メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

デュトロ…チェックランプ点灯。

2016-10-27 22:14:14 | 整備
SKG-XZUデュトロ…

エンジンチェックランプが点灯したとの事で入庫。

現在、点灯中です…


早速TPMで確認。

すると…


P20CF…整備書で確認して下さい⁉︎


という事で今度はG-SCAN…


P20CF…添加弁異常(開固着)

添加弁⁉︎

何の添加弁かよく分からないので整備書で確認…



おぉ…なるほど…
TPMはそこまで見越して整備書で確認して下さい。だったのか…笑


で、調べるとエキゾーストパイプ間にある燃料添加弁の事でした。
つまり…第5インジェクターの事だと。

整備書では添加弁とか燃料添加弁と記載してあったり、フューエルアディションインジェクターと記載してあったりと…

何でもいいけど統一して下さい…
このブログでは車種問わず第5や第7インジェクターという呼び名にします。笑


今回の故障コードは開固着…となっており…

まあそのまんまですが…第5インジェクターが開きっぱなしで固着した…という事。

問題は本当に開きっぱなしで固着したのかどうか…
とりあえずフリーズフレームデータも残っているので確認。

このフリーズフレームデータは故障発生時のエンジンなどの各データが記録されたもので、トラブルシューティング時には非常に貴重な情報源となります。











特に気になる所も無いな〜と思ってたら最後のページでトンデモない数字が…


排気温度が900度…Σ(゚д゚lll)

おぉ…マジか…

どうやら本当に開固着したようです。

第5インジェクターが開きっぱなしになり、マフラー内に燃料が過剰に添加され、排気温度が900℃に…
その結果、P20CF(開固着)を記録したようです。

恐らく、フェイルセーフで燃料のシャットオフが働いてるはずですが…900℃と見るとDPFのフィルターが溶けていないか心配です。
以前、レンジャーのJ05Eで920℃を記録した事があり、その時は辛うじてフィルターは無事でしたが…



とりあえず故障コードを一旦消去して再度検出されるかを確認。
ちなみに今回の故障コードは通常の方法では消えません…
エンジンデータ履歴をリセット後にバッテリーターミナルをカット…で消えます。






その後バッテリーターミナルを外して…


消えました…
エンジン始動後は点灯しません。




排気温度センサーのバグも疑いましたが、
今のところ排気温度センサーは特に問題無さそうなので…第5インジェクターの一時的な不具合でしょうか…
試運転しても現在は故障コードは拾いません。

ただ今後、また全噴射状態になる可能性もあり、そうなると非常に怖いので…
お客様に説明して第5インジェクターは交換することに…


タイヤとフェンダーを外すとお目見え…


この年式からターボ直後に第一触媒がエキゾーストパイプ内に組み込まれてます。
ATCという機構です…

そのATC後に第5インジェクターとインジェクターハウジングがセットされており、おまけにクーラントまで循環してます。
以前、この年式のデュトロのヘッドオーバーホール時に組み付け後、冷却系統のエア抜きに非常に時間が掛かった事があるので…
今回はなるべくウォーターラインを切り離さずに作業する事に…

ハーネスなどを外して…


インジェクターとパイプを一体で取り外し…
取り外した第5インジェクター。

やはりカーボンは付着してますね…
この車走行距離はまだ15000キロ程ですが…

とりあえずカーボンクリーナーをハウジング内に吹き付けておきます…


インジェクターの抵抗値は7.8Ωで基準値は7.5±0.4Ωなので合格…


こちらが新品のインジェクター。


ハウジング側のOリングなどを交換して…


ものすごい数のシール類…

ココで燃料漏れたら車両火災に直結するので2重3重の対策でしょう…

パイプとインジェクターを先に組み付けて…


ドッキング…



本来、整備書通りならインジェクターのハウジング等も外して作業するみたいですが…
今回はエア抜きの手間を避ける為、ウォーターラインを切り離さず作業しました…
この方法なら1時間程で交換作業は済みますね…


で、交換後エンジン始動。
DPFが無事かどうか調べる為に強制再生を行います…
ステータス自体はどのフラグも正常で、差圧もデータで見る限りでは問題無さそう…





順調に昇温していき…




最終的に500℃を超えた辺りで落ち着き…
その後の温度の下がり具合も問題無さそうです…

差圧チェックも3500rpmで7.9KPaと規制値以下なので…

データ上ではDPFの溶損も無さそうです。

本当はDPF外して900℃まで上がったフィルターの状態を見たかったんですけどね…笑


早く使いたい…というお客様のご要望通りに納車です。


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最近の作業…

2016-10-22 12:04:45 | 整備
最近は朝は寒く…ようやく秋本番か⁉︎…と思えば昼間は汗をかくほど暑かったり…

ツナギの中を半袖にするか長袖にするか非常に悩みます…
そんな季節の変わり目にやられて見事に風邪をひきました…

皆さんもお気を付け下さい…


そしてコレもまだまだ活躍してます。






話は変わり…

結局、4JG2は他の仕事で未だ車載出来ておりません…
この予定でいくと来週末くらいまで無理そうですね…

それから…見積り承認待ちだった3LD1は残念ながら廃車になる事が決まりました。
まぁこんな事もありますね…

という事で3LD1シリーズは終了です…



で、最近の作業を。

まずは運行後のエンジン停止時などにラジエーターのリザーバタンクにポコポコとエアーが吹き返してくる…とのスーパーグレート。

日野車ではよくあるトラブルですが、今回はフソウ。

原因はエアコンプレッサーのヘッドガスケット抜け…

ガスケットやヘッド不良で冷却系統に圧縮されたエアーが混入して、それがリザーバータンクに抜けていくんです…
エンジン停止状態でリザーバー側に吹き返すならコンプレッサーヘッドでまず間違いないでしょう。

という事でコンプレッサーヘッドを交換していきます。
エンジンは6M70。


作業性を上げるためにエアクリーナーケースなどを取り外し…
この車両はショートキャブなので荷台がめっちゃ攻めてきてるんです…笑
やりにくいったらありゃしない。



ヘッド類も取り外し。



シリンダー内やエアドライヤーのドレンの状態はオイルが上がってきてる様子も無く良好なので、今回はヘッドのみの交換です…



ガスケットのコーティングが…



新品のヘッドとシートバルブ。



サプライバルブに…


サクションバルブ…




Oリングなども交換して組み付け…


規定トルクで締め付け。




チャージパイプやウォーターパイプも締め付け。





で、クーラントを補充してエア抜き。


データで水温も確認しながら暖機…



その後エンジンを止めてリザーバー側にエアが吹き返してこない事を確認して完了です。




お次はスズキのエブリィバン…


エンジンから異音がする…との事で入庫。

もう、エンジンかけた瞬間に…あ〜ダメだコリャ…
って感じでした。

バルブとピストンが軽く当たってるような音に聞こえます…
オイル警告ランプが点いては補充をくり返して使用していたらしいんです…
先日もガソリンスタンドでオイルを補充してもらったらしいのですが、
油圧不足の潤滑不良でチェーンが伸びてバルタイがズレて…結果バルブとピストンが当たってるのかな…

今の現状と音で判断する限りではそんなトコでしょうか。

このクラスのエンジンはオーバーホールするよりリビルトの方が圧倒的に安いので…
とりあえずエンジン載せ換えの見積りを出す事にします。




そして今度はトレーラーのスプリングチャンバーからエア漏れでの入庫。
BPW3軸車両です。


3軸車のうち、1軸だけの交換です。
ダダ漏れじゃ無いので取り外しは容易です…笑

このスプリングチャンバーのスプリングを手で戻すのも結構疲れるんですよ…

今回は自走も可能な程だったのでブレーキ解放状態でリリースボルトを入れます。


取り外して…


スプリングが
圧縮された状態でリリースボルトを入れれば非常に楽ちん…





取り外したスプリングチャンバー。



で、BPWのスプリングチャンバーの新品はスプリングが圧縮されてません…

こちらは新品のスプリングチャンバー。
ちなみに、この2つで先ほどのエブリィバンのリビルトエンジンよりも高額です…笑



バイスに挟んでエッコラエッコラとスプリングを圧縮するのは時間がかかるし疲れるので…

スプリングチャンバー単体状態でも圧縮出来るように、ワンタッチの圧縮SSTを作ってあります。
SSTと言ってもワンタッチコネクタとナイロンホースをくっ付けただけですが。


減圧した工場エアーを利用して圧縮。





クレビス等を付け替えて車両に組み付ければ完成です…
で、コレ…車両に付ける前でも後でも構いませんがメクラ蓋の取り外しを忘れないように。
画像の赤いマルの蓋です…

1つのチャンバーに対してサービス側とピギーバック側に4つずつ計8個付いてますが車両下側…つまり地面側だけ外します。

コレをしとかないとスプリングブレーキを使用した時に解放用のサービスホールのゴムキャップが内圧で外れます…
すぐには走行には支障ありませんがそのサービスホールから雨水などが入り錆びとなり、結果的にスプリング破損に繋がります。


実際に他社で整備されたチャンバーでこのメクラ蓋が外されてない車両をよく見かけます…

日本語じゃありませんがチャンバー自体に注意書きがされてるんですけどねぇ…



そして最後はFK71Dのファイター。

出先でハンドルロックが掛かったままキーが回らずエンジンかけれない…との電話。

出張で対応。

現地で確認するとキーがすり減って回らない事が判明。
当然、現地にスペアキーがあるはずもなく…

とりあえずイグニッションスイッチだけ取り外してエンジンはかけれるようにしましたが…


結果的にハンドルロックを解かないと走行出来ないので現地でシリンダーごと外す事に…

泥棒ビスをあの手この手で取り外し…

キーシリンダーを外します。


とりあえずこの状態で今日は使ってもらい、空き次第修理で入庫していただく説明をして終了…


最近はこんな感じで細かい一般修理が続いております…



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4JG2…O/H。その7

2016-10-18 06:26:15 | いすゞ
先週の続きを…


バルブのラッピングやステムシール等の取り付け。




で、いきなり失敗…

バルブスプリングシートを入れる前にステムシールを打ち込んだら、シートが入らない…泣

このエンジンは先にシートを入らなきゃいけないのね…
知らんかった…

一回打ち込んだステムシールがキレイに外れる訳もなく…
ステムシールを急いで再注文。
昼前には届くと聞いてひと安心…

朝から何やってんだか…


という事でバルブの組み付けが出来なくなったので他の作業をする事に。

ロッカーシャフトの組み付け…
アームとホルダー以外は再使用します。





更にオルタネータやオイルクーラーなどの取り付け…







各部品の洗浄をしてたらステムシールが入荷したので早速組み付けを…







バルブの組み付けも終わったのでシリンダーヘッドをブロックに乗せていきます。



ヘッドガスケット取り付け…


天井クレーンでシリンダーヘッドを吊り上げて…


ドッキング。


ヘッドボルトを締め付け。
1回目は49Nm…
2回目は60°〜75°…
3回目も60°〜75°…

角度は真ん中辺りの67°で締め付け。





更にロッカーシャフトを組んでバルブクリアランスの調整。




IN、EX共に0.4mm…

このIN.EXで同じクリアランスの場合はINはキツめの0.4mm…
EXは緩めの0.4mmに調整。

EXの方が高温になるのは間違いないですから…
それなのに同じ0.4mmってのは個人的にはどうかと思います。

タペットカバーも取り付けて…


インマニ、エキマニも取り付け。




更にインジェクションパイプなども組んで、ホースなども付けます…




カバー類も取り付けて…


ブラケットやファンやらベルトやらも取り付け…






エンジン単体での補記類の取り付けも全て終了…







天井クレーンで吊る準備をしておき…
後は車載です。

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4JG2…O/H。その6

2016-10-15 21:01:17 | いすゞ
4JG2の続きです…

一カ月以上も話が進まなかったのですが…

結論としては…クラックの入ったヘッドをそのまま使用する事になりました。
長らく説得を続けてきましたが…残念ながら理解を得られませんでした。

当然、組み付け後の保証は一切無い事も了承済みです。
前代未聞なので正直どれ位もつのかも未知数ですが…
1週間で壊れるかもしれないし1年持つかもしれないし…
最悪、組み上げ後の始動時に壊れる可能性もゼロではありません。
とは言え、水圧テストには合格したものの燃焼室にクラックが入ったシリンダーヘッドを組む訳ですからどれ位もつのか興味が無い…と言ったらウソになります…


この4JG2も長い事続いているので何故この様な事になったのかはカンカンエルフから4JG2シリーズをお読み下さいませ…笑


まあどんなに理想的な選択肢があっても商売である以上お客様の同意が無ければ作業出来ませんし、他の選択になったとしても割り切るしかありません。


では作業を…

まずは現在エンジンスタンドにセットしてある3LD1を降ろして、再度4JG2をセットします。

現在、見積り承認待ちの3LD1。





4JG2をスタンドにセット。





仮付けされていたオイルパンを取り外してストレーナ一体型のオイルポンプを取り付けていきます。


オイルパンを組み付ける為にフロントケースを取り付け。



エンジンをひっくり返してオイルパンの取り付け。


必要な箇所にボンドを塗り、オイルパンを取り付け…





またまたひっくり返してタイミングベルト関係を。
OHVなのでヘッドを組み付けなくてもタイミングベルトは組めます…


カムシャフトリテーナを取り付けて締め付け。
回り止めの為、カムロック用の穴にハイテンションボルトを入れて締め付け。
カムシャフトのセンターボルトの締め付けトルクは108Nmなのでハイテンじゃないと負けます…笑


アイドルプーリー、テンショナープーリー、カムスプロケットなどを取り付けてタイミングベルト組み付け。


クランクを回して各タイミングの確認。



更にウォーターポンプ取り付け…るんですが、まずは塗りたくられたボンドの掃除。


ボルト穴にもベッタリと…
コレは元々付いてたウォーターポンプ。


この4JG2のウォーターポンプはOリングが入っているので本来ならボンドを塗る必要はないんですが…
たまにいるんですよ…塗るメカニックが…
掃除が面倒なのでやめて欲しいんですけどね…

心配性なのか分かりませんが、ボンド塗らなくてもキチンと組み付ければ漏れませんから…


で、新品ウォーターポンプを取り付けて規定トルクで締め付け。

自分は基本的にエンジンO/H作業では全てのボルトを規定トルクで締め付けます。
そんなトコまで⁉︎…と思う様な所も全て。
指定トルクが記載されてない箇所はそのボルトの適正トルクで締めます。

せっかくO/Hするなら手組みのメリットを生かして出来る限り精度を上げて組みたいですからね…
まあ今回はシリンダーヘッドに爆弾を抱えてますが…
だからといって他の箇所を手を抜く訳にはいきません。

ウォーターポンプを取り付けたらタイミングベルトカバーの取り付け…


クランクプーリーも取り付け。



後はヘッドの組み付け準備を…
ロッカーシャフトは曲がってなかったので再使用で、ロッカーアームやホルダーは新品です。




折れたロッカーアーム…これが異音の原因です。


新品のロッカーアームとホルダー。





と本日はココまで。

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3LD1…O/H。その2

2016-10-12 00:23:26 | 整備
前回、O/Hの下調べ時に2番と3番の圧縮が低かったいすゞ3LD1エンジンの続き…

大まかな交換部品の洗い出しは終わっているんですが、更に詳細な見積りを出すために分解して圧縮が抜ける原因を探していきます。


シリンダーヘッドを降ろして各部を点検…


2番のシリンダーにアルミの金属片が…



恐らくピストンのセカンドランドかサードランドの破片かと…
ピストンリング固着でオイル切れで焼き付きか…
それともオーバーヒートか…

3番も軽い焼き付きの跡が…


オーバーヒートなら3番の方が酷くてもいい気がしますので…
やっぱりピストンリング固着による焼き付きの可能性の方が高いかな…

特にカーボンが酷い訳でも無いし…
側圧方向じゃないのは気になりますが…

とりあえず圧縮が抜ける原因は判明しましたが、根本的な原因はもう少し調べる必要がありそうです…

シリンダーの内径はほぼ均一でしたが…
ココまで傷が入るとブロックはボーリングしてオーバーサイズのピストンを入れるのがベストでしょうね…

ここから先はエンジンスタンドにセットしたいので…4JG2は一旦降ろして3LD1をセット。





しかしこの4JG2もここまで滞るとさすがに困るので…

不本意ですが、お客の要望通り当初の見積り金額に収めるため、クラックの入ったヘッドを継続使用するかどうかの検討もしてます。

もちろん、組み上げ後の保証は一切ない事を了承してもらった上での話…ですが。



まだ決まってませんがら仮にそうなったとしたら非常に気が重いです…

結局25万程あった差額を15万にまで圧縮したんですが、それでも首は縦に振ってもらえませんでした…
けど、ウチもこれ以上は金額は下げられないし、サービスも出来ないですからね…

ココでキッチリ直せば安心して乗れるし、こちらとしても自信を持ってお返し出来るのに…


個人的にはたかが15万の差で負うほどのリスクには到底思えないんですけどね…

とは言えウチはやれるだけの事はやったし後はお客が決める事ですからそれも仕方がないんでしょうけど…













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3LD1…O/H。その1

2016-10-05 00:48:51 | 整備
まずは水温が上がる…というファイター。

冷却系統に圧力をかけて漏れを点検すると…



10分後…


微妙に圧が下がってますが…
今のところ外部に目立つ漏れは無さそう。
吹いた跡はあるけど…


ヒーターホースの編み込み部分から若干の滲み…⁉︎
フソウは前にもこの編み込み部から漏れた事がありました。
ん〜でも下がる圧に対してこの程度の漏れだとちょっと納得いきませんので、もう少し調べる必要がありそうです。

吹き返しも無さそうですし…




次はプロボックスの車検で…
ドライブシャフトのアウターブーツが破れてたので交換。
この樹脂製のブーツも破れる年式になってきたか…




交換完了。



更にパワーゲートの油圧ユニットの換装作業。
旧ユニット…


外して…





仕様が変わっている為、配線の処理に四苦八苦…
確認しながらの作業。


新ユニットを取り付けて




なんとか完成。




そして題名のいすゞ3LD1エンジンのO/H。
エンジン単体持ち込みでの作業依頼です…
いすゞの産業機械用エンジンらしく…


またまたO/Hの依頼ですが…
どうやら圧縮が抜けてる…との事。

実は前々から依頼されており、予定通りの入庫ですが…
本来ならもうとっくに終わってるはずの4JG2がトラブルで作業がストップしてるので…
どうしたもんか…



とりあえず現状の確認を…

簡易的なスタンドを製作して圧縮比などを点検。


1番に比べ、2.3番が異常に低い…


燃料を接続して噴射ポンプや噴射タイミングの確認。


噴射ポンプは問題無さそう。


バルブクリアランスやバルタイの確認。


とりあえず見積りを出しますが…
このエンジンも初めて触るので整備書を買わないといけないんですが…


注文したらすぐ来るかな…⁉︎



いや、来ないな…



いすゞだし…。

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4JG2…O/H。その5

2016-10-02 09:51:42 | いすゞ
久しぶりの4JG2ですが…


正直、モメてます…笑


以前の記事にて組み上げていく段階でシリンダーヘッドのバルブシート間にクラックがある事が発覚したのでお客様に交換の必要性を説明してたんですが…

新品のシリンダーヘッドとバルブで約25万と高額な追加になってしまう事になかなか承認が下りず…

お客様が一時はクラックの入ったシリンダーヘッドをそのまま使ってくれ…と。
それで壊れてもそれはこっちの事情だから…とまで言ってたんですが…

さすがに燃焼室にクラックが入ったシリンダーヘッドをそのまま組めば、いずれ壊れるのは目に見えてる訳で、壊れてもいいから…と言われても、部位が部位だけにハイ分かりました…なんて無責任な事は出来ないので、交換の必要性を根気よく説明してたんです…

それでもやっぱり高額な追加がネックらしくなかなかO.Kが出ず…
なのでこちら側も新品シリンダーヘッドと新品バルブは仕切り価格での提供とヘッド交換工賃などはサービス…
エンジン屋さんにもクラックが入ってた事を説明して今回の研磨と水圧テストの作業料をサービスしてもらい削減(コレは当然…⁉︎)
なんとか当初の見積り金額との差額を縮めて再提示したところ担当者さんには納得して頂けました。

が、残るはその担当者さんの上司の許可が必要との事で現在その承認待ちの状態です…



ただ、現在はブロック側もクランクシャフトを組み付けた段階で止まっており、長期間バラした状態だと気になるのはやっぱり錆…
外した部品全てに油膜を張るのは現実的じゃないし、外気に晒されてるとゴミやホコリも付くので…
特にムービングパーツの錆だけは避けたい事もあり、空いた時間を見つけピストンなどを組み付ける事に…


まずは重量合わせ。
ピストン、ピストンピン、コンロッド、ピストンリングなどの腰上の重量を合わせていきます。



今回はライナーキットで交換するのでライナーに合わせピストンとピストンピンも新品です…

何故、重量を合わせるのか?と言うとエンジンは1分間に何千回転も回っており、クランクシャフトのような重量物を燃料と空気の混合気を爆発させた衝撃で回転させてる訳ですが、そんな重量物が物凄い力で何千回転も回る時に最も重要なのがバランスで…

腰上(ピストンやコンロッド)の重量バランスが悪いと低回転では分からなくても回転が上がるにつれ振動が出て、やがてサージングという異常振動を起こして最悪の場合はエンジンが破損する事も…

重量を合わせてバランスをとる事でエンジン破損を防ぐ為は勿論の事、回転ムラが無くなりエンジンがスムーズに回ると、各部にかかる負担減による耐久性向上や結果的に燃費向上などにも繋がってきます。
それに量産エンジンは生産効率重視なのでトルク管理も含め、細かいところの調整は結構アバウトなんです。

そんな理由もあり重量合わせを行います。


まずはピストンやコンロッドなど個々の重さを計ります…







それぞれの重さを記録しておき、数字上で計算して理想的なバランスの組合わせを考えるんですが…

まず困ったのが新品ピストンの重量の誤差。




この2つのピストンで既に3.5gの誤差…

写真を撮り忘れましだが1番のピストンは791.5gで上の写真にも写ってる2番のピストンは786.5g…

この時点で5gの誤差があるんです…


この…腰上で5gの誤差を合わせるのは結構大変な事で…
整備書では全体での重量差は3g以内…となってますがピストンだけで既にアウト。

量産車のエンジン部品の精度なんてこんなもんでしょうけど…


コンロッドは再使用なので位置は変えられないし、ピストンリングも合口調整済みの為、実質ピストンピンかスナップリングでこの誤差を埋めるしか無いんですが、ピストンピンとスナップリングで5gの差が無くなる訳もなく…

組合せを色々と考えても、誤差3.5gが限界。

仕方なくコンロッドを少し削る事に…
プレス金型の繋ぎ目部分や新品時に削ったであろう角などを、ベルトサンダーで削ります…




画像だと光の当たり具合で物凄い削った様に見えますが、実際には表面をサラッと削った程度です…笑

で、トータルでの重量を確認…




結果的にトータル重量は…

1番が2434.5g
2番が2434.0g
3番が2434.5g
4番が2433.5g

という結果に。

1gの誤差はありますが基準の3g以内には入っていますので今回はこの辺で…

ちなみにV型エンジンだと重量合わせももっとシビアで、更に高い精度の秤が必要です…


重量合わせも済んだらコンロッド、ピストンリング等を組んでブロックに組み込み…










コンロッドキャップの締め付け…
29Nmで締め付け後に45〜60°の角度締め。
ちなみに整備書ではコンロッドキャップの締め付けトルクが2.9Nm+45〜60°と間違った記載になってます。
本来は29Nm+45〜60°が正しい数字です。
まあ2.9Nmを信じる人なんかいないと思いますが…


この角度計付きのトルクレンチは便利です…
角度の積算も可能なので1ストロークで目標角度まで締める必要もありませんし…
今までのアナログ角度計での作業からすると効率、正確性も格段に上がりますね…




ココまででまた作業は一旦ストップです…
錆びない様にマスキング処理とオイルパンを仮付けして終了です…





それにしてもこの4JG2のオイルパンは不恰好だなぁ…
当初の設計より油量が足りずにオイルパン容量を無理やり増やした…みたいに感じるのは自分だけでしょうかね⁉︎…笑
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