能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

戦艦大和と科学的管理法 -戦争と能率- 軍人伍堂卓雄と能率学者上野陽一

2010年12月28日 | マネジメント

20世紀初頭に日本に導入された科学的管理法は、「能率」というキーワードのもと産業界に急速に普及していきます。

その技術が最高レベルに発揮されたのが軍需工場。

戦争遂行のために限られた納期に仕上げなければならない兵器は、緻密な工程計画、作業管理が必要となります。

その中心人物が伍堂卓雄。

伍堂卓雄は、海軍軍人として呉海軍工廠における重工業分野での生産能率で大きな功績を残しました。

伍堂は、東京帝国大学工科を卒業後、海軍に入隊。

後にリミット・ゲージ・システムと呼ばれる能率的分業体制を確立します。

伍堂は、呉海軍工廠においてタイムスタティ、管理組織の研究を続け、国際的な軍縮の流れの中で、日本連合艦隊の機能強化に尽力していきます。

世界最大級の戦艦大和の建造でも使用されたブロック工法もこの時考案されたもの。

戦後は日本能率協会の会長をつとめます。


広島県呉市のヤマトミュージアム(呉市海事歴史博物館)では、海軍工廠のテクノロジーが紹介されています。

リベラリスト・平和主義者としての立ち位置を変えなかった「能率の父」と呼ばれる上野陽一に対し、

伍堂卓雄は海軍工廠という国家装置の中で能率を実現したのでした。


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坂本光司著「経営者の条件」 経営者の使命は、五人を大切にすること・・・

2010年12月28日 | 本と雑誌

著者は法政大学大学院教授。

「日本で一番大切にしたい会社」を著した経営学だけではなく、現場・現実に利き足を置いた学者です。

自身の講義や研究の中から出てきた語録をまとめた一冊。

日本の産業界を支え、その大半を占める中小企業やオーナー企業が、その研究対象となっているものと思われます。


「重視すべきは業績ではなく継続」

「社員という名の商品」

「大事なのは離職率」

「マネジメントの問題の大半は外ではなく内にある」

「最高の営業は、営業しないことである」

「ルールは本来、人を幸せにするためにある」

「教える教育ではなく、教えさせる教育」

「部下の管理ではなく、リード・支援することである」

・・・といった100の語録、その解説が見開きで記述されています。


経営者の使命は、五人を大切にすること。

それは、

社員とその家族、

下請とその家族、

現在顧客と未来顧客、

地域社会、

株主

「その家族」という部分と株主が最後となっていることにいたく感心した次第です。

2時間で読める価値ある一冊だと思います。

あさ出版 1470円


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強運を呼び込む4つの法則 ワタミ社長の著作・・・努力 ・原理原則・明るい・心に一点の曇りもないこと

2010年12月24日 | 本と雑誌

妻の父親がワタミの介護施設に入っています。

当初は、居酒屋が経営する介護施設なんてという偏見を持っていましたが、そのサービスはかなりのレベルにあります。

建屋は最新、ロビーにはグランドピアノやゆっくりくつろげる応接セットがあり、職員も大きな声で明るく挨拶してくれます。

同社の2010年度の財務報告を見ても居酒屋部門の苦戦を介護部門でカバーし増収増益になっています。

同社の渡邊社長の著作「夢に日付を」は知っていましたが、ロビーの本棚に「強運~」本を発見、待ち時間に同書を手に取ってみました。

居酒屋チェーンの親父さん程度の理解しかなかったところに、この本は驚きでした。


1 神が助けたいと思うほどの努力

2 原理原則を重視する

3 明るく人に接する

4 心に一点の曇りもないこと


これが渡邊社長の言われる運を呼び込む鉄則(メモをとらなかったので少し不安ですが・・・)。

なるほどなあと思った次第です。

ワタミの今後に注目しています。


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マネジメント -管理と経営- マネジメントを「経営」と解釈した時点で、視点は「お客さま」に向かいます

2010年12月24日 | マネジメント

マネジメントを「管理」と解釈した時点で日々のマネジメントが変わります。

Excelでチェックリストや管理表を作り部下をコントロールし始めます。

これでもかの形式主義は部下・メンバーのやる気をなくし職場の空気を凍らして行きます。

報告や連絡を課せば課すほど、事務量が増え職場の業績は低下していきます。顧客より組織を大切にし始めます。

そう、「管理」は刃物、もろ刃の剣なのです。


いっぽう、マネジメントを「経営」と解釈した時点で、視点は「お客さま」に向かいます。

入りを図って出を制する、そのためには顧客満足を一義として、日々の工夫・努力が始まります。

マネジメントは「経営」。

管理者ではなく経営者の端くれであること。そう信じたい昨今です。


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深田和範著「マネジメント信仰が会社を滅ぼす」 マネジメント理論に逃げ込み組織業績を悪化させる症候群

2010年12月19日 | 本と雑誌

出張の新幹線の中で一気に読みました。

著者は経営コンサルタント。

本業である「ビジネス(事業)」を逃避し、マネジメント理論に逃げ込み、組織業績を悪化させている現状を嘆きます。

保身に走る経営幹部、管理者を痛烈に批判します。

ミンツバーグ博士の「MBAが会社を滅ぼす」の経営現場版、現場で働くビジネスパーソンが痛快に読める一冊です。

著者は、マネジメント信仰の四つの症状をあげ、その危険性を指摘します。


1 意見はあっても意志はなし

2 都合のよいことばかりを考える

3 管理はするけど無責任

4 顧客よりも組織を重視する・・・


これらは、最近の日本企業に見られる現象、それを打破するためには、「経験・勘・度胸」を重視すること、他人を変えるより自分が変わることの必要性を指摘します。

読みながら思わず膝を叩く記述がいたるところにあります。

経営者、管理者にお読みいただきたい一冊。

もしドラぐらい売れたら、日本の会社も多少良くなるかもしれません。

新潮新書。714円。


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能率と独創性 創造性、クリエイティビティを発揮できてこその「仕事」です

2010年12月04日 | マネジメント

「能率の父」と呼ばれた上野陽一が、晩年に取り組んだテーマが、独創性・創造性の開発。

上野は、当時の最先端であった米国の創造性開発技法を日本に持ち込みました。


ブレインストーミング法、

チェックリスト法、

ゴードン法などの手法。


今では、日常の仕事の中で使っているビジネスツールですが、その元祖は上野陽一の独創性開発理論。

能率のコンセプトである目的と手段のパランス化の中で、目的を達成するための手段は多様にあります。

東京から大阪へ移動する場合、新幹線・飛行機・高速道路・自転車・徒歩!?といったビークルがあったり、また経路自体もさまざま・・・。

正解は決して一つではありません。

目的を成し遂げるためには、方法論としての手段があればあるほど、最適なものを見出す可能性が高まるのです。

そのためには、独創性や創造性を発揮していくことが求められます。

独創性と創造性の開発についても、これまた様々な方法論があります。

成し遂げたい目的・目標に合致した方法論の探索も、これまた独創性・創造性が求められているのです。


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