メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

イコライザー修理。

2017-03-29 23:49:00 | トレーラー
車検で入庫したトレーラー…
今回がウチには初入庫の車両で以前は別の整備会社で整備されていた様です。



BPW3軸車…



車両をリフトアップし足廻りをバラす段階でイコライザーやトルクロッドにガタが無いかを点検するんですが…

2-3軸間のイコライザーがガタガタ…



なので、車検整備と合わせてイコライザーも修理する事に…


まずは足廻りをバラし…







イコライザーを取り外す為にナットを緩めようとすると…




溶接してある…(-_-;)

通常ならこのタイプにはナットの緩み防止にロックワッシャーを使用してるんですが…
そのワッシャーが割れたからかどうかは分かりませんがナットとボスが溶接されてます…
(溶接がヘタクソだからくっ付いてないけど…)


お客様が知らないか、分からないかをいい事にとんでもない手抜き整備がされてますね…
ロックワッシャーなんかたかだか数百円ですよ⁉︎
それを換えずに溶接するなんてどんな思考してんだよ…って思います。

呆れながらも…
イコライザーを取り外す為にピンを抜くと…

ガタガタに減ってますが、そんな事よりも…

何か気になりません⁇


気付く方はもう既にお気付きの事かと思いますが…










グリスが全く付着してないんです。


3ヶ月点検も記録上はやってありますが…
本来ならグリスでベタベタの筈のイコライザーピンにはグリスどころか油分は一切ありません…
コレは…かなり長い事グリスアップされてない証拠です…

いい加減な整備ですね…

これは経年劣化というより、グリス不足が原因の摩耗でしょう…
当然、このまま放置され摩耗が進むとイコライザー破損にも繋がります。



イコライザーを取り外し…






古いグリスをスチームで洗浄…



プレスでブッシュを抜き取ります。
これがめちゃくちゃ固いんです…
今回はメーター読みで32トンの圧力で抜けてきましたが…


たまにプレス機のMAX圧力をかけても抜けないケースがありますが、そんな時は酸素でブッシュを切断した方が早いです。

抜き取ったブッシュ…


カジりが酷いです…
イコライザー側も…


ボス内径をキレイに磨きます。


バリなどは完全に取っておかないと圧入時に新品ブッシュが変形しちゃいます…


新品のピンとブッシュ…




もともと付いてるブッシュは1本物ですが供給されるブッシュは分割タイプです。

で、コレも圧入する向きが決まってるんです…
こちらはグリス溝が切り抜いてありますが…

反対は切り抜いてありません。



グリスニップルからグリスを注入すると矢印の穴から出てきますが…


当然グリスは真ん中から両サイドに向けて進んでいくので、ブッシュのグリス溝の切り抜いてある方を内側にしておかないと細部までグリスが行き渡りません。

当然⁉︎…ですが以前ウチのA氏は逆向きに圧入してました…

何も考えないメカニックの仕事はどんなミスをするのかだいたい予想がつきます…笑
そのほとんどが単純なミス。
結果的にその時は何事も無く済んでもいずれ必ず大きなミスをします。
そうなると必然的にリスクの低い仕事しかさせられませんよね…


身内の愚痴はこのあたりにしておいて作業の続きを…

ブッシュを圧入していきます。


圧入圧力に注意しながら…




ボス内面のバリ取りが不十分だと目では分からない程ですが、ブッシュが変形しちゃいます。
圧入する段階でプレス圧が上がっちゃうと、もう既に変形してる可能性が高いですね…笑

シャックルブッシュなんかもそうですが、この手のブッシュは意外とデリケートです…


で、ピンが手で簡単に入るかを確認…


もともとブッシュの抜け止めのポンチがされてるので、新品のブッシュを入れたらやるようにはしてるんですが…
あんまり意味ない様な気もします…笑


ハンガー側も無理なく入るように磨きと確認など…



ブッシュにモリブデングリスを薄く塗りイコライザーの取り付け。
イコライザーの指定グリスはモリブデンです…








旧タイプはロックワッシャータイプですが、現行はキャッスルナットに変更されてます。


締め付けトルクは250Nm…




グリスニップルも新品に交換してモリブデングリスを注入…




補修塗装をしてイコライザーの作業は完了。
あとは車検整備を…
ハブを組み付けてホイールナットの締め直しなど…




完成です…


あとは完成検査をして終了です。

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ドラレコ…

2017-03-26 23:26:57 | その他
休日の今日は身内の車のドラレコの取り付け…



以前、自分があて逃げをされて相手にシラを切られた経験から身内にドラレコの必要性を訴えてたんです…
ホント理不尽な思いをしましたから…


いくら本当の事でも証明する物が無ければ信じてもらえません

自動車事故では映像に勝る証拠はありませんからね…

そんな理由もあり身内や周りの友人には若干しつこい位にドラレコの取り付けをゴリ押ししております…笑

という事で今回は仕事では無くプライベート作業です…



3台付けるんですが…

どのドラレコが良いのか分からないのでメーカーは任せる…という話だったので…

コムテック製のドラレコにしました。



自分の車に付けているのもコムテック製で個人的に使い勝手も良く機能的にも満足している事から同じコムテック製を選択しました。


まずはヴォクシーから…
オプションの駐車監視モードも取り付けます。




このHDR-102は標準的なタイプでオプションでの駐車監視モードが取り付け可能で…
本体に内蔵してるタイプもありますが、駐車監視は要らない人にとっては必要ない機能なのでオプションになってるんでしょう。



早速、内装をバラします…


ナビ裏から常時とACCを取り出し…


駐車監視モード用の設定用スイッチを操作しやすく…且つ、邪魔になったり誤操作しない箇所に取り付け。




コレで駐車監視モード時の設定を変更出来ます…



カメラはルームミラー横に取り付け。



取り付け位置には保安基準で範囲が限定されるので注意が必要です。
自分で取り付けようと思ってる方はルームミラーの高さを参考にするといいかも知れませんね…
ミラーより低くなければ確実に大丈夫ですから。




他にも36スカイラインも取り付け。
こちらは駐車監視は無し…


全然関係無いですがこのA/Cコントロールパネル…


の裏…


基盤がむき出し…

壊れたら高いだろうなぁ…(;´д`)



更に20プリウスも…






ちなみに付属品には電源取り出しの配線はシガーソケット用しか入ってません…
直接配線ユニットはオプションとなってます。

確かにシガーソケットから電源を取れば簡単ですが、配線がゴチャゴチャしてると見た目も良くないですからね…笑
見た目をスッキリさせたいので今回は直接配線ユニットを購入して取り付けしました。


ネットでは安物が多く出回ってますが、ドラレコは付いていればイイ…なんて物でもありません。
大事なのは決定的瞬間がキチンと撮れてるかどうか?…が大事ですからね
そういう意味ではこのコムテックのドラレコはSDカードのチェック機能や駐車監視時のバッテリー保護機能など、充実してるのでオススメです。



それから…
世の中には平気で嘘をつく人間も居ますからね。
私みたいに理不尽な思いをしない為にも…

車によく乗る方はドラレコ付けた方がイイですよ〜






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ダイナ…キャリパーO/H。

2017-03-25 22:44:58 | トヨタ


ブレーキが引きずっている…というダイナ。


ブレーキテスターで制動力の変化を確認してみるとフロント右側だけ若干の引きずりが…

クルマはADG-XZUダイナ。

フロントはディスクブレーキ、リヤはドラムブレーキのタイプ。


リヤは引きずりも無いので今回はフロントだけO/Hする事に…


エンジンはS05D…(エンジン型式は関係無いけど…)

ただ、このエンジンもオイルクーラー廻りが怪しいですが…




サブタンク、エンジン共、冷却水は入っているのでとりあえず冷却水の量に注意しながら乗ってもらう事に。

本題のブレーキを。
フロントのキャリパーをO/Hする為に取り外していきます…




外したキャリパーからピストンを抜き取り、シールやダストカバー類を取り外して洗浄。




ピストンは大きなサビや傷も無く再使用可能でした…



で、キャリパーを外す時にドラッグリンクとタイロッドエンドのブーツが破れている事に気付いたので、お客様に説明してついでに修理する事に。


ドラッグリンクの取り外し…





タイロッドも取り外し…


自作のリムーバー…


通常のリムーバーが使えない箇所に役立ちます。
ハスコーでも売ってますが、高いですからね…笑
ボルトと車種別のピッチのナットを溶接するだけなので簡単に作れます…


セットして…


後はハンマーで叩くだけ。



タイロッドを取り外すと…


曲がってる…
下廻りでもぶつけたのかな…
タイロッドに当たった様な跡は見受けられませんが…


放置しておくと当然アライメントがズレるので…
こちらは修正しておきます。



修正完了…



ドラッグ、タイロッド共ブーツを交換して完了。


キャリパーにピストンやスライドピンなどを組み付け…





ブレーキパッドも片減りしていたので新品に交換。
シムやフィッティングも同時に新品にしておきます。
ブレーキ専用の耐熱グリスを塗り…








ちなみにブレーキパッドに付いてるコレ…


センサーやモニターなんて言ったりしてるんですが…
一般の方は何の為に付いてるのかはまず知らないと思います…

これはブレーキパッドがギリギリまで減ってくると、この金属のプレートがディスクローターと接触してブレーキを踏む度にキーキーと金属音が鳴るようになっていて、その音でドライバーに注意を促す為にあるんです…

なので…

普段乗っているマイカーなんかでも異音に気付いたら早めに点検する事をお勧めします。



キャリパーを規定トルクにて取り付け…


完成…


後はエア抜きをして、ブレーキテスターにて引きずりの確認とタイロッドを修正してるのでトー角の調整をして完了です。



で、作業を終え車内を掃除している時にホーンが鳴らない事に気付き…

調べる事に…

ヒューズは切れてないし電源も来てる。


ハンドルのカバーを外し、ホーンスイッチのコネクタを点検すると電気が来てない…


更にハンドルを取り外してスリップリングの接点を点検。


ちゃんと電気は来てます。
なのでスリップリングの接点が減り過ぎてギャップができてしまってるんでしょう…

古い年式にはよくある故障ですね…笑


スリップリングも接点も単品では部品供給されないので修理で対応。




真鍮製の接点にハンダを盛って…


高さをかさ上げ…


コレでスリップリングと接触するようになります。
後は接点専用グリスを薄く塗ってハンドルの取り付け…
無事通電するようになりました。


カバーも付けて完成です。






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デュトロ…吹き返し。終

2017-03-22 01:45:56 | 日野
デュトロの続き…


の前に…

まずはダイナの修理から。
内容はオイルクーラーからの水漏れ…


N04Cのオイルクーラーからの水漏れはもはや定番中の定番ですね…



題名のデュトロのN04Cと型式は同じですが年式が違います。





こちらのターボはよく壊れるリニア制御…



オイルクーラーハウジング…


コアも取り外してこびり付いたガスケットの掃除。




この作業が1番時間がかかります…
コアのフランジには若干の腐食がありますが、この程度なら問題無いでしょう。




組み付けて完了…






で、デュトロの続き…

絵面がほとんど変わりませんが…笑

以前にもこの年式のN04Cのヘッド作業は記事にしてるのでネタもカブるので今回は少し工具ネタを…

狭苦しいところにあるフレアナットって脱着に難儀しますよね…
このN04Cで言えば燃料系のパイプ類など…
細々したパイプが入り組んでいて外したいパイプを邪魔していたり…
燃料系なので出来れば関係ないパイプは外したくないもので…


そこで便利な組み合わせがコレ。

クローフックレンチに…


ユニバーサルジョイント…


それにウォブルエクステ…


更にスイベルヘッドラチェット…


コレを組合わせると…


奥まったフレアナットにも障害物を避けながらアクセス可能で…




それにスイベルヘッドラチェットを組合わせる事で角度を付けても軸がズレないのでダイレクトにトルクがかかります…
この組み合わせは色んな車種で役立ちますね。



どんどん組み付けて…









完成…
エンジン始動です。



無事吹き返しもなくなり、水温も安定…



後は試運転と最終確認をして終了です…





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デュトロ…吹き返し。その2

2017-03-18 00:08:15 | 日野
前回の続きです。


ヘッドは火曜日に戻ってきてたんですが他の仕事で放ったらかしにされてました…

ようやく作業再開。


戻ってきたヘッド…


結果的に水圧は問題ありませんでしたが歪みが出ており…
0.12mm研磨してようやく平面になった…との事。

やっぱりオーバーヒートしてたのかな…
お客様はそんな覚えは無いと言ってましたが…

認識が無いだけで実際にはオーバーヒートしてたのかも知れません…
0.12mmは研磨量としては多めです。
コレだけ歪むということはそれなりに熱がかからないと歪みませんから…


早速バルブのラッピングやステムシールの打ち込み、バルブスプリングの組みつけなどを…

バルブスタンドもようやく改良…笑








バルブスプリング組み込み…




ここでまた別の仕事が…


ラジエーターがパンクしたギガの修理を。
エンジンは6WG1…


内容はラジエーターやホース、サーモスタットなどの交換。

まずはサーモスタット交換。


シールも交換…




新品のサーモスタットシール


シールを打ち込みサーモスタットも取り付け…







ラジエーターを交換する為にインタークーラーの取り外し…





取り外したラジエーター


アッパータンクからの漏れです…
経年劣化ですね。
茶色くなってきたら要注意。




ラジエーターは社外新品のKOYO製を…
純正は法外な値段ですからね…


ドッキング…


更にインタークーラーも。


後は新品ホースを付けて、冷却水を注入してエア抜きを…


結局その日はギガが終わった時点で終了。



翌日からデュトロを再開…

ヘッドにINマニ、EXマニを組み付け…








ヘッドのアッセンブリーも終わり、ブロックに載せようとヘッドガスケットを取り出すと…




Σ(゚д゚lll)



おーい…曲がってるよ〜⁉︎








ダンボールに傷が無い事から、梱包される前に曲がったものと思われます…
メタルガスケットなので結構な力がかからないと曲がりません…


急いで再配達してもらいました…
共販さんに感謝…m(_ _)m


届いたガスケットは勿論問題無し…





で、どんどん組み付け…






バルブクリアランスも調整してヘッドカバーを取り付けた所で本日は終了です。



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デュトロ…吹き返し。

2017-03-14 21:22:20 | 日野
前回の記事でサブタンクから冷却水が溢れ出た…との事で引き上げてきたTKG-XZUデュトロ。

エンジンはN04C…


お客様曰く…
オーバーヒートさせた覚えは無い…との事。

車両は24年式とまだ新しく実際にエンジンや下廻りを確認するも外部には水漏れは無さそうです…

とりあえず現状の吹き返し状態を確認…

こちら


確かに嫌な吹き返し方ではありますが…
オーバーヒートはしてないって言うし…

冷却系統に圧力をかけてみるも微妙に下がる…


この時点では原因がイマイチ掴めず…



とりあえず、お客様には正確な原因はバラさないと分からない事も含め、最悪のケース(ヘッド不良)を想定した暫定見積りを提示。

作業の了承を得て…

早速吹き返しの原因を探りながら分解していきます。

この車両…ダンプなので作業性はバツグンです…
キャブマウントフレームを取り外せば邪魔するものは何もありません…




早速、バラしにかかり…

直ぐに不可解な点が…



画像の赤い矢印の部分ですがEGRクーラー内に水が溜まってます…
更に緑の矢印の部分には水滴が…⁉︎
画像では上手く撮れませんでしたが、上部にも水滴がたくさん付いておりました。

もしかしてEGRクーラーがパンクした…⁇

という事で先にEGRクーラーを取り外して単体点検をする事に。

EGRクーラーの水圧テスト。
冷却経路に水を注入して圧力をかけて漏れを調べます…


この傾けた状態でしばらく圧力をかけておき、漏れていればトレイに水が出てくるはずです…


ところが待てど暮らせど漏れてくる気配はありません…





なのでEGRクーラーが原因では無さそうです。

じゃああの水は一体どこから入ったんだ…⁇
という事で更に分解して原因を探っていきます。

余談ですが、この年式からVNTのアクチュエータもステップモーターに変更されてます。
以前のリニア電子制御式のVNTコントローラは本当によく壊れましたからね…


一応遮熱板も付いてますが…
まあ無いよりはマシか…



更に分解してシリンダーヘッドを降ろします。







で、ヘッドガスケットの状態をよ〜く見てみると…


ウォーターラインのOリングがおかしな事になっており…
これで吹き返しの原因が見えてきました。

4番シリンダーからの圧縮が矢印の方向に抜けた為にOリングがあんな形に変形してるんでしょう…




恐らくEGRクーラー内に溜まってた水も…

抜けた箇所からシリンダー内にクーラントが流入…
シリンダー内の熱で蒸発して水蒸気となったクーラントがEGRクーラー内上部に溜まり、今度は外気に冷やされ結露…

その為、EGRクーラー内に水が溜まったんでしょう。
それならEGRクーラー内の水滴も説明がつきます…

とりあえず吹き返しの原因はヘッドガスケット抜けという事は分かりました。

が、何故抜けたかは分かりません…

何故でしょう…⁉︎

取り外したヘッドは研磨と水圧テストをエンジン屋さんにお願いして、まずは水圧テストの結果待ちです。





で、先週土曜日に仕事が早く終わり少し時間が空いたので以前作業した6R10の不良コンプレッサーを調べてみる事に…

症状はヘッドガスケットの抜けとオイル上がり。

早速分解…




やっぱりオイルは上がってきてますね…




取り外したピストン…




分解したシリンダー内はやはり縦キズが多いです。


シリンダーの内径を測ってみると…


軸方向が85.985mmに対して側圧方向は85.905mm…
約0.09mmほど摩耗してます…


外した時の感覚ではピストンリングの張りが弱いような気がしますが…
あくまで感覚なので何とも言えませんけど。

ピストンは軸、側圧方向共ほぼ同じ数字でした…


ヘッドガスケットはやはり劣化はしてますが、どこから抜けるのかは見ても分かりません…
ヘッドが悪いかもしれないし…




クランクシャフトは問題無さそう…



この6R10のコンプレッサーはシリンダーとクランクケースが一体なのでオイル上がりを起こすとASSY交換以外方法がありません…
ボーリングした所でオーバーサイズピストンなんて無いし、そこまでするものでも無いし…

ただ、新品のコンプレッサーは18万ですからね〜

とは言え、修理しないとオイルがドライヤーに回り更に酷くなると各機構にオイルが混入してしまいます…



やっぱりオーバーホール出来ないのは困りますね…


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最近の作業…4

2017-03-10 01:06:31 | 整備
今朝の気温…


寒い…


最近はまた細かい作業や見積りです…

まずは200系ハイエースのエンジン不調…
走行してたら急にエンストした…との事。

今現在不具合は確認出来ません…
故障コードを確認すると、クランクセンサー系統…と出ます。(写真撮り忘れました…)

お客様はまたエンジン止まると怖いから、交換して…と。
このハイエースにはクランクセンサーはクランクプーリー下とサプライポンプ横に2つ付いており、値段も1個3千数百円とさほど高くもありません。

で、下側のセンサーを交換してサプライポンプ横のセンサーを交換する時に…


コネクタを抜く為に線を触ってたら配線が切れた…


ひょっとしたら原因はこれだったのかも…

切れた配線を修理。




センサーも交換して配線もテーピングして完了。





これで様子を見てもらいましょう。


お次は日産NV100クリッパー…
キャリィのOEMです。


ハンドルを切ると異音がする…という症状。
確認するとゴリゴリしてます。

点検するとステアリングシャフトとインターミディエイトギヤボックスの接続がガタガタ…


個人のお客様なんですが、ディーラーさんに持って行ったらグリスアップだけされて様子を見て下さい…と言われたらしいんですが…

こちらがそのガタ…

いや、グリスアップで良くなるレベルじゃありませんよ…笑
これは中のベアリングがガタガタなんでしょう。

お客様の了解を得て交換する事に…
インターミディエイトギヤボックスの取り外し。
ステアリングのセンターがズレないように固定…


で、ジョイントの切り離し…



取り外したインターミディエイトギヤボックスを調べると…




中から大量の湿った砂が…
これではダストカバーの意味がありませんね…
ギヤボックス内に砂や水が混入してベアリングが御臨終…

このお客様は農家さんなので泥だらけの長靴で乗った為でしょうが…
軽トラなんだからその辺りも想定して設計して欲しいものです…
かじ取り装置だけにリコールになってもおかしくなさそうだけど…


新品のインターミディエイトギヤボックス…


組み付け…







これじゃ不十分だよなぁ…
隙間から砂が入っちゃう。




お次はトレーラー。
別の会社で最近チャンバーを交換したらしいんですが、今度はエアーが漏れる…という事で何故かウチに入庫。

ABSモジュレータからの漏れでした。

リペアキットで対応…




で、コレ…以前にも指摘した事があるんですがチャンバーのメクラプラグ。


これは車両下側のメクラはチャンバー取り付け後に外さないといけないんですが、見事に全部着いたままです…
知らないのか忘れてるのか…
どっちなんでしょう。


日本語ではありませんがちゃんと注意書きもあります。




訳すと…

"ブレーキチャンバーを組み付けた後に下側のドレンのプラグを取り外して下さい。
それ以外のドレンのプラグは付けたままにしておいて下さい。"

と書いてあります。


この穴はチャンバー内に入った水を抜く為とスプリング側は内圧バランスを取る為にあります。
今回の車両も取り忘れてるので…




ゴムキャップが外れちゃってます。
スプリングブレーキが作動した後、解放時に中の圧力の逃げ場が無くなりキャップが外れてしまうんです。
そこから水などが入り、ブレーキチャンバーの寿命を縮めます…

忘れずにちゃんと外しましょう…



お次はウチの問題児のY氏がトレーラーの連結を切り離す時に何故かABSのジャンパーケーブルだけを外し忘れて発進…
当然ソケットはもげてショート。

ソケットを新品に交換してもトラクター側のABSインフォメーションランプが点灯したままになり…
トラブルシュートの結果インフォメーションECUがパンクしている事が判明…

交換。






こんなタバコの箱位の大きさの物が8万ですよ…

ソケットと合わせると10万以上…当然ウチの責任なのでこちらが負担します。

他のケーブルは外したのになんでABSだけ忘れるかね…

注意力散漫としか言いようがないです。



最後は中古車屋さんからの依頼のデュトロ。
アイドリングさせてたらサブタンクから冷却水が溢れ出てきた…との事。

オーバーヒートの疑いがあるので積車で引き取り。


こちらは吹き返しの点検と見積りを…



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クオン…エンジン異音。

2017-03-04 22:19:51 | UD
GK4XABクオンがエンジンから異音がする…との事で入庫。


早速、音を確認する為にエンジンを始動。

すぐにエンジン付近で『カチカチカチカチ』と音が聞こえます…
エンジン回転に比例して早くなったり、試運転するとカチカチがカタカタ…という音に変わったり…
しかもカタカタになると音も大きくなる様な…

で、サウンドスコープで音の発生源を調べていくとヘッドカバー内部の3番付近から発生しており…
原因を特定する為、ヘッドカバーを取り外し。


エンジンはGE13…




ヘッドカバーを取り外し…


すると2番のエキゾーストロッカーのローラーの様子がおかしな事に…


傷だらけ…



更にローラーが…




ガタガタ…(;´д`)


異音の原因はロッカーアームローラーのガタで間違いなさそう。
他のローラーはガタも無く問題無いようだけど…
何故に2番のエキゾーストロッカーだけ⁉︎

ローラーにコレだけ傷が入ってると、心配なのはやはりカムシャフト…
隙間からは見にくいですが、カムにも若干のキズがありそうな感じ。

う〜ん…微妙。
とりあえず外して駄目だった場合の事も考え、見積りにはカムシャフトも入れる事に…
後はロッカーをどうするか…
当のロッカーは無条件で交換ですが、問題はその他…

この車両はオイル管理は徹底してるのでオイルが原因でも無さそうですし…
仮にオイルが原因なら2番だけ…は納得いかない。
2番のエキゾーストロッカーアーム内でオイルポートが詰まってる…という可能性も否定は出来ませんが…
それは外した時に調べるとして…

とりあえず、お客様には修理の方向性を相談。

カムシャフトが再使用出来るかは外してみないと分からない事…仮にローラー不良が原因だと他のロッカーも換えておかないと同じ運命になる可能性もありえる事も。

で、相談の結果ロッカーアームは問題の箇所だけ、カムシャフトは駄目なら交換する方向に…
まあ無理もありません…カムシャフトは18万、ロッカーアームは1個約4万…それを18個使用してる訳ですからね…
ざっと計算しただけでもクラクラする様な値段になります。


早速見積りと同時に部品を注文。



ところが、しばらくして部品商から電話があり…
カムシャフトがBOで納期不明との事。

そんなアホな…

詳しく聞くとBOが多くキャンセル待ちの状態らしく…

今注文しても納期は3〜6ヶ月…

冗談キツイよUDさん…



これは注文数が達しないと作らないパターンだな…

それにしても半年なんか待てる訳ないし…


部品商には何とかして…と。
ココで何とかしたらポイント高いよ〜なんて冗談言いつつ…笑


無いものはしょうがないので…
とりあえず外したカムシャフトはキズがあっても修正して使う以外、方法はありません…
その他の部品はすぐに揃うとの事なのでそのまま作業を…

1番を圧縮上死点に、アジャストスクリューも緩めてロッカーシャフトの取り外し。




このロッカーシャフトASSYはめちゃくちゃ重いので…
天井クレーンでの取り外しを勧めます…笑



リヤ側のハウジングカバーを取り外し…
更にカムギヤも取り外し。
このGEエンジンはカムホルダーがシリンダーヘッド一体式なので上には外れないので、後方に引き抜く為です。




ちなみにこのエンジン…カムギヤ裏のプレート部からオイルが漏れる個体がよくあります…
これには設計の問題もあると思いますが…
シリンダーヘッドやP/Sポンプからの漏れと間違えやすいんです…

で、カムシャフトをエンジン後方に抜き取ります…







もうお気付きの方もおられると思いますが…
今回はトラクターヘッドなので後方にスペースがありますが…
ウイング車や架装物によって抜けるスペースが無い車両がたくさんありますよね…

カムシャフトだけで長さが1100mmありますから…
抜くスペースの無い車両は、なんとシリンダーヘッドの脱着がもれなく必要となります。

素晴らしい設計ですね…笑


抜いたカムシャフトを見ると…


あちゃー…ですね。


まあロッカーアームローラーがあんな状態だったので予想はしてましたが…
当然、カム山なので精密仕上げされております…
なので本来なら修正はNGです。

が、部品が無い以上は修正して再使用するしか方法が無いので…
スコッチブライト&精密研磨フィルムでキズを修正ラッピングします。


結果的にこの状態から…


ここまで研磨…
手で触ってもザラザラ感は無くなりました。



研磨したカム山のリフト量を測定すると…
11.465mm…


他のEXカムは…


11.640mm…

他のカム山と比べると約0.17mm程リフト量も少なくなってます…
磨いた分も含め、それだけ減ってる…という事です。

正直0.17mmは結構大きいですね…

コレを組むのは不本意ではありますが仕方ありません…



で、なんだかんだ組み付け準備をしていると部品商から電話が…

『〇〇さん…カムシャフト…方々にお願いしてなんとか1本だけ手配出来ました。来週には行けそうです‼︎』…と。

おおマジか‼︎
それは朗報…


きっと部品商が色んな所にコネコネしてくれた訳ですね…笑
いや〜感謝感謝。
私は決して圧力なんかかけてませんよ…笑


とにかく急遽カムシャフトが入手出来る事になりました…


ただ、入荷が来週なのでどちらにしても一旦組み付けて車両はピットから出して、部品が入り次第再度カムシャフトの交換をする事に…


問題の2番エキゾーストロッカーアームは交換。




カムシャフトを挿入してロッカーアームも取り付け…





カムシャフトのロケーティングプレート…Oリングも含めて、これは同時に交換した方がいいですね。


ただ、今回はカムシャフトが入荷したらまたバラすのでその時に換えます…

プレートとカムギヤも取り付け…




ロッカーシャフトも取り付けて…


バルブクリアランスとユニットインジェクターのプレリフト調整を同時に。


UDさんはコモンレールでは無くユニットインジェクターを採用してます…
今現在の最新の技術はどうなってるか分かりませんが、コモンレールよりもユニットインジェクターの方が噴射圧を高く設定出来るみたいです…
コモンレールが2000気圧に対してユニットインジェクターは2500気圧だとか…
それをカムで噴射時に合わせ瞬間的に加圧してる訳です。

なのでプレリフト量が狂うと気筒毎の噴射圧が変わってしまう事になります。
そういう意味でもバルブクリアランス調整時には確認も含めて再調整した方がいいですね…


ヘッドカバーも取り付け…
また外すのでプラカバーは付けません…



完成…
後はカムシャフトが入り次第、交換です。


で、問題のロッカーアームローラーを分解…


こんなにガタがある…
ピンは若干減ってる程度ですが…




ローラーがそんなに減るのか…⁉︎
それとも、もともとブッシュが入ってたんでしょうか…



オイルポートは詰まっておりませんでした…







となると原因はロッカーアームローラー自体にありそうな気がしますが…


とりあえずカムシャフト待ちです。


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