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岸本晃の住民プロデューサーNEWS

プロジェクトXから生活人に(テレビ局の腰)

 「プロジェクトX」の元プロデューサー今井彰さん出演のラジオを聞きました。といっても実際はネットで聞いたのですが高野孟のラジオ万華鏡(TOKYO FM)です。今井さんは「ガラスの巨塔」という小説を書かれたのですが本の帯には「この小説を書くためにNHKをやめた」というコピーがあるそうです。わたしは本のことは知ってましたが読んでいませんのでラジオの話を聞いてやっと今井さんのNHKでの奮闘ぶりや退職された背景、小説を書かれた本当の理由などもおおよそわかりました。

 ホリエモンもそうですが大手マスコミで叩かれたり非難されている方々は実はとても誠実で真剣に取り組んで来られたケースがほとんどです。自分もローカルといえどもテレビ局にいたことがあるので構図が見えますが、本気でやっている人ほど周囲の、しかも内側の人間に嫉妬され潰しにかかられるということが実に多いのですね。この構図はマスコミやメディアに関わらず人が集まって集団や組織を作っている限りどの集まりにもある永遠の課題でしょうが。

 今井さんの特別な経験はあらためて小説を買って読むことにするとして、ネットメディアの成長の早さについてかなり正確に見ておられる感じがしました。往々にして大手マスコミにいる方は「ネットを相手にしない」という姿勢をもって近づきつつあるやばいメディアの現実を逃げている人が多いですが志をもって番組を作り、プロジェクトXのプロデューサーとして後進にも常々ものづくりの精神を伝えてきた人だけに説得力があります。

 テレビの腰の据え方が足らない。テレビが好きかどうかが大事で、テレビが好きな人間が意外と局の中にいないことがテレビの危機であることを話されていました。ディレクターやプロデューサーの肩書きが好きで番組づくりに面倒を持ち込みたくない人達、やっかいなことは避けたい人たち、ものづくりにあり得ない姿勢と今井さんはおっしゃいます。このことはわたしもよくわかります。結局本気で本音で必要な番組を作ろうとする人達は既存組織を卒業し、新しい現場、「まち工場」を創り出すしかないということが最終的に「小説を書くためにNHKをやめた」というコピーが象徴しています。

 菅総理が厚生大臣のときに薬害エイズ問題も取材した経験もおもちです。あえてやっかいなことに突っ込んでいってしまうものづくり精神を後進の部下達にも伝え続けたという光景が滔々と語られる言葉から十分汲み取れました。「朝まで生テレビ」のレギュラーコメンテーター経験者、高野さんの聞き上手もあってテーマがはっきりしたラジオ番組でした。ホリエモンもそうですが事件の当事者(巻き込まれてしまった場合が多い)の生の声がネッとメディアによっていろんなケースで聞くことができる、裏返せば当事者にとっては話すことができる機会が圧倒的に増えたことが「メディア激変」を意味することでしょう。そのきっかけはきっとTwitterだったりすることが猛スピードで増えていると感じます。テレビ局内に評論家が多く実行者が少ないともおっしゃっていました。まさに実行者が小説家となっていよいよ一人の生活人になられたのでしょう。

@写真はTHE JOURNAL News Spiral 掲載 高野孟ラジオ万華鏡(TOKYO FM)より

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