奈良の夜の散策を楽しむ人が増えています。興福寺などの歴史的建造物がライトアップされ、古(いにしえ)にタイムスリップしたような幻想的な夜景が広がります。まさに奈良でしか体験できません。
週末の奈良国立博物館の夜間開館もあり、奈良公園付近のお店の夜間営業も増えています。鹿も夜にもたくさんいます。古都を夜に楽しむ、今注目の観光スタイルです。
よく驚かれますが、奈良は宿泊者数が日本で二番目に少ない県です。個人宿泊客の取り込みに長年消極的だったことから宿泊施設が少なく、ほとんどの観光客が大阪や京都に宿泊するからです。そんな奈良もようやく個人宿泊客の取り込みに積極的になってきました。やはり外国人観光客の急増の影響が大きいでしょう。ホテルの新設も増えてきました。
そうした取り込み策の一つが「夜観光」であり、歴史的建造物の「ライトアップ」です。歴史的建造物のライトアップは世界中で行われるようになっています。
奈良県は建造物の国宝が日本一多いように、歴史的建造物の宝庫であることは誰もが疑いません。奈良を訪れる人の多くは、そうした建造物による味わい深い空間を求めています。
そんな味わい深い空間を夜に楽しむと、日中にはないメリットを享受できます。
- 建物が下方向からライトアップされているため、日中のように影にならずよく見える
- LEDの無色な光のため、建物の壁や木目の色が鮮明に見える
- 漆黒の夜空のキャンバスに浮かび上がるので、インスタ映えする写真が撮れる(手振れ防止機能の充実したデジカメがおすすめ)
興福寺・五重塔
奈良公園付近では以下の建造物がライトアップされています。通年で日没~22:00までです。
- 興福寺 五重塔:ライトアップの一番人気でいつも人が絶えない、昼間とは全く違った表情
- 猿沢池:池沿いに置かれたベンチからの眺めが幻想的、興福寺五重塔も綺麗に見える
- 春日大社 一の鳥居:興福寺付近の三条通から幻想的に見える、ここを通って奈良博へ行くのがおすすめ
- 奈良国立博物館 なら仏像館:明治27年、宮廷建築家・片山東熊設計の重厚な石造り、重文
- 奈良国立博物館 仏教美術資料研究センター:明治35年、和洋折衷デザインがエキゾチック、重文
- 浮御堂:池に建つ六角形の建物、水面に映る姿が何ともインスタ映えする
なお7月中旬~9月末までのライトアッププロムナード期間中のみ、東大寺の大仏殿と南大門もライトアップされます。南大門の仁王像がとても鮮明に見えるためおすすめです。大仏殿はライトアップ中は立入不可。
【ライトアッププロムナード公式サイトの画像】 すべての建造物のライトアップ写真
奈良公園から電車で10分ほど足を延ばせば、より奈良らしい天平的なビジュアルが味わえます。いずれの建造物も昭和になってからの再建のため、天平時代の建物らしい赤い色が夜空に映えます。こちらも通年で日没~22:00までです。
- 平城宮跡 第一次大極殿、朱雀門:近鉄電車からも見える、まさに奈良にいることを実感できる、ライトアップ中は建物内への立入不可
- 薬師寺 西塔:ライトアップ中は境内立入不可、撮影スポットとして著名な大池からの若草山を借景にした眺めが見事
東大寺・二月堂から大仏殿越しに見る夕日
夜観光を楽しむ前にもう一つおすすめがあります。東大寺・二月堂から見る夕日です。二月堂は若草山の中腹にあり、奈良の街と生駒山の絶景が西側に広がります。大仏殿や法華堂のような有料拝観エリアは夜間立ち入りできませんが、二月堂の舞台には24時間いつでもあがることができます。
季節ごとの日没時間にあわせて登ってみてください。心が洗われます。心が軽くなります。奈良の魅力はこの悠久の大きな空にあることにも気づきます。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
著名な奈良ライター倉橋みどりが朝夕夜限定の奈良スポットを紹介
奈良市観光公式サイト「奈良の夜旅」
※奈良公園と平城宮跡の拝観・見学に条件はありません。いつでも無料で拝観・見学できます。
※東大寺大仏殿と薬師寺境内、平城宮跡の第一次大極殿、朱雀門の建物内にはライトアップ中は立ち入りできません。
おすすめ交通機関:
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅下車、東改札口C出口から興福寺まで徒歩7分、東大寺まで徒歩20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:東大寺まで1時間20分
JR大阪駅→JR環状線→鶴橋駅→近鉄奈良線→近鉄奈良駅
【公式サイトのアクセス案内】
※この施設には有料駐車場があります。
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