広大な境内の中でひときわ目立つ朱色の三門
妙心寺は、京都市の西部・花園に広大な境内を有します。室町時代に禅宗を厚く庇護した足利幕府に敵対する行動をとったため、一時は冷遇されていました。しかし戦国時代になると一転、多くの武将から庇護を受けるようになり、今では臨済宗寺院の半数以上を占める巨大組織となっています。
寺の南面する正門である「三門」は、背後に連なる法堂や方丈と一直線上に配されています。堂々たる風格です。普段は外観しか拝見できない三門が、京の冬の旅で内部に入れるようになっています。色彩がよく残る内部空間が荘厳で、楼上から眺める巨大な伽藍は見応えがあります。
妙心寺は室町時代には大徳寺の傘下にあり、現代とは異なり臨済宗内で同じ派として行動を共にしていました。南禅寺を筆頭とする京都五山より格が低い「林下(りんか)」と呼ばれていました。一方で足利幕府を快く思わない守護大名や禅僧たちが集まり、厳しい修行で知られる禅風に地道に打ち込んでいました。
応仁の乱で幕府寄りの五山の寺の勢いは弱まり、林下の勢力が徐々に地方に広がっていきました。現在の巨大な境内は、戦国時代に大徳寺から独立した頃に、庇護者が仁和寺から購入した土地を寄進されたものです。その庇護者は、当時の有職故実の大家・一条兼良の娘・利貞尼(りていに)です。
整然と塔頭が立ち並ぶ妙心寺の伽藍の中で、唯一の朱塗りの三門はひときわ目立ちます。応仁の乱による焼失からしばらくして、1599(慶長4)年に再建されたものです。仏殿・法堂・方丈など中心伽藍をなす建築では最も古いもので、重要文化財です。
内部には十六羅漢や天井画に極彩色がよく残っています。年に1日の法要時以外は公開してこなかったため、保全には好都合だったと考えられています。現世から悟りの世界に入ったことを示す三門にふさわしい宗教感が表現されています。
天井にはどくろを巻いた龍が描かれています。鋭くとがったウロコの先端が朱く塗られており、どこかチャーミングに見えます。優しくソフトに寺に入る者を迎えようとする姿勢が感じられます。いずれにしろ400年間も彩色が残っているとは本当に驚きです。よほど上質な絵の具を使っているのでしょう。
楼上から見た仏殿はとても端正
楼上からの眺めは雄大です。妙心寺の伽藍の大きさを実感できます。北側正面に見える仏殿を高いところから眺めると、屋根のラインがとても端正に見えます。禅宗庭園や建築など、シックなデザインが多い妙心寺に残る文化財の中では、とても異色です。新しい発見になります。
こんなところがあったのか。
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第52回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開 「妙心寺 三門」
http://kyokanko.or.jp/huyu2017/huyutabi17_01.html#12
主催:京都市観光協会
会期:2018年1月6日(土)~3月18日(日)
原則休館日:1月31日(水)、3月8日(木)
妙心寺 三門
https://www.myoshinji.or.jp/worship/keidai/249
※三門の内部は、定期的には年に一度だけ法要時(6月18日、山門懺法会)に公開されます。外観は24時間365日、拝観できます。
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