好きな人と嫌いな人が併存する著者竹中平蔵さん。
個人的には、学者としての竹中さんは嫌い、だけど政治家としての竹中さんは好きです。
御用学者としての評価もありますが、
パワーのない、社会的影響力のない学者が時代の潮流に乗った為政者とともに、その専門知識を活かす・・・知行合一まさに陽明学的な行動は凄いと思います。
外野席から野次を飛ばすより、フィールドの中でプレーする・・・その姿勢・スタンスこそが今の閉塞感漂う日本に必要なのではないでしょうか?
今の時代に、もう一度小泉さん・竹中さんコンビが出てくることを期待します。
今回出された本は、「竹中式 イノベーション仕事術」。
前回の「竹中式マトリックス勉強法」に続くハウツー本です。
マトリックス勉強法とは、勉強テーマを仕事直結(戦う武器)・プライベート(人間力を高める)×天井のある勉強(資格取得など)・天井のない勉強の四つの象限に分けて選定していくというもの。
短期と長期、仕事と趣味という視座の中で戦略的にスキル磨きをしていくことを綴った一冊でした。
「楽には生きられない日本で闘う12の力」
この本のサブタイトルです。
著者がニューヨークのタクシードライバーからよく聞いた「Life is not easy」というが、同書の底流を流れているように思います。
また、慶応大の教員として、学生にぜひとも伝えておきたい仕事の思想と実践論を著書にまとめたのだと思います。
第6章では、経済史にかなりのページを割いており経済学者らしい一面もしっかり出されています。
12の力とは・・・
1.自分自身をプロデュースする「プロデュース力」
2.熱い心で思い込める「熱心力」
3.飽きずに原点に立ち返る「基本力」
4.相手の目的関数を見抜いたうえの「判断力」
5.馬鹿を相手にしない「情報力」
6.心に宇宙を描く「洞察力」
7.イノベーションを生む「結合力」
8.敵が出来ても恐れない「徹底力」
9.多忙が前提「切捨て力」
10.スイッチングを怠らない「健康力とリリース力」
11.志のネットワーク「サポーター力」
12.人生塞翁が馬「達観力」
第1章、第2章は、竹中さんの熱い想いが込められています。
「熱い心がなければ人生無意味」とまで主張されています。
まさにそのとおりだと思います。
竹中さんは言います。
「がんばって豊かになる自由もありますが、普通に生きて貧しくなる自由もある。」
今の時代、本当に「楽には生きられない日本」だと思います。
特に、若年層は成果とスピードを要求され、じっくりと育成される余裕もない厳しい時代です。
そういった中で必死で生き抜いていこうとする若者にぜひとも読んでいただきたい一冊です。
幻冬社刊 1000円+税