能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

ブランド・ジャパン2012 総合ランキング 首位はアップル!

2012年03月31日 | 本と雑誌

日経ビジネス4/2号に「ブランド・ジャパン2012」が発表されました。

この調査は、日経BPコンサルティングが設立するBJ企画委員会が監修。全国で約三万人の男女が母集団とのことです。

第一位は、ジョブズ効果で、やはり「アップル」!上がり続ける株価とともにアップル社の勢いがここでも発揮されています。昨年度調査の11位からランクアップです。2位にグーグル、4位にユーチューブ、13位にウィンドウズと米国の情報ブランドが続きます。本当は、このドメインで生きていきたかった日本。ソフトパワーの台頭が望まれるところです。

1位 アップル

2位 グーグル

3位 ユニクロ

4位 ユーチューブ

5位 ディズニー

6位 マクドナルド

7位 パナソニック

8位 日清食品

9位 ダイソー

10位 楽天市場

11位 サントリー

12位 スタジオジブリ

17位 コカ・コーラ

20位 ソニー

 今回の特集記事では、電機業界の凋落ぶりも指摘しています。同調査の革新性指数で、パナソニックは83.1から73へ、ソニーは72.5かに67.7へ、シャープは82.4から68.3に下落。

 もう数年たつと、このランキングの中にサムソンやLGといった韓国企業や中国企業が入ってくるような感じがします。

 ガンバレ!ものつくりニッポン。


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ビジネス風水と能率 -ニッポン代表のDr.コパ氏に学ぶ-

2012年03月25日 | 日記・エッセイ・コラム

 前回に続き、風水のお話。

 日本を代表する風水のスペシャリストは、Dr.コパこと小林祥晃氏だと思います。あまりに著書や雑誌類が売れるので、一部からは「あれは風水ではない」という批判もあるようです。しかしながら、個人的にはDr.コパのファン。深刻な顔をして羅盤や風水小道具を取り出して鑑定をする風水師よりも、明るく楽しく前向きに風水をとらえる同氏の方が分かりやすく身近だからです。

 たくさんの著書を持つDr.コパですが、一番おもしろかったのが「風水の秘密」。ビジネスや仕事の中にDr.コパ流の風水を導入するとどうなるのか?という文庫本です。出版元は、これまたビジネス書を多数出しているPHP。迷えるビジネスパースン向けに書かれた一冊です。

 同書によると、風水で運のいい会社と悪い会社が分かる・・・、オフィスのインテリアはどうすべきか・・・、ビジネスの運気を上げるためにはどうするか・・・、仕事ではどんな服を着るべきか・・・、通勤時の風水アクションやビジネスランチの取り方・・・などが紹介されています。

 有名な風水大全や学術書にも目を通してみたのですが、基本的には風水学には「色」は登場しません。基本は方位と時間です。でも、Dr.コパは「西に黄色!でお金がたまる」といったシンプル化を強く主張しています(四神で言えば西は白虎で「白」だと思うのですが・・・)。

 この単純化、ビジュアル化、前向き、明るさがDr.コパをメジャー化した理由だと考えています。

 今から百年前に米国から科学的管理法を導入した能率学者上野陽一(1883年~1957年)も小難しい科学的管理法を「能率」という新語で日本国内や朝鮮半島に紹介。「能率の父」と呼ばれるようになりました。上野陽一は、心理学者であるとともに広告や販売といった専門分野を持っていました。科学的管理法では普及しない、「能率」というコンセプトで大衆向けの書籍を多数執筆、各地での講演会でも引っ張りだことなりました。上野は専門書のほかに「能率24時間」「人を観る法」「己を活かす法」「人生を2倍に生きる」「役に立つ考え方」などのハウツー本を100冊近く執筆しています。

 これこそが広く普及させるためのポイントだと思います。

 上野陽一の集大成と言えるのが「能率ハンドブック」。

 経営のやり方、仕事の進め方、オフィスにおける机の大きさや椅子の高さまで「能率」を実現するためのポイントの具体例が満載されています。今回紹介させていただくDr.コパの風水本の大先輩格にあたる一冊です。

 「風水の秘密」 小林祥晃著 PHP文庫 こ20-1 486円税別

 同書の目次から、少しご紹介です。

・風水開運デスク 事務系の場合、営業系の場合、企画系の場合・・・

・社長室の風水 見晴しのよい位置に

・デスク 大きくウッディーなものがベスト

・電話 東に置くのが基本

・名刺 名刺入れでツキを呼ぶ

・鏡 入口付近に置くと運が逃げる

・オフィスの持つ運気は入口の位置で決まる

・職種別によいデスクの向きがある

・アフター5で運気をつかむ法 カラオケ・デパート・夕陽・入浴・食事・流行・・・

・通勤時のパワーアップ術

・腕時計は丸い文字盤を選ぶ

・ランチの食べ方 選び方 ・・・

 ビジネスや仕事を進めていくうえでのヒントにはなると思います。

 科学的な根拠はなく、少し怪しいDr.コパ流風水ですが、ここまで思いっきり書かれてしまうと「そうかなあ~」と思ってしまう一冊です。

 ワンコインで運気アップ!少し甘いかもしれません(笑)。

 

 


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謎の風水師と中小企業診断士 -仕事も最後は「運」?-

2012年03月24日 | 日記・エッセイ・コラム

 風水に興味をもって17年。

 仕事も順風満帆に推移、楽しいビジネスライフを過ごしています。ということは、風水パワーというものが何がしかの良い影響をもたらしてくれているのではないかと考えている昨今です。

 最初に風水に接したのは、ビジネス書のひとつとして出版された「風水で運を呼び込む大事典」。ビジネス新刊で1995年に出版された鮑黎明著、東洋経済新報社刊です。著者は、革命運動で中国から日本に亡命した父を持つ中国人と日本人のハーフ、風水の本場中国を感じさせる記述には思わず惹き込まれていきました。

 この本は、土地、住居、間取りや机の位置など風水的アプローチで生活環境を改善していこうというものです。かなり眉唾というか、怪しさを感じていたのですが、テクニカルなアプローチに興味を感じ、その後も風水関係本を見つけるたびに購入。今では、書斎に20冊程度あると思います。さまざまな流派があり、同じ状況でも解釈が異なるということも多々あります。

 風水本を参考に、まずは、書斎の机の位置変えをしたり、寝室の布団の敷き方を変えたり・・・といったことから始め、現在住むマンションも妻には秘密で風水による怪しい自己解析により購入しました。すると、このマンションは不思議なことに産まれてくる子供の数が半端ではないのです。子供3人、4人といった世帯がかなりあり、町内会のイベントでもなくてはならない存在になってしまったのです。風水には、陽宅風水(住んでいる家)と陰宅風水(ご先祖様の墓所)という概念があるように、その基本思想は子孫繁栄にあるといわれています。・・・ということは、おそらく風水は効くのです。

 わたしの住むマンションのベランダから見える一軒の家。その家にはお年をめされた老夫婦と二人の娘さんが二世帯同居されています。娘さんは二人とも40歳代で、一人が独身、もう一人が結婚されているものの子供なし。お孫さんの顔を見られない老夫婦は少し寂しそう・・・。原因は?・・・実は、そのお宅の風水が最悪・・・。「丁字路口」「猛虎開口」といった気を殺してしまう立地なのです。庭をつぶしコンクリートで固め、土が封じ込まれている・・・。家や建物を見るたびに、思わず方位磁石で分析してしまうのが習慣になってしまいました。

 その後、「実践的ビジネス風水」というカラー本に刺激され、わたしの事務所にも隠れ風水を導入。この本の著者は、サイモン・ブラウン。設計士からスタートし、風水師として英国航空やボディショップが顧問先とのこと。この本は、エグゼクティブとしていかにビジネスに風水を活用するかに言及。オフィスの環境、建物の位置などカラーで解説した一冊です。

 何か怪しいことをやっているとメンバーに悟られないために、3S活動(整理・整頓・清掃)の一環としてのレイアウト変更ということで進めました。ある日突然に「風水をやるぞ」と言えば、大ヒンシュクをかうのは見えていましたから(笑)。このころは、東急ハンズで羅盤(風水師が使用する方位磁石)や水晶玉などを購入。自分自身、怪しい風水師気分に浸れることができました。机の配置、コピー機やファックス、金庫の位置、会議室レイアウト、ブラインドなどにもこだわり、ほぼイメージどおりに完成。

 その後、リーマンショックや9.11、東日本大震災などが日本経済を直撃しますが、なぜかわたしの事務所はあまり大きな影響を受けずに推移しています。本当にありがたいことです。半分まじめに、これは風水のおかげかもしれないと考えています(笑)。

 中国のことわざに、「一 命、二 運、三 風水、四 積陰徳、五 読書」というのがあるそうです。これは、生きていく上での大切なことの順序。

 一番大切なものが、「天命」。

 二番目に大切なものが、「運」。ラッキー。

 三番目に大切なものが、風水。

 四番目に大切なものが、人の見ていない所でも良い行いを積み重ねること。

 五番目に大切なものが、勉強すること。

 わたしの解釈では、これを帰納法アプローチで逆読みします。

 まずは、しっかり勉強して専門性を高める事、そして世のため人のために善行を積み重ねる事。そしてこの上で風水をほどこせば、運が開け、運が付き、命運が成就する・・・というフローです。「読書」「積陰徳」をしっかりとやりつつ、引き続き風水研究を進めている昨今です。

 荒俣宏著の「風水先生」の中に面白いエピソードが出てきます。

 荒俣氏が風水研究で台湾を訪れていた時、中国人の風水師が発した一言。

 「日本にも商売繁盛のために色やレイアウトをアドバイスする風水師がたくさんいるんですってね。中小企業診断士と呼ばれているんですってね。」

 この話を読んで、自己紹介の時に一工夫しています。

「わたしはホントーは風水師なのですが、風水師というと誰も信用してくれないので、中小企業診断士と称しています!」


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書店で立ち読みしながら思わず涙 感動の一冊!

2012年03月18日 | 本と雑誌

 書店で立ち読みしながら涙したのは、今回が初めて。しかも一冊読み通したにも関わらず、その本を購入したのも初めてです。

 立ち読みで完読するのは、二つのパターンがあると思います。

一つ目が、買うまでもないやと思いつつ興味のあるジャンルの本。

二つ目が、内容が面白く自宅にたどり着くまで待ちきれない本。今回の一冊は、待ちきれない一冊です。2時間半かけて立ちっぱなしで丹念に読み進めました。

 最近の大型書店では、座り読みのできる椅子を設置してあるところもありますが、わたしの場合は何時間でも立ち読みです。

 今回の一冊、それは村松謙一弁護士が書かれた「いのちの再建弁護士 会社と家族を生き返らせる」です。村松さんは、企業再生を専門とする日本を代表する弁護士。NHKの「プロフェッショナル」にも登場された有名な方ですが、不覚にも存じ上げませんでした。著書も多数出されており、今回の一冊はそれを集大成した半生記とも言える一冊。

 村松弁護士の基本的なスタンスは、企業の経済合理性よりも国民の人権を守るというもの。借りた金は返さなければならないが、人や家族の命は最も尊重されなれければならないというものです。まさに正義のために戦う弁護士です。

 同書の中には、司法試験受験のための経済的な苦労の話が出てきます。月三万円で暮らしていた時に愛犬が病気になり獣医師から一万円の注射を打つかどうかの判断を迫られます。村松氏は注射を選びますが、愛犬は死ぬことになります。その夜、肉を買ってきて二人で通夜。村松さんのヒューマニズムがひしひしと伝わってきます。

 そして、この本の真ん中には、娘さんの死があります。順調に育ち高校に入ったころ、拒食症にかかり不遇の死を迎える・・・。ここは、涙なくしては読み進めることができません・・・。しかも村松弁護士は多くの人や会社を救うため全国を走り回る日々。そのジレンマのことを考えると胸が痛くなります。

 最近、事業再生やターンアラウンドというテーマでの研究を続けているのですが、どちらかというと経済合理性に傾斜する傾向にあったと考えています。今回の村松弁護士の一冊。自身を大きく変えたように思います。

「いのちの再建弁護士 会社と家族を生き返らせる」 村松謙一著 角川書店 1575円

目次

第1章  どんな会社も再建しなければいけない―東北地方・卸業者(暗闇の中でもがいていた会社が、今、人々を助けている避難所に、生きるための食料を載せたトラックを走らせた・・・)

第2章 ふたつの死が私を変え、支えている(99%ダメと言われても、私は諦めない 初めての大きな失敗・・・)

第3章 私の会社再生法(多くの人生が、命が、会社と共にある原則、会社は再建できる。心の力が会社を蘇らせる・・・)

第4章 人をマスで救おうと決めた若き日(溺れないように泳ぎ続けた人生 次郎長の里で生まれ育つ・・・)

第5章 企業再生こそ日本の再生だ(全就労人口の70%が中小企業の社員「お金を返せないから」と命を差し出してしまう人がいるのはおかしい・・・)

 


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能率の原理原則 より安く・より正確に・より早く・より安く

2012年03月17日 | 日記・エッセイ・コラム

 「能率」とは、目的と手段のバランスのとれたこと。

 目的の達成のための最適な方法論を実行することです。

 わたし自身、大学院で能率史の研究を行ったのですが、能率とは米国発の「MANAGEMENT(経営管理)」と多少異なる、日本的なコンセプトだと考えています。

 米国発のマネジメントは、19世紀末にF.W.テイラーによって提唱された科学的管理法が起源。工場における生産性の向上をめざし、「標準」を設定。これに基づいて1日の生産量から労働者一人当たりの仕事量を上げていこうというものでした。賃金も差別的出来高払という、よく働いた人にはたくさんの賃金を、そうでない人にはそれなりの賃金をというシステムをとっていました。

 このため、産業革命の時に起こったラッダイト運動(機械打ち壊し運動)に似た科学的管理法反対運動が起こりました。自分たちの仕事を奪う機械をぶっ壊せという労働者の生活防衛のための運動、そして20世紀初頭に米国で起きた科学的管理法への批判。労働者や労働組合から生産性向上による雇用の縮小、賃金の削減・・・といったことへの不平不満が起こったことは必然と言えば必然。テーラーも労働組合連合会や公聴会に呼び出され糾弾を受け、かなり寂しい晩年を過ごしたといわれています。

 20世紀初頭、こうした米国の科学的管理法を書籍やニュースで知り、日本に持ち込もうとした実務家や研究者が存在しました。上野陽一(1983~1957)、池田藤四郎、神田孝一、荒木東一郎といった人物です。彼らは、能率技師と呼ばれていました。

 「能率の父」と言われている上野陽一は、心理学者としてスタート。いまで言う産業心理学、に対する高い関心から、テーラーの科学的管理法に惹かれるようになります。実際に渡米し、テーラーの愛弟子ギルブレスなどとも交流を結びます。文献研究をしていたところ、ひょんなことから小林商店(現在のライオン株式会社)の歯磨き粉工場の工程改善に取り組むことになります。テーラーの科学的管理法の理論を駆使して、実践に結び付ける努力を積み重ねること数年・・・。生産時間の短縮、工場スペースの縮小、生産量の増大、職工の数の縮減などの成果に結びつけます。これが、日本で最初の経営コンサルティングと言われています。1920年代、今から約100年前の話です。上野は、自著の中で「本当は指導を成功させる自信はなかった」という述懐をしています。

 この経営コンサルティングの成功を皮切りに、上野陽一は、能率の伝道師としてコンサルティングの普及をしていきます。上野は、テーラーが批判されていたということも念頭にはあったのでしょうが、コンサルティングによって得られた成果を、資本家だけではなく、労働者・消費者の3者間で分け合うべきだと主張し、事実、資本家・経営者への申し入れを行っています。すべては受け入れられなかったものの、女工の働く工場における休憩時間の増設、消費者に提供する化粧品の増量・・・といったカタチでの還元が始まったのです。

 このように「能率」は、米国でいうマネジメントより、ヒト(ヒューマン)の要素がかなり強いコンセプトということができます。科学で追及するマネジメントでありながら、人間の持つ温かみを無視しない・・・、そういった人間学の部分も併せ持っているのです。

 能率は、目的と手段のバランスといいましたが、上野陽一は、次のように定義しています。

 目的>手段 →ムリ

 目的<手段 →ムダ

 ムリ+ムダ=ムラ

 今でも使われている「3ム」、いわゆる「ムリ・ムダ・ムラ」です。

 そして、目的を達成するための手段は、「安・正・早・楽」(アン・セイ・ソウ・ラク)でなければならないとしています。

「安」・・・より安いコスト経費で。現在でいえば、より安心で安全ということを入れることができると思います。

「正」・・・より正確に・間違いミスのないよう。現在でいえば、コンプライアンスということも入れることができると思います。

「早」・・・よりスピーデイに。今でいえば、SCMやバリューチェーンといったことも拡大解釈できるのではないでしょうか。

「楽」・・・より楽に。流行のワークライフバランスやモチベーション論にも関係してくるのではないでしょうか。東大の伊藤元重教授は、労働の変化を「レイバー→ワーク→プレー」へと変遷していくだろうと指摘されています。肉体労働、指揮・監督による労働から、ナレッジワーカーへ。そして、フィールドで自由に動き回れるプレーヤーへ・・・といった感じでしょうか。

 

 上野陽一は、能率の考え方を、工場だけではなく、事務間接部門やサービス、そして人生や日常生活の中まで応用できると主張。自ら能率普及活動の先頭に立ったのです。


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がんばれ!管理監督者 マネジャー受難の時代 救いの一冊

2012年03月14日 | 本と雑誌

 マネジャー職にとって、現在は大変な時代です。

 経営サイドから降りてくる過大な目標・ノルマ、経済環境・景気の悪化、内部統制に代表される手続文化、個人情報保護・コンプライアンスなどの規制、契約社員・派遣社員・パートタイマー等の多様な雇用、笛吹けど踊らぬ若手社員、組織フラット化に伴う権限の縮小化、職場の人員数の絞り込みと業務多忙化・・・本当に大変です。

 経営者にとっても厳しい時代ですが、管理監督者にとっても本当に苛酷な時代ということができます。実際に管理監督者を経験した人には、「地面が抜けるような感覚」を体験された方も多いのではないでしょうか?マネジメントの教科書で読むだけでは分からない、マネジメントの現場。それは、やったもの者にしか分からない苦悩があります。

 わたし自身もマネジャーとして、毎日のように壁にぶち当たっています。

 しかしながら、場数を踏むごとに、逞しくなってくるというか、腹がすわってきているように思います。加齢とともに「鈍感」になってきているのでしょうか(笑)。

 十数年前に先輩マネジャーから言われたことがありました。

「自分自身を捨ててごらん。マネジャーという地位で得をしようとか、楽をしようとか考えない。部下のために、顧客のために、すべてをささげてごらん。そうすると浮かび上がるから・・・。」

 この助言は大きな後ろ盾になりました。

 マネジャーとして、保身に走らなければ、そして、世のため人のため、そして部下を守り成長させる姿勢さえあれば本当に楽になります。絶対に楽をしない、不正をしないというスタンスさえあれば、確実に浮かびあがります。

 後輩がマネジャーに昇進した際に、必ずプレゼントする書籍があります。

「なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか-人間の出会いが生み出す最高のアート-」

田坂広志著 PHP研究所 1470円

 この本は、田坂氏が25年にわたるマネジメント職の経験に基づいて書き上げた魂の一冊です。「マネジメントとは、重荷を背負うこと」という命題からスタートし、マネジャーとして身につけるべきコンセプトをトクトクと説いている一冊です。わたくし自身も、この本に何度か救われました。

目次

1.なぜ、あなたは自ら重荷を背負うのか

2.経営者やマネジャーが背負う重荷とは何か

3.素晴らしいマネジャーの後姿から学んだもの

4.なせ、マネジメントの道を歩んだのか

5.そもそも人間としての成長とは何か

6.マネジャーが身につけるべき人間観とは何か

7.職場における出会いとは何か

8.仕事における苦労や困難とは何か

9.いかにして部下の成長をささえるか

10.いかなる言葉を部下に語るべきか

11.マネジャーがめぐり合う奇跡とは何か

 壁にぶち当たっている管理者の方、厳しい状況に置かれている経営者の方にとっては、「救いの一冊」になるはずです。

 マネジメントは部下の人生に責任を持つこと、マネジメントをすることは自分自身を成長させること、日々修行、人との出会い・めぐり合いの感動・・・田坂氏は渾身の言霊力でマネジメントを語ります。

 同書に出てくる「電話の修行」は10年以上続けています。仕事のやり方、取り組み方が、変わってきます。

 割に合わないマネジメント職から脱出したいと考えていたわたしに大きな勇気と希望を与えてくれた一冊。管理監督者として、厳しい現実に直面している人は、ぜひともご一読ください。


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ハーバード・ビジネス・レビュー「生き方と働き方の授業」

2012年03月11日 | 本と雑誌

 ハーバード・ビジネス・レビュー別冊2012年4月号は、「ハーバード・ビジネス・スクール 生き方と働き方の授業」。

 いつもは、経営戦略・ストラテジーやマーケティング等がメインの雑誌ですが、今回は、プロフェッショナル、キャリア、リーダーシップといった人的資源関連の特集です。日頃、HBRを読んでいない方には、多少バタくさい点も多々あるとは思いますが、今回は「足るを知る(ジャスト イナフ)」「あきらめないで歩み続ける」「地についた堅実な生活を送る」といった日本的な表現も随所に見られ興味深く読むことができます。

 大きく4つのレッスンで構成されています。

レッスン1「プロフェッショナルの生き方と働き方」・・・「イノベーションのジレンマ」で有名なクリステンセン教授の執筆です。

レッスン2「キャリアの考え方」キャプラン教授

レッスン3「自分らしいリーダーシップ」

レッスン4「色あせない成功の法則」

 そして、特別レッスンとして、ジョン・P・コッター教授の「自分のアイデアを支持させる技術」が掲載されています。

 面白かったのが、クリステンセン教授の論文。

 人生のジレンマを克服するために、「自分や他人を成長させる」「人生の戦略を練る」「自分の資源を正しく配分する」「文化を生み出す」「謙虚であれ」と述べています。確固たる宗教観をもった学者らしく禁欲的で世のため人のために生きる姿勢が文脈から伝わってきます。

 また、レッスン4の「色あせない成功の法則」もオリジナリティを感じさせました。成功を「幸福感」「達成感」「存在意義」「育成」という4つの面から定義づけ、そのバランスの重要性を説きます。そのためには「カレイドスコープ思考(万華鏡)」が有効であるとします。

 悩み多きビジネスパースンに考える機会を与える一冊です。悩みや課題そのものを解決する解は載っていませんのでご注意を!(笑)

 ダイヤモンド社刊 980円


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3.11 あれから一年、能率について考える

2012年03月11日 | 日記・エッセイ・コラム

 いまだに34万人の方々が避難生活を強いられています。

 生まれ育った土地を離れ、慣れない土地で暮らす・・・本当につらい事です。また、将来への不安、家族や親戚、近所のコミュニティのことを考えると心が痛みます。今の段階では、最低限の「安心感」が持てる状況を作り出していかなければならないと考えています。それにしても、政府、与党のスピード感のなさ、現場を知らない当事者意識のなさには閉口どころか、怒りさえ感じます。

 わたしの住むマンションの隣の部屋にも、福島県から引っ越された家族がいます。

 父親は仕事のため福島市に残り、先月、奥さんと子供さん二人が転居。その二人の子供さんの笑顔がせめてもの救い。明るくハキハキしていて勉強もスポーツも出来る子供さんです。さすがは教育県の福島と感心した次第です。

 福島県の人口の10%にあたる10万人以上が県外に出たとのことで、目に見えない放射能の影響は計り知れないものがあります。復興どころか、復旧さえままならない状況です。

 能率技師の立場から言うと、「能率とは目的と手段のバランス化した状態」のこと。

 3.11後の目的とは、「被災者の生活を補償し、災害に強い新たなコンセプトの東北・東日本を建設すること」。そのための手段としてヒト・モノ・カネ・情報を効果的・効率的に投下していくことだと考えています。

 しかしながら、目的部分も未だ決まらず迷走を繰り返しているような感じがします。現時点で東北地方のビジョン、グランドデザインは明確ではなく、市町村レベルでの高台移転等の話が出ている程度です。このままではゴールのないマラソンを続けるようなものです。ここは、日本全体に活力を復活させるためにも、夢と希望を惹起させる東北・東日本グランドデザイン、ビジョンを明快に打ち出すことが必要だと思います。復興庁が出来たのも震災後1年。このスピードでは前に進んでいくことができません。1年前にこのブログに書いた「急げ!早く!」を、もう一度記します。

 復興庁の平野大臣は優秀さは民主党内でも定評があり、最後の切札と言われているそうです。しかしながら、不要不急なものは・・・というフレーズには疑問符がつきます。復興庁ではなく査定庁だと指摘した宮城県知事の言葉も分かります。国と市町村とのやり取りにはスピードがかかりすぎでスピードをあげる事ができません。せめて県である程度の支援をしなければ全体最適の実現が難しいと思います。その意味で、東北の県知事には前面に立っていただきたいものです。最後の砦である復興庁には、関東大震災後に復興院が見せた素晴らしい仕事ぶりを期待しています。

 急げ!早く!真の復興に向けて。 

 


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「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」 冨山和彦著・・・ビジネスパースン必読の一冊

2012年03月10日 | 本と雑誌

歯に衣着せぬ冨山さんの新刊です。

現在、経営共創基盤CEO。産業再生機構で振るわれた辣腕が垣間見られる一冊です。


「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」

冨山和彦著 

PHPビジネス新書 820円・税別


キャッチコピーとして、「会社再生のプロが実践している37の手法が身につく本」が掲げられていますが、そこで説明されているのは経営現場を起点して、企業再生、事業再生に向けたマネジメントをしていこうというスタンス。

冨山流のBS、PL、CSの読み方、簿記の重要性から、業種業態別のデューデリの方法まで分かりやすく解説されています。


目次

第1章 リアルな経営分析とき何か?

第2章 リアルな経営分析の進め方

第3章 生き残る企業と消え去る企業 実例に学ぶ分析枠組み編

第4章 生き残る会社の数字のつくり方 ケーススタディ


著者は、財務数字や財務諸表の分析で行う平均値や経営分析等の数字は、それだけで判断するのは危険。

その会社の置かれている状況、経営トップ、社内事情などを加味していかなければならないと述べています。

サラリーマン社長なのか、オーナー社長なのかでも数字の読み方は変わってこなければならないということで、事例での解説も加えられています。


今回、この本を読みながら、改めて貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の「美しさ」を感じた次第です。

財務諸表という一見無機質な書類から、その企業のストーリーを語ることができるか?

それが、経営コンサルティングの第一歩であることを教えられました。

ビジネスパースン必読の一冊だと思います。


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4月はじまりカレンダー・4月はじまり手帳・・・けっこう売れているようです

2012年03月09日 | 本と雑誌

ここ10年、4月始まりのカレンターを使っています。

4月から12ヶ月の一覧性のあるA2版のカレンダーです。

LOFTで販売しているのですが、かなりの数が出ているようです。


ということは、4月始まりカレンダーを愛用している四月派は、かなりの数にのぼるのではないでしょうか?


東大秋入学の波紋は、全国の国立大学に広がっているようですが、それでも日本人にとって4月というのは特別の意味合いを持つ月だと思います。

東証一部上場も4月始まりの企業が大多数、桜の開花とともに新年度を迎えるというのがジャパニーズカンパニーなのではないでしょうか?


1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」などと言いますが、腰をすえて何事かに取り組むにしても、やはり4月からというのが日本の伝統だと思います。

手帳でも4月始まりのものが結構出回っているようです。


個人的には、年末に新年の目標を立てて数か月で挫折。

リスタートを切るにちょうどいいのが4月ということで、4月始まりカレンターを使っているということもあります。

昨年末に2012年の目標を立てて壁にぶち当たった方、4月始まりカレンターで心機一転というのも手だと思います。


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