3時に起床して濱に向う。蛸つりの竿から、時折光虫のように弧を描いて海に飛んでいくのが見える。闇の中でその光だけが見えている。最初ドキッとしたがもう慣れた。
草引きの、昨日に続く場所に行くと、石の上に白い紙の置かれているのが見える。白い石のおかげでぼんやり書かれている文字が見える。
「花をとらないでください。泉南山野草の会」
私はがっかりした。私の手紙は読んで貰えなかったのだろうか。ただ自分の要求だけを繰り返しているだけでは、この悠長な手紙のやり取りに何の意味も見いだせない。ただ、前回のメッセージの主が分かっただけが前進といえる。
7時前に私は自分に課した作業を終えた。太陽が目の高さから10度ほどの空に上っていた。今日は蛸つりの人たちが濱に列を作っている。日曜日なのだ。私のすぐ後ろにいた若夫婦は3頭釣ったという。見せてもらったら、頭が鶏の卵ほどの蛸が桶で足を広げていた。
あらためて明るい光の下で置手紙を見た。意見だけでなく展望が欲しい。そう思いながらカメラに収めた。