2023年 日本
監督、脚本 瀬々敬久
原作 沢木耕太郎
脚本 星航
出演 佐藤浩市 横浜流星 橋本環奈 坂東龍汰 松浦慎一郎 尚玄 奥野瑛太 坂井真紀 小澤征悦 片岡鶴太郎 哀川翔 窪田正孝 山口智子 ほか
ボクシング映画。展開はわかってしまうのだが山場に向かって見る側も盛り上がっていく。何かに夢中になるのは楽しいものだ。前半、会話の間が長い気がしたが敢えてか。佐藤浩市はずいぶんと枯れたがいい芝居をしていた。流星はかっこいいね。橋本環奈は最近のニュースのせいもあってか嘘くさく見えて残念だった。
STANNO TUTTI BENE 1990年 イタリア、フランス
監督、脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本 トニーノ・グエッラ
出演 マルチェロ・マストロヤンニ ミシェル・モルガン マリーノ・チェンナ ロベルト・ノービレ ヴァレリア・カヴァーリ ノルマ・マルテッリ サルヴァトーレ・カシオ ほか
イタリア版東京物語。つまらないロードムービーと化していたが終盤深刻になってくるとよくなった。思いやりがそうさせるのか大人になった子供たちは親にいい顔を見せようと努めるのだった。フェリーニ映画っぽさもあるが本家には到底及ばない。全編を通してカメラがとてもよかった。
MADAME SANS GÊNE 1961年 イタリア、フランス、スペイン
監督、脚本 クリスチャン・ジャック
原作 H・モロー ヴィクトリアン・サルドウ
脚本 アンリ・ジャンソン エンニオ・デ・コンチーニ ジャン・フェリー フランス・ソリアンズ
出演 ソフィア・ローレン ロベール・オッセン ジュリアン・ベルトー ルノー・マリー マリナ・ベルディ カルロ・ジュッフレ ガブリエラ・バロッタ ほか
洗濯女が公爵夫人になる。これはもうソフィア・ローレンあっての映画だった。独りよがりなコメディなので全く笑えないが、威勢のいいソフィア・ローレンを見ているのは楽しかった。
2024年 日本 <劇場>
監督 岸善幸
原作 楡周平
脚本 宮藤官九郎
出演 菅田将暉 井上真央 竹原ピストル 山本浩司 好井まさお 藤間爽子 芽島みずき 白川和子 ビートきよし 半海一晃 宮崎吐夢 少路勇介 松尾貴史 三宅健 池脇千鶴 小日向文世 中村雅俊 ほか
感想 この作品に慣れるのに少し時間がかかった。慣れてしまえば大丈夫だった。リモート移住の話。コメディのはずだがあまり笑えなかった。一方お年寄りたちは笑っていた。逆にこちらがようやくクスっとするとお年寄りたちは笑わなかった。自分の笑いのツボがズレていることに気づかされた。扱いづらい題材に挑んだのは好感が持てた。そして物語の結末は昔話のようでよかった。主演の菅田将暉はもう見飽きた気のする役柄を演じさせられているのが残念だった。井上真央は張り切らない人物像を演じていてよかった。そして中村雅俊がおじいちゃん役なのが個人的にはよかった。本作のメッセージを受け止めた方が多いようだが自分はそれに失敗した。拗けているのだろう。
THE WHALE アメリカ
監督 ダーレン・アロノフスキー
原作、脚本 サム・D・ハンター
出演 ブレンダン・フレイザー セイディー・シンク ホン・チャウ サマンサ・モートン タイ・シンプキンス ほか
死期の迫った肥満症の男が娘との絆を取り戻そうとする。あまり光るところのない映画だった。原作が舞台劇ということでやや硬い。生で耳に入ると違うのだろうな。見終わって胸に来るものが何もなかった。
GONDOLA 2023 ドイツ、ジョージア <劇場>
監督、脚本 ファイト・ヘルマー
出演 マチルデ・イルマン ニニ・ソセリア ズカ・パプアシヴィリ ニアラ・チチナゼ バチャガン・パポヴィアン ルカ・ツェツクラゼ エレネ・シャバゼ ほか
感想 肩の力が抜けるが気も抜ける映画だった。ゴンドラの乗務員たちが主人公。ストーリーはほぼないが、自分たちのやりたいことを邪魔するものと闘うのだった。劇場には何度も笑いが起きたが自分はそれほど笑えなかった。それは少し拙い気がしたからだ。その一方、映像は美しくて見ていて飽きることはなかった。この監督の作品は初めて見た。脚本がしっかりすれば傑作が生まれるかもしれないと思った。
2024年 日本 <劇場>
監督、脚本 藤井道人
原作 染井為人
脚本 小寺和久
出演 横浜流星 吉岡里帆 森本慎太郎 山田杏奈 前田公輝 田島亮 遠藤雄弥 宮崎優 森田甘路 西田尚美 山中崇 宇野祥平 駿河太郎 木野花 田中哲司 原日出子 松重豊 山田孝之 ほか
感想 面白い。退屈しないエンターテイメントとなっている。死刑囚の逃亡劇。つっこもうと思えばつっこめるのだがエンターテイメントだから野暮は言うまい。サスペンスだけではなく人と人とのドラマでもあった。ラストでは劇場のあちこちから観客の鼻をすする音がした。見終わって権力と市民との戦いはこれからも続くのだなと思った。横浜流星はその持ち味、ルックスの他に穏やかさもあると自分は思うのだが、持ち味を活かして静と動を表現していて今後が楽しみだ。吉岡里帆はかわいらしく山田孝之はすっかりベテラン俳優となって貫禄があった。何か面白い映画がないかなという方におすすめできる映画だと思う。
Laissez-moi 2023年 スイス、フランス、ベルギー <劇場>
監督、脚本 マキシム・ラッパズ
脚本 マリオン・ヴェルノー
出演 ジャンヌ・バリバール トーマス・サーバッハー ピエール=アントワーヌ・デュベ ヴェロニク・メルムー アドリアン・サヴィニー マルタン・ライナルツ アレクシア・エブラール マリエ・プルプスト イヴェット・テロラズ ほか
感想 お話は中年女性版「ギルバート・グレイプ」という感じだが、見せ場になるような事件は起こらなくてギルバート同様出会う。障害のある息子を女手ひとつで育て上げたときに恋をするわけで揺れる。過呼吸になったりもする。そしてもう若くない肉体で男と愛し合う。主演のバリバールがあまり美しくないので裸体を晒されると痛々しく感じられたがリアルに近いのかもしれない。舞台になるスイスのダムが美しくて印象深い。「ギルバート・グレイプ」は万人向けの名作だがこちらは大人向けの小品といった感じかな。悪くはないが素晴らしくもない。主演女優がもっと素敵だったら違うんだと思う。けれどもリアルのためにバリバールなのだろう。
IL SOL DELL' AVVENIRE 2023年 イタリア、フランス <劇場>
監督、脚本、出演 ナンニ・モレッティ
脚本 フランチェスカ・マルチャーノ フェデリカ・ポントレモーリ ヴァリア・サンテッラ
出演 マルゲリータ・ブイ シルヴィオ・オルランド バルボラ・ボブローヴァ マチュー・アマルリック ジョルト・アンガー イェジー・シュトゥル ヴァレンティーナ・ロマーニ テコ・セリオ ジュゼッペ・スコディッティ ほか
感想 面白いのか面白くないのかよくわからない作品だった。少しややこしいかもしれない。前半は知識がないと楽しめなくて後半はそれなりに楽しめる。時代遅れの映画監督にトラブルが発生するといった既視感のあるお話で、物事の「終わり」にこだわった映画だった。そしてフェリーニ臭さがあってちょっと引いたが、主人公を好きになってしまうのでなんかいい映画だったなと思い至る終わり方だった。この監督の「親愛なる日記」のような作品を期待していたので少し違和感はあったが思い返すと楽しい映画だったと思う。