シッディーとは、仏教で云うところの法力であり、奇跡力やミラクルとも呼ばれる。2002年か03年頃アシュラムのジーザステンプルの上にあるピラミッド型の暗い部屋に男6人が呼ばれた。外人3人日本人3人である。部屋の中は真っ暗で天井も低く、目が慣れるまで誰がいるのかもわからない狭い部屋である。まともに立つことも出来ない。
暫く待つと、カレスワール、スワミがバケツを持って入室して来た。「今からシッディープロセスを始める。ここで行う事は、他言無用である。お前達が喋れば、多くの人が私に迫るだろうが、私は今世で6人以外に授ける事は出来ない。だから漏らして私を苦しめるような事はしないで欲しい。重要な約束だ。守れない者は、すぐに出ていくように。」
誰も出て行かない。当然であろう。秘伝中の秘伝のイニシエーションを頂けるのである。この行は48時間部屋に籠り、水だけ与えられ、食事なしで、トイレ休憩以外はマントラを唱え続ける。ヤギの首から上が入ったバケツにタッチしイニシエーションが始められた。要するに「法」の種を入れて頂いたのである。
部屋が真っ暗な為、最初はバケツの中身が何かわからない。生臭い臭いがするので、もしかしたらと思った時、正観さんが角があるからヤギだろうというので、良く見ると確かにねじれた角が見える。間違いなく、ヤギの頭である。
ヤギの頭と云えばカーリー神であるので、シッディープロセスはカーリー神で行われるのであるが、ヒマラヤではタントリック(ブラックエネルギー)と言われ、忌み嫌われている。この時は、イニシエーションだけで終わり、続きの行も与えられる事はなく、スワミは一切口にすることも無かった。
「この行の完成は、私が通った道を歩まねばならない。私はヒマラヤでも修行をし、インドの各地を巡り修行をした。」
今思えば、伝法(イニシエーション)された時から、独り立ちさせられる運命になっていたのであろう。その数年後、私はスワミの言わんとすることを実践するために、ヒマラヤ他を求め歩く事になる。ナガランド州に有名なシッディーテンプルがある。インド各地からシッディーを求めて多くのサドゥが来る。
お寺の周りには、化粧(プージャ)を施されたヤギが飼育されている。その側でサドゥ達は深い瞑想に耽っている。お寺の中は暗く、階段を下って地下洞窟に降りるのであるが、人の多さで湿気がムンムンしている。その階段を下り着いたところに、ヤギの頭が祀られ、その下には水が湧き出る大きな池がある。
写真:シッディー聖者を求めてナガランド州のディマプール空港に降り立ち各地を回る
その池に、花を捧げ、水を飲みイニシエーションを授かるのであるが、暗く生臭く、とても長くはおれないし、人で溢れているので、長くもいられない為、外に出て瞑想をすることになる。多くのサドゥは半年から一年位修行するそうである。
ある時、シルディー村にあるドゥルガーテンプルで、物質化するサドゥに出合う。シルディーサイババに挨拶するために立ち寄ったそうで、また旅に出るとの事であったが、物質化を見せて頂く事になった。そのサドゥは自分の髪の毛を一本抜き両手に挟み、少しだけ揉み手を開けるとルドラクシャが現れた。他に聖灰を出したりして頂いたのであるが、汚らしい身だしなみと、首に人骨をぶら下げていたので、一緒に行動する事無く分かれた。
写真:夜のバス中継地
このサドゥもカーリー神とシルディ、サイババのエネルギーでミラクルを行っている。他にコルカタのカーリー寺院などに行き、自分なりの結論に達したことは、3つの世界が絡んでいる事である。つまり、パールパティー神(神の世)・ドゥルガー神(現世)・カーリー神(悪魔の世界)の三世界を自由に自分の意思で、行き来出来て初めてシッディーの力が出ると思っている。
2001年頃、ミラクル聖者の一人であったナガナンダ、スワミの元で一か月間シッディーの行を行い、掌の中にヴィブーティー(聖なる灰)を出すことに成功したのであるが、これはたまたま瞑想中に出た物で、自分の意思によってではないので意味が無い。が、やはりこのお寺のご本尊はカーリー神であった。シルディー、サイババも三神の結合である。何か関連しているのか、今後の課題である。が間違いないのは、カーリーマントラとババマントラがシッディーに関係しているのは、間違いないところである。
写真:夜行バスでコヒマに向かう
今朝夜明け前の深夜に3~4の地震があったが、地下洞窟も秘伝瞑想小屋も無傷でありましたので、行は続行できます。ので、ご安心下さい。