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マルクスの「プロレタリアート」

2023-09-26 22:09:00 | 西洋哲学

【プロレタリアート】
 産業革命後に生まれた都市の工業労働者のことを「プロレタリアート」と言います。プロレタリアートは、生産の機械化によって、その数が急増した賃金労働者です。彼らは、搾取されるだけの無産者階級でした。搾取とは、自分で働いた分が、自分のものにならないという意味です。労働者は、資本主義社会の中で圧倒的な多数を占めています。自由競争の中で、生き残るために発達したのが技術革新です。その技術革新が、工場の生産性を上げ、低コストで大量生産することを可能にしました。しかし、そこで問題になったのが、技術革新による「効率化」が、プロレタリアートの労働の価値を下げたことです。

【分業化】
 工場で働く労働者は、訓練された口答えをしない素人集団です。資本家の命令を聞く、従順な労働者になるために訓練されてました。労働者は、自分の労働を自分で決めることができません。ただ資本家の命令通りに働くしかない存在だからです。近代化により、工場の作業は、工程ごとに「分業化」され、マニュアル化されました。マニュアル化されれば、熟練した職人はいらなくなり、仕事は、誰にでも出来るものになります。そうした仕事は「年齢」「性別」「経験」などが、あまり関係なくなり、代わりはいくらでもいるものになりました。

【労苦】
 そのような単純労働は、生活手段を得るために行うものにすぎません。工場の機械の一部のように働かされ、仕事が苦痛なものになります。しかし、生計を立てるためには、どうしてもお金が必要でした。労働者は、自分の労働力を商品として資本家に売却しています。しかも、資本家の需要がなければ生活できませんでした。資本家の方も、労働者が死に絶えないように最低限度の生活は保証しています。何故なら、労働者がいなければ、資本家も自滅するからです。資本家が圧倒的に有利な立場にありますが、資本家と労働者は、相互依存関係にありました。

【労働】
 労働者は、過酷な労働へ縛りつけられています。しかし、逃げられない理由がありました。その理由の一つが、労働者が「自発的」に自分の労働力を資本家に売っていることです。建前上、強制的にやらされているわけではありません。そのため、労働者には、自分でその労働を選んだという負い目があります。その責任感から、仕事を途中で投げ出すことが出来ませんでした。もともと労働者は、生きるために必要な生産手段を持っていません。生きていくためには、自分の労働力を売り、賃金を得る必要がありました。仕事を辞められないもう一つの理由が、それを失ったら生きていけないと言う「恐怖心」です。

【労働者の団結】
 良い労働力になろうと、労働者間で競争をすると労働条件は悪化します。資本家によって、安い賃金で働らかされるからです。個人的利害に目を奪われると、労働者間の連帯感は失われてしまいます。そこでマルクスは、労働者が団結して資本家から資本を奪うべきだとしました。労働者は、資本主義社会の中では、搾取されるだけの存在です。しかし、その労働者こそが、支配階級として、政治の主人公になるべきだとしました。なぜなら、不平等な資本主義体制を壊さなければ、平等な民主主義が実現しないからです。

【資本主義】
 資本主義社会とは、絶え間ない利益の追求です。その中では、資本の力が社会を動かし続けています。資本とは、価値増殖の運動のことです。市場では、全てが交換可能な商品となります。商品とは、交換出来る力のことです。それは市場において、交換可能な価値として表示されます。例えば、物の値段などです。資本家は、儲けを拡大しようとします。そのため、資本主義社会とは、無限に膨張するシステムです。儲かった場合、次の事業に投資され、それが循環していきます。マルクスは、資本主義社会の労働者は、資本の循環運動の歯車にすぎないとしました。



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