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珍しい花

2013-03-29 18:51:11 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 来るのが早すぎた河津桜に、仕方ないことはスッパリ諦めるべき、と教えられました。

 

 そう言えば、ニューヨークのブルックリン植物園に掲げられていた、

 

 「花から叡智を集め、力を得る人は幸せである」

 (He is happiest who hath power to gather wisdom from a flower.)

 

  とは、「あるがままを認めなさい」と河津桜から教えられることを指すのかもしれないと、勝手に考え、鼻歌交じりに熱川バナナ・ワニ園を目指しました。

 

 (マー、しかし、これほど能天気だと、ストレスは溜まるはずもありません)

 

 

 熱川バナナ・ワニ園は私のお気に入りの場所の一つです。

 

 もう十年以上前から「四季の花」と題して、花の写真とコメントをHPに書き続けていますが、

 

 寒い季節になると、花が咲く場所は温室だけなので、冬になると、遠路はるばる、東京から花の写真を撮りに通い続けてきました。

 

 

 熱川バナナ・ワニ園は温泉熱を利用した温室で、珍しい熱帯植物や果樹を展示栽培し、世界各地に生息するワニも飼育します。

 

 温室エリアではオオサンショウウオやマナティーなどを飼育し、家族連れでも、子供達が飽きない工夫が施されています。

 

 

 更に、ここで嬉しいのは、カメラの三脚が使えることです。

 

 「四季の花」に使う写真は、今もスライドフィルムを使用しています。

 

 そのフィルムを使う場合は、十分な光量が必要となり、必然的にシャッタースピードが遅くなります。

 

 そんな訳もあって、三脚が使えない温室は疎遠になります。

 

 

 ただし今回は、ブログ用に撮影したデジカメ写真ではありますが、熱川バナナ・ワニ園で目にした珍しい花を、以下に数点ご紹介させて頂きます。

 

 

 ライムに花が咲いていました。

 

 ライムはインド原産のミカン科の果樹で、柑橘類特有の白い五弁花を咲かせます。

 

 今回実物を、私は初めて目にしました。

 

 

 アボガドの木に花が咲き始めていました。

 

 この木は園内の通路から離れた場所にあり、名札もないので、初めてその存在に気付きました。

 

 樹高は10メートル程もありそうです。

 

 アボガドがこんなに大きな木だということを、初めて知りました。

 

 

 キク科のスティフティア・クリサンタに花が咲いていました。

 

 解説によると、ボール状の金色に輝くのは、タンポポの白い綿毛と同じで、花が終わり、種子になりかけたものだそうです。

 

 国内では、めったに目にすることはできないそうです。

 

 

 

 ということで、今回も時を忘れ、熱川バナナ・ワニ園で植物と花を存分に楽しませて頂くことができました。

 

  熱川バナナ・ワニ園を退園する時、相模湾を望むと、いつもは正面に見える大島が、今日は雨雲の中に隠れていました。

 

 今日島へ渡っていたら、一日中雨に降られていたかもしれません。

 

 「よしよし、昨日は、本当に良いタイミングだったんだ! ラッキー! 」

 

 と考え、全てがハッピーエンドの一日となりました。

 

 

 

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花も人生も打率3割

2013-03-25 17:13:39 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 松崎の街には沢山のなまこ壁の民家が並んでいました。

 なまこ壁とは防火、保温、防湿などを目的とした建築技法で、壁面に四角い平瓦を貼り付け、その瓦の継ぎ目に漆喰をかまぼこ状に塗り、その盛り上げた漆喰の形が海鼠(ナマコ)の姿に似ています。

 

 東京帝国大学で薬学主任教授を務め、昭和33年に文化勲章を受章した近藤平三郎の生家、

 

 

 明治43年の建築で、以前は呉服商を営み、現在は無料休憩所となっている伊豆文邸などの民家が、見事なまでのなまこ壁を見せて並んでいました。

 

 

 福島県の喜多方や岡山県の倉敷などでも見かけた、なまこ壁の家々は、松崎の街に独特の風情を醸し出していました。

 

 樹齢1000年を数える伊那下神社の大イチョウは、昭和27年に静岡県の天然記念物に指定されています。

 樹勢が盛んなころ、黄葉する秋には船乗り達が海上十里から松崎港の目印としたそうです。

 

 松崎での見学を終えて、私は次の目的地である熱川バナナ・ワニ園へと向かいました。

 

 県道15号を抜けて、国道414号へ入ります。

 

 国道横の梅の木には花が溢れていました。

 

 

 国道を両側から挟む、山の斜面の竹林の葉が萌黄色に光り、季節が動き始めたことを物語っていました。

 

 

 しかし、期待していた河津の桜祭りは、異常気象の為か、例年だと堤をピンクに染め上げる桜の花が、可哀想なほどに憐れな状況で、桜の季節には今少しの時間が必要なようです。

 

 

 花の盛りに巡り会えた時の喜びはひとしおですが、人生同様に、いつも思い通りとはいかないようです

 

 満開の花との出会いや幸運との巡り合わせは、三度に一度、打率3割程度のものなのかもしれません。

 

 

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嬉しい思い

2013-03-24 09:42:41 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 「牛原山町民の森」は松崎市街の裏手の牛原山に、アスレチックや芝生広場などを整備した自然公園です。

 教えられた通りに、標高236mの牛原山を車で登って行くと、駐車場の横に梅園を見付けることができました。

 

 

 梅園の解説板には、「南国松崎のイメージが高められるよう、早咲系の梅を中心に、植えられています。 ・・・・ ~

 ・・・ やがて伊豆の春はこの牛原山からという日も近いことでしょう」と記載されていました。

 

 解説板から梅園創設時の意気込みが伝わってきます。

 しかし、梅園は十分に管理されているようには思えません。

 梅園のあちこちに、獣除けの柵で囲った野菜畑が見えました。

 公園の敷地の中で誰かが野菜を育てているのでしょうか? 不思議な光景です。

 

 私のホームページで「ウメ 5種類 600本? 」とご紹介しておりましたが、梅の本数はそれ程の数はないようです。

 

 

 ということで、朝から随分と遠回りをしましたが、気になっていた梅園の状況を自分の目で確認できたので、それだけで十分に達成感と満足感を得ることができました。

 

 

 次に私は松崎の中心部へ戻り、観光案協会で入手した散策マップを片手に、松崎の街を一巡りしてみました。

 

 

 最初に松崎の街中を流れる、那賀川のときわ大橋を訪ねました。

 この橋には漆喰で桜と燕が描かれ、

 

 

 早春の雨雲の下で、音もなく流れる川の水面に、小さな田舎町が映し出されていました。

 

 

 橋の袂には、明治時代の商家だった、なまこ壁の中瀬邸が資料館となって保存されていました。

 

 

 その横の時計塔は、大正13年に昭和天皇のご成婚を記念して、青年団によって建てられたもので、昭和13年に水害で水没したものを復元したのだそうです。

 

 

 文字板に13の数字を見ることができます。

 午後1時が13時であることを表示したのでしょうか。

 ユニークで興味深い時計塔でした。

 

 

 ちょっと余談になりますが、この時計塔の脇に、時計塔と同じ高さにヒノキ科のカイズカイブキが葉を茂らせていました。

 

 私は「カイズカイブキがある」との気付で、自分が、樹木を少しは判るようになったことを確認することができたのです。

 

 これには少々嬉しい思いが致しました。

 2年前のアメリカ旅行で「木々を見分けられたらどんなにか楽しいだろう」と思い、帰国後に手探りで木々の観察を始めましたが、今日はその手応えを得ることができました。

 

 松崎の街で、還暦を過ぎても、一歩ずつ歩を進めている自分を、カイズカイブキを介して確認することができました。

 

 

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それは西天城高原

2013-03-19 21:49:34 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 朝、車の屋根を叩く雨の音で目を覚ましました。

 今日は雲が空を覆い、光量不足で花の写真撮影には向いていません。

 

 そこで、自分のホームページで紹介している松崎町の「牛原山町民の森梅園」を訪ねてみることにしました。

 

 ここ数年、自分のホームページに掲載した全国の梅園を訪ね歩いています。

 

 昨年は愛知、三重方面に足を伸ばしました。その前年は静岡県でしたが、伊豆の先端の「牛原山町民の森梅園」が未訪問のままで残っていたのです。

 

 近くのコンビニへ入り、温かいお茶とおにぎりを買って、朝食としました。

 トイレもお借りして、店員さんに「牛原山町民の森」をご存知でしょうか?と聞いてみました。

 

 するとその店員さんは、自信に満ちた表情で、西伊豆町観光協会が作成した冊子を手に「それは西天城高原にあります」と教えてくれたのです。(筆者注:明らかに間違いです)

 

 そしてその冊子を、どうぞお持ち下さいと言って私に手渡してくれました。

 

 

 更に、「宇久須の信号を右に曲がって、標識の通りに走れば行けますよ」と教えてくれました。

 

 御親切に感謝しながら、全く疑うことなく20分程走り続け、雨に濡れる西天城高原に到着しました。

 

 

 眼下に海を見下ろす絶景の場所です。

 標高が800mもあるためか、道路の横に雪をみかけました。

 まさか、伊豆で雪を見るとは考えてもいませんでしたが、やっぱり今年は異常気象なのでしょうか?

 

 

 この様子では梅の花は到底期待できそうにありませんが、それにしても梅園はどこにあるのでしょう?

 

 エリアマップの掲示版を見てもそれらしいものが記載されていません。

 

 

 仁科峠と表示された付近も探しましたが、どうも納得がいきません。

 

 天気も悪いので一旦は諦めかけましたが、探せずに、中途半端なままで終わると精神衛生上の副作用が発生し、命を縮める可能性があります。(そんなバカな!)

 

 

 そこで、登って来た道と異なる、林道のような県道59号線を松崎方面へと下ってみることにしました。

 もしかするとコンビニの店員さんが勘違いした可能性もあります。

 

 松崎の町へ入ってから、バスセンターに観光ガイドのカウンターを見つけたので「牛原山町民の森へ行きたいのですが」と聞いてみました。

 

 するとカウンターの方が松崎町の地図を示して、「街のすぐ裏手の山の上です」と教えてくれたのです。

 

 あ”・・・、やっぱり!

 

 しかし、西天城高原は素晴らしい所でした。

 間違ったことを教えられましたが、行ってみて無駄だったとは思っていません。

 むしろ、素晴らしい光景を見せてもらえたことに、感謝の気持ちを持ったほどです。

 

 

 今度はもう一度、お天気の良い日に訪ねてみたいと考えています。

 

 

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嬉しいお風呂です

2013-03-19 15:25:35 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 熱海港でフェリーを降り、バスでJR熱海駅へ向かいました。

 駅前のマクドナルドで時間をつぶして、伊東行きの電車に乗り、伊東駅からは歩いて自分の車に戻りました。

 

 伊東で、まず最初にしたことはお風呂探しです。

 最初は彼の有名な東海館へ行ってみたのですが、玄関に日帰り入浴は土日のみと表示されていました。

 

 

 次に訪ねたのは伊豆急南伊東駅近くの鎌田湯です。

 写真は別の日のものですが、この夜は既に20時を過ぎて、周囲の駐車スペースは車で満杯でした。

 

 鎌田湯は伊東七福神の湯の一つの温泉銭湯で、入浴料は200円です。

 大きめの浴槽に、無色透明なお湯が豊富に溢れ出る、本当に嬉しいお風呂でした。

 

 

 ゆっくりとお湯に浸かり、汗を流し、近くの牛丼屋で夕食を摂りました。

 

 さてこれから、どうしようかと思案の末に、夜の内に伊豆半島を南下して、堂ヶ島付近で明日に備えることにしました。

 

 ナビに堂ヶ島と入力すると、何も考えずに闇の中へ車を向け、伊豆の峠を越えて行きます。

 

 

 相変わらずオーディオで井上陽水が唄い続けていました。

 

 何かを大切にしていた~いけど、♪

 体でもないし、こころでも~ない ♯

 煌めくような想い出でもない、♪

 ましてや我が身の明日でも~ない ♯

 

 フムフム、うまいことを言うね。やっぱり陽水はたいしたもんだ。

 

 

 そう言えば私も、「待ってました定年」を迎えて、もうすぐ二年が過ぎます。

 余分なお金はありませんが、花を楽しむための十分な時間と、体力が残っています。

 

 母の老年性痴呆が進み、二年ほど前から母が「私と妻が母のものを盗む」と言いだし、離れて住む弟がそれを真に受けたらしいと、そこそこの悩みもありますが、それも時間が解決するはずで、特に気を煩わす必要もありません。

 

 今度は自分がアルツハイマーになって、子供達に迷惑が掛からないようにとだけ願いながら、伊豆の深い森の道を、パーパラ、パヤパラ、パパッパー♪ とはしり続けました。

 

 

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伊豆の山々へ沈む夕日

2013-03-17 15:51:51 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 実は、私は宮川哲夫という人を知りませんでした。

 今回、波浮の石碑を見て初めて、その名を知りました。

 

 ネットで調べてみますと、宮川哲夫は大正11年に波浮で、大きな網本の長男として生まれています。

 当時の波浮は日本全国から漁船が集まり、日本でも有数の漁港として繁栄していました。

 網本である哲夫の父は演劇が好きで、伊豆の踊り子一座に別荘を貸し与えるほど裕福だったようです。

 

 その後、哲夫が中学へ入る前に家が倒産、母を亡くすなどの中で、哲夫は東京の師範学校を卒業し、小学校の教諭をしながら「街のサンドイッチマン」などの作詞をてがけ、鶴田浩二が唄った「赤と黒のブルース」、フランク永井の「夜霧の第二国道」「羽田発7時50分」などのヒット作品を生み出していったようです。

 

 今回も時間潰しで乗ったバスの旅の、ほんの数十分の散策で、予想もしないものに出会い、印象に残る濃密な時間を過ごすことができました。

 

 以前にも書きましたが、私は時計も携帯電話も持たずに歩いています。

 親切なバスの運転手さんは、私の姿が見えなければ、きっと多少は待っていてくれるだろうと思いますが、そろそろバス停へ戻る時間になった気がします。

 波浮の港を眺めながら、さっき登ってきた石の階段を下って行きました。

 

 

 

 帰りのバスの中でも、先ほどの運転手さんが、波浮にある大島南高校は船乗りのための全寮制高校で、学校が船を持っていて、生徒は毎年、航海実習に出ているとか、ここが三原山が一番よく見える場所です、などのガイドをして頂きながら、予定通りに元町港へ戻ることができました。

 お陰様で本当に楽しいバスの旅となりました。

 便数こそ多くはありませんが、大島の路線バスには本当に良い思い出を頂きました。

 

 

 元町港を出港する最終の高速フェリーは16時35分発で、帰りは伊東へ寄港せずに熱海へ直行します。

 

 

 私は自分の車を伊東の岸壁の駐車場に置いてきましたから、熱海から伊東へはJRで戻ることにして、船上の人となりました。

 

 

 帰りのフェリーからは、伊豆の山々の向こうへ沈んでゆく夕日が本当に見事でした。

 

 見事な日の出に始まり、見事な夕日で締めくくられた伊豆大島の花旅は、こうして穏やかな海の上で暮れてゆきました。

 

 

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公園の手品師

2013-03-17 09:37:21 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 波浮港のバス停に着くと、運転手さんが周囲の家々を見ながら、「昔はあの窓で、女達が船乗りに手招きしてたんですよ」と説明してくれました。

 

 へー、そうなんですか! そう思って見渡すと、波浮の家並みが、昔の賑わいを語り始めるような気になるから不思議です。

 

 

 運転手さんは「終点まで行って、20分程で折り返してきますから」と告げ、私を降ろしてバスはのんびりと走り去って行きました。

 

 

 家並みの中に続く路地を歩いてみました。 

 何の変哲もない飾り雛が、曰くあり気に見えます。

 

 

 道の先が階段となり、その横の壁に「やとなみ」と書いてありました。

 

 おっと、昔の字は右から「みなとや」と読むのですね。

 

 

 格式を感じさせる旅館が門を構え、今ではここは「踊子の里」という資料館になっているようです。

 

 どうやら、林芙美子もこの旅館に逗留したことがあるようです。

 石の階段の道に林芙美子の文学碑があり、その直ぐ横に、林芙美子が逗留した昭和8年頃、三原山は、自殺・心中の名所となっていて、大勢の観光客が来島したといった解説が掲示されていました。

 

 

 時間に余裕がないので、「踊子の里」へは寄らず、更に石段の先へと歩を進めました。

 

 そうそう「踊子の里」の名ですが、川端康成の小説「伊豆の踊子」のモデルになった、旅芸人一座の薫たちが港屋旅館で芸を披露したのが由来なのだそうです。

 

 

 

 ゆったりとした階段を上り詰めると、石畳の道に石蔵が建っていました。

 

 石蔵の壁に「踊子の里 旧甚の丸邸」の字が見えます。

 

 

 石蔵の裏へ周り込んで、甚の丸邸を覗いてみました。

 

 庭の中央で、屋根の高さに蘇鉄が伸びて、黒潮に浮かぶ島の情緒が感じられます。

 

 

 門の中へ入ると、設置された石碑に以外な字句が刻まれていました。

 

 

 公園の手品師 宮川哲夫

  鳩が翔びたつ 公園の

  銀杏は手品師 老いた道化師(ルビ→ピエロ)さ

  うすれ陽に 微笑みながら

  季節の歌を 唄っているよ

  手風琴(ルビ→アコーデオン) 借して あげようか

 

 

 え! これって、私が行きつけのカラオケスナックでよく唄う、フランク永井の「公園の手品師」じゃありませんか。

 

 フランク永井が唄った歌詞とは多少違いますが、元の詩はこれだったのですか!

 

 銀杏は手品師 老いたピエロ~ ♪

 

 いいですね~、 

 秋の公園で、黄色く色づいたイチョウの葉がひらひらと舞い落ちる様子が目に浮かんできます。

 

 フランク永井が唄ったシャンソンを思わせるメロディーは、東京の青山辺りのビル裏の公園をイメージするような曲です。

 

 思いがけない場所で大好きな歌に出会えました。

 

 

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とっても嬉しいバスの旅

2013-03-13 07:09:11 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 バス停に戻ると、バスが到着していました。

 

 

 

 

 14時前に元町港へ戻りました。

 元町港のバスセンターで波浮行きのバスを待ちます。

 

 バス停の横では、お歳を召した、あんこ姿のお姉さんが、一升瓶を飾りながらサザエを焼いていました。

 

 しかし今ここで飲んでしまうと、伊東へ戻ってから運転ができなくなります。

 いえいえ、その前に気が大きくなって、島に泊まって飲みたくなるに決まっています。

 

 ぐっと堪えました。

 ツアーで来てたら、飲んでたでしょうね、きっと。

 

 

 

 時間前にバス停で待機したバスに乗り込み、運転席のすぐ後ろに陣取りました。

 

 運転手さんに、波浮を見学して、折り返しのバスで戻りたいが、どうしたら楽しめるだろうかかと尋ねてみました。

 

 運転手さんは、「波浮港で降りれば、バスが折り返して来るまでに20分近くありますから、それで十分ですよ」と教えてくれました。

 

 客は私一人です。

 

 貸切状態のバスは時間調整をしながら、ゆっくりと波浮港へ向かいます。

 

 途中の地層切断面が露出した所では、乗降客もいないのにバスを止めて、私に写真を撮って来いと促してくれました。

 

 

 「海に浮かんで見える島が利島です。300人程度が住んでいますが、波が荒いと船が止まるので、安易には行かないほうがいいですよ」とか、

 「大島は物価が高いから、島外出身の嫁が結婚当時は驚いていた」とかの話を聞かせてもらいながら、なんだか、貸切の観光タクシーをチャーターしたような気分です。

 

 

 大島公園の椿園では花が少なくて、ちょっと残念でしたが、それ以上に、こんなにも気さくで親切な方に出会えたことが、とっても嬉しいバスの旅となりました。

 

 

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キョンに出会う

2013-03-13 06:17:04 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 温室では十二分にツバキを満喫しました。

 しかし、その後椿園をくまなく歩き廻りましたが、ツバキの花は数える程にしか咲いていませんでした。

 

 園内で出会った職員らしき方が、気の毒そうに「今年は異常気象で、花が本当に少ないんです。何時もはこんなではないんですけど」と話してくれました。

 

 

 伊豆大島を訪問した主目的は椿園ですから、時間を気にせずに園内を歩き巡り、正門に辿り付くと、時刻は12時を回っていました。

 午前中に観光客で一杯だった公園も今は人影がまばらです。

 

 出発前にバスターミナルで入手した時刻表を確認しますと、バスは11時50分に出たばかりで、次は13時20分と、かなり間があります。

 

 このような状況は十分に予測しておりましたので、慌てることなく、椿園の下のエリアへと足を向けました

 

 海を背にして、大きなスダジイが枝を広げていました。

 

 

 ベンチに腰を下ろし、菓子パンをかじりながら、バスの時刻表で、これからのスケジュールを考えました。

 

 当初は三原山のハイキングコースを考えたのですが、バスの本数が少なく、時間的に無理なことが分かりました。

 それで、元町港へ一旦戻り、そこから波浮港を往復することにしました。

 元町港へ戻るバスの出発時間までは、周囲を散策して時間を潰すことにしました

 

 椿資料館で入手したパンフレットに植物園と記載されていた場所は、簡単な植物の解説などが掲示されていましたが、この内容で「植物園」と言われても素直に「そうですね」と答えるにはちょっと勇気が必要です。

 

 

 植物園と称するエリアには椿の原木が鬱蒼と林を作っていました。

 その椿の原木に包まれた道を下って行きますと、突然、目の前に海が広がりました。

 右手に見えるのは三浦半島でしょか、高速艇が白波を立てて海を渡って行きます。

 

 

 

 植物園のエリアでは、とうとう最後まで誰にも会うことはありませんでしたが、林の中で一瞬、鹿のような顔つきの、犬ほどの大きさの不思議な動物を見かけました。

 

 写真を撮ろうと直ぐに後を追いかけたのですが、藪に邪魔されてシャッターを押すことはできませんでした。

 

 見たこともない動物だったので、怪訝に思って歩いていると、歩道の横に次のような看板を頻繁に目にしました。

 

 

 どうやら、さっき見た動物はキョンのようです。

 

 帰宅後に調べますと、キョンは中国東部、台湾に生息するシカで、大島では動物園から逃げ出した個体が繁殖し、農作物に被害が発生しているようです。

 

 キョンの皮はきめが細かいので、楽器やカメラレンズの手入れに最高級品として利用され、肉は柔らかく、脂肪も少ないので中華料理に用いられるそうです。

 

 今回も珍しいものに遭遇しました。

 こんな、出たとこ勝負の旅は、数多くの予期せぬことに出会えるのですが、それが旅をより一層楽しいものにしてくれます。

 

 それにしても、キョンはどんな味覚なのでしょうか。

 台湾に行けば食べられるのでしょうか?

 ちょっと気になります。

 

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大島公園の椿

2013-03-04 12:43:30 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 バスを終点の大島公園で降りて、まずは椿資料館へ向かいました。

 入場無料の嬉しい施設です。

 

 

 資料館の中はそんなに広くはありませんでしたが、見事な椿模様の大島紬の着物が展示されていました。

 きっと数百万円以上の価値があるだろうと思います。

 

 

 椿に関する種々の解説がパネルで掲示され、ツバキの生花が一輪挿しで100種近くも展示されていました。

 

 

 

 私は展示されていたツバキの品種の一つ一つをデジカメで写し、全ての解説を読み終えて「ああ、やっぱり来た甲斐があったな~」と、もうすっかりご満悦です。

 

 資料館を出ると、今度はいよいよ、椿園へ向かいました。

 

 なんと、こちらも入場無料です!

 

 

 入口に大島公園椿園のツバキは園芸種450種、約3700本、ヤブツバキは約5000本と表示されていました。

 

   

   

 期待に胸が膨らみます。

 入口のすぐ横には「太郎冠者」という品種のツバキが満開の花を咲かせていました。

 

 

 しかし、園内を進んで行くと花の姿が見当たりません。

 季節が早いのでしょうか?

 

 

 

 奥へ進んで行くと、温室の前に出ました。

 

 

 早速中へ入りますと、温室はツバキとツバキの花で溢れていました。

 

 温室を入った正面に、カメリア・ユーシェネンシスというツバキが、天井にも届く高さで満開の花を咲かせていました。

 

 

 

 カメリア・ユーシェネンシスは中国に自生するツバキの原種で、中国名を「攸県油茶」といい、中国では椿油を取るために栽培されているそうです。

 

 その他にも、豪華なツバキの花々が大いに私の目を楽しませてくれました。

 

  「港の曙」

  「タマビーノ」

  「フレグラントピンク」

 

 

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伊豆大島へ

2013-03-04 12:27:52 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 今回の花の旅は、伊豆大島へ渡り、椿を楽しんだあと、南伊豆で梅を見て、熱川のバナナワニ園で熱帯植物の花を堪能するつもりです。

 

 以前から、伊豆大島へ椿の季節に行ってみたいと考えていました。

 しかし会社勤めの頃は、椿の季節と決算時期が重なるので、椿を見るために島へ渡るチャンスはなかなか巡って来なかったのです。

 

 やっと念願が叶って、伊東港から高速艇で伊豆大島へ向かっています。

 

 

 椿の季節には、熱海発の高速艇が伊東港を経由して伊豆大島へ向かいます。

 伊東港を午前9時に出航した水中翼船は時速80kmで航行し、9時35分に伊豆大島元町港に到着しました。

 

 

 船の到着時刻に合わせて、島のバスが出発しました。

 私はバス一日乗り放題のフリー切符を2000円で購入すると、大島公園行きに乗り込みました。

 高速艇には定員の250人近くが乗船していましたが、9割以上が団体のツアー客で、乗り合いバスに乗車した観光客は、私を含めて5人だけでした。

 

 乗り合いバスなのに、ワンマンバスの運転手さんが「ここが椿のトンネルです。この場所で一番古い木は樹齢600年以上と言われています」などと、マイクで観光ガイドをしてくれました。

 

 

 

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楽しいことなら何でも

2013-03-04 12:16:19 | 伊豆 梅と椿と温泉の旅

 夜の環七を南へ向かう車のオーディオから、井上陽水の曲が流れてきました。

 ツールラ、ツラルラ、ツラッター ♪

 

 楽しいことなら何でもや~りたい。

 笑えるとこなら何処へでも~行く。♯

 悲しい人とは会いたくも~ぉない。♪

 涙の言葉でぬれたく~はない。♯

 

 おやおや、この歌、今の私の気分にぴったりです。

 

 還暦を過ぎてから意識し始めた、「我、思うことをなして、しかも則をこえず」に、この歌詞は良く共鳴します。

 

 えーと、曲名は何だっけ?

 そうか「青空、ひとりきり」ですか。

 そんな曲名でしたか。

 しかし、この歌「老年、ひとりきり」と題名を代えても十分いけそうです。

 

 パーパラ、パヤパラ、パパッパー♪

 

 そうそう、楽しいことなら何でもや~りたい ♪ です。

 40年近くも頑張ってきましたから、人に迷惑をかけないなら、残りの人生を精一杯に楽しんでも、きっと罰は当たりません。

 

 今私が楽しめなかったら、子供や若い人達は夢を持てなくなりますよ。

 「老年は思うがままに生きよ!」って誰かが言ってなかったかな?

 

 高速料金をケチって、夜明け前の国道を走り続け、熱海の手前で朝を迎えました。

 

 

 

 朝から本当に良いお天気です。

 なんだか今日も良いことがいっぱいありそうな予感がします。

 

 

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