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猿賀公園の蓮

2015-08-31 01:07:05 | 東北漫遊 花の旅

 

 車は大館能代空港の滑走路の下を潜り、鷹ノ巣の先で国道7号線に入りました。

 

 この先は、何度も経験のある道が続きます。

 

 今日は時間に余裕があるので、秋田青森の県境で、秘湯として名が知られる日影温泉に入ろうと考えていました。

 

 しかし、温泉入口のやたて峠に近づくと「日影温泉休館中」の看板を目にすることになります。

 

 更に、この記事を書くに当って、日影温泉を検索すると「2014年8月 日影温泉廃業」の記事を認めました。残念です、一度入りたかったのに。

 

  青森県に入り、碇ヶ関を過ぎ、国道7号から県道13号に入り、猿賀公園に正午過ぎに到着しました。

 

 

 予想以上に大きな鏡ヶ池が、夏雲の下に水を湛えていました。

 

 猿賀公園は猿賀神社に隣接する鏡ヶ池と、見晴ヶ池を囲むように作られた公園で、二つの池の周囲には桜が植えられ、夏になると、鏡ヶ池には「北限の和蓮」とされるハスの花が咲き揃います。

 

 

 猿賀神社は、平安時代の802年(延暦21年)に坂上田村麻呂が蝦夷征討で大勝した後、桓武天皇の命により807年に造営されたと伝わる社で、農漁業、交通、眼の守護神として知られています。

 

 それにしても暑い日でした。

 

 天空から降り注ぐ陽射しが肌に突き刺さるようです。

 

 そんな鏡ヶ池に、午後の微かな風に散ったハスの花びらが、小さな箱舟のように浮き、流れてゆきます。

 

 

 

 私は公園内の、さるか温泉の食堂で昼食を摂ることにしました。

 

 暑い日にはカロリーと塩分を多目に補給するに限ります。

 

 いつもの昼食よりカロリー多目の、熱々の辛味噌ラーメンをオーダーしました。

 

 そして食べ終えるとすぐに、さるか温泉の掛け流し天然温泉に浸って汗を流しました。

 

 入浴料は350円、内湯の他に少しぬる目の露天風呂もあり、少し黄色みを帯びた透明なお湯が溢れ、ツルツルスベスベした気持ち良い浴感に、全身から全ての力が抜けて行くような、開放感を味わうことができました

 

 ん~ 最高です。

 

 

 猿賀公園の横の盛美園を覗いてみました。

 

 

 

 明治35年から9年間かけて作られた枯山水で、国指定名勝です。

 

 盛美園には、庭を見るために建てられた和洋折衷の盛美館がありました。

 

 一階は、純和風の数奇屋造り、二階は、8角形の展望室を持ったルネッサンス調の珍しい建物で、我が国では他に例がないといわれています。

 

 

 私は今日まで、日本全国に足跡を残してきたつもりですが、まだまだ未見のものがあることを改めて認識させられたことでした。

 

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翠雲公園あじさい園

2015-08-30 00:14:21 | 東北漫遊 花の旅

 

 竿燈祭りに感動したので、もう一つの東北三大祭り、青森ねぶたへと足を伸ばすことにしました。

 

 青森ねぶたも初めてではありませんが、二度目の竿燈祭りが印象深かったので、青森ねぶたもきっと期待に応えてくれるはずです。

 

 この日は、青森ねぶたの最終日でした。

 

 最終日にはねぶたの海上運行と花火大会が見れれるはずです。

 

 秋田から北上し、途中でハスの花を楽しみながら、夕方に青森に着くスケジュールを考えました。

 

 懸念されるのは、数百万人もが集まる祭りの日に、車を停める場所が確保できるのでしょうか?


 青森湾の地形を頭に浮かべ、青森市内を離れて、近隣の海岸に陣取れば、海上に上がる花火を見物できる筈と考えました。

 

 最初から青森市内へは入らず、北寄りの、津軽半島の海岸線を探せば何とかなるだろうと考えました。

 

 ナビに一応の目安として青森駅を入力すると、一般道を通って約185㎞、6時間30分と表示されました。多分ナビの計算程には掛からないでしょう。

 

 途中で、青森県平川市の猿賀神社に寄ってハスを見るつもりです。

 

 何処かで温泉を探して、汗を流すことができれば最高です。

 

 秋田の北部に森吉山、田代岳という花の百名山があり、登山用の地図も用意したのですが、猛暑が収まる気配もないので、山登りはパスしました。

 

 秋田市内を出て、国道7号線を北へはしり、五城目町から国道285号線に入りました。

 

 交差点も信号もない、のどかな一本道をはしり続けます。

 

 オーディオから今井美樹の小鳥の囀りのような声が聞こえていました。

 

 「本当は誰もが願いを叶えたいの

 だけどうまくゆいかない時もあるわ

 

 希望のかけらを手のひらにあつめて

 大きな喜びへと変えてゆこう」

 

 うん、そうだねよね・・・

 

 緑溢れる田舎道は気持を素直にしてくれます。

 

 「信じていて欲しい あなたのことを」

 

 そうそう、そうゆうこと。

 

 シンプルな詞が心に滲みます。

 

 鼻歌交じりにはしっていると、「合川町 翠雲公園あじさい園」の看板が目に入りました。

 

 そうでした、ここもアジサイの名所としてリストしていたのですが、すっかり忘れていました。

 

 全くもって偶然に、アジサイの名所を通りかかったのです。

 

 花を巡る旅では、途中で虫食い穴のようにポツンと訪問先を残すと、再度訪れることは難しくなります。

 

 アジサイが私を呼んでくれたのでしょうか。

 

 

 

 こんなに北の地でも、流石にアジサイの最盛期は終わっていました。

 

 それでも、かなりの広さの公園にアジサイが溢れんばかりに植えられています。

 

 ベンチに寛ぐ町の方に、

 

 「すごい数のアジサイですね! この公園はいつからですか?」と聞いてみました。

 

 「もう30年近いね、今年はもう終わりかけているけど、花の盛りは見事なだよ」と教えてくれました。

 

 

 

 町民の方達がボランティアでアジサイを育て、手入れをしているそうです。

 アジサイの脇に寄付した人の名を記した小さな名札を目にしました。

 

 20年、30年先の姿を脳裏に描き、町外れの公園に花を育てた人々の郷土愛と、その志を一つにまとめた、名も知らぬ人の思いがアジサイ林の奥に見えるような気がしました。

 

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青い空の日の夜祭

2015-08-29 00:03:21 | 東北漫遊 花の旅

 

 男鹿半島の南海岸に沿って気ままなドライブ続け、入道岬にやってきました。

 

 何処の岬も、その先は空と海が広がるばかりなのですが、それぞれの岬ごとに、こんなにも印象が異なるのは何故なのでしょうか。

 

 いつも見るのに、いつも見果てぬ空と海の広さ、いつも見るのに、いつも移ろう空と海の青さが岬の印象を違えるからなのでしょうか。

 

 

 入道岬は北緯40度の天色のピアノ線上にありました。

 

 赤道がドならば、入道岬はファ♯を奏でるはずです。

 

 目の前の海と空に響く音色は豊かな音域へと広がる旋律を予測させます。

 

 振り返れば、北緯40度の緯線に沿って、世界を巡る旅へ誘うかのようなモニュメントが木立の中へと続いていました。

 

 誰かが「片雲の風にさそはれて 漂白の思いやまず・・・」と呟く声が聞こえてきそうな、そんな気がする岬の風景でした。

 

 

 

 男鹿に来ると寄らずにはいられない場所が寒風山です。

 

 寒い風の山とは、何とシュールな名前でしょか。

 

 寒風山は木が殆ど生えない、表面の大半を草に包まれた標高355mの低山です。

 

 しかし、低山でありながら頂からは360度のパノラマを楽しむことができ、目の前に浮かぶ白い雲を眺めながら、爽やかな風に吹かれていると、心の底まで、草原の空色の緑に染められてゆくような安堵感に満たされます。

 

 

 

 頂上には回転展望台や売店などがありますが、その横にユーモラスな表情のなまはげ君を見付けました。

 

 しかし、なまはげ君が「わるいごはいねが~」と叫びながら家々を巡ったとしても、こんな美しい環境に、悪い子が育つ筈はありません。

 

 

 

 寒風山でどれほど、風に吹かれていたでしょうか。

 

 青年よりも年嵩が増したと思える風貌の若者が、麓から自転車で登ってくる姿を眺めながら、何とか頂上まで辿り着ける様子に安堵して、再び秋田市内を目指すことにしました。

 

 もう少しで午後4時になります。

 

 ほど良いタイミングで寒風山を後にすることができました。

 

 

 

 

 

 今日は秋田港に、豪華客船のダイアモンド・プリンセスが入港していました。

 

 秋田市内の道路には観光バスが列をなしています。

 

 県庁前から続く山王大通りに、闇夜を照らす竿燈が連なり揺れます。

 

 この夜の竿燈は279本を数えたそうです。

 

 4種類ある竿燈のうち最も大きなものは高さ12m、重さ約50キロで、46個のちょうちんに飾られています。

 

 

 

 竿燈の横で、はっぴとはんてん姿の御嬢さんがバチを両手に大太鼓を精一杯叩く音が響き、笛の音と共に「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声が通りにこだまします。

 

 差し手が額や腰で竿燈を支え、片手に持ち上げる妙技を披露すると、沿道から大きな拍手が沸き起こります。

 

 

 

 目の前で、○○幼稚園と記した竿燈を園児達が差し上げました。

 

 そうなのか!

 秋田では幼稚園児が竿燈を差すのです! 

 

 竿燈祭りは国の重要無形文化財ですから、次の世代へと伝承する工夫が為されているようです。

 

 このような土地にはきっと、「わるいごはいね」はずです。

 

 

 祭りは更に盛り上がり、大きな竿燈を撓らせて、見せ場を演出する名人芸が次々と披露されました。

 

 広い道路の中央にはスチールパイプを組んだ特別観覧席が設けられ、目の前へ倒れ掛かりそうな程に揺らぐ竿燈に歓声が上がっていました。

 

 

 20年以上も前に初めて竿燈を見た時は、風のある日だったので、竿燈が次々と倒れましたが、この日は風もなく、昼の暑さも和らぎ、絶好の祭り見物の夜となりました。

 

 

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ゴジラとナデシコ

2015-08-28 12:31:48 | 東北漫遊 花の旅

 

 男鹿半島には1度来ていますが、その時は駆け足だったので、主要な場所にしか寄りませんでした。

 

 しかし、北海道へ旅する時に、新潟苫小牧航路のフェリーから男鹿半島の南側に見事な海岸線が続くのを見て、一度はゆっくり訪ねてみたいと考えていました。

 

 男鹿半島と言えば、高温に熱した石を使った「石焼料理」が有名ですが、流石にこの猛暑の中で熱々の鍋料理を食べる気になりません。

 

 でも、折角男鹿に来たのですから、何かそれらしいものが食べたいと思いました。

 

 大潟村の南の池公園を出ると、途中で道の駅に寄って、観光案内所で幾つかのパンフレットを貰い、その中の「男鹿グルメガイド」を参考に、船川港の食事処へ向かいました。

 

 ナビにパンフレットの住所を入れ、13時前にはテーブルに付くことができました。

 

 ハタハタ丼、ぶぐラーメン、しょっつる焼きそばの何れかと迷ったのですが、ハタハタは冬がシーズン、ラーメンも暑そうだったので、消去法でしょっつる焼きそばを注文しました。

 

 

 夏休みの為か、頭にバンダナを巻いた中学生ぐらいの男の子がテーブルに運んできた、しょっつる焼きそばは素朴なしょっつるの味がしました。

 

 男鹿に名物を作ろうという心意気を感じます。

 店内は若い御嬢さん達が切り盛りしています。

 お店にはひっきりなしに客が出入りしていました。

 

 

 船川港でお昼を済ませ、県道59号を岬の先に向けてはしり始めました。

 

 10分程もはしると、偶然県道脇に「天然記念物 つばき自生北限地帯」という看板を目にしました。

 

 そうなんです、男鹿に椿の名所があることをすっかり忘れていました。

 

 事前に旅行先の花所を確認しますが、季節外れの場所まではチェックしきれていませんでした。

 

 

 

 看板には

 

 「指定年月日 大正11年10月12日、 所在地 船川港椿字家の後12-19、 面積432㎡、 ここは能登山と称する小丘で、全山ヤブツバキに覆われています。特に南から南東側の斜面に多く認められます。平成6年の調査によると総個体数573本、昭和57年の調査より多くなっています。青森県夏泊半島と共に、北限地帯のヤブツバキ群落としての群生価値は大変高いものです。」と記されていました。

 

 

 

 再び県道59号を西に向かいますと、数キロ先に「ゴジラ岩」の看板が見えました。

 

 県道から渚へ降りる道が続き、渚には数台の車が停まっていました。

 

 子供達が潮だまりで、磯遊びをしていました。

 奥に見えるのは帆掛島でしょうか。

 

 

 磯の先に潮瀬岬の灯台が見えています。

 

 

 しかし、ゴジラ岩は何処にあるのでしょう?

 

 岩の海岸を岬の先端へと進んでゆきました。

 

 大きな岩を廻り込むと、右手に何やらそれらしき岩礁が見えました。

 

 これがゴジラ岩か! 

 

 実物のスケールはそれ程ではありませんが、写真に撮ってみると、実物以上に見栄えがするのは、背景に何もないことが効果を上げているのだと思えます。

 

 

 そして、こんな岩だらけの海岸で、可憐な花を見付けました。

 

 カワラナデシコです。

 

 

 ゴジラの後でナデシコに巡り会うとは、何かドラマのシナリオじみた気もしますが、栄養の少ない、潮風に晒されたこんな辺境な地に花を咲かせるナデシコの生命力に驚かされました。

  

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白い雲が浮かぶ空の下で

2015-08-27 23:19:59 | 東北漫遊 花の旅

 

 千秋公園の濠に、見事なハスの花が朝の光を浴びていました。

 

  

 ハスの花は水のある場所に咲くことから、全国の城跡濠に数多くの花ハスの名所があります。

 

 秋田の千秋公園は、1602年に秋田に移封された佐竹氏が築いた久保田城跡を、明治時代に公園として整備したものです。

 

 昭和40年以降、濠にハス花を咲かせようとの計画が進み、現在は濠の半分をハス花が埋めるまでになっています。

 

 私は今まで、秋田城址が千秋公園だと思い込んでいたのですが、今回の旅で秋田城跡と呼ばれるものは市内の別の場所にあることを初めて知りました。

 

 今まで何度も秋田に来ていますが、花にしか目を向けていなかったのです。

 

 

 

 このブログを書くようになって、花以外の幅広い事象を、今まで以上に丁寧に観察し記録するようになりました。

 ブログを続けてこれたのは、そんな変化を成長と捉える喜びがあったからです。

 

 

 千秋公園公園内にある佐竹史料館で、企画展「秋田藩で花開いた学問」が催されていたので入館することにしました。

 

 9代藩主佐竹義和は藩校としての明徳館と数多くの分校を創設し、明徳館には医学館も作られ、薬園を整備したこと等が資料とともに説明されていました。

 

 新潟県長岡藩の「俵百俵」の逸話や、米沢藩での上杉鷹山を想い出します。

 

 日本では昔から、教育の重要性に気付き、子孫への投資を積み重ねてきました。

 

 そのことが、日本のような資源の殆どない国が、平和と繁栄を享受し得た大きな要因なのだと思います。

 

 これからも更に広い視野を持ち、子供達に算術ばかりでなく、歴史などの人文科学系の教育をも施し、人間の本質を悟る知恵を育むことが大切だろうと思います。

 

 

 久保田城跡には、平成元年に再建された本丸新兵具隅櫓(御隅櫓)がありましたが、史料館で時間を使い過ぎたので、中へは入らずに千秋公園を後にしました。

 

 

 

 千秋公園で予想外の時間を費やしましたが、何とか夕方までに秋田市内へ戻り、竿燈祭りを見物しようと考えていました。

 

 昨日の下見で、車中泊できそうな場所を、郊外の数か所に目星を付けてあります。

 県庁前の八橋運動公園に設けられる無料駐車場を利用すれば、時間を気にせずに竿燈祭りを見物できる筈です。

 

 夕方まで、どうすれば時間を無駄なく費やせるかを考えました。

 

 八郎潟干拓地の南の池公園でハス花を見た後、男鹿半島を巡ってくれば、ちょうど好い時間に戻れそうだと判断しました。

 

 今回の旅に出る前、どんな状況にも対応できるよう、自分のホームページからハスやヒマワリ等の名所をプリントし、ファイリングしてきました。

 

 携帯用のノートパソコンにも全てのデータを入れてありますので、気に入った場所で気ままに時間を費やしても、別のプランが準備できますので、旅が滞ることはありません。

 

 八郎潟干拓地の大潟村南2丁目の南の池公園に、正午前に着くことができました。

 

 

 公園の中に続く未舗装の道を車で進んで行くと、白い雲が浮かぶ空の下に、ピンク色の花ハスに飾られた、南の池が広がっていました。

 

 

 何も考えず、何も思わず、ただ黙って夏の陽射しを浴びていました。

 

 何もせず、惑いもせずに、ただ時間だけが流れ過ぎてゆきます。

 

 こんな時間を過ごす為だけに、人生の旅を続けてきたのかもしれないと思う自分が、ハスの花を見続けていました。

 

 

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竿燈祭りの真最中でした

2015-08-26 00:02:32 | 東北漫遊 花の旅

 

 倉田窯を辞して南由利原へ向かいました。

 

  

 

 展望台に登ると、ゆったりと裾広がりの山容を見せた鳥海山が、大谷地池の奥に現われます。

 

 

 南由利原に来たのは、ここに10万本のユリが花を咲かせるはずだからです。

 

 しかし、周囲にユリの姿は無く、掲示版にもユリ園を示唆するような記載がありません。

 

 

 

 観光物産店の施設に入り、お店の方に、「この辺にユリを咲かせる場所があると聞いたのですが?」と聞いてみました。

 

 すると、「ユリは去年までで、今年からコスモスを植えました。コスモスは9月頃なので、まだ咲いてないです。」との答えが返ってきました。

 

  「ええ! そうなんですか」

 

 残念ですが、自宅に戻ったら、ホームページの「ユリの名所」から由利高原を削除することにしましょう。

 

 どんなフラワーランドでも、開園時の情報は入り易いのですが、止める時の情報量は限られます。

 ホームページを早く修正でき、人を惑わすことがなくて幸いでした。

 

 

 由利高原から、由利本庄市岩谷麓の県道69号線折渡峠に向かいました。

 

 折渡峠は別名あじさいロードと呼ばれ、由利本荘市岩城上黒川と由利本荘市芦川を縫うように繋ぐ、標高143m程の小さな峠です。

 

 情報ではアジサイの花の時期は7月中旬から8月下旬となっていましたが、多分そんなに長い筈はないと考えました。

 

 国道105号線をはしり、羽越本線の踏切の手前で県道69号線へ入りました。

 

 ほどなく登り勾配となった道の両側にアジサイが見えてきました。

 

 

 なるべく見栄えの良い写真を撮りたいのですが、やはり花の盛りは終わったようです。

 

 今年は猛暑なので、尚更条件が悪いのかもしれませんが、花の時期を8月下旬までとするのは少々無理がありそうです。

 

 

 峠道を上ってゆきますと、山の斜面に沢山のお地蔵さんが並んでいました。

 

 駐車場に車を停めて、掲示板の解説を読んでみました。

 

 「折渡地蔵尊:今から約200年前 是山禅師(赤田大佛開祖)が延命地蔵尊として建立し、現在では通行人の安全と子守地蔵として知られている。

 

 別名はイボトリ地蔵として有名で、全国の寄進者により、平成元年から全山に千体地蔵が建てられ、地蔵霊山となる」とありました。

 

 

 

 どうやらこれが延命地蔵尊のようです。

 

 大きな杉の木の下で、赤い着物を着て、道行く人達の安全と子供を守ってくれます。

 

 お願いすればイボも取ってくれるそうです。

 

 

 そんな時に突然、すぐ背後でゴオ~ンと鐘がなりました。

 

 あまりにも突然だったので、本当にびっくりしました。

 

 しかも、鐘楼には人の姿がありません。

 

 あれ? と思っている目の前で、撞木が勝手に動いて、再び鐘がゴオ~ンと音を立てました。

 

 

 鐘楼の横に「御案内」と記された掲示があって、

 

 「当霊山の鐘楼は この地方では非常に珍しい自動撞木で鐘を撞きます。毎日次の時間に自動で鐘の音を全山に響かせます。どうぞお聞き下さい 午前9時、10時、正午、午後4時 一日4回」と記されていました。

 

 私はこの時初めて自動撞木を見たので、鐘をどうやって撞くのか興味を持って最後まで観察していましたが、どうやら撞木の中に仕組みがあるらしく、残念ながら詳細は分からずじまいでした。

 

 

 折渡峠を下ると、次の目的地は秋田市千秋公園のハスです。

 

 しかし、今から千秋公園に向かっても、公園に着く頃にはハスの花は閉じているはずです。

 

 どうしようかと考えながらのんびり県道をはしっていますと、路傍に素敵な雰囲気のお地蔵様か石仏を見つけました。

 

 掲示板らしきものが何もないので、詳細は分かりませんが、周囲を囲む木々の中にどっしりと腰を据えたお姿から、この地の安寧を保障しているかのような安心感が伝わってきます。

 

 どんなガイドブックにも載っていない、このようなお地蔵様に出会えるのも、きままな旅の楽しみの一つです。

 

 

 車は秋田市内を目指して国道7号を北上しました。

 

 この辺りは何度も通っていますが、日本海に沿って視界の開けた道に、気持ちの良いドライブが続きます。

 

 そんな景色の中で、国道脇の到る所に松林が姿を見せていました。

 私はそんな松林から、葉の付いた枝を数本頂くことにしました。

 

 

 

 そして秋田市内に着くと、なんとこの日は、あの東北三大祭の一つ、竿燈祭りの真最中だったのです。

 

 幸か不幸か、祭りは見たいのですが、こんな大きな祭りの最中に車を停める場所が見つかるでしょうか。

 

 当初は市内のコインパーキングに車を停め、居酒屋に行って冷酒でもと考えていたのですが、それどころではなさそうです。

 

 秋田市内をあちらこちらと探し廻り、秋田港のポートタワー横に、車中泊がでそうなパーキングエリアを見付けた時、既に辺りには夕闇が迫っていました。

 

 そして、秋田港にはあの豪華客船、ビルが丸ごと船になったようなアスカが着岸していました。

 

 いやーさすがに竿燈祭りだけのことはあります。

 

 祭りの規模が推測されます。

 

 

 

 この夜は市内の交通事情を調べるだけにして、祭りには行かず、市内から少し離れたマクドナルドに入ると、店の片隅に座って、マツ葉の長さを測りながら一夜を過ごしました。

 

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倉田窯の蓮

2015-08-25 01:46:05 | 東北漫遊 花の旅

 

 倉田窯は秋田県南部の由利本荘市にあります。

 

 山形県鶴岡市から国道7号線を北上し、日本海に沿って鳥海山の麓をはしり、象潟を過ぎた辺りで右折して県道に入りました。

 

 数キロ先で県道を外れ、鳥海山の麓の裾の丘陵へ登り、牧草地の道を左折すると、未舗装の小道に2~3台の乗用車を停めて、倉田窯が夏の陽射しを浴びていました。

 

 

 

 車を降りて建物に近づくと、棟の横の庇の下で、窯元と思しき髭もじゃの人物が数人の人達と会話を交わしていました。

 

 誰へともなく、「今日は」と挨拶して、テーブルの脇に佇み、暫く話を聞きながら、頃合いを見計らい、「ハスの花を見させて頂きます」と声を掛け、棟を囲む庭に廻り、ハスの花を見せて頂きました。

 

 

 

 水色のプラスチックの鉢に蓮が育てられていました。

 

 全部でほぼ400鉢35種を数えるようです。

 

 私は2007年に、自分のホームページの中に「ハス・スイレンの名所」という項目を加え、その時から倉田窯をご紹介してきましたが、今回やっと自分の目で倉田窯のハスを確認することができました。

 

 花は、どの花も盛りの季節は短く、年ごとに、天候によって咲く時期が異なります。

 更にハスの花は、午後になると閉じますので、ハスの花の盛りを訪ねることはそれ程容易ではありません。

 

 倉田窯の庭から西を望むと、丘の上に風車が連なっていました。

 

 風が強い場所のようです。

 

 この日は猛暑でしたが、秋が過ぎて冬が来ると、吹雪の続く日々があるのだろうと思います。

 

 雪国の自然の過酷さを、風車が物語っているような気がしました。

 

 

 庭を巡って、庇へ戻りますと、客は引き上げ、主は棟の中です。

 

 

 暫くして棟から出てきた窯元に話を聞くと、裏の谷に下ると、更に多くのハスが花を咲かせているとのことなので、再び庇の下を出て裏の谷へ向かいました。

 

 

 想像以上の規模で、谷の中に蓮田が続いていました。

 

 

 蓮田の中でお会いしたご婦人達も、「ここの蓮は本当に素晴らしいわね~」と感嘆の声を上げていました。

 

 

 谷の中の蓮を見終えて庇に戻り、「谷の蓮は、休耕田に植えたのですか」と聞くと、「全部自分で池を掘って植えたんですよ」との答えが返ってきました。

 

 

 倉田窯には次々と客が来て、蓮を見て帰りますが、見物客から入園料を徴収している様には見えません。

 

 実際、私にもそのような素振りは全くありませんでした。

 

 

 私は「陶芸作品を見せて下さい」と言って、棟の中に入りました。

 

 雑然とした室内に作品や破片が積み重ねられていました。

 

 後から知ったのですが、倉田さんは3年前に交通事故に巻き込まれ、左腕に痛みを抱えて暮らしているそうです。

 

 力強い作品も、数を増やすことが難しい現状ではないかと思えます。

 

 

 奥の展示室を見た後で、野菜と一緒に並んだ茶碗や片口などを丁寧に見定め、その中から、これはと思う片口を手にして、「おいくらでしょうか?」と訊ねてみました。

 

 

 「4000円」との答えが返ってきました。

 私は学生時代に萩や伊万里を訪ね、これまでに数多くの陶芸家の作品を見てきました。

 

 その私が6000円前後を予想していましたので、即座に「ではこれを下さい」の言葉が口をでました。

 

 大きさは直径12~3㎝、小振りですが、作者の人柄が乗り移ったような、ずっしり端正な焼き締めの片口です。

 

 これで上質な吟醸酒を呑んだら、酒の旨味が増すに違いないと思えました。

 

 

 倉田窯の主は、私が求めた片口と一緒に倉田窯の栞を入れてくれました。

 

 そこには

 

 陶芸工房 倉田窯 「土本来のもつ形や色を大切に 大らかで 力強く 自然のひびきと 新鮮な時 が感じられる 独自のやきものをつくりたいと 願っております」とあり、略歴が記されていました。

 

 倉田窯の窯元 倉田鉄也さんは、昭和21年に秋田市太田町のお生まれで、大学の美術科を卒業後、常滑で陶芸家に師事し、爾来昭和51年から秋田で作品を創り続けておられるようです。

 

 今年は猛暑なので、庭に溢れるハスの鉢へ水をくみ上げるモーターの電気代が辛いと、話しておられました。

 

 そこまでして、厳寒の地でハスを育て、一人窯を守り、土に命を吹き込む倉田さんに、強く生きる人の姿を見せてもらった気が致しました。

 

 

 

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青い蒼い空と森の広がる郷で

2015-08-24 00:30:44 | 東北漫遊 花の旅

 

  鶴岡の大山公園の駐車場で朝を迎えました。

 

 今日も朝から、お天道様がギンギラギンと元気いっぱいです。

 

 

 昨晩は車の中でビール片手に中華弁当を食べ終わると、そのまま意識を失うように、深い眠りに付きました。

 

 目覚めた後、駐車場に併設されたトイレの洗面所で顔を洗い、身支度を整えてから公園の案内図を確認しました。

 

 公園の中央に小高い丘があり、その横に二つの池があるようです。

 

 

 丘の頂へと道が通じています。

 

 その道を車が登って行けそうなので、まずは頂上へ行って、公園全体の様子を見ることにしました。

 

 途中の池を俯瞰する場所でネムノキがピンク色の花を咲かせていました。

 

 芭蕉が「象潟や雨に西施がねぶの花」と詠んだねぶの花がこのネムノキです。

 

 背後に、周囲の峰々を映しこんだ下池が見えています。

 

 

 丘の上から鶴岡市街が見渡せました。

 

 丘の中腹に桜の木が葉を茂らせていました。

 

 大山公園は戦国大名武藤氏の尾浦城址です。

 江戸時代の農民一揆である大山騒動が、農民たちへ重罰が及ばすに終息したことを感謝して桜を植えたことから、桜の名所として親しまれるようになったそうです。

 

 その後、荒廃していた公園が、昭和の初め、地元の酒造家・加藤嘉八郎有邦によって整備されて現在に至るそうです。

 

 

 丘の上から眺望を楽しんだ後、下池に下ってハスの花を探しましたが、水が少ない池の中でスイレンが群を作るのみで、ハスの花は見えませんでした。

 

 もしかすると、宮城県角田市の手代木沼のように、ハスは消滅してしまったかと懸念しながら、上池へ廻りました。

 

 

 

 おぉ、 嬉しい! 

 

 民家の横に車を停めて、3m程の土手を登った先に、見事なハスのお花畑が広がっていました。

 

 青い空の下に、濃い緑の稜線が伸びて、広がる池の一面をピンク色の花が覆い尽くしていました。

 

 突然目の前に広がった問答無用の光景に、瞬時に胸が解き放たれるような感慨が全身へ広がります。

 

 

 ほ~っと一息付いて、周囲を見渡すと、池の左手奥に駐車場らしきスペースが見えました。

 

 2~300m程も車も進め、再度池の畔に立つと、数万のハスの花群れが、静かな朝の光の中で、時を止めているかのような世界を見せていました。

 

 

 ありがたい。

 

 数百キロもはしり来た甲斐があります。

 

 今回の旅でも、青い蒼い空と森の広がる郷で、満ち足りた思いに浸ることができました。

  

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気ままな旅

2015-08-23 12:48:21 | 東北漫遊 花の旅

 

 仙台市野草園を14時頃に出て、更に北へ向かいました。

 

 目指すは宮城県大崎市 三本木斉田のひまわりの丘です。

 

 国道4号線をはしっていると、道路脇に「ひまわり畑 次の信号を左折」の看板が見えました。

 

 案内板を頼りに細い田舎道を進んで行くと、所々に「駐車料 協力金300円」の表示が見えます。

 

  駐車場に車を停めてひまわりの丘を見上げると、午後の陽射しの中で、一面を黄金色に染めたヒマワリが壮大な光景を見せていました。

 

 

 ヒマワリ畑を目の前にすると、あの圧倒的な存在感を示した、ホルスタインの如きソフィア・ローレンを想い出します。

 

 私の好みとは少し隔たりを感じますが、年を重ねるごとに、このような景色にも違和感がなくなってきたのは、全ての「精一杯」にある種の愛おしさを感じるようになったからかもしれません。

 

 ヒマワリ畑の周囲を歩いてみました。

 

 南斜面の丘に育つヒマワリの背後に廻ると、花は私に背を向けていました。

 

 「精一杯」の裏に隠された、弱さやもろさを垣間見る思いが致します。

 

 やはり、真夏の花は真正面からの輝きを堪能するに限ります。

 

 

 畦道からヒマワリ畑を振り返りますと、ヒマワリはレモンイエローに頬を染めて、優しい表情を見せていました。

 同じ花が見る角度によって、こんなにも表情が違いますから、花も何処から見たか、見られたかの偶然で、好かれたり、嫌われたりの、幸不幸があるのかもしれません。

 

 

 

 ヒマワリの丘を後にして、宮城県登米市石越町にあるチャチャワールドいしこしへと向かいました。

 

  

 

 この施設には3万株のアジサイが植栽されています。

 アジサイの季節は過ぎていますが、もしかしたらまだ間に合うかもしれないと、淡い期待を持って来たのですが、窓口でお話を聞くと、アジサイは7月上中旬に花が終わりましたとの返事でした。

 

 駐車場横のアジサイも、さもありなんと思える様子ですから、園中ヘは入りませんでした。 

 

 

 さて、次は何処へ行こうか?

 

 今回は山にも登れるように、車の中に登山靴と地形図を用意してあります。

 

 条件が良ければ、山形秋田の県境にある神室山も視野に入れたのですが、今日のような灼熱の太陽の下で、老体に鞭打って山へ登るのはリスクが伴うと思えました。

 

 それで、神室山の裾を通り越し、新庄から鶴岡へ入り、大山公園のハスを訪ねることにしました。

 

 ナビに大山公園の住所を入力し、ルートを確認しました。

 高速道路を使うと、東北道から山形道を経由して3時間40分、一般道では最短距離を走って154㎞、5時間30分と表示されました。

 

 しかし、ナビが示した一般道154kmに5時間30分かかる計算は都市の道路条件を想定したものです。

 

 登米市石越町から鶴岡市までの道路に渋滞はなく、信号も数える程のはずです。

 3時間半で行けると判断しました。きっと19時半頃には着くでしょう。

 

 と言うことで今、私は夕闇迫る鶴岡市郊外を、大山公園を目指しはしり続けています。

 

 

 

 大山公園に、7時40分に到着すると、一夜を過ごす場所を公園の駐車場に定め、スーパーで夕食用の弁当と缶ビールなどを買い込み、道すがら目にしたマクドナルドへと向かいました。

 

 ええ、当然ですが、マクドナルドに弁当やビールを持ち込むつもりはありません。

 

 マクドナルドのカウンターで、バイトの青年に、「アイスコーヒー ・・ですか?」と確認されながら、一杯100円のアイスコーヒーを受け取ると、受験勉強の最中らしき高校生達から少し離れた席で、矢吹町の大池公園でもらってきたアカマツの葉の測定を始めました。

 

 どんな結果が出るか、ちょっとドキドキです。

 

 

 

  今までも、旅先で調べごとをしたり、本を読んだりする時にマクドナルドにはいつもお世話になっています。

 

 マックのハンバーガーは好きではないので、ドリンクしかたのみませんが、マックは地方都市に行くと、高校生や若者達に健全な集いの場を提供しているように思えます。

 

 ひと昔前まで、同様の場を若者に提供していた喫茶店が淘汰し尽くされた今、アルコールなしで、人が集える健全なイメージのままに、地域毎の需要に応じたセンシティブな対応で、復活の路が開けてくるようにも思えるのですが、カサノバさん如何でしょうか。

 

 

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仙台市野草園に憩う

2015-08-20 10:00:11 | 東北漫遊 花の旅

 

 高山植物区を一瞥した後、園内を左手に進んで行くと、目も眩むような陽射しの中で、芝生広場の中にケヤキが豊かな葉を広げていました。

 

 

 ハンモックの、ゆるやかなカーブを思わせるような芝生広場の横で、萩のトンネルが秋の出番を待ちわびています。

 

 

 

 萩のトンネルを潜り抜けた先で、珍しいエンコウスギが枝を広げていました。

 

 猿猴杉はスギの園芸品種で、細い枝に針状の葉が輪生し、その枝がテナガザルの手のように伸びることから名づけられました。

 

 

 私は今、針葉樹の葉が、枝上の葉と枝下の葉が長さが違うことに気付き、それを確認する作業を続けていますが、このエンコウスギでもその現象を認めることができました。

 

 

 野草園の一番奥で、ハンカチノキが枝にころころとした実をぶら下げていました。

 

 ハンカチノキは東京では4月下旬頃に、枝一面にハンカチをぶら下げたような、不思議な花を咲かせます。

 

 ハンカチノキは中国原産ですが、日本各地の公園や植物園に広く植栽されています。

 

 私の木をテーマとするブログに植栽地を纏めてありますので、機会があれば一度お出かけになられては如何でしょうか。

 

 

 水生植物区へ、野草園の斜面を下って行きますと、ラクウショウが呼吸根を見せていました。

 

 水辺に生えるラクウショウは、土中の酸素が不足しますので、根の一部を地上に出して呼吸するようになります。

 普通の樹木は、水に根が浸かると根腐れを起こしますが、ラクウショウは気根を出すことで、湿地でも生育することができるようになります。

 

 

 

 ラクウショウのすぐ傍で、石のお地蔵さんが木洩れ日を浴びていました。

 

 石のお地蔵さんの姿がラクウショウの気根のイメージと重なります。

 

 野草園をデザインする方が意図した遊び心に、思わずウフフと笑みがこぼれました。

 

  

 

 その先へ進みますと、樹高が4mもありそうな、大きなノリウツギが、枝を飾る一面の白い花で、灼熱の太陽を跳ね返していました。

 

 生命力に溢れる素朴な装いの花が、何故かいつも気になります。

 

 

 

 園を一巡りして、再び高山植物区に戻ってきました。

 

 既に花の盛りの季節は終わっていますが、岩の奥で一株のホツツジが白い花を咲かせていました。

 

 尾瀬の燧ケ岳で出会ったホツツジを想い出しました。

 ホツツジもこの暑さでは、可憐を装う余裕はなさそうです。 

 

 

 

 真夏の野草園に、私以外の来園者の姿はありませんでした。

 そんな園内で、作業服に膝をかがめ、黙々と除草作業に汗を流す若い女性の姿を見かけました。

 

 何時訪ねても、安らぎの時を与えてくれる仙台市野草園、杜の都の豊かさと奥深さを感じさせてくれる、私のお気に入りの場所です

 

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樹木も見ます 60を過ぎて始めました

2015-08-19 15:54:54 | 東北漫遊 花の旅

 

 早朝の優しい大気の中でスイレンの花を満喫した後、国道4号線を北へ向かいます。

 

 ナビに次の目的地、三春町法蔵寺を入力してありますが、この辺りは何度も来ているので、見覚えのある光景の中でゆったり気分のドライブを続けました。

 

 途中で牛丼屋を見付けたので、ミニ牛丼に生卵掛けで朝食を済ませました。 

 普段の生活は、朝食は小さな茶碗のご飯と納豆や前夜の余り物で済ましているので、ミニ牛丼でも量が多く、花の旅から帰ると必ず体重が増えます。

 

 三春町の法蔵寺は1289年(正応2年)の開山と伝わる古刹で、本尊の阿弥陀如来坐像の胎内に、鎌倉期の阿弥陀如来坐像が収められ、本尊、胎内仏ともに町の文化財に指定されています。

 

 

 法蔵寺の境内では、鉢に植えられたハスが花を咲かせていました。

 

 108種類のハスが200鉢育てられ、毎年7月最後の日曜日には蓮まつりが催されます。

 

 

 

 三春町では大正11年に、国の天然記念物指定を受けた「三春滝桜」が有名で、花の季節は観光客で溢れかえりますが、今は静かな佇まいの町に、僧侶が庭を掃き清める竹箒の音が響くばかりでした。

 

 三春町から県道を抜けて、二本松市へ、そこから福島市飯坂町「平野まるせい果樹園」のヒマワリを目指しました。

 

 しかし、果樹園に着いてもヒマワリの姿が見えません。

 

 果樹園の方にお聞きすると、今年は除染作業が入った為に播種が遅れて、ヒマワリの花は8月末の予定だそうです。

 

 猛暑の中、市内のあちこちで、かげろうに揺れる仮設住宅姿を見かけました。

 

 

 

 仙台市野草園に、12時を少し過ぎた頃に到着しました。

 

 定年を迎えた年、月に一度は仙台で業界の定例会議があり、東京から出張していましたが、会議の後は、些細なことで目立ちたがるお山のボス猿対策などの打ち合わせで、仙台の社員と居酒屋で過ごす時間を持つことにしていました。

 

 週末金曜日に会議があった時は、休日土曜日の午前中に野草園に来て、野の花を見ては英気を養ったものです。

 

 200円の入園料が申し訳なく思える程に、野草園は四季毎の彩りと豊かな緑に包まれています。

 

 当時は気付かなかったのですが、園内に入るとすぐに、大きな木の化石が目に入りました。

 

 昭和48年に仙台市内の団地造成で掘り出された、セコイアかメタセコイアの化石だそうです。

 

 メタセコイアのメタはギリシャ語で「~の後に」という意味です、と解説にありました。

 

 そうか、知らなかったな~。

 

 

 以前は花にしか目が向かなかったのですが、最近は樹木も見えるようになってきたので、野草園の景色が今までになく新鮮に思えます。

 

 入口近くにモミの林がありますが、そこに「このモミの木は、野草園を造りはじめ(1951)のころ、高さ1~1.5mでした。それがこんなに成長したのです。モミは日本特産の木で、仙台地方が北限地帯となっています。」と掲示されていました。

 

 

 1951年って、私が生まれた年なんですよ。

 

 思わず見上げたモミは、十分な存在感を示しながら空を覆っていました。

 

 

 

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片雲の風にさそはれて

2015-08-18 21:55:23 | 東北漫遊 花の旅

 1999年7月11日、20世紀最後の年のこの日、私は若き日に撮りためたスライド写真の一枚をスキャナーに掛け、それを使って「四季の花」というホームページをスタートさせました。

 

 パソコンは既に広く普及していましたが、当時の日本のインターネットの利用者は約1500万人、日本人の8~9人に一人程だったようです。

 

 あれから16年、何時の間にかスマホの普及率は60%を越え、メールがごく普通のこととして日常生活に溶け込んでいます。

 

 「四季の花」に掲載する花の写真は、身近な場所で撮影していたのですが、思い付きで花を撮影できる場所はすぐにネタが尽きました。

 

 年間を通してホームページに花の写真を載せ続けるには、花が咲く時期と場所を調べておかなければ、貴重な休日が無駄になります。

 

 そこで、自分の撮影の為に「花の名所」と称するページを立ち上げ、植物園や花公園などの情報を収集し始めました。

 

 今はそれを「花のガイド」としてホームページに纏めていますが、紹介する花所は総計27項目、ほぼ3300ヶ所を数えるまでになりました。

 

 退職後にはそれらを巡り、花を見て暮らそうと考えていましたが、退職した年の冬に「樹と木のお話」という、樹をテーマとする新たなブログを立ち上げました。

 

 その後は興味の対象が花と樹に分散しましたので、3300ヶ所を巡る旅は思うほどには捗っていません。

 

 それでも、一年に100ヶ所をこなせば33年で終わりますから、100歳まで生きるつもりの私には丁度良いペースかもしれません。

 

 


 

 

 今回も8月上旬に「樹と木のお話」に一区切りを付けましたので、東北の花の百名山でも巡ってこようかと考えました。

 

 しかし梅雨明け後に猛暑が続き、東北もかなりの暑さのようです。

 

 日射病にでもなれば「何時までも若いつもりで!」などと言われかねませんので、暫し躊躇していましたが、まあ、山がだめなら温泉にでも入ってこようと考え、3日の夜には北に向かって車をはしらせていました。 

  

 

 8月4日、福島県西白河郡矢吹町の大池公園の駐車場で目を覚ましました。

 

 

 

 朝早くから、池の周囲の遊歩道を多くの町民が散策し、お互いに挨拶を交わしています。

 

 池の北側に、八つ橋を渡したあづま屋が浮かび、その周囲を赤いスイレンの花が飾っていました。

 

 

 池の畔には赤松が林をなして、スイレンが咲く水面に緑の影を落としていました。

 

 

 お分かりでしょうか? 静かな朝を迎えた公園のすぐ横を、札幌から走り来た寝台特急カシオペアが、木々の間に白い帯となって走り過ぎて行きます。

 

 

 終着駅の上野までは後3時間ほどの旅程を残しているはずです。

 食堂車にはトーストとコーヒーの香ばしい香りが漂っていたかもしれません。

 

 

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