらも確認出来ず…

定期メンテナンスはキチンと行っており走行距離もまだ10万キロほど…

その時はお客の了承を得て、とりあえずメインとプレの燃料エレメント両方を換えてエア抜きもしっかり行い、様子を見てもらう事になったんですが…

その後もたまに症状が発生するようでエンジン回転が不安定になり止まりそうになる事も…

で、もう一度入庫してもらい点検する事に…



とはいえ症状も出ないし故障コードも無いのでどこを調べていいやら…

燃料系…いや、制御系統かも…いやいやセンサー類の不具合かもしれない…と雲を掴むような状態で…


その時はエンジンの調子は良いもののデータ上での燃圧が若干不安定だったんです…

こちらがその動画

インジェクター制御圧力…というのが燃圧です。

で、このGH-7 はコモンレールシステムはデンソー製を採用してるんですが症状が確認出来てないのであくまでもデータだけでの推測になっちゃいますが、燃圧が安定しないのはSCVかな…なんて思いつつ。

単品設定もあるのでお客様にはとりあえずSCVは
交換してみましょうか…という話をしてその日も一旦車をお返ししたんです。

部品だけ手配しておき後日入庫してもらう予定だったんですが、その数日後にお客様からエンジン止めたら再始動出来なくなった…
何をやってもかからない…という事で出張で見に行く事に…

走る事1時間…
現地に到着。


僻地です。笑


まずは故障コードを確認すると…


故障コード無し…
やっぱり…

クランキングをするとセルモーターは元気よく回りますがエンジンがかかる気配はまるでナシ。

現在のデータを確認してみると…



ん⁇
エンジン停止状態なのに燃圧が49MPaもある…⁉︎

通常はエンジン停止時は燃圧は徐々に下がってきて0付近まで下がるはずなんですが…

いやいやそんな訳無いだろ、表示がバグってるだけでしょう…という事でもう一回クランキング。


するとクランキング時に60MPaまで上昇してその後57MPa辺りで止まり、しばらく放置しても下がる気配は無く…

停止状態の燃圧としては明らかに異常なので、本当にそんな圧力なのかを調べる為に1番のインジェクションパイプを恐る恐る(本当に57MPaあったら危険なので…)緩めてみると…



なんのこっちゃない。
実際には燃圧はまるでかかっておりませんでした…


という事は、もしかしてコレ…


で、試しに燃圧センサーのコネクタを抜いてみると…


未対応…となり…


コネクタを再接続すると…


0.00MPa表示に。

その後クランキングしてみると…



見事にエンジン始動…笑



もしかしてコレが原因だったりして…⁉︎

正直まだ確信は持てませんが…
今回やっと症状と不具合時のデータが確認出来て、修理の方向性がようやく見えてきた感じ…

少なくとも燃圧センサーの数値が実際の燃圧とズレていたのは間違い無く、数値が正常に戻った途端エンジンも始動出来たので、センサーは交換してみる事にしました。


で、部品を手配しておき今回の入庫です。
結果的にセンサー単体では供給されておらずコモンレールASSYになっちゃいましたが…



早速作業開始…


EGRパイプを取り外すと…


やっぱりコテコテ…
トラブルの温床です。
ブローバイガスとEGRの最悪コンビ…

インマニも当然…


オイルエレメントも取り外してようやくコモンレールも取り外し…


新品のコモンレールをサッサと取り付け。


インジェクションパイプは新品に交換。
高圧パイプなので基本的には外したら交換します…





インテークを組み付ける前にカーボンの除去。






最近は意地になってキレイにするのは辞めました…笑
出来る範囲でほどほどに…
どんなに掃除してもまたすぐに溜まりますから…

オイルエレメントも取り付けてコモンレールは完成…








後はSCVの交換を…
これがまたやりにくいトコに付いてる…


取り外したSCVの抵抗を測定…


8.4Ω…

新品のSCVは…




8.0Ω…

若干の差はありますね…

ガイドボルトが同封されてます…



で、なんだかんだでSCVも交換して後は燃料エレメントの交換。
ちなみに整備書を読む限りだとSCVやサプライポンプを交換しても機差学習は必要無いみたいです…


メインフィルターの交換と…


サブフィルターの交換。
セジメンターですね…

中にある赤いリングは軽油より重く水より軽い比重で作ってあり、燃料内に水が溜まってくると浮いてくるんです。
最近はほとんどの車がフローセンサが付いており水が溜まるとメーター内にランプを点灯させるんですが、このリング式は教えてくれないので目視で点検する必要があります…



2月にも交換してるんですがSCVもコモンレールも交換したのでついでに新品に。

にしてももう汚れてる…


交換してエア抜き作業を…





で、エンジンを始動する前に診断機を繋ぎデータを確認すると…
焦って画像撮り忘れたんですが…
あったはずのインジェクター制御圧力…という項目がどこにも見当たらず…

え?なんで⁇…

おまけにエンジンかからず…


マジかー(;´д`)



嫌な汗をかきましたが、その後少し落ち着きを取り戻し…笑

センサーとパラメータ値モニターを確認。
するとやっぱり燃圧だけ表示が空欄…


ちなみにその下にフューエルプレッシャーという項目がありますが、コレは恐らくフューエルテンプの間違いです…
以前、数字の変化が圧力にしてはおかしいな…と思ったので通常のデータ項目の燃温を華氏から摂氏に(通常のデータは全て華氏表示…)変換したらドンピシャで数字が合ったので、それ以来コレは燃温と認識してます…笑
こちらはアップデートで改善してもらいましょう。


で、何度か通信を切ったり繋げたり…を繰り返してたらいつの間にか項目が復活…

何故でしょう…⁉︎
分かりません。


クランキングすると無事にエンジンも始動…

とりあえずホッとしました。笑



データ上の燃圧は…

SCV交換後の燃圧

安定してます…

燃圧が安定しなかったのはSCVで間違いなさそうですね…

とりあえず燃圧は安定しましたが、エンジンがかからない症状も燃圧センサーを交換した事で治ってくれると良いんですけどねぇ…

後はエンジン廻りをスチームでキレイに掃除して納車です…



再入庫しない事を願いながら…笑

次はギガのオイル漏れ修理です…
これまた内容が濃いんだよな…

今週は納期に追われる仕事ばかりなので胃が痛いです…笑

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パワーゲート修理…

2017-04-12 22:47:08 | 整備
ディーラーさんからパワーゲート修理の依頼で入庫…


不具合の内容はテールゲートを格納時にロックレバーの固定用ピンの溝がナメてしまい、走行中にレバーが動き、ゲートが倒れてしまう…との事。


この車も3月には状況確認と見積りはしてあり、4月作業という事で入庫待ちだった車両…

明日からはまた別の修理の予定があるので今日中に終わらせる必要があります。
早速カバーの取り外し…



問題のロックレバー…


レバー類を取り外し…


問題のブラケット…


このブラケットの溝が減っている為ロックピンが外れてしまうようです…

部品が単品で供給されれば交換するんですが、このブラケットはゲートに溶接で取り付けられており単品設定はありません…

交換するならゲートASSYになる…との事。


そんなもの交換なんかしてられないので、今回はブラケットを取り外し減った溝を肉盛り、再生形して再使用する事に…

酸素でビードをカット…


取り外したブラケット…



減ってしまった溝…



減った箇所にTIGで肉盛りして…



再生形…



で、ブラケットの再生は完了…


レバーは曲がってるので新品に交換します…


センター出しと仮組みしての位置合わせ。





おおかた決まったらブラケットを仮付け…



位置に問題が無い事を確認して本溶接。


後は組み付ける前にサフを吹いておきます…



で、レバーやピン、タイロッドを本組み…


最後に塗装を…


画像だと光の当たり具合で同じ色に見えますね…笑
サフもグレーで上塗りも明るいグレーなので…

カバーを取り付けたら完成です…






パワーゲート修理も予定より早く終わったので今日はもう帰ります…笑

明日からはたま〜にしか症状が出ないエンジン不調のコンドルが入庫です。

コレまたその後の予定がある為、1日しか余裕がありません…

頑張りますか〜( ´_ゝ`)


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プロフィア…インジェクター交換。

2017-04-11 23:27:41 | 日野
ADG-SS1Eプロフィア…


もともとこの車両は3月に出先でエンジンチェックランプが点いた…との事で出張で見に行った車で…


現地に着き故障コードを確認すると…


スートとはススの事です。


差圧チェックをしてみると…


12.4kPa…

トラクターヘッドのE13Cでの差圧基準値は9.5kPa以下なので基準値を大幅に超えております…

運転手さんに話を聞くと、最近ススの堆積モニターが溜まるのが早く、焼いても焼いてもすぐ溜まる…という事だったらしく少し手動再生を忘れたらチェックランプが点いた…と。

この車両…年式は19年式ですが走行距離はたったの3万キロ…
重量物運搬用のトラクターでNR装置が付いており、最高速度は60km/hに制限されてます。

使用状況によって大きな影響を受けるDPFにとっては少々酷なようで…

基本的にアイドリング状態や低速走行が多く、また最高速度も60km/h以上出ないのでフィルター内が高温になる状況が圧倒的に少ないんでしょう…
そうなると必然的にススが溜まりやすい環境になってしまいます。


インジェクターの補正値もあまり芳しくないです…


DPRのステータスは…


昇温不良の判定が。
この昇温不良はDPRの再生で排気温度が上がらない…という事。
排気温度が上がらない原因として考えられるのは…

インジェクター不良やEXシャッターバルブの開度不良…そして酸化触媒の劣化などが挙げられます。

とりあえず現地で強制再生をすると…


まずまずの温度まで昇温し無事再生も終了。
その後の差圧チェックでは…


とりあえず基準値内には収まりましたが…
インジェクターの数値も良くない事から後日入庫してもらい、インジェクターの交換とDPRの清掃をする事に。


で、4月に入り入庫…
部品はもう来てるので早速作業を開始。

まずはインジェクターから交換する事に…




ジェイクブレーキのアクチュエータを取り外さないとインジェクターは外せないので取り外し。

メーカーによってEEブレーキとかエンジンリターダとかパワータードなんて言われてますが、本来はジェイクブレーキという名称です。
開発した人の名前だったような…笑

いわゆる圧縮解放ブレーキの事で減速時などにエンジンの圧縮工程の抵抗を利用するエンジンブレーキで…
圧縮上死点付近で燃料は噴射せずエキゾーストバルブを開くのでバルブタイミングを可変する必要があるのでこのような造りになってます…



取り外したアクチュエータ…
これが二つ付いてます。


で、インジェクターも取り外し…





リビルトインジェクター…


何番にどのインジェクターを取り付けるかを決めておきます…
コレを間違えると元も子もありません。







ノズル先端…
ここに肉眼で見るのは苦労するほど小さな穴が8個ほど開いてます…


インジェクションパイプやリターンパイプは新品に交換します。


各部を規定トルクで締め付け…








ジェイクブレーキも取り付け…


スレーブクリアランスの調整。


クリアランスは1.3mm。


6気筒とも調整してヘッドカバーも取り付け。






お次はDPRの清掃…


フィルターを取り外し…


見た目以上にススの堆積は酷かったです…




画像だと分かりづらいと思いますがこれだけで500mlペットボトルが満パンになる位…
それが3本分ほど出てきました…


キレイになりました…





後はスタッドボルトも全数交換。
このタイプは裏からナットが炙れるので折れ込ませる心配もありませんね…




新品のスタッドとガスケットを組み付けて…


フィルターをビルトイン。


更にカバーを取り付けてDPRも完成…





DPRの強制再生をする前にインジェクターのIDコードを書き換え…







エンジンを始動してDPRの強制再生を行なっていきます。


最終的にINが501度、OUTが450度まで上がり無事に再生も終了。
ススは大体470度あたりから燃焼すると言われており500度まで上がれば昇温は問題無いでしょう。

振り切っていたインジェクター補正値も良好になり…


差圧もアイドリングで0.2kPa…


全開時も掃除前は約12kPaあった差圧も5.8kPaまで下がりました。


後はエンジンオイルを交換して全ての作業が完了です…


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来週から…

2017-04-09 01:19:45 | その他
来週からは3月の車検ラッシュで後回しにされていた一般修理が次々と入庫してきます…


入庫や依頼は3月でしたが、いかんせん車検が多くて手が付けられなかったので比較的に緊急性の低い修理は4月に入ってから作業する事をお願いしてました…

かなりタイトな予定で組んである為、イレギュラーが起きるとかなりピンチです…笑

もう既にお客様を待たせてしまっているので、これ以上の遅れは避けたいトコですが…

まあ、なるようにしかなりませんね…笑


まずはプロフィアのインジェクター交換とDPF清掃…
部品はもう既に手配済み…


リビルトインジェクター。



他にもディーラーさんからの依頼のパワーゲート修理や…


そしてPK39コンドルのGH-7エンジン不調。
これ…たま〜にしか症状が出ないという事で2月からトラブルシュートしてるんですが…
とにかく預かると症状が出ないのに、お客様に返すとトラブルが起きる…といった困ったケース。笑
故障コードは一切残っておらず手探り状態でアレコレ調べてたんですが…
お客様が運行中に症状が発生したと言うので遠方まで出張してデータを確認しに行った結果、ようやく…⁉︎ 光が見えた感じ…

コレで直ってくれると苦労が報われるんだけどなぁ…笑







更にオートステアリングトレーラーのプログレッサー交換など…
2ヶ月かけて船便で海外から部品が届きました…

航空便だと運賃だけで50万近くかかる…なんて言われるもんだから…笑




後は仕事とは関係ありませんが、自分の工具箱のキャスター交換…
頻繁に移動させてはブレーキを使うので効きが落ちてきました…

車と同じで道具もメンテが必要ですね…笑

こちらももう部品は来ており、後はいつやるか…


頼んだ新しいキャスターにはロゴが入ってる…


問題はどうやって交換しよう…⁉︎

セオリー通りにいけば中の工具を全部出してトップチェストもおろし…ってとこなんでしょうけど、出すの面倒くさいしな…

中の工具も含め重量は200〜300キロはありますから…
リフトで上げて交換しようか…





そんな時間も無さそうだけど…



しかしこの工具箱ももう手狭です…



最近ちょっと気になるKRL1163…




今週のチラシに載ってるEPIQ…


323万円…笑
コレ…箱だけの値段ですからね。

他の職業の方からするとたかが道具箱に何百万なんてのは理解し難いと思います。


でもメカニックにとって工具は何よりも大事な物で…
その大事な大事な工具をしまう工具箱も当然信頼出来る物じゃないと困る訳です…

世の中安価な物はいくらでも出回ってますが、何よりも大事なのはやっぱり品質。
それは結果的に安心感に繋がりますからね…



さあ、頑張りますか…



一体いつになるやら…笑

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最近の作業…5

2017-04-05 22:59:25 | 整備
2017年ももう4月…


4月に入っても仕事が落ち着く様子はありません…


車検に一般修理に見積りなど…
バタバタしてます。




まずは車検で入庫したトレーラー。

特に不具合やエア漏れがあった訳ではありませんが予防整備でチャンバーゴムの交換…


ゴムは劣化してますね…


中は錆も無くキレイです…



新品と比較するとこれだけ伸びてます。
右側が新品です。



最近のトレーラーのスラックアジャスターは自動調整が主流ですが、古い年式になると手動調整のタイプがほとんどで、手動式は定期的な調整が必要なんですが…

ブレーキの減り具合に合わせてスラックアジャスターを調整してやらないとチャンバーロッドのストロークが増え、結果的にゴムにも負担がかかります…
そうなるとこんな感じに伸びちゃうんです…


ボルト類も交換してチャンバーは完了。




お次は古いキャンター(ウチでは…)
エンジンは噴射ポンプ式の4M51。

キャンターやファイターでの4M5系では年数が経ってくるとよく漏れるオイルクーラーからのオイル漏れ修理で入庫。


本来なら作業性を確保する為にエキマニも外した方がいいんですが…
遮熱板を取り外す段階で取り付けボルトが折れる折れる…
触らぬ神に祟りなし…という事でマニホールドは外さずに作業する事に…笑

ただ、遮熱板は腐食が酷く交換するので折れたりナメたボルトは取り外さないといけません…
ボルトの頭も瘦せ細りボックスはかからない…


頭を削りステンボルトを溶接し慎重に取り外し。




ガスケットやOリングを交換してオイルクーラーも終了…




他にも特殊トレーラーのハブベアリング交換など…


最近導入した新兵器…
ベアリングレースインサーター。


任意のサイズに調整出来ます…


コレは使える…‼︎笑




そして車検で入庫したダイナですが…


燃料エレメント交換時にいつもは無い違和感を感じたので…


採取。


コレ…この車両から抜き取った軽油なんですが…

明らかに色が薄い…



ガソリンや軽油などは精製された段階では本来、無色透明なんですが、色んな理由から識別する為に色やニオイが人工的に付けられています。


ちなみに自社のトラクターヘッドから抜いた正規の軽油はこんな色。



比べると一目瞭然。



あくまで私の感覚ですが、ほんのり灯油の匂いを感じます。

コレはいわゆる不正軽油…⁉︎
ブラックライトを当てればハッキリするんでしょうが…


お客様に最後にどこで給油したかを聞くと、某大手石油メーカーのフランチャイズを受けた地元企業のスタンドでした。

今だにこんな事をするスタンドがある事自体が驚きですが…


正直、私は世直し人でもなんでも無いので誰がどんな不正をしようがタレ込みしてやろう…なんて思いませんが…
それがウチのお客様に迷惑がかかるような事となれば話は別で…
お客様には現状の説明をして、現車から抜き取った軽油と正規の軽油のサンプルをお渡ししました。
ここからどうするかはお客様の判断に任せます。



完成検査での排ガス測定はかろうじて合格しましたが…

実際に現車のインジェクター補正値は最悪で…
遅かれ早かれ必ずインジェクターとDPFの修理が必要になるでしょう。




昨今のディーゼルエンジンのコモンレールシルテムは高圧&精密な為に使用する燃料には非常にシビアです。
高精度な機構故に使う燃料が粗悪品だと当然トラブルになります…
燃料エレメントはあくまでゴミや水分の混入を防ぐ為の物なので、定期交換していても燃料自体に問題があれば意味がありません。



また、この手のトラブルで厄介なのはスグには分からない事。

燃料の不完全燃焼からDPFやインジェクタートラブルに至るまでにはしばらくかかります…
その為燃料が原因だとは気付かない事もあるかもしれません。

気付く頃にはもう手遅れでしょう。


コレばっかはユーザー側は気を付けようがないのでタチが悪いですね…



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