京都の初詣は、著名であるがゆえに混雑も目立つ伏見稲荷大社と八坂神社を避けるのも手です。北野天満宮や下鴨神社、松尾大社と並んでおすすめが、平安神宮です。
- とにかく境内が大きいため、混雑感を感じることは少ない
- 賽銭の順番待ちの行列の流れもスムースで、気兼ねなくじっくりと新年を祈ることができる
- 街中にあって地下鉄の駅が近く、行きやすい
- 境内にある神苑は京都でも有数の大きさを誇る名園
平安神宮のある岡崎公園の周りには高い建物がなく、晴れた日にはすがすがしい大きな青空が楽しめます。赤い社殿や鳥居が大きな空に綺麗に映える光景も、今となっては京都ではここだけです。
平安神宮は、1895(明治28)年に創祀された新しい神社です。平安遷都1100年を記念した内国勧業博覧会開催にあたって、平安京の政治の中心である朝堂院(ちょうどういん)を5/8に縮小して復元したものを神社としました。
祭神は平安遷都を行った桓武(かんむ)天皇です。明治から戦前にかけて各地で、歴史上著名な天皇を祭神とする神社の設立が相次ぎました。神武天皇を祀る橿原神宮、天智天皇を祀る近江神宮、後醍醐天皇を祀る吉野神宮と明治天皇を祀る明治神宮です。まさに天皇の神格化が進んでいた時代でした。
平安神宮は当初、実際にあった千本丸太町付近に建設が計画されましたが、市街地化が進んでいたため買収をあきらめています。そのため当時は郊外で市街地化されていなかった岡崎の地が選ばれました。皇紀2600年の1940(昭和15)年には、京都で在位した最後の孝明(こうめい)天皇も祭神に加えられました。
平安神宮の創祀とともに始められた時代祭のイメージもあり、岡崎は京都にとってすっかり平安時代をしのばせる地として定着しました。
白川から見える鳥居はいつも美しい
地下鉄・東山駅から平安神宮を目指すと、平安神宮の真赤な大鳥居が見えてきます。岡崎の大きな青空に映える姿が私は大好きです。大鳥居をくぐってロームシアター京都のある二条通を過ぎると、広い参道は歩行者天国になります。両側には屋台がびっしりですが、とにかく道が広いので屋台のグルメ選びもゆったりできます。参拝前の腹ごしらえ。参拝後の一服、どちらも楽しみは尽きません。
大極殿(外拝殿)
朝堂院の正門である応天門をくぐると、回廊に囲まれた広大な境内が拡がります。建物がない広大な広場でもあり、ここから青空に映える大極殿(だいごくでん)をのぞむ光景も絶品です。
平安神宮への通常の参拝は、外拝殿(げはいでん)でもある大極殿から行われます。さらに内部にある内拝殿(ないはいでん)や本殿には立ち入ることはできません。しかし大極殿は重要文化財に指定されており、平安京の面影を伝える美しく壮大な建築です。ここから参拝できるだけでもすがすがしい気持ちになります。
一方より聖なる建物である内拝殿と本殿は重文指定されていません。もちろん明治の創祀時に同時に建築されましたが、この2棟は1976(昭和51)年に起きた放火で焼失するという悲しい過去がありました。現在の内拝殿と本殿は放火から3年後に、全国からの募金を元に再建されたものです。
※写真は2018年のお正月
参拝が終わって振り返り、大極殿から境内の巨大な空間をのぞむと、平安時代にタイムスリップしたような錯覚も感じます。それだけ大きな青空と赤い社殿は見事です。このゆったり感は、京都の神社ではここだけです。
参拝の前後には、境内にある名勝指定の庭園・神苑(しんえん)もぜひおすすめします。近隣の南禅寺別荘群の庭園を手掛けた明治の名作庭家・7代目小川治兵衛の作品です。平安神宮の回廊の三方を取り囲むように造られた庭は巨大です。大きさを活かして様々な植物が植えられており、四季それぞれの表情はとても多様です。もし雪化粧していれば極上の光景となります。
泰平閣
東側の大きな池をまたぐように造られた橋殿である泰平閣(たいへいかく)からながめる光景は、天皇しか楽しむことができなかったと思わせる雄大さがあります。平安時代末の院政期に絶大な権力を誇った白河法皇も、現在の平安神宮のすぐ南にあった六勝寺(ろくしょうじ)から、同じような雄大な光景を楽しんでいたのでしょう。
【平安神宮公式サイト】 神苑拝観について
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
京都一人旅に優しい一冊
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平安神宮
【公式サイト】 http://www.heianjingu.or.jp
※公開されていない建物・美術品があります。
※参拝に条件はありません。いつでも無料で参拝できます。
※神苑の拝観時間は8:30~16:00(11-2月)です。
◆おすすめ交通機関◆
地下鉄・東西線「東山」駅下車、1番出口から徒歩10分
京阪「三条」駅下車、8,9番出口から徒歩20分
京阪「神宮丸太町」駅下車、2番出口から徒歩15分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→地下鉄・烏丸線→烏丸御池駅→地下鉄・東西線→東山駅
【公式サイト】 アクセス案内
※京都駅から直行するバスもありますが、地下鉄を乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には駐車場はありません。
※道渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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