ここのお稲荷様は古代エジプトのように神秘的
ここ数年、トリップアドバイザーの「行ってよかった外国人に人気の日本の観光スポット」で第1位を続けて受賞している伏見稲荷は、何と言っても朱い千本鳥居でよく知られていますが、すぐそばに別世界があります。
「御茶屋(おちゃや)」呼ばれる後水尾上皇ゆかりの江戸時代初期の御殿で、「京の冬の旅」で特別公開されています。稲荷境内の喧騒とはうってかわって、風の音しか聞こえないくらいに静かで緑豊かな庭もあります。休日にはお茶もいただけます。
「御茶屋」は1641(寛永18)年に後水尾上皇が、仙洞御所の御殿の一部を当時上皇に仕えていた伏見稲荷の社家(しゃけ、神職を世襲して神社に仕える家)に下賜し、現在地に移築されたものです。伏見稲荷大社の本殿や楼門と同様に、重文に指定されています。伏見稲荷大社の貴賓施設として長らく使われてきましたが、近年は「京の冬の旅」などの非公開寺社公開イベントに合わせて公開されることが多くなりました。
後水尾上皇好みの王朝文化で設えられた内部空間は、数寄屋風の意匠を随所に楽しむことができます。床の間横の違い棚は、修学院離宮の茶屋を彷彿とさせます。庭園の木々は美しく刈り揃えられており、南天や馬酔木など四季折々の花が一層、緑の空間の雅さを引き立てています。
御茶屋のすぐそばには「松の下屋(まつのしたや)」があります。こちらは社家の邸宅として大正時代に建てられたものです。二階建てでもあり、大正モダニズムの趣を感じさせます。御茶屋と新旧の和風建築の魅力を比べることができるのは、とても興味深いです。
「松の下屋」では「京の冬の旅」期間中、ダイナミックな版画で知られる棟方志功の襖絵を見ることができます。モチーフの牡丹が部屋の雰囲気によく合っています。
なお「松の下屋」は、土・日・祝日のみですがお茶をいただけます。「京の冬の旅」期間以外でも通年営業しています。御茶屋は鑑賞できませんが、季節の庭園は存分に楽しめます。伏見稲荷でパワーをもらった後に、格別の時間を過ごすことができます。
【公式サイト】 松の下屋
※土・日・祝日のみ営業
こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさんある。
実権はないものの脈々と権威を保ち幕末に開花させた江戸時代の天皇の秘密
第52回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開 「伏見稲荷大社 御茶屋」
https://www.kyokanko.or.jp/huyu2017/huyutabi17_01.html#06
主催:京都市観光協会
会期:2018年1月10日(水)~3月18日(日)
原則休館日:なし
※「御茶屋」は常時公開されていません。次の公開時期は未定です。
伏見稲荷大社
http://inari.jp/
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