クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

耕一物語ー初めての女

2014-11-03 00:16:23 | 物語

冷えた耕一の身体を、ほてった梅の若い身体が優しく包んだ。

柔らかく温かい梅の胸のふくらみが、耕一の背中に押し付けられた。

そして、彼女の柔らかい両の手が、優しく耕一の胸を撫でた。

身体を固くしていた耕一は、思わず、「あぁ・・・・・」と声を上げそうになった。

こんな気持ちの良い経験は初めてだ。

女の人に抱かれると、こんなにも気持ちが良いものかと、耕一は思った。

その気持ち良さは、遠い遠い昔の、記憶の底にかすかに残っている感覚をよび覚ました。

それは、まだ物心つかない幼い頃に、優しく抱かれた、その感覚のようだった。

それはきっと、母の腕(かいな)と懐の温かさだったのだろう。

母の懐の温かさは、何物にも変え難い安心感を、子供に与えてくれるものだ。

 

 

その気持ち良さに、耕一が恍惚となり始めた時、胸を撫でていた梅の手が次第に下の方へ下りてきた。

腹から、そして・・・・・・・。

その後の事は、読者の皆さんのご想像にお任せするしかないが、いずれにしても、その後は成る様に成ったのである。

男と女の命の底にある、野生の本能とも云うべき、凄まじいエネルギーが、理性の壁を突き破って、二人の中に噴き出してきたのだ。

それはもう、どうにもならないことなのだ。

 

そして、その夜、耕一は男になってしまった。

図らずも、思いがけなく、なんと12歳にして、耕一は男になってしまった。

いや、梅によって、男にさせられてしまったというのが正確であろう。

男には、色々な男の成り様(よう)があるが、耕一のようなケースで、男に成るのは極めて稀である。

それに加えて、母の面影を探し求めていた少年が、母の愛の温もりを感じながら、その恍惚感の中で男になったという事を考え合わせると、その出来事は誠に不思議な事であった。

それは、悪魔の仕業か・・・、それとも女神の悪戯だったのか・・・・・・・。

 

 

 続く・・・・・。

 

 

 

コメント (4)
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