居酒屋に入ったのは、店先に打水されたばかりの頃で、
店を出る頃には、路上に闇が潜み始めていた、
とはいっても、まだ九時前という頃で、
うまいものだけぺろりと食べ、ほどほどの酒を飲み、
丁度いいといった感じは心地よく、夜の空気も心地よく、
今がいちばんいい季節なのだと、ぼんやり思えば、
このまま帰るのは勿体無い、という気にもなって、
夜風なんか吹いてなくても、夜風、潮風に誘われるように、
ぶらりとしたくなるのがヨコハマなのか、ぶらり中華街へ流れた。
久々の中華街は、観光地の祝日らしく混みあって、
一旦門をくぐったなら、人の流れに従って滞らず、
遊園地のアトラクションめき、右に左に次々に、
夜に浮かんだ中華風の建物が、非日常へいざなった。
これだけたくさんの店があっては、
どこへ入ったもんかと迷ってしまうわけで、
小銭を少しだけ多く積んでも、高級中華には程遠く、
見栄を張った冒険なんかをするよりは、
前に行ったことのある店、且つ良心価格の店、且つおいしい店、
ということで、大通りを香港路へ折れ、
少し行ったところの脇道で、行列に加わった。
久々に紹興酒を飲むと、鼻の奥に強く匂ったけれども、
すっすすっす、次第に入るようになり、
やっぱり紹興酒はうまいと、思わず口にすれば、
きっとお前は中国人なのだと、からかわれて楽しく、
箸も酒も共に進んで、止まらなくなりそうだという頃、
酒壜は空となり、満腹感とほろ酔い機嫌は心地よさに加わって、
久々の友たちと店先に、再び満悦した。
瓦屋根の向こうのずいぶん高いところに、小さな月はまぶしく輝き、
チャイナ・ドレスの女性がすらり横切れば、
立ち止まって見入ってしまった大通りに、
人々の往き来の絶えることはなく、
この夜が終わらなければいいと、ぼんやり思いながら、
再び門をくぐった。
店を出る頃には、路上に闇が潜み始めていた、
とはいっても、まだ九時前という頃で、
うまいものだけぺろりと食べ、ほどほどの酒を飲み、
丁度いいといった感じは心地よく、夜の空気も心地よく、
今がいちばんいい季節なのだと、ぼんやり思えば、
このまま帰るのは勿体無い、という気にもなって、
夜風なんか吹いてなくても、夜風、潮風に誘われるように、
ぶらりとしたくなるのがヨコハマなのか、ぶらり中華街へ流れた。
久々の中華街は、観光地の祝日らしく混みあって、
一旦門をくぐったなら、人の流れに従って滞らず、
遊園地のアトラクションめき、右に左に次々に、
夜に浮かんだ中華風の建物が、非日常へいざなった。
これだけたくさんの店があっては、
どこへ入ったもんかと迷ってしまうわけで、
小銭を少しだけ多く積んでも、高級中華には程遠く、
見栄を張った冒険なんかをするよりは、
前に行ったことのある店、且つ良心価格の店、且つおいしい店、
ということで、大通りを香港路へ折れ、
少し行ったところの脇道で、行列に加わった。
久々に紹興酒を飲むと、鼻の奥に強く匂ったけれども、
すっすすっす、次第に入るようになり、
やっぱり紹興酒はうまいと、思わず口にすれば、
きっとお前は中国人なのだと、からかわれて楽しく、
箸も酒も共に進んで、止まらなくなりそうだという頃、
酒壜は空となり、満腹感とほろ酔い機嫌は心地よさに加わって、
久々の友たちと店先に、再び満悦した。
瓦屋根の向こうのずいぶん高いところに、小さな月はまぶしく輝き、
チャイナ・ドレスの女性がすらり横切れば、
立ち止まって見入ってしまった大通りに、
人々の往き来の絶えることはなく、
この夜が終わらなければいいと、ぼんやり思いながら、
再び門をくぐった。