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チィヌウ(ジヌウ)温泉

2014-05-31 16:57:31 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 チィヌウ(ジヌウ)には温泉があるので、様子を見てくることにしました。

 

 ヒマラヤの温泉が水着着用なのは分かっていたのですが、持ってくるのを忘れたので、入浴できないかもしれないとは思いつつ、隙あらば何とかと、モディ・コーラの谷底に下って行きました。

 

 

 少し下った頃、赤いシャクナゲがあちらこちらに姿を見せていました。

 

 

 そしてその先に、予期せぬチケットカウンターが控えていました。

 

 料金は50Rsですから、金額はどうと云うことはないのですが、お財布を持って来ないと無駄足を踏むことになるのでご注意下さい。

 

 

 チケットカウンターの傍に咲いていた赤いシャクナゲも見事でした。

 

 

 秘湯を期待させる森の道を下って行きます。

 

 

 下り始めて20分程で湯船に到着しました。

 

 

 湯船は川岸に三つ、通路の横に男女別の脱衣所が設けられていました。

 

 湯の中と周囲に20人程の男女が居たので、水着を持っていない私は入ることが叶いません。

 

 トレッキングの初日に、沢で水遊びをする人を見かけましたので、ヒマラヤトレッキングには水着を持参することをお勧めします。

 

 

 酒を持参するのも一興ですが、帰りに30分程の登りがありますので、日本で露天風呂を楽しむような訳にはいきません。

 

 

 戻る道の途中でモディ・コーラの上流を望むと、険しい谷の奥に、今はもう別世界となったヒウンチュリが白さを際立たせていました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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チィヌウ(ジヌウ)へ

2014-05-31 15:26:43 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 モディ・コーラの谷底へ降りて行きます。

 

 白い雲の下、マチャプチャレが小さくなっていました。

 

 

 農家の庭先で母と子が日向ぼっこをしています。

 

 谷の中は夜明けが遅く、夕暮れが早いので、太陽の光が愛おしいのでしょうか。

 

 

 フジウツギに似た、薄紫の花を見かけました。

 

 しかし今図鑑を捲り始めると筆が止まりますので、謎解きは後の楽しみにします。

 

 

 キュムヌ・コーラを挟んだ向かいの尾根の段々畑が、下部まで見えるようになってきました。

 

 この畑は上部と下部に分かれ、各々の上下に集落があります。

 

 他の地区は段々畑の上に集落がありましたが、下部の段々畑では、畑の中央に集落が位置しています。

  

 

     現在地から見た写真         更に低い場所から見た写真

 

 既に標高は1700メートル程ですので、チョムロンが仙台とすると、この場所は東京に該当する程の温度差があるはずです。

 

 下り続ける道の横でセロジネ・クリスタータ(coelogyne cristata)と呼ばれる蘭が咲いていました。

 

 咲き始めたばかりのようですが、到る所に大きな株を作っていました。

 

 この株をそのまま日本に持って行けば、数十万円の値が付くかもしれません。

 

 

 

 階段状に石が組まれた道を更に下って行きました。

 

 

 とうとう、マチャプチャレが見えなくなってしまいました。

 

 

 ヒマラヤシャクナゲが花数を増して、朝陽の中で樹を朱に染めていました。

 

 

 チョムロンを出てから約1時間、9時頃にカエンカズラが咲くチィヌウ(ジヌウ)に到着しました。

 

 

 

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

 

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沙羅双樹の木の上で

2014-05-31 13:06:22 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 対岸の段々畑を眺めながら谷を下っていると、二十メートル以上もありそうな高木の上の、人の姿に気付きました。

 

 この木は、以前ご紹介した沙羅双樹(サラノキ)です。

 

 すぐ近くに、木に登る人の作業結果を示す沙羅双樹を見付けました。

 

  ヒマラヤの斜面に積み重なった段々畑で、牛やロバの力を借りて作物を育てていますが、家畜の命をサラノキなどで賄っているのでしょう。

 

 サラノキは、数十メートルの高さで密に葉を茂らせ、ヒマラヤに暮らす人々の営みを支えているのです。

 

 これだけの高木に家畜の飼料を依存する畜産は、世界にも珍しいのではないでしょうか。

 

 沙羅双樹の所有権はどうなっているのでしょうか。

 

 きっと集落には、互助システムがありそうな気がします。

 

 沙羅双樹に登って作業するオジサンの姿から、ヒマラヤの民の暮らしを窺い知ることができました。

 

 

 

 空に再び、鷹が姿を現しました。

 

 今思えば、鷹の姿をみかけたのはこの辺りだけでした。

 

 都会の杜にカラスが多いように、ヒマラヤの鷹も段々畑の住民と共存しているのかもしれません。

 

 

 見上げる空にマチャプチャレが聳えていました。

 

 

 谷底へ下るにつれ、植物が多様な変化を見せます。

 

 昨日一日の行程の中で、北海道から沖縄辺りの環境に相当する植生の変化を見てきました。

 

 今日は何を見ることができるのか、興味深々です。

 

 

 子供達の登校時間が近いようです。

 

 民家の横を通り過ぎると、一人の少女が熱心に、朝陽の中で髪をすいていました。

 

 場所が変われば変わるものと、世界中どこへ行っても変わらぬものがあります。

 

 

 

 

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朝の光の中を

2014-05-30 22:21:47 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 チョムロン村に朝がやってきました。

 

 隣のGH(ゲストハウス)に人の動きがみられます。

 

 

 モディ・コーラ(モディ川)の谷に朝の光が届き始めました。

 

 大気中に水蒸気が多いのでしょう、マチャプチャレは薄いベールに包まれていました。

 

 

 ヒマラヤユキノシタの淡桃色の花が石垣を飾っていました。

 

 今日も穏やかな一日になりそうな気がします。

 

 

 身支度を整え、チョムロンのGHを8時少し前に出発しました。

 

 

 アンナプルナ・サウスが真正面から陽を受け、白さを際立たせています。

 

 地形を考え、この山ともこの辺りで見納めかもしれないと思うと、名残惜しさが募りました。

 

 

 チョムロン村の先で尾根を廻り込むと、白い筋になって流れるモディ・コーラが見えてきました。

 

 

 尾根の上で、満開のヒマラヤシャクナゲが青い空に聳えました。

 

 

 その先のタウルンで、ティヌウへの分岐店を通過します。

 

 

 尾根を廻り込みながら、石を並べた道が谷底へ下っていました。

 

 数日前に歩いて来た、ゴレパニに連なる尾根の下に、キュヌム・コーラが谷を刻んでいました。

 


 

 朝の光が谷底へ降りる速度に合わせるように、石段の道を下って行きます。

 

 キュヌム・コーラを挟んだ向かいの尾根に、驚くほどの段々畑が、谷底から積み重なっていました。

 

 


  

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贅沢な時間

2014-05-30 17:01:47 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 3月13日

 

 チョムロンで朝を迎えました。

 

 窓の外が薄明るくなってきたので、GH(ゲストハウス)のテラスに出て、朝陽に染まる山の光景を楽しむことにしました。

 

 

 アンナプルナ・サウスのピークに光りが届き始めました。

 

 

 マチャプチャレが背後から陽を浴び始めました。

 

 何度見ても、胸の奥の蒼い水底に黒曜石を落とし込んだような、静かで確実な感慨が、波紋を伴いながら胸一杯に広がってゆきます。

 

 

 アンナプルナ・サウスは手が届くほどの近さで、刻々と表情を変化させます。

 

 

 マチャプチャレの、胸奥に積み重なる感慨を絵に留めたいと、ズームを利かせ、構図を変えて、シャッターを押し続けました。

 

 頂上直下の南壁の斜面が仄かな曙色に染まり始めました。

 

 西壁の下部はダークブルーのまま、眠りから覚めた様子は感じられません

 

 

 どれ程の時が過ぎたのか記憶が定かではないのですが、

 永い時間だったように思いますし、瞬時のことだったのかもしれません。

 気付くとマチャプチャレは光のベールに包まれ、夜から朝の分岐点で、凝縮された時間が弛緩してゆく表情を見せていました。 

 

 

 張り詰めた空気が緩み、背後のキッチンに人の気配を感じました。

 私は振り返り、キッチンで朝の準備を始めていた男性を見かけ、温かなティーを一つ注文しました。

 

 左手にアンナプルナ・サウス、右手にマチャプチャレ。

 

 千両役者の競演を眺めながら、モーニングティーのふくよかな香りが、喉から胸の奥に広がってゆきました。

 

 

 

 チョムロン村はまだ、眠りから覚めずにいます。

 

 

 名も知らぬ稜線に風雪が舞っています。

 

 眠りから覚めたイエティが、遊び始めたのかもしれません。

   

 

 目の前の電線で、一羽の小鳥がチュルル、チュルルと囀りを始めました。

 

 

 贅沢な時間がゆったりとチョムロン村にながれます。

 

 

 

 何も思いませんでした。

 

 何も考えませんでした。

 

 只々、山の輝きを眺め続け、時を忘れていました。

 

 今、この地に居ることが本当にありがたい。

 

 これ程の贅沢な時間に生きることに、感謝の気持ちが溢れます。

 

 

 やがてマチャプチャレの西壁に陽の光が回り始めました。

 

 

 アンナプルナ・サウスは山容を輝かせ始めました。

 

 

 チョムロン村に光が届き始めました。

 

 周囲の家々から村人の声が聞こえ始めていました。

 

 

 

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チョムロンへ

2014-05-29 16:53:12 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 チョムロン・コーラの谷を挟んだ尾根の上に、チョムロン村が見えてきました。

 

 

 雪の世界から下りて来たばかりの目に、GH(ゲストハウス)のテラスに飾られたマリーゴールドが眩しすぎます。

 

 

 そんなとき、とある農家の庭先に見知らぬ果物を見かけました。

 

 木に白い花が咲いています。

 

 傍にいた小母さんに「これは何ですか?」と尋ねると「トマトです」の答えが返ってきました。 (帰国後の調査でナス科のタマリロと分かりました)

 

 ホッホ~! トマトが木に稔るなんて初めて見ました。

  

 

 

 やがて、谷底に吊り橋が見えてきました。

 

 

 この橋を渡ったのは、ほんの三日前ですが、その間に随分と永い旅をしてきたような気がします。

 

 そうそう、吊り橋を渡っているのは途中から道連れになった日本人のKさんです。

 

 もう2時間ほども一緒に歩いて来たでしょか。

 

 

 吊り橋を渡りながらチョムロン・コーラを見上げました。

 

 谷の奥に白い一筋の滝を落とし、今日のチョムロン・コーラは優しげな表情を見せています。

 

 昔々、北国の街で、蝉が鳴く季節に、こんな谷で沢登をして遊んだことを想い出しました。

 

 

 Kさんは私の長男と同じ歳だそうです。

 

 Kさんがインドの旅行中に一ヶ月も熱を出して寝込んだ話とか、東京の中野坂上に住んだことがある等のローカルな雑談を交わしながら、一緒にチョムロンを目指しました。

 

 

 吊り橋を渡った後、長い長い石の階段を登ってゆきます。

 

 

 坂の途中で振り返ると、さっき下ってきた尾根の中腹で、シヌワのGHが青い屋根を見せていました。

 

 

 丁度、村の子供達の下校時間となったようです。

 

 坂の途中で出会った少年は、手に真赤なシャクナゲの花を携えていました。

 

 家で待つお母さんへのお土産かもしれません。

 

 

 チョムロンには4時半頃に到着し、Kさんと一緒に宿を定めました。

 

 

 私の部屋はチョムロン・コーラやシヌワを望む明るい二階の角部屋でした。

 

 

 Kさんと交代でシャワーを浴びて、ティーを注文し、ゆったりした時間を過ごしました。

 

 

 部屋の窓から、穏やかに暮れてゆくヒマラヤの谷を眺めながら、長かった一日が終わってゆきました。

 

 

 

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スミレの森を抜けて

2014-05-29 13:14:39 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 バンブーを過ぎた頃から急斜面は姿を消し、緩やかな坂道が続きました。

 

 心癒す、優しい道を歩き続けます。

 

 

 そんな森の道でスミレが午後の陽射しを浴びていました。

 

 サクラソウは枯草が褥を作る早春のエリアに咲いていましたが、スミレは緑のカーペットに花を咲かせています。

 

 

 そして頭を悩ませるのがスミレの種類です。

 

 はたして、下の写真は同じスミレの種類なのでしょうか?

 

 取りあえず写真を撮っておいて、帰国してから調べようとパチリ。

 

 しかし、ブログを書いている最中、スミレの同定作業やると、筆が一歩も前に進まなくなります。

 

 

 

 そうこうするうちに、シヌワのGH(ゲストハウス)が見えてきました。

 

 

 太陽が隠れているので、時間が分かり難いのですが、・・・ 

 

 え~と、つまり、私は普段から時計を持ち歩きませんので、太陽の角度などで時間を推測します。

 多分14時を過ぎた頃と思いました。

 

 脚力にはまだ余裕があります。

 

 随分と気が楽になって、すっかりお散歩気分になっていました。

 

 それにしても、目にするスミレは皆同じ種類に見えたり、さっきと違うようにも思えますし・・・

 

 

 

 何時かはスミレを、きちんと見分けられるようになりたいものです。

 

 あ、それとノギク、

 

 あぁ、それにアザミも。

 

 え、「勝手にしろ」ですって。 ごもっともです。

 

 

 シヌワの入口で二人の村人がノコギリで材木から板を切り出していました。

 

 凄~ぃ! ここにはまだ電気が来ていないのでしょうか?

 

 いや確か、GHに灯りが点いていましたが、モーターを回す程の電力が無いのかもしれません。

 

 

 石垣にヒマラヤユキノシタ(Bergenia stracheyi)が咲いていました。

 

 日本では最近、各地のフラワーパークなどで、よく目にします。

 

  

 空の明るさから考え、今日はチョムロンまで行けると判断しました。

 

 

 モディ・コーラの谷を振り返ると、V字形の谷の奥は、雲のベールに包まれていました。

 

 あんな所から下りて来たのかと、自分でも信じられません。

 

   

 そして、シヌワを過ぎた頃、道の真ん中にロバの糞を目にしました。

 

 神様がお住まいになられる場所から、人間が暮らすことを許された土地に戻って来たことを実感しました。

 

 

 

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バンブーを通過

2014-05-28 20:46:01 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 ドバンを12時20分に出発しました。

 

 

 今朝ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)を出るとき、今日の宿はバンブーと考えたのですが、予想以上に速いペースなので、もしかすると今日中にチョムロンまで行けるかもしれないと考え始めていました。

 

 しかし、まだ相当な距離が残っています。

 

 取りあえずシヌワまで行って、その時点で判断することにしました。

 

 森の中の、急斜面を下り続けます。

 

 

 少しずつ温度と湿度が上がってきました。

 

 苔を付けた岩を見かけます。

 

 

 竹も日本と異なり、幹が一か所に集まって、株立ち状となっています。

 

 タイミンチクのような南方系の種類なのでしょうか。

 

 半日も経ずに、北の北海道から南の沖縄へやって来たような生態系の変化を目の当たりにしました。

 

 

 深い谷の壁に階段状の登山路が続いていました。

 

 こんな急な所を登った記憶はないのですが、道の脇に咲くスミレにばかり気を取られながら歩いていたのでしょうか。

 

 

 

 ドバンを出て40分程でバンブーに到着しました。

 

 

 GHの壁にホットシャワーの文字が見えます。

 

 そうでした、数日シャワーを浴びていません。

 

 これが山歩きの最大の欠点です。

 

 山歩きは、毎朝シャンプーをしなければ生きてはゆけないお嬢様にはお勧めできない遊びのようです。

 

 それにしても、今夜こそシャワーを浴びたい。

 

 

 当初、宿泊地と想定していたバンブーは、立ち止まることもなく通り過ぎました。

 

 

 バンブーを過ぎた辺りから、谷は更に深さを増してゆきます。

 

 

 山道を下りながら振り返ると、谷の上部を雲が覆っていました。

 

 この季節、午後になれば、山は雲に包まれると考えたほうが良さそうです。

 

 ABC辺りは雪が降っているかもしれません。

 

 

 谷の斜面を下るにつれて、道巾が少しずつ広くなってきました。

 

 

 何時の間にか周囲の森が、常緑樹に代わっていました。

 

 

 

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早春の森を抜け

2014-05-28 16:57:32 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 二日前に見た、名も知らぬ黄色い花が背丈を伸ばしていました。

 

 その横のサクラソウも、ひと回り大きくなったような気がします。

 

 

 

 右岸の尾根の上に、微かに雪を被ったピークが覗きました。

 

 左岸の崖の後に、仄かに雪を乗せた峰を見つけました。

 

 

 

 竹林の手前で、誰かが籠を編みかけているようです。

 

 

 本流へ流れ込む沢に、丸太を重ねた橋が架けられていました。

 

 人の手の温もりが、風景のあちこちに紛れ込んできます。

 

 

 そんな沢の一枚岩の上で、白髪のトレッカーが、若葉萌え始める木々を眺め、寛ぎの時を過ごしていました。

 

 沢水は程好く冷ややかで、軟らかい陽射しが谷を温めています。

 

 

 しかし、ここはまだ神様がお住まいになられる場所。

 

 ロバや馬が足を踏み込むことは許されません。

 

 屈強な腰付きのポーター達が大きな荷を背に、黙々と坂を登り、森の中へ消えて行きます。

 

 

 随所に咲く赤いシャクナゲが、早春の森を抜けたことを告げていました。

 

 

 

 そして、真冬のABCを出発してから4時間半、正午になる少し前、優しい陽射しに包まれたドバンのGH(ゲストハウス)に到着しました。

 

 

 

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野の花に見送られて

2014-05-28 15:30:53 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 

 

 ヒマラヤホテルを10時半に通過しました。

 

 

 モディ・コーラの谷を下り続け、周囲に緑が増えてきました。

 

 谷は下流の景色が見通せない程、視界の先が落ち込んでいます。

 

 

 

 花に溢れる道が続いていました。

 

 

 もはや、急ぐ理由はありません。

 雪は既に、手の届かない峰の高みに痕跡を留めるばかりでした。

 

 歩みを止めて振り返る度に、通り過ぎてきた場所が、記憶のアルバムに綴られてゆきます。

   

 あまりにも行程の変化が大きく、夢でも見ているかのような、不思議な感覚に包まれていました。 

 

 

 

 早春を飾る野の花が周囲に溢れます。

 

 

 

 笹が茂り、シャクナゲが森なす道に、荷を運ぶ人の姿を見かけました。

 

 

 針葉樹が対岸の斜面に姿を現し、シャクナゲの赤い花がチラホラと姿を見せ始め、

 

 

 

 他の場所では目にしない竹林が、ドバンが近いことを告げていました。

 

 

 

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ありがとう、さようなら。

2014-05-28 11:38:47 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 デオラリのGH(ゲストハウス)で滑り止めとスパッツを返却しました。

 

 二日間のレンタル料は1400Rsでしたが、日本から背負ってくることを考えれば安いものです。

 

 

 デオラリを出発すると、目の前に雪の帯が見えてきました。

 

 一昨日見た雪崩の痕です。最下部にデブリの塊を認めました。

 

 後から知ったのですが、20数年前にこの場所で、日本人パーティーが雪崩に巻き込まれ亡くなっているそうです。

 

 

 左手の斜面に雪解け水が流れ、サクラソウが枯草の中に花を咲かせていました。

 

 2時間も経ずに、4000メートルの冬の谷から、花咲く早春の谷に下ってきたことになります。

 

 

 

 岩と雪の水墨画の世界を振り返りながら、花咲く谷を下って行きます。

 

 新しい命が萌える芳しい早春の季節は勿論、私は水墨画のような冬の季節も嫌いではありません。

 

 そう、嫌いでないと言うよりはむしろ・・・

 

 

 固まった雪が崩れ落ちた、ごろごろした雪崩の痕を横切りました。

 

 

 背後の谷の中に、デオラリGHの青い屋根が見えていました。

 

 そのときふいに、 「雪よ岩よ我らがやどり、おれたちゃ街には住めないからに ♪ 」のメロディーが左右の耳の間に聞こえました。

 

 本当にありがとう、美しいものを見せてもらいました。

 

 そして、さようなら。

 

 

 目の前に巨大岩(Huge Rock)が近づいてきました。

 

 

 そこを過ぎると、サクラソウのブーケに飾られた道が始まりました。

 

 

 

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花咲くデオラリ

2014-05-23 16:19:10 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 谷の空が広がりました。

 

 空の色に軟らかさが感じられます。

 

 

 昨日渡る時、川に流れる水が凍てつきそうだったのに、今日は温そうに見えるから不思議です。

 

 この橋を渡れば、冬山のリスクから逃れられるエリアに入ると思いました。

 

 

 周囲を見回すと、左岸の岩峰やマチャプチャレBCの辺りは雲の中に霞んでいますが、

 

 

 

 すぐ下にデオラリの青い屋根が見えていました。

 

 

 右岸の岩壁の滝は凍らず、水が流れ落ちていました。

 

 雪を纏った岩峰とも、この辺りで見納めになりそうです。

 

 

 

 もう一度鉄製の小橋を渡ると、

 

 

 サクラソウの花が、道の脇で笑顔を見せていました。

 

 

 デオラリに9時10分頃に到着しました。

  

 昨日の朝は、雪景色に埋もれていたデオラリも、GHの周囲から雪が消えて、長閑な佇まいを見せていました。

 

 

 

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水墨画の世界

2014-05-23 14:28:27 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 谷の中に入ると道も細く、傾斜もきつくなります。

 

 雪道を歩いた経験のないトレッカーは、緊張を強いられる様子が見えます。

 

 もし、一晩で30センチ以上の雪が積もれば、ここは更に困難を伴う場所となるはずです。

 

 

 私は先を急ぎました。

 

 出発してから50分程で、昨日、抽象画のようだと感じた岩壁の下に出ました。

 

 

 灰色の雲が空に広がっていますが、大気は安定しているように見えます。

 

 周囲に潅木が現れ始めましたから、標高が下がり、気温も上昇しているはずです。

 

 

 しかし、こんな場所でもスリップすれば滑落事故につながりますので、油断は禁物です。

 

 

 

 周囲の谷は安らぎに満ちた不思議な静寂に包まれていました。

 

 モノトーンの水墨画のような景色の中を下り続けました。

 

 ピカピカの晴天だと見ることができないはずの景観を、存分に楽しませてもらいました。

 

 日本であれば、このような岩と雪の織りなす光景は、熟練した登山者のみが見ることができる類のものです。

 

 

 

 贅沢な景色が続く谷が広がっていました。

 

 

 しかし、山の贅沢は危険とも隣り合わせです。

 

 雪崩れの痕を随所に見かけました。

 

 

 そして、河原に摩耗して角の取れた石が現れるころ、

 

 

 谷に水が流れ始め、空に青が見えるようになってきました。
 

 

 

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雲の中のアンナプルナ・ベースキャンプ

2014-05-23 13:07:39 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 

 3月12日

 

 ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)のGH(ゲストハウス)で目を覚ますと、窓の外は薄暗く、朝の光が見えないまま時が過ぎてゆきます。

 

 身支度を整えて外に出ると、周囲は雲で覆われていました。

 

 

 もう一日滞在し、山の景色を楽しむプランも考えられますが、帰国する飛行機が18日午前なので、余裕あるスケジュールを考えて下山することにしました。

 

 雪でも降り出すと面倒ですから、下山を決めたらなるべく早く出発する方が安全です。

 

 朝食を摂り、チェックアウトを済ませ、7時半に下山を開始しました。

 

 

 多くのトレッカーに踏み固められた雪道を、ハイペースで下り始めました。

 

 振り返ると、雪に埋もれそうなABCが見えていました。

 

 

 緩やかな斜面を順調に下って行きます。

 

 靴に付けた滑り止めが利き、無駄な筋力を使わずに済みました。

 

 

 傾斜が大きくなり始めた場所でもう一度振り返ると、ABCが谷の底で、周囲の岩と見分けが付かなくなっていました。

 

 小走りに下る途中で、先に出発したウズベキスタンの子供を背負った男性を追い抜きました。

 

 男性が後から「グッドラック」と声を掛けてくれました。

 

 私も足を止めずに「グッドラック」と答えます。

 

 グッドラック皆さん、グッドラックABC。

 

 

 出発してから20分ほどでマチャプチャレBCが見えて来ました。

 

 

 マチャプチャレBCを迂回し、更に先を急ぎます。

 

 

 V字に切れ込んだモディ・コーラの谷に下って行きます。

 

 どの岩壁も昨日より白さを増していました。

 

 岩壁の中に凍った滝を目にすることは、これから先の人生で、そうはないかもしれません。

 

 

  

ヒマラヤ一人歩きの危険性

 

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「聖域」に宿

2014-05-22 21:08:17 | ヒマラヤ・トレッキング 花の旅

 

 雪原に、突然ヘリコプターが現れました。

 

 一瞬、救難ヘリかと思いましたが、山岳スキーを楽しむ観光客がチャーターしたようです。

 

 近くの斜面にスキーのトレースが描かれていました。

 

 何と優雅なスキーでしょうか。

 

 

 ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)はもう目と鼻の先です。

 

 

 繰り返し眺めてきたマチャプチャレを、もう一度振り返ります。

 

 神々がお住まいになる峯は、御顔に雪も纏わず、周囲を見下ろしていました。

 

 正面のあの岩壁は、オーバーハングになっているかもしれません。

 

 

 しかし、その頃から周囲の山稜に雲が湧き始めました。

 

 

 
 マチャプチャレの上にも雲が広がり始めました。

 

 

 そんなころの、ほぼ12時、デオラリを出発して、約4時間後にABC 4130mに到着しました。

 

 

 そして今夜の宿はサンクチュアリ(Sanctuary)「聖域」です。

 

 

 チェックインを済ませ、「聖域」の庭に置かれたテーブルで雪景色を眺めながら昼食を摂ることにしました。

 

 ボリュームたっぷりのベジタブルカリーを、達成感と共に味わいます。

 

 

 食事を始めた頃は、テーブルの上に陽が射していたのですが、瞬く間に雲が広がり、マチャプチャレはとうとう雲の中に隠れてしまいました。

 

 陽が陰ると急に、気温が下がるのが分かります。

 

 

 そして、ABCの周囲は山肌を降りてくる雲に包まれてゆきます。

 

 一時間も到着が遅れたら、雪交じりの雲の中を歩かされていたかもしれません。

 

 

 昼食を済ませ自室へ戻り、午後はシュラフの中で安息の時を過ごしました。

 

 

 夕刻になって、戸外に光を感じたので、テラスへ出てみると、薄く雲を纏った山の後に夕日が沈み始めていました。

 

 

 そして空に米粒ほどの小さな月を残し、ABCは一日の記憶と共に、穏やかな夜の帳に包まれていきました。

  

 

 

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